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2009年1月の15件の記事

2009年1月31日 (土)

同業者に人気の機種

クリニックFのホームページやブログを読んで、同業者=医師や歯科医師が患者さんとして来てくださる事が増えました。

主に女性のドクターが、肌のメンテナンスや最新の機器を試しに来てくださるのです。

医者の世界は

「御夫婦揃って医師」

ということも多く、御主人様も一緒に遊びに来てくださることもあります。

診療前後の話も楽しいですし、なにより僕自身とても励みになるのです。

本当にありがたいことですよね。

昨日も御夫婦でいらして下さっていた方がいたのですが、なんと、奥様手作りのチョコレートケーキをお土産に頂きました。

毎日男顔負けの忙しさで、料理や掃除は苦手だし、そもそも時間がない・・・そんな女医さんが多い実情を知っている僕としては、思いがけないプレゼントに感動してしまいましたよ。

002_2

スタッフ皆で頂きました。ありがとうございます!

ちなみに、女医さんに人気の機種/施術をここで御紹介しておきましょう。ドクターが選ぶものだけに、レーザー好きな方には御参考になるかもしれません。

まず、最も人気の高いものが、サーマクールNXTとアファームマルチプレックス。

御自身の美容目的もあるようですが、同時に実際購入されようかどうしようか迷われている方が、効果の程を知りたいので打ってください、というケースも。

いずれも、たるみの改善や毛穴の改善、そして肌のテクスチャー改善に威力がありますので、僕も納得の選択です。

次に人気のあるのが、パール、eCO2、フラクセルⅡ。どれもダウンタイムがありますから、時間や勤務に余裕があるときに来られるようです。

3位は、シミやたるみを解消したい、という場合で、オーロラSR及びSRAをMAXやC6と組み合わせたり、リファームSTとタイタンを組み合わせたりするケースです。

コンビネーション治療としても効果的ですね。

日々の激務でお疲れの方も多く、レーザー/光治療の後に、ヘッドスパやアロマセラピー、リフレクソロジーなどのオプションでつけられるマッサージも喜んで頂いています。

同業者から見ても信頼できるクリニックでありたいな、としみじみと思いますね。

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2009年1月29日 (木)

糖尿病の急増と老化の関係

現在は、約300万年の人類史上、初めて体験する飽食の時代です。

Photo_217世紀に、ブルボン朝の太陽王=ルイ14世が夜な夜なヴェルサイユ宮殿で開いた宴会で、王侯貴族のみが食すことを許されていた濃厚なフランス料理を、今や極東の日本で生活する一般の人々が、ミシュランやグルナビ片手にワインを傾け、評論したりしている時代です。

これは、よく考えてみれば驚異ですよね。

つい数十年前まで、白米が御馳走だった僕たちの祖先は、この状況をどんな気持ちで眺めているのでしょう。

ちなみに、もともとフランス料理なるものが発達したのは、ルイ14世によって抱えられていた数百人もの宮廷料理人が、ルイ16世の時代にフランス革命とともに職を失い、地方に散っていったのが始まりといわれているそうです。

食の歴史というのは調べてみるとおもしろく、その時代背景と共にとても勉強になります。

日本では今、不景気に関するニュースが毎日流れていますが、それでも世界的な視野で見れば、「食べすぎ」「飲みすぎ」=栄養過多・・・という恵まれた人がいかに多いことか。

1929年の世界大恐慌では、不況のために餓死する人のいる状態が、4年ぐらい続いたということでしたので、今の

「100年に一度の不況」

というフレーズは、もしかしたらオバマ大統領の演説マジックなのかもしれないな、と思ったりもします。

閑話休題

以前にも書きましたが、生体は「飢餓」に対して、遺伝子レベルでも内分泌レベルでも多くの防御機構を持っていますが、「飽食」に対する防御機能はほとんどありません。

このわずか50年足らずの間に、飽食というまったく新たな食習慣が生まれてしまった。けれど、そのための対応システムは体内に整っていないのです。

それ故に増えている疾患のひとつで、アンチエイジングを考える上でも見逃せないのが、糖尿病です。

先進国では増加の一途を辿っているこの病気。特にアジア・アフリカ地域での患者数急増が顕著であり、日本ではこの40年間で約3万人から700万人程度にまで膨れ上がってきている、と言われています。

現在は5人に一人が“糖尿病予備軍”だと呼ばれていますが、そもそもなぜ血糖値が上がると身体によくないのか御存知ですか?

血糖値とは、血液の中にあるブドウ糖の濃度を測定した数値のことを言います。

血糖値が上がる食材を取りすぎ、血中のブドウ糖濃度が高くなる状況が続いていると、体を作っているタンパク質が糖漬けになってしまい、“糖化タンパク”に変質してしまうのです。

身体はそのほとんどがタンパク質で構成されています。 それらが糖化タンパクに変性してしまうと、様々な疾患を招いてしまいます。

どんな疾患が起こりえるかについては、語り始めると止まらなくなってしまうので今回は割愛しますが、僕の専門である皮膚のアンチエイジングに目を向けた場合、注目すべき点は「真皮」と呼ばれる部分も、やはりコラーゲンやエラスチンなどのタンパク質から構成されていること。

皮膚に弾力やハリがあるかどうか、赤ちゃんのように柔らかいか、キメの細かさや透明感、毛穴の開き・・・など、外見の若々しさを演出する皮膚の美しさを決める要因には、この真皮が深く関与していることは御存知の通りです。

