北京出張の話も書きたいのですが、その前に。
日本に帰国したら、当然ですが政権交代のニュースが街に溢れています。
鳩山由紀夫氏率いる民主党政権。
鳩山氏や民主党の政策に対し、なにかここで論じるつもりは全くありません。ただ、僕がちょっと注目していることは、数日後に誕生する新しい総理大臣が、「理系の男」であるということです。
鳩山由紀夫氏のキャリアが、東大工学部計数工学科数理工学コース卒業であることは、もう様々なメディアで随分前から報じられていますよね。
この「数理工学」とは、数学の方法を使って実際に起こっている事象を工学的問題として捉えて解く、というまさに理系ど真ん中の学問なのです。
僕は、今までも
理系の男
理系の男②
などで、文系中心社会における理系男の住みにくさ?を語ってきましたが、今回の政権交代により、これまでの“文系総理大臣”の歴史は途絶え、戦後初めて日本を代表する“リーダー”に理系の男が就くわけです。後続を断たないためにも、理系の実力?を示す上でも、僕としては心から応援したくなります。
理系的な考え方で行けば、原則としてどんな複雑な方程式でも、その解が存在する(実際には解がない方程式もあるのですが…。)ため、すべての事象には「最適な意思決定」というものが存在します。その「解」を数学的な手法を使って探すということができるわけですが、これを彼がどのようにやっていくのか。
出張から帰ってくると、僕は不在中に出た新聞や週刊誌などにざっと目を通すのですが、ちょうど今週発売されているAERAでも、
「数学家首相誕生」
の記事があって、興味深く読みました。
この中で紹介されている鳩山氏の考え方
「政治を科学する」
は、まさに理系思考そのものです。
以下、記事の中から簡単に抜粋および補足させていただきます。
例えば1本10億円かかる道を10本作らなければならないとする。
しかし年間予算は10億円しかない。
こうした場合、
10億円の年間予算を、10本の道に均等に割振り、1本の道に年間1億円ずつ出資をして10本の道を同時進行で作るのか?
それとも
10本の道に優先順位をつけ、どの道から先に作るのかを決め、10億円の年間予算をひとつにまとめ、1本の道に一度に投資をし、毎年1本ずつ新しい道を完成させていくのか?
の大きく二つの選択があるが、
理系思考で考えるならば、後者をとるべきである。なぜなら前者を選択すれば、9年が経過して、90億円もの金額を投資したにも関わらず、まだどの道も完成されない。これは、非合理的極まりない=10年経過しないと一本の道も使えない同時建設による不利益を考えれば、10本の道に優先順位をつけ、毎年一本ずつ完成させた方が「最適な意思決定」となり、合理的であるはずである。
しかしながら、実際の政治では「最適な意思決定」よりも多くの「偉い人」の顔を立てることが優先され、そのため10本の同時建設が行われる。それにより、どの道に対しても完成までに10年待たなければならなくなる。
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理系的な思考では「合理的である」ということが最重要視されます。政治の世界では、もちろん合理的が必ずしも良いことでないことがあることも理解できますが、それにしても身を削って税金を支払っている国民の立場からすれば、「偉い人の顔を立てる」ために税金を納めているわけではありません。そのためだけに10年待たなきゃいけないのであれば、合理的な解を求めて欲しいと思いませんか?
ここ数年学会でアジアの国々に実際足を運んでみると、アジアの底力と熱気を強く肌で感じます。
日本も負けていられません。
日本の政治が、鳩山政権主導の下、「最適な意思決定」に向けて良い方向に変わってくれるといいと、心から思います。
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