カプリース
アファームの講演で八重洲富士屋ホテルに行きました。早く着きすぎてしまったので、途中八重洲ブックセンターに立ち寄り「男の隠れ家」という雑誌を買ってみました。特集が「大人のためのクラシック」だったのです。
初心者にもわかりやすく、そしてクラシックファンも納得のクラシックの魅力をとてもよく取り込んでいて、買って満足。中でも面白かったのが超A級難易度の作曲家兼演奏家の特集です。このコーナーでは、ピアノではリスト、ヴァイオリンではパガニーニが挙げられていました。
ニコロ・パガニーニに至っては、その悪魔的な超絶技巧の演奏が、悪魔に魂を売ったとしか思えないといわれ、教会での埋葬を拒否されたという逸話が残っています。パガニーニのヴァイオリン音楽史上の金字塔ともいえる、「24のカプリース(奇想曲)」をお聴きになったことがありますか? 特に第一番はその時点までのほぼすべてのヴァイオリンの奏法が持ち込まれています。
パガニーニ:カプリース
買ったきっかけ:
15歳のときに演奏したパガニーニ最高難易度のバイオリン曲。
感想:
10度重音、一弓スタカート、二重トリル、左手のピチカートなど、ほぼ完璧な技術であっさりこの曲を弾きこなす五嶋みどりは本当に天才です。
おすすめポイント:
バイオリン好きは、一度は聴いてみたい名盤です。
パガニーニ:カプリース アーティスト:五嶋みどり | |
などなど。僕も初めて聴いた時は、確かに神か悪魔の演奏と思いましたよ。二人で弾くことならできそう。そんな感じです。
超絶技巧の演奏ができるためには、もちろん手先が器用であるということが重要だと思いますが、これには手指が長い、手指が柔軟であることが不可欠です。
実はこういった二つの症状を同時にもつ病気があります。それはマルファン症候群という遺伝性の結合組織の病気なのです。マルファン症候群は、異常に長い肢が特に特徴ですがあとの症状をあげると高身長、上肢や下肢などの手足、指が細くて長い(クモ状指)、関節の過可動性といったところでしょうか。このパガニーニも、リストも、そして僕の好きなラフマニノフも、実はマルファンだったのではという推測があります。演奏家としては天与の才能になるのでしょうね。
このマルファン症候群、体中の結合組織が病気になってしまうので、大動脈かい離などの病気で命を落とすことが多かったようです。
ちなみにこのパガニーニの「カプリース」。お勧めのCDは、五嶋みどり演奏のものです。「男の隠れ家」でもこれが紹介されていました。彼女は見かけからしても、もちろんマルファン症候群ではないですが、この演奏、15歳の時にレコーディングしているのだそうです。天才ですね。
リストについてはまた次回書きます。
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