皮膚のタンパク質であるコラーゲンに糖化(メイラード反応)が生じ、糖化タンパクに変質してしまうと、タンパク質中のリジン残基のアミノ基あるいはアルギニン残基のグアニジル基と糖のカルボニル基が非酵素的に反応し、シッフ塩基、アマドリ生成物を経た後で、タンパク質とタンパク質を結ぶ“架橋構造”を形成します。

そして、この架橋構造が形成されると分子が硬くなり、皮膚本来の弾力性が失われてしまうのです。

また、コラーゲンやエラスチンの架橋により、架橋物を異物と判断し、分解酵素(コラゲナーゼ、エラスターゼ)の分泌量が増えるため、架橋物よりも正常なコラーゲンやエラスチンが分解されやすくなってしまいます。

それによって肌のハリや弾力、透明感が失われ、シワ、タルミ、毛穴の開き、クスミの発生・・・などへと繋がってしまうのです。

さらに、肌自体が脆くなるので、アトピー性皮膚炎やニキビなどの疾患に悩まされやすくなったり、一度出来た炎症が治まりにくくなったりします。

クリニックの患者さんでも、アトピー性皮膚炎やニキビでお悩みの方に

「甘いものはお好きですか?」

「白いゴハンやうどん、パスタ、ラーメンなどの麺類を良く食べてはいませんか?」

「お酒はお好きですか?」

「運動量が最近落ちていませんか?」

「ご家族に糖尿病やすい臓ガン、肝臓ガンの病歴のある方はいませんか?」

・・・と、お聞きすると、大抵ひとつだけでなく、二、三、心当たりのある人が多い。

その他にも、糖化が進むと傷の治りが悪かったり、せっかくレーザーを当てても効果が出にくくなってしまいます。

もうひとつ恐ろしいことは、糖化によって血中にあるビタミンなどの抗酸化物質が減り、フリーラジカルの発生量が多くなってしまうことです。

つまり、糖化によって酸化が進んでしまうのです。

これにより血管はどんどん詰まりやすくなってしまう。

糖尿病は深刻化するまで、自覚症状がほとんどない病気としても知られていますが、発症する以前=「糖化の進行始め」は、皮膚を見ればだいたいわかります。

病気を防ぐ為にも、老化を遅らせる為にも、抗糖化=アンチグリケーションを真剣に考えることが重要なのです。

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2009年1月26日 (月)

ストレスがあると、なぜ過食してしまうのか?

肥満ネタをもう一つ。

ストレスがあると、食欲が増すことはありませんか?

そもそも“ストレス”という言葉の語源は、

「外力が物体に加わった場合の歪み」

という機械工学の専門用語でした。

これが、生体にも起こり得ることをに医学的に証明したのが、カナダの生理学者ハンス・セリエです。

生体に対するストレスは、彼の提唱した「セリエのストレス学説」に由来します。

セリエはストレスを「外部環境からの刺激によっておこる歪みに対する非特異的反応」と定義し、さらにストレスを引き起こす外部環境からの刺激を

「ストレッサー」

として定義しました。

代表的なストレッサーは

温熱、寒冷、圧力、騒音などの「物理的ストレッサー」

薬剤、有害化学物質などの「科学的ストレッサー」

ウイルス、細菌などの「生物的ストレッサー」

さらに、人間関係の葛藤や、社会不安、大切な人の喪失体験などの「精神的ストレッサー」・・・などがあります。

セリエは、マウスを使って実験的にストレスをかけ、ホルモンを抽出する研究を行った時に共通して現れる三つの症状(セリエの三微候)を報告したのですが、それは

1.副腎皮質の肥大

2.胸線や脾臓の委縮

3.胃、十二指腸の潰瘍と出血

の症状でした。

セリエがこの学説を発表した1936年当時は、医学の分野の中では、内分泌系の解明が最も盛んな頃でした。

これらの症状を共通に引き起こすホルモンはACTH(副腎皮質刺激ホルモン)ですので、セリエは「ストレッサーはACTH分泌を増加させる有害刺激である」と定義したのです。

生体にストレスがかかると、体重が増えることに対しては、上記の中の1と3のメカニズムが関わっているのだと思います。

ひとつめは、ストレスがかかることによって、視床下部から下垂体、さらに副腎のストレスホルモン系で、抗ストレスホルモンのACTH(副腎皮質刺激ホルモン)やコルチゾール(副腎皮質ホルモン)の分泌が増える。結果として脂肪組織にエネルギーが蓄積される

という経路と、

ふたつめは、胃壁や消化管を守るという点です。

消化管に対する一番の防御策は、食物を入れておくことですから、生体は食欲を増進することでこれに対応しようとするのです。特にストレスがかかると、腸管に食物がなくなる夜間に食欲が増す、“夜間過食”という状態になるのです。

皆さん、夜になってもう寝てもいい時間に、無性になにか食べたくなることってありませんか?

