コラーゲンを飲むと肌に良いのか?
ここのところ、患者さんに立て続けに
「コラーゲンを飲んでいるのだけれど、本当に肌に良いのでしょうか?」
という質問を受けます。
これって、どうなんでしょう?
コラーゲンはタンパク質の一種です。この図のように三つのらせん状のタンパク質が絡まった構造をしています。この大きな物質が、消化管から体内に取り込まれるためには、少なくとも分子量100程度のアミノ酸まで分解されないといけません。
つまり、コラーゲンの骨格がそのまま体内に吸収されるわけではないのです。
では、コラーゲンを食べる(飲む)ことで、分解吸収されたアミノ酸の、栄養効率はどうなのでしょう? はたしてコラーゲンを作るのに役立つのでしょうか?
人間の体では、20種類のアミノ酸が必要です。
コラーゲンに含まれるアミノ酸は、リジンやプロリン、グリシンを多く含む半面で、必須アミノ酸であるトリプトファンを全く含まないといった偏在した性質があります。つまり、コラーゲンよりももっと効率よくアミノ酸を摂取できる物質は他に数多くあるのです。
実際にはアミノ酸は、タンパク質をはじめとした栄養を含んでいる食品類をバランスよくとっていれば摂取量が不足することはありませんので、「コラーゲンを新生するための栄養素として意味がある」とっいった議論も否定されるのです。
つまり、「肌に良いのでコラーゲンを飲む」という仮説を、医学的に立証するには、少々無理があるということです。この仮説を支持する医師は、おそらくいないでしょう。こういった視点でこれらの健康食品や飲料の広告を改めて見てみると、どこにも肌に効くとは書いていません。これが広告のマジックなのでしょう。不思議ですよね。
コラーゲンは化粧品に配合すると、保湿効果がありますので、保湿剤という点では意義はあります。ですが、化粧品に配合したコラーゲンが肌に浸透するものではありません。(最近はマイクロコラーゲンといった肌に浸透する細切れのコラーゲンがあるということですが、医学的に実証はされていません。)
「皮下のコラーゲンを増やすには、現状ではレーザーや光治療器を使用するしかない」
というのが僕の持論です。
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