スミソニアン協会と博物館・美術館
ワシントンDC最大の見どころといえば、ホワイトハウスや国会議事堂などが挙げられるかもしれませんが、僕にとってDCと言えば、なんといってもスミソニアン協会です。
スミソニアン協会は、このモール地区に10の博物館と美術館を、そしてモール以外のワシントンDCに6つの博物館と美術館と動物園を持つ、世界最大のミュージアムと研究機関を統括するグループなのです。
これらのミュージアムの入場料はすべて無料。世界中どこを探してもこんな場所はないのではないでしょうか。
遡れば1765年。イギリスで生まれたジェームズ・スミソンという人物が、科学者として成功をおさめ、
「自分の子孫達が子供を産むことなく亡くなった場合に、スミソン家のすべての財産をアメリカ合衆国に、スミソニアン協会の名の下、人類の知識の普及と向上のために譲る」
という遺言を残します。
子供のいなかった彼の甥が亡くなった後、当時のお金で52万ドルが合衆国に贈られ、1846年にスミソニアン協会が設立されるのです。
今回の旅では、これら一つ一つのミュージアムを回る時間はとてもなかったのですが、いくつかの博物館を駆け足で回ることができました。
それにしてもものすごい情報量です。
まずは、毎年600万人が訪れるという、国立航空宇宙博物館に行ってみました。この博物館の入場人数は、全米一だそうです。
観光バスが沢山停まっていますね。
まず、博物館の中に入ると、そのホールは
「マイルストン・オブ・フライト」
という部屋。
「飛行技術の一里塚」
とでも訳すのでしょうか。
いわば人類飛行史上の、偉業を達成した飛行機が飾ってあるのです。
飛行機が好きで、ついに自家用操縦士免許を取得してしまった航空マニアの僕にとって、こんな素晴らしいところはありません(笑)。
まず目についたのは「月の石」。
これは手に触れることができるようになっています。手に触れられる月の石は、おそらく世界でここだけでしょう。
ホールを見上げると、世界最初の人工衛星であるスプートニック一号の模型。その裏には土星まで行ったボイジャーの模型。
ふと横を見ると、チャールズ・リンドバーグが世界初の大西洋単独無着陸飛行を行った「スピリット・オブ・セントルイス」です。
当時NYからパリまで33時間30分もかけて飛んだのです。
映画「翼よ! あれがパリの灯だ」でも有名な、まさに航空機史上の輝けるマイルストン。
本当に小さな飛行機で驚きました。
その先に見えるオレンジ色の機体は、世界初の音速を超えた超音速飛行を成し遂げた「グラマラス・グレニス」。
1947年、チャック・イェーガー(退役少将)の成し遂げた快挙ですが、こちらも映画「ライト・スタッフ」に詳しいですね。
チェック・イェーガー大尉が音速を超えた時、腕に付けていた時計がロレックスだったと聞いたことがあります。
ロレックスGMTのチェック・イェーガー記念モデルが出て話題になりましたよね。
第二次世界大戦中の航空機の部屋には、三菱の作り上げたゼロ戦が展示してありました。
当時最高レベルの能力を持った飛行機だったのですが、今思っても、無駄のない、美しい流線型のモデルですね。当時から日本の技術力は、非常に高かったのだと思いますよ。
駆け足だったのですが、この日は他にも国立自然史博物館や、ナショナルギャラリー(国立絵画館)などもさっと見ることができました。
ほら、ティラノサウルスです。
45.52カラットのブルーダイヤです。
大人気でした。
国立絵画館(ナショナルギャラリー)には僕の好きなフェルメールの作品もいくつかあったのですが、やはり注目すべきはこの作品です。
ヨーロッパ以外で観ることのできる、唯一のレオナルド・ダ・ビンチの作品である「ジネブラ・デ・ベンチの肖像」です。
15世紀の天才。レオナルド・ダ・ビンチが残した絵画は意外にも少なく、現存するものは20点ほどなのだそうです。
さらにフェルメールの秀作も三点。
他にもボッティチェリやモネ、レンブランントなどの秀作があり、非常に充実した午後になりました。
個人的に好きな場所になったのは、このナショナルギャラリーの中廊下です。
落ち着いた雰囲気と、綺麗な花に、暫し立ち止まり、時を忘れました。
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