ダイエットをする人は、ストレスを食欲以外で解消する工夫や努力が、まず必要なのかもしれませんね。

クリニックFでは今年からダイエットやメディカルスパのメニューを増やし、新しいサイトを立ち上げました。ストレス解消や、加齢に対する対策を行っていこうと思っています。

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2009年1月24日 (土)

AC BODYの減量測定データ解析

昨日、「AC BODY」についてのことをブログに上げたところ、早速何人かの先生や、企業の方々からご連絡やご質問をいただきました。

自分でも反響の多さに、ちょっと驚いています。

メタボリック syndrome の治療に興味を持つ方や、企業の方がとても多いのでしょう。

いくつか共通のご質問が合ったのですが、まだ、この技術とデータの特許申請中ですし、さらに国内外の肥満学会への発表も控えていますので、答えられる部分のみお答えしています。

通常のEMSは、高周波電流を利用するため、皮下の浅いところしか、電流は流れません。

皮下の浅い部分の筋肉は確かに鍛えられますので、使用することで「腹筋が割れた」という報告がありますが、これはもともと腹筋が割れるのが確認できるほど、皮下の脂肪がない人に限ると思います。

多くの医療関係者の方がご存じなとおり、通常のEMSは、「内臓脂肪の減少」に使うどころか、ダイエット(体重減少)に使用するのさえも無意味だという医学論文も発表されています。

この「AC BODY for medical」は、通常のEMSとは違う、特殊なプログラムが含まれていますが、そのプログラムに独自性があるということなのです。

005 まずは、このシステムを利用した40代男性、のCT写真です。

赤い部分が脂肪組織。

20回施術をしたところ、皮下脂肪も内臓脂肪も、ともに減少したのですが、特筆すべきところは、「内臓脂肪の減少率が高いこと」です。

さらにCT断面で、腸腰筋に相当する部分が太くなったのが視覚的にも観察されます。

002データを解析していたのですが、取得したデータは、一枚のディスプレイには収まりきれません。

測定したデータを整理して、相関を見てゆきます。

まずは、測定したデータ

体重、BMI、体脂肪、体幹部脂肪量、全体筋肉量、体幹部筋肉量、下腹部周囲、へそ周囲、ウエストを数値化します。

そして、測定回数、1回、5回、8回、12回、16回、20回のプロットを行い、それぞれの平均値の相関を計算すると、検体データの一定の特徴が出てきます。

003施術により

1.回数依存性に上記のデータがすべて着実に減少している。

2.体重減少があるにも関わらず、筋肉量は保持されている。

3.体幹部における変化の度合いは、筋肉量には変化がないが、脂肪量は減っている。

4.体脂肪と、体幹部脂肪の減少の度合いは、体幹部。すなわちウエスト周囲の脂肪のほうが減っている。

5.「脂肪/筋肉量」比率は、全体と体幹部双方で施術16回以降、急速に減少している。

というデータが解析されました。

001次は血液データです。脂肪や肥満に関するホルモン値を測定しました。取得したデータは、血液検査の原価だけでも数万円するほどのデータです。

尿素窒素、クレアチニン、尿酸、総コレステロール、LDL、HDLコレステロール、中性脂肪、AST、ALT、γーGTP、空腹時血糖、白血球、赤血球、血色素量、ヘマトクリット値、MCV、MCH、MCHC、血小板、遊離脂肪酸、ソマトメジンC、インスリン、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン、コルチゾール、エストラジオール(女性ホルモン)、遊離テストステロン(男性ホルモン)、レプチンですが、 正直、お金かかりました(笑)。 

これらを体重などの実測定データと合わせて多変量解析を行うと、プラスの相関が出るもの(赤)、マイナスの相関が出るもの(青)に分かれるのです。相関データは、0.9以上のものを有意な相関として判定しました。

パッと表の色を見ただけでも、関連している要素が見えてきますよね。

とても興味深いデータが出てきましたので、これは学会発表に回したいと思っています。

この機器開発や、リリース時期、販売会社については、決定され次第、今後もこのブログでご報告させていただきますね。

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2009年1月23日 (金)

では、運動したら痩せるのか?

昨日のブログでご説明したとおり、リバウンドしないダイエットには、筋肉量の保持が必ず必要なのですが、ただ単に運動すればよいというものではありません。

たとえば自転車を30分漕ぐ運動をしたとして、果たしてどのくらいのカロリーを消費できるのでしょうか?

答えは、わずか70Kカロリー。お茶わん一杯分のエネルギーしか消費できないのです。

これでは運動後のビール一杯で、チャラになってしまいます。

かといって、 先日のブログに書いた様に、マラソンなどの激しい運動を続けた場合。確かに脂肪は燃えますが、その際に産生される活性酸素によって、体は酸化=老化してしまうのです。

痩せても、老けてしまっては、あまり嬉しくないですよね。

では、どうすればよいのでしょう???

それは、「腸腰筋」を鍛えることによって、代謝が上がる体に変えてゆくこと。これが、唯一の、そして最も効率的な方法なのだと思います。

007 「腸腰筋」は、体幹の背骨の前方から両足に伸びる「大腰筋」と、腸骨綾から両足に延びる「腸骨筋」の二つを合わせた、体の中でもっとも大きな筋肉なのです。お辞儀をするときに使いますね。

ちなみに、体の中で二番目に大きな筋肉は、両足にある「大腿四頭筋」です。

この筋肉を鍛えるためには、通常は数多くのトレーニングをこなさなければなりませんが、僕は昨年から、とある会社と協力してこの腸腰筋を鍛える機器を開発してきました。

海外のある技術がヒントになったのです。

その機械がこの写真の「AC BODY for medical」です。

006

保険診療の外来をしているときに、メタボリック syndrome と診察された患者さんに対して、我々医師は、

「食事の量に気を付けてくださいね」

「適度に運動をするようにしましょう」

という言葉しかかけられません。メタボリック シンドローム という飽食が原因の病気に対して、具体的な治療法を提案することが今まではできなかったのです。

メタボリックシンドロームに対して、改善効力がある医療機器を作りたいとの一心で、この機器の開発に関わってきました。

実はこの年末年始のまとまった時間に5日間かけて、この半年間のプロトタイプの実験で取得した数多くのデータを、統計およびその相関を解析することで、データをまとめる作業をしてきました。

