帝王「カラヤン」生誕100年
2008年は20世紀を代表するマエストロであるヘルベルト・フォン・カラヤンの生誕100周年です。
ちょうど去年の年末辺りから、様々なメディアやコンサートの企画などでそのことを見聞きしていましたが、2009年1月号の雑誌「Esquire」を書店で見つけて改めて思い出しました。
「指揮者のチカラ」という魅力的な題名だったので、つい購入。とてもおもしろい特集でしたよ。
カラヤンは1955年 フルトベングラーの急逝により、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者兼芸術総監督を引き継いだ、後世に残る名指揮者。
以前のブログ、74分の永遠でも彼について触れたことがあります。
900点ものクラシック音響および映像作品を残し、20世紀のクラシック界を牽引した人物であることは、皆さんもご存じのことと思います。
この雑誌のコラムにも触れられていましたし、しばしば言われるていることなのですが、彼は1938年の12月に初めてオーケストラ(モーツアルト魔笛の序曲)のレコーディングを行っています。今から実に70年も前の1938年に、音楽を伝えるメディアとしてのレコードの可能性を信じ、以来それを実践し続けたのです。
先見の明があったのでしょうね。
また、カラヤンが他の指揮者と違う点は、以前のブログでも触れましたが、映像の重要性にもいち早く気付き、とことんこだわった点です。
今でこそ、SPレコード、LPレコード、CD、DVD、さらにはipodのように媒体が変化し、クラシック音楽を自分のために楽しめる手段が多く出てきましたが、クラシック音楽を聴くなんて、昔は一部の王侯貴族たちか、コンサートを楽しめる地域にいた人たちだけだったはずです。
演奏会ごとの足し算から、世界中でいつでも楽しめる個人ユースができる掛け算へ変化したことにより、この市場の聴衆の数やファンの数、マーケットの大きさが飛躍的に変化したはずです。
市場価値も「足し算ビジネス」から「掛け算ビジネス」へ数千倍に変化したのです。
カラヤンは、レコーディングを始めた当初から、マイクロフォンの向こうの聴衆を意識していました。事実、カラヤンの残したアルバムには、ライブ盤がほとんどありません。
ほとんどが観客のいないスタジオで、レコーディングの目的で演奏を行っているのです。
これについてカラヤンは
「コンサートでの演奏は、どうしても、演奏上のミスを回避できません。ミスのある演奏をCDに残してしまうと、私はその作曲者に対して責任をとれなくなります。」
と述べているそうです。
ミスのある演奏をCDに残してしまうと、作曲者に対して責任をとれない・・・カラヤンのプロとしての姿勢を表している言葉ですよね。
カラヤンの指揮は、演奏スピードが速い以外は、誇張や修飾が少なくオリジナルに近いものが多いといわれています。
演奏上にミスのない、完全な形に近い音楽のレコーディングを行った。これがカラヤンの演奏が良い意味でその曲のスタンダードとして考えられている理由なのですね。
名指揮者であると共に、自己プロデュース能力が高かった、あるいは優秀なブレーンに恵まれていたおかげで、稀代のタレントとしていつまでもその姿、音が残っていくカラヤン。
実は、先日Sonus faber(ソナス・ファベール)というイタリアのスピーカーを中古ですが購入したので、次の休みにでもカラヤンを改めてゆっくり、そしてしみじみと聴いてみようと思っています。
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