食品を加熱しても食中毒が起こることがあるのです
これから食中毒が増える季節になります。細菌による食中毒には、実は二種類のものがあるのをご存知でしたか?
細菌が食物と一緒に体の中に入り菌そのものが増殖して起こる感染型(サルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、大腸菌など)と、食物中で細菌が増殖してそこでつくられた毒素により起こる毒素型(ボツリヌス菌、ブドウ球菌など)の二種類があります。食物を加熱すると、食中毒は防げると思っている方が多いと思うのですが、毒素型食中毒では加熱しても毒性を減らすことは出来ないのです。
感染型食中毒は一定量の細菌に汚染された食物を摂取し、細菌が胃腸管内で繁殖することにより発症します。腸炎ビブリオは夏によく発生し、魚介類の摂取によることが多く、潜伏期間は約15時間位。
サルモネラ菌の食中毒の原因としては牛肉、豚肉、鶏肉等の食肉類、うなぎ料理、鶏卵等が考えられます。潜伏期間は平均8~48時間。
大腸菌はほとんどは非病原性ですが、その中の一部のものが病気を起こします。1996年に堺市で起こした集団食中毒事件はO-157でしたが、O-157(写真)は腸管出血性大腸菌とも言います。細菌に汚染された食物を摂取することにより発症し、潜伏期間は約4~9日です。
もう1つは、毒素型細菌性食中毒です。これは食物 の中で細菌が繁殖して 毒素を出し、その毒素の混入した食物を摂取する事で起こり、次の二種類があります。
ブドウ球菌による食中毒は比較的多く、調理作業にての汚染が考えられ、手指の化膿巣、鼻腔、糞便などに汚染された食物が原因の事が多いようです。潜伏期間は約2時間です。記憶に新しい雪印の食中毒事件はこれが原因ですね。
もう1つはボツリヌス菌によるものです。1984年、熊本県で製造された真空パックの辛子蓮根事件は記憶に新しいですよね。潜伏期間は約12~24時間、発熱はなく、目まい、頭痛に次いで特有の眼症状、発語障害、嚥下障害が起こり、やがて呼吸困難から死に至ります。ボツリヌス毒素(ボツリヌストキシン)は毒性が非常に強くボツリヌス毒素1gの殺傷力は約2000万人といわれています。フグ毒(テトラドトキシン)と並んで、史上最強の生物毒素で、生物兵器として研究開発が行われました。菌は毒素の抗原性の違いによりA~G型に分類されます。
シワをとることで有名なボトックスはこのボツリヌストキシンのA型のみを抽出したものです。もう30年以上も臨床利用されており、安全性は確認されています。
食中毒を避けるには、当たり前のことですが
食物の中で最近が増殖しないように冷所で保存する。
よく手洗いをして、食物にブドウ球菌が混入しないようにする。
傷がある人は調理しない。
調理した物は早く食べる。
調理器具や台所を清潔にする。
などに注意するとよいと思います。
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