これらの実験では、体重、体脂肪、腹囲、ウエスト径のすべてが施術回数に比例して減少させるという結果を出すことが出来たのですが、

それに加えて、今回目標としていた

「体幹部位の筋肉量を全く変えないで、脂肪組織のみを減少させる。」

そして、

「皮下脂肪よりも、内臓脂肪をより多く減少させる。」

という命題を、統計学的有意差をもって、二つともクリアすることが証明できたのです。

これらの検討データは明日のブログに載せますが、この機器。今年4月には医療機器として販売を始める予定です。

多くのお医者さんに使っていただき、効果を判定していただきたいと思います。

といっても、実はこの機器の販売ルートは、いくつかのオファーがあるものの、完全に決めていません。

現在、クリニックFではこの機種のプロトタイプをご希望の患者さんに使って頂き、好評を得ています。ご興味のある販売会社や、ドクターがいらしたら、クリニックFまで、ご連絡いただけると嬉しく思います。

僕自身、この機器を週1から2回、計14回使用したところ、ゴルフのヘッドスピードが47キロから51キロに上がりました。背筋の筋肉もついたのだと思うのですが、これは驚きの誤算でしたよ。

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2009年1月22日 (木)

バナナダイエット

バナナダイエットが年末に流行り、一時期、店先からバナナがなくなってしまったようですが、今週の週刊朝日を見ると、森公美子さんは大リバウンドしてしまったらしいですね(笑)。

実は、これは医学的にもとても理にかなったことなのです。

この種のカロリー摂取を減らすタイプのダイエットは、(媒体がバナナでもリンゴでもよいのですが)今までも数多くのものが登場しては消えました。

このようにカロリー摂取を減らすと、体内は一時的に飢餓状態になります。

人間の体は飽食に対する準備/対策より、飢餓に対する準備/対策の方が何重にも厳重なシステムとなって組み込まれています。

身体が“飢餓状態”に陥ると、まず最初に最も大切な器官=脳を守るためのシステムが作動します。脳で使用できる唯一の栄養素である「糖」を体の中から作りだす、「糖新生」というシステムが動き始めるのです。

「糖新生」というシステムにより最初にターゲットにされるのは、「筋肉組織」です。

生体は筋肉組織を分解し、そこに蓄積されていた「グリコーゲン」から糖を作ろうとするのです。

この作業は、脳が「もう十分糖が行き届いた」という信号を送るまで、続きます。

作業工程の中で体重は一度減少します。が、その減少のほとんどが、筋肉組織の分解による筋肉量の低下であることを忘れてはいけません。

筋肉組織が何故ダイエットを考えるときに重要なのか?

理由は、これが体を燃やす、いわば代謝を上げるためには最も効率の良い組織であるからです。

カロリーを減らすことによるダイエットは、体の代謝を上げているはずの筋肉組織を減らしてしまう。

代謝が下がるとどうなるでしょう?

代謝が下がるということは、エネルギーを消費しづらい身体になってしまった、ということを意味します。

エネルギーを消費できませんから、今までと同じ量の食事を食べても太ってしまう、ということになるのです。

この時に太る組織が筋肉組織であればいいのですが、そううまくはいきません。太る組織はそのほどんどが「脂肪組織」です。

体重が元に戻ったときには、体重計の数値は変わりませんが、それまであった筋肉が、脂肪に入れ替わってしまっているので、当然のことながら、基礎代謝はさらに落ちていくことになります。

リバウンドしてしまうのは当たり前なのです。

では、どうすればリバウンドしないで体重を減らせるのか???

適度に筋肉をつけながら、もしくは筋肉量を減らさないようにしながら体重を減らしてゆくしかないのです。

その方策についてはまた明日のブログで書きますね。

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2009年1月20日 (火)

内蔵脂肪と皮下脂肪

クリニックFのメニューの中で、「常連さん」に人気のある隠れメニューがあります。

それは、痩身メニューです。

30分~1時間で、お腹の脂肪を減らすのに効果のある機器があるため、忙しいビジネスマンの方や女性の患者さんが、仕事の合間やレーザーのついでに施術をされていきます。この痩身メニューは、レーザーの施術を受けながら同時に出来るので、多忙な方にとっても一石二鳥で便利、というわけです。

「AC Body」と、僕はその施術を呼んでいます。脂肪細胞は、医学用語で“Adipo Cyte”と呼ぶので、その頭文字をとっているわけなのです。良い名前だと思うんだけどなぁ・・・。どうでしょう?

そういえば、最近メタボリックシンドロームの害が言われていますが、皮下脂肪に比べて内蔵脂肪の方が悪だと言われています。これはなぜだかご存知ですか?

解明されていないことも多いのですが、内蔵脂肪は皮下脂肪に比べて脂肪合成や脂肪分解も活発で、多少の体重変化でも遊離脂肪酸が血中に遊離しやすいのです。

01 内蔵の脂肪組織から遊離された遊離脂肪酸は、そのまま門脈を介して肝臓に流れ込みます。

さらに脂肪細胞から大量がアディボサイトカインと呼ばれるホルモンが肝臓に流れると、インスリン抵抗性を起こして糖尿病の基礎の病態を作るのです。

同じ脂肪組織でも、内蔵脂肪が悪とされるのはそんな理由があるのです。

また、最近注目されている生化学的血液検査にレプチンというものがあります。レプチンは、アディボネクチンと同様に脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの一つなのですが、皮下脂肪からより分泌されるという性質があります。

