自律神経失調症の治療法
皮膚のアンチエイジングを主にクリニックでは行っているのですが、このとき皮膚からの外的アプローチとは別に、内的アプローチが必要となることは以前にも何度か触れてきました。
自律神経系や内分泌系、免疫系に乱れがあると、皮膚はその乱れを忠実に皮膚上で訴えようとしますから、皮膚で若さや健やかさを追求するということは、結果的に身体の内部を「チューニング」することに繋がってきます。
こうした観点でアンチエイジングを捉えると、非常にスペイシーでおもしろく、奥が深いのです。
ドクターによって様々なアプローチの仕方があると思いますが、僕自身はレーザー・光治療器に代表される機械がやはり好きですので、熱治療を使ったアプローチを中心に組み立てていくことになります。
先日御紹介したインディバを使用した治療として、僕が一つの候補だと思っているのは、自律神経失調症の治療です。
自律神経系とは、生体の恒常性を保つために、交感神経系と副交感神経系の二つによって、二つが相補するように内臓や血圧、呼吸などを効率よく働かせるようにしたシステムです。
この図は素晴らしかったので、米国版Wikiから転用しています。
僕と自律神経系の研究の歴史は実は古く、研修医が終わった後、医局人事で都立病院の勤務医だった時に、その横の研究所で自律神経の研究をしていたことがあり、初めて書いた英語の論文が
「Jounal of Autonomic nervus systems (邦題 自律神経)」
という雑誌に掲載されたのです。(1999 Feb 15;75(2-3):109-15.)
自分の研究論文が認められ、世界の一流雑誌に掲載されるという、興奮する経験に初めて触れたのが、この自律神経の分野の研究でした。
医師として臨床とともに研究も続けたいと思って、翌年大学院に入学し、医学博士論文を書きましたが、思えばこのときの経験が、臨床医として実際に患者さんを診るという作業とともに、常に学会への研究発表を続けてゆくという、僕の医師としてのスタイルが出来上がったのだと思います。
自律神経を支配している視床下部が失調してしまうと、個人差はありますが、
「だるい」
「疲れが取れない」
「食欲がない」
「眠れない」
「やる気が出ない」
「悲観的になる」
などの症状が現れます。
最近は「男性のうつ」も深刻になっていますよね。
さらに体の各器官に頭痛や動悸、めまい、立ちくらみ、のぼせ、冷え、吐き気、便秘、下痢などの症状が部分的に出てきます。更年期にも同じような症状が出るのですが、僕はこの症状の治療にインディバが使用できないかと思っているのです。
現代人は、さまざまなストレスにさらされていて、常に交感神経のみが亢進してしまう状況にあります。体の深部体温を上げるということは副交感神経を優位にして、体をリラックスさせます。
副交感神経が優位になることによって得られるアンチエイジング効果は計り知れません。
こちらはまた別の機会に改めて書きたいと思いますが。
もちろん温泉などによって、体外から体温を上げる方法もありますが、インディバでできる体温上昇の効能は、体内の深部から起こることですので、全く強さが変わります。
僕も数年前、初めてインディバを体験したときに、あまりにリラックスして、夜9時頃の会食中に眠ってしまうなんてことがありました。驚きの体験でしたよ。
現在インディバ治療をクリニックFに導入するにあたって、アロマセラピーやリンパドレナージュなどの世界のセラピーを組み合わせた施術を考えています。
8月にはクリニックのメニューとして御案内できる予定です。
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コメント
自律神経機能は今後もアンチエイジング分野で注目されますね。
私の研究テーマもアンチエイジングです。
心拍変動解析システムで自律神経機能を定量評価して現在、トップアスリートの身体能力評価、コンディショニング、加齢による変化をリサーチしています。
BIOCOM社のHRSのシステムを使用して自律神経機能の順天堂大学で本格的な研究に着手する準備を進めています。
先生のご活躍をお祈りしております!
投稿: nobu | 2008年6月23日 (月) 18時07分
先生。お久しぶりです。
心拍変動解析システムは、僕も昔の研究室で自律神経評価をしましたよ。ノイズが入ってしまうので、判定の難しさも課題に残りますね。
いずれにせよ、アンチエイジングの世界にも、エビデンスのある正確な研究成果が欲しいところですね。
投稿: 管理者 | 2008年6月23日 (月) 19時56分