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2008年9月 3日 (水)

内分泌系とは?

アンチエイジングに関わる病院で、必ずテーマのひとつとして挙がるのが、内分泌系の機能向上です。

「ホルモン」は耳慣れた言葉ですが、「内分泌系」については、あまりよくわからない方もいるかもしれませんね。

今日はこの「内分泌」について、書いてみましょう。

私達の体の中では、種々の作用を持つ物質がうまく調和して全身の臓器に作用し、人間の生命を維持し、生体のホメオスタシスつまり恒常性( 正常な機能を維持する仕組み)や正常な代謝機能を保っています。

これらの、正常な機能を保つのに必要な体の機構が「内分泌代謝機能」と言います。

そして、この内分泌代謝作用を示す物質を「ホルモン」と呼ぶのです。

ホルモンは体内の臓器で作られる物質で、タンパク質を作るアミノ酸が数百個繋がってできているペプチドホルモンや、ステロイド骨格を持つホルモンなどがあり、血流を通じて標的臓器に伝達されます。

ホルモンの量が十分になると、下部組織からホルモンを抑制する物質がでますし(ネガティブフィードバック)、反対にホルモンが足りないと下部組織からホルモンを刺激する物質が出て(ポジティブフィードバック)生体が維持できるように制御しているのです。

ホルモンを作って分泌する臓器を「内分泌臓器」と呼びますが、これには視床下部、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、 膵臓、副腎、卵巣、精巣、心臓、肝臓、腎臓などの多くの臓器があります。

これらが複雑に機能し合って、体内の血圧や血糖、電解質を一定にするとか、こどもの成長に関わるとか、生殖機能を維持し糖や脂肪の代謝に関わるなど、体内の調節を行っているのです。

医学の進歩の中では、それまで「この臓器はホルモンを分泌していない」と考えられていた臓器が、実は内分泌臓器であることが発見される・・・ということも起きてきました。

例えば近年では、脂肪(あぶら) を貯蔵するだけの機能しかないと思われていた脂肪組織が、実はホルモンを作り分泌する内分泌臓器の仲間だったことがわかって来ました。

ホルモンを作る内分泌臓器の障害により、ホルモン分泌の異常(増加又は低下)が起こった状態か、 またはそのホルモンが作用する対象臓器の異常(ホルモン受容体やホルモン情報の障害)により、ホルモン作用の異常が起こった状態を内分泌疾患と言います。

内分泌代謝疾患には当然、糖尿病や高脂血症、高血圧などが含まれますが、これまで原因不明の精神疾患(ノイローゼやうつ傾向など)として放置されてきた疾患なども、実は内分泌疾患が関わっていることもあり、内分泌代謝疾患を正確に診断し、治療することは非常に重要です。

内分泌疾患をいくつか例に挙げると

1.  視床下部・下垂体 ・・・ 脳内にあるいわば内分泌系の司令塔です。(小人症、先端巨大症、乳汁漏出症など)

2.  甲状腺 ・・・ 生体の代謝に関わります。(バセドウ病、甲状腺機能低下症など)

3.  副甲状腺 ・・・ 血中カルシウムの量をコントロールしています。(高カルシウム血症、骨粗しょう症など)

4.  膵臓 ・・・ 内分泌器官としては血糖をコントロールするホルモンであるインスリンやグルカゴンを作っています。(糖尿病など)

5.  副腎 ・・・ 体内の電解質を制御しています。(高血圧症、低血圧症など)

6.  卵巣・精巣 ・・・ 生殖機能に関わります。(インポテンツ、無月経、不妊など)

7.  心臓 ・・・ 血流量と心臓の収縮力を制御します。(心不全など)

8.  腎臓 ・・・ 赤血球を作るホルモンを作ります。(貧血など)

9.  脂肪組織 ・・・ 最近わかってきた内分泌器官です。 (肥満症、高脂血症など)

こうしてずらっと挙げてみると、ホルモンの多寡によって、病気も発生するということがわかっていただけるのではないでしょうか?

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