女性は男性に比べて皮下脂肪が多いので、女性の場合、BMIとレプチンの値がよく相関します。そういったことでも男女の性差はあるのです。

不思議ですね。

効果的なダイエットの方法として、食生活の改善と運動が挙げられるかと思いますが、アンチエイジングに携わる医師の視点から言うと、運動については

「どんな運動を」

「どういったタイミングで」

「どれくらい身体に負荷をかけて行うか」

これを慎重に考える必要があります。

運動の内容によっては、活性酸素を大量に増やし、それが皮膚を含めた身体の老化につながる可能性があるからです。プロアスリートが、現役引退後何年かして年齢よりずっと老けてみえることがあります。それはこうした理由もあるのです。

食事についても同じことが言えます。

「痩せる」=体重を減らすことだけに焦点を当て食生活を組み立てるよりは、「糖化」を防ぐための献立を考える方が、結果的に体重も落ちますし、エイジングも最小限に抑えることができます。もちろん成人病を未然に防ぐことにも役立ちます。

しかし、この「糖化」について、僕はたいして偉そうなことは語れないのです・・・。糖度の高い魅惑的な液体の誘惑と、毎晩戦っている酒飲みですから(苦笑)。

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2009年1月19日 (月)

肝斑専用ページ

クリニックFでお問い合わせが去年から激増している疾患に、

①肝斑

②妊娠線

③ニキビ跡

の治療が挙げられます。

この内、肝斑について、専用のページがWEB内で今回新しく出来上がりました。

肝斑とは一体なにか? どんな治療を行うのか? クリニックFの治療方針について・・・など、わかりやすく書いてありますので、御興味のある方はこちらをご参考になさってください。

http://clinic-f.com/kanpan.html

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2009年1月17日 (土)

最新フラクショナル炭酸ガスレーザー eCO2(エコツー)

Eco2 クリニックFに日本で一号機のフラクショナルCO2レーザーeCO2(エコツー)が導入されてからまだ間もないのですが、患者さんからすでに結構支持を頂いています。

お問い合わせも最近増えてきました。

10,600ナノメーターという、一般的なフラクショナルレーザーよりも長い波長を使うことによって、フラクセルやモザイク、アファームよりも高い効果が見られるこのレーザー。その分、ダウンタイムが長いので、導入を躊躇していました。

しかし、この種のレーザーの海外の評判を聞くにつれ、クリニックFの患者さんにもぜひ使ってもらいたいと思い、先月思い切って導入したのです。

実際にこの機械を入れてみると、

1.フラクセルに比較して、一回の施術効果は2回から2.5回分ぐらいに相当する。

ニキビ跡や毛穴の改善率が数倍高い。

2.予想していたよりも施術の痛みが少ない。

フラクセルやアファームは、それぞれ1550、1440ナノメートルの波長で皮下を凝固させて治療させますが、CO2の波長だと、皮下組織が蒸散しますので、むしろ痛みの受容器が反応しないのかもしれません。

3.予想していたよりダウンタイムも短い。

フラクショナルCO2は、以前トラブルが多かったCO2リサーフェシングを想起させ、アジア人に対しては治療が適応されないのではないかといわれていたのですが、ドット状に打つ場合、施術後5日あれば社会復帰はできると思います。

Eco2d 実際の施術でも、患者さんの肌質に合わせて、かなり細かく設定ができることがお気に入りです。

この図はeCO2(エコツー)のディスプレーです。

可変して使用できるパラメータはこの図のとおり、6つあります。

1.ドットごとのパルスエネルギー

2.機械のパワー

3.照射面積当たりのスポット数

4.スキャンタイプの形

5.ティップの形状

6.施術モード(静止スタティックモードと動的ダイナミックモード)

クリニックFでは、現在のところ、フラクセルやモザイク、そしてアファームなどのフラクショナルレーザー経験者のみにこの施術を紹介しています。レーザー上級者向けですね。

この機械は、肌を収縮させる能力も比較的高いので、「ニキビ跡」や「毛穴の治療」はもちろんのこと、設定の調節がきちんと出きれば「妊娠線」や、加齢による「目の下のたるみ」に、従来のものよりも効果を発揮するのではないかと思います。

「目の下のたるみ」や「妊娠線」でお悩みの方はぜひ一度ご相談くださいね。

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2009年1月16日 (金)

メラニンが破壊される音

レーザーを患者さんに照射するとき、介助でスタッフがつきます。先日その介助が終わり、患者さんが帰られた後、声をかけてきたスタッフがいました。

「メラニンにレーザーが“ジャストミート”すると、他の場所を打つときとはまた違った、独特な音が鳴るんですね。“ペシッ”というか、“パリッ”というか・・・それが初めて今日わかりました!」

その話を聞いて、僕はこのスタッフを見る目が正直、変わりました。優秀なスタッフだとは常々思っていましたが、何十人ものスタッフと今まで一緒に仕事をしてきた中、こんなことに気付くことのできるスタッフは今までいなかったからです。

以前のブログで書いたことがありますが、僕は絶対音感があります。

昔、絶対音感を持つプロゴルファーが、

「パターでボールを弾く音を聞いた瞬間に、そのボールがホールに入るか、わかるときがある」

とコメントをしていたのを聞いて、

「わかる わかる」

と、深く頷いてしまったことがありました。

普段の生活でも、この絶対音感が役立つことはいくつかありますが、仕事で言えば、冒頭のスタッフの話のように、レーザー照射時、メラニンが数ミリの狂いもなく、“ジャストミート”すると、ある一定の高さの音がするので、僕はそれを照射終了のメルクマール(判断基準)にしているのです。

シミと一言で言っても、それは平面ではなく、3Dで捉える必要があります。

まず顔を見て、どの場所にシミがあるかを特定します。これは医師でなくても、誰もが見ればわかる平面的なことですので、ここに光を「ジャストミート」させることは簡単なことですよね。機器の仕様がわかり、視覚の正確さがあれば可能である、ということになります。

しかし、ここからが問題です。皮膚は当然平面ではなく、「深さ」のある立体です。

そして、シミによって存在する深さが違うのです。

温泉や油田の採掘を例えに考えるとわかりやすいかもしれません。

どこまでも続く地面の中から、

「ここだ」

と、まず当たりをつけます。

そこから源泉を探って慎重に掘り進めていきますよね。

僕もメラニンの「源泉」を探し当てるような気持ちで、毎回シミの深さを想定し、機器を選び、パワーと波長を調節した上で、照射を行います。

ただ地面と違って皮膚は「スコップや機器で掘る」ことができませんから、波長に対する知識と音だけを頼りに深さをアジャストしていくわけです。

このとき、面で捉えたポイントがわずかでもずれれば、いくら掘っていっても「ジャストミート」の音がすることはありません。

また、深さの違うメラニンの焦点がすこしでもずれれば、やはり「ジャストミート」の音はしないのです。

これは多分医師や技術者の中でも熟練の人か、もしくはよっぽど耳の良い人でないと聞き分ける事ができない。

僕自身は、絶対音感がないとその感覚がわからないのではないかと思っていて、この話を他人にしたことはありませんでした。

それが、こんな身近に、その音の違いに気付いてくれるスタッフがいたとは・・・

自分は良いスタッフに恵まれているんだな、と思いましたね。

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2009年1月13日 (火)

第3回サイノシュアユーザーズミーティング

三連休最後の日。僕は八重洲富士屋ホテルで開催された第3回サイノシュアーユーザーズミーティングに参加させていただきました。

アファーム、エリート、アコレード、シナジー、スマートリポ・・・と、多くのレーザー機器を販売しているサイノシュア社の主催する、年に一度のミーティングです。

日系人のフルモト博士が1991年に設立したことで知られる米国CYNOSURE社。昨年はレーザー業界にとっても厳しい年となったようで、米国の主要レーザー会社=キャンデラ、キュテラ、パロマー、シネロン、サーマージ社・・・などが皆不振にあえぐ中、サイノシュアは最も売上を伸ばした会社となりました。

演者の先生が、サイノシュアの機器をこんな風に例えておられました。

「サイノシュア社のレーザーは、撮影において細かい微調整までが可能な、いわばデジタル一眼レフカメラのようなものだ」

と。

全く以って僕も同感だったので、深く頷いてしまいました。うまい例えですね。

しかし、一眼レフカメラがそうであるように、性能が良くプロ仕様な分、誰もがそれを操れるわけではありません。使用方法を完全にマスターするのは極めて難しい。ユーザーズミーティングで発表されていた先生方のプレゼンを聞いていると、治療法にそれぞれ様々な工夫があって、大変勉強になりました。

そんな中、昨日あった多くの演題の中で、僕が最も面白かったのは、米国サイノシュア社ヴァイスプレジデントであり、現日本サイノシュアの清水賢治社長が話された、

「レーザーの黎明期とレーザー医療の歴史、そしてCynosure,Inc.について」

という、一番最後の演題です。

清水社長は渡米されてもう30年。数々のレーザー会社の興隆を見てこられた人で、今でも世界各国の学会に参加すると、必ずと言っていいほど、清水さんがブースにいらっしゃいます。

なんでも毎年、飛行機で地球を12周以上する方なので、航空会社から表彰されたこともあるのだとか。

028_2 LASERが、まだMASERと呼ばれていた時代 (LASER=Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation の最初のLは、1950年代には Light ではなく、Microwaveだったのです)の話から始まりました。

レーザーの研究は非常にお金がかかり、そんな分野に関わる研究者は当時変人扱いされたのだとか(笑)。

MASERも頭文字のアルファベットをもじって

“Money Acquisition Scheme for Extended Reserch”

とか、

“Means of Acquiring  Support for Expensive Reseerch”

などと呼ばれたのだそうです。

Maiman博士のレーザーに関する論文が1960年8月にNature誌に掲載され、一気に知名度を上げたのですが、この論文はなんとわずか2ヶ月前に、「Phisical Review Letters」という、専門誌としてはNatureやScienceよりずっと“格下”の雑誌でリジェクトされていたものでした。

そんないわば脇役だったレーザー工学だったのですが、現在ではこの分野だけで16人のノーベル賞受賞者がいるとのこと。

現在、レーザー医療で食べさせてもらっている自分としては、感無量でしたね。

時代も時代だったけれど、政治的要因を除けば、日本人の受賞者が数名いてもおかしくなかったとおっしゃっていました。

032_2さらに、レーザー皮膚医療の嚆矢ともいえる、1983年にサイエンス誌に発表されたロックスアンダソン先生とパリッシュ先生の「選択的光融解理論」ですが、

実はこの理論が4年も前の1979年にロックスアンダソン先生の書簡で詳細に述べられていた話(未来が見えていたんですね)などが書簡の写真入りで出てきました。

以前、レーザー分野の歴史について調べようと思ったことがあるのですが、思ったようなまとまった文献がなく、なかなか調べられなかった経験があるので、このお話を聞けただけでも、今回は本当に得をした気分です。

僕がレーザー医療に関わるようになって10年以上たちますが、いくら勉強しても清水さんの知識には到底追いつけないですね(笑)。サイノシュアには日米どちらにも素晴らしい先輩方、優秀な人材が多く、売上高に比例した企業としての勢いを、改めて感じました。

こうした魅力的な方々との出逢いがあり、御指導頂けるのも、このレーザー業界に僕が魅了されている理由のひとつなのです。

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2009年1月11日 (日)

クリニックF オフィシャルブログ

医学博士 クリニックF 院長 藤本幸弘

米国レーザー医学会(ASLMS) 専門医

     米国皮膚科学会(AAD) 認定医 

   欧州皮膚科学会(EADV) 認定医

Clinicf 美容皮膚科レーザー医療 全室個室 完全予約制

千代田区麹町 電話番号 03-3221-6461

JR東京メトロ 四ッ谷駅 より 徒歩分 

東京メトロ 麹町駅 徒歩5分 上智大学目の前

 休診日  木曜日 日曜日 祝祭日

Clinicf_2Takker01  

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2009年1月10日 (土)

モナコ公国での招待講演

005 今日クリニックに出勤すると、ユーロ圏から郵便物が届いていました。

001開封してみると、

「EuroMediCom Anti-aging Medicine World Congress & Medispa」

の文字が…。

モナコ・モンテカルロで開催されている、アンチエイジング世界医学会(AWMC)の学会誌だったのです。

この学会は、いわばアンチエイジング医療とメディカルスパという、2つの分野を統合したもの。

2003年に、このモンテカルロという、世界最高峰の富裕層が集まる地でスタートして以来、この学会はアンチエイジング・マネジメントに関する世界最大の学会として認識されています。

今年2009年は3月19日から21日にかけて開催されることに決まりました。

002そして、大変ありがたいことに、僕は、今年ここで講演をさせていただける事になりました。

昨年打ち合わせして、抄録を送ったときにはまだまだ先の話だなと思っていたのですが、こうして冊子が送られて自分の名前を見ると、にわかに緊張しますね。

004 しかも、プログラムを確認すると、ヨーロッパをはじめとする五大陸の名だたる先生の名前が載っています。日本人で講演をするのは、僕ともうひとり。その方はフランス語で講演されるようなので、英語で講演する日本人は僕だけということになります。

せっかくお声を掛けて下さった方々に恥をかかせることのないよう、オバマ氏の演説以外にも、3月までにもう少し英語を勉強しておかないと(苦笑)。

頑張ります。

今年もこのモナコを始め、様々な国や地域に出かけて世界各地で行われる国際学会や、レーザー/アンチエイジングに関連する最新情報を、患者さんやこのブログの読者の方々にお届けすることが出来たらいいな、と思っています。そして、ひとりでも多くの方が、こうした情報をきっかけとしてレーザー医療に興味を持って下されば嬉しいですね。

レーザー業界もアンチエイジング業界も、今年は益々おもしろくなりそうですよ。ご期待ください。

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2009年1月 9日 (金)

レーザー施術で使用する麻酔薬

レーザー施術は時に痛みを伴うものです。

レーザーの効果をより引き出すためには、熱に最も弱い表皮を破壊しない限り、パワーを上げなければならないのですが、そうなると施術中に痛みが強くなる場合がある。

その痛みを最小限まで減らすために、クリニックFでは何種類かの「塗る麻酔薬」を使用しています。それぞれクリームやジェル、美容液のようなテクスチャーで、注射針で皮膚に刺し注入するような麻酔薬と違って、塗るとき全く痛みは感じません。化粧品を塗るようなかんじをイメージしていただければわかりやすいかと思います。

「こんなに色んな種類の麻酔薬を用意しているクリニックは、あまりないんじゃないですか?」

と、先日同業者から聞かれました。

確かに言われてみれば、そうかもしれません。普通のクリニックでは、貼るタイプと塗るタイプをひとつずつ、この二種類があればとりあえず事足ります。

けれど、レーザーにこだわるのと同じように、僕は麻酔薬にもこだわりがあります。元々痛みの専門家であるペインクリニックの認定医であることもありますが、患者さんのタイプ・使う機器の種類によって有効な麻酔薬は厳密に言うと異なると思っているのです。

クリニックFの患者さんには、施術の度にどの麻酔薬を使うか僕自身が選択しています。

ここからはちょっと専門的な話になります。

100_2 局所麻酔薬は、神経線維に作用して、細胞内部へのナトリウムイオンの流入を抑制して、細胞活性の初動である活動電位を抑制することによって、神経伝達を遮断するものです。

化学的にはベンゼン環と4級アミンの間を中間鎖がつないでいるという基本構造をしていますが、大きく分けると、その中間鎖の結合の違いによって、アミド型とエステル型に分けられています。

エステル型の麻酔薬はコカイン、プロカイン、テトラカインなどがあります。血中のコリンエステラーゼによって速やかに分解されますが、加水分解による分解産物であるパラアミノ安息香酸によって、アナフィラキシーショックが起こる場合があります。

一方、アミド型の麻酔薬はリドカイン、メピバカイン、ジブカイン、ブピバカインなど。アミド型の代謝は肝臓でゆっくりと行われるため、持続時間の長いものが多いのです。

ほとんどのクリニックで局所麻酔薬を使用する場合、アミド型の局所麻酔薬であるリドカインをベースにした麻酔薬を使用する場合が多いのですが、クリニックFではアミド型とエステル型の局所麻酔薬を配合して使用しています。

すぐに効果があり、持続時間も長い双方の優れた麻酔効果を生かすためです。

また、麻酔の効果時間には、組織のpHが極めて大切です。組織のpHに近いと、解離恒数の影響で麻酔薬が非イオン化した状態で多く存在するので、早く効果が発現します。pH7.4ぐらいの、ちょっとアルカリ性に傾けた方が効果的なのです。

歯を抜くときなどに、炎症状態が続いている皮膚は、麻酔が効きにくいと聞いたことがありませんか? 炎症状態が続くと、組織が酸性に傾くので、麻酔薬作用部位に麻酔薬が届きにくくなるのです。

逆に、妊娠中はプロゲステロン分泌が増加しているため、麻酔薬の必要量が少なく、効果発現も速くなるといわれています。

クリニックFで工夫しているもう一つの点は、麻酔薬を混ぜる基質です。

「ペンレス」という名前の、セロファンテープに麻酔薬が配合されているタイプのほかに、クリニックFでは、「ローションベース」、「ジェルベース」、「クリームベース」の麻酔薬基質を用意して、使い分けています。

基質の水分の配合率によって、それぞれ局所麻酔薬が肌に吸収される速度が変わって来るのです。

語り始めると、止まらなくなってしまう麻酔の話。奥が深いのです。また機会があったら、よりマニアックな話を書いてみることにしたいと思いますが、もし

「痛そうで怖い」

「だからレーザークリニックには行きたくない」

そう思われている方がいるとしたら、そんな方こそクリニックFにお越し頂きたいと思います。

日本に数あるレーザークリニックの中で、最も痛みの少ない施術を行っていることに関して、僕は自信がありますから(笑)。

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2009年1月 8日 (木)

オバマ氏の演説

新年あけましておめでとうございます。

旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

クリニックFの新年の診療は本日から。・・・といってもお正月休み中、診察のお問い合わせや御予約のお申し込みを、ありがたいことに沢山頂きました。

実はこれにはちょっと僕自身もびっくりしました。

これまでの経験で言うと、通常こうした美容/アンチエイジング系のクリニックは、年末が大晦日ぎりぎりまで患者さんの御予約で一杯となり忙しいのですが、逆に年明けの1月はすこしゆったりペースなのです。お正月休みの前に、レーザーなどの施術を済ませたいと思われる方が多いというのが、この業界の云わば常識となっています。

ところが、今回お問い合わせや御予約を年始早々予想以上に頂くこととなり、遅い仕事始めが却って皆さんに御迷惑をおかけする結果となってしまいました。(申し訳ありません)

今回の件もそうですが、クリニックFに関しては、過去4軒のクリニックでの常識を良い意味でくつがえされることが殊の外多く、来年はもう少し早く1月の診療を始めた方がよいのかな、と考えさせられましたね。

患者層の変化、時代の流れもあるのでしょう。

ところで、僕は毎朝、自宅からクリニックまで電車通勤をしています。世のビジネスマンの方より遅い仕事始めだったので、今日は約1週間ぶりの通勤ラッシュでした。

トレーニングと一緒で、通勤ラッシュはブランクが空くといつもよりキツく感じますよね(苦笑)。

実は医者になってから、しばらくは車通勤が多かったのです。といっても“重役出勤をしていた”ということではなくて、手術日には、準備のために朝5時台に出勤しなければならず、公共の交通機関が使えなかったり、早朝でも深夜でもいつでも病院に駆けつけられるように考えると、車の方が便利だったのです。

今は行きも帰りも満員電車。メタボ対策にはいい運動です(笑)。混雑の時間をどうやって過ごすか、いろんな方法があると思うのですが、皆さんはどうされていますか? 以前は本や雑誌を読んでいた僕は、最近通勤時間中に、ipodで英語を聞くことにはまっています。

偶然アマゾンで見つけた「オバマ演説集」が、結構いいんですよ。

しかもCD付きで1,050円。最初は何気なく注文してCDを録音して聞いてみたのです。

いやはや、オバマは、すごい名演説者ですね。

そういえば12月、NYに出張したときにJFK空港から利用した乗り合いバスの黒人運転手が、興奮した口調でオバマ氏のことを素晴らしいと話していました。様々な人種が乗り込んでいたバスの車中の中、皆がオバマ氏の話で盛り上がりました。

アメリカでこんなことは珍しい。僕自身は今まで見たことのない光景だと思いました。

クリニックFには、外資系の企業で仕事をされている男性の患者さんも多く、また女性でも銀行や証券会社、生命保険会社などで仕事をされている方が多々おいでになります。そうした方々と診療後に景気の話や株価の話になることもよくあるのですが、NY出張前には

「リーマンショックで今年のNYの街は静まり返っているから、きっとびっくりするよ」

と言われていました。

けれど実際に行ってみると、ホリディシーズンということを差し引いて考えても、想像してたよりも活気があって驚きました。そして、ちょっとした店や街でオバマの話を聞くのです。

アメリカ未曾有の不況の時代に、彗星のように現れた国民的ヒーローなのでしょう。

オバマの演説は、三人の高学歴のしかも若いライターが、緻密なリサーチの元、作り上げていると聞いていますが、その優れた文章を、自分の言葉のように操る彼の独特の声と、その間の取り方。だんだん聴衆を盛り上げていって、決めは名台詞

「YES, WE CAN」

実際にその演説を聴くと、鳥肌が立ってきます。

英語がわからなくても、何度も聞いていると細かいところまで聞き取れるようになってきます。どんな国の、どんな階級の人間であっても、誰もがわかりやすい言葉を(たぶん意図的に)ちりばめているのです。

ケネディ以来の名演説。これは英語のヒアリングの練習にもお勧めですよ。

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