シャリテ大学病院訪問とドイツの医療事情
ベルリンに行ったら、必ず訪れてみたいと、僕が以前から思っていたところがひとつありました。
それはこのCHARITE(シャリテ)大学病院。
戦前日本はドイツの医学を規範にしていたことはよく知られていますよね。ここは、森鴎外、北里柴三郎など日本医学を代表する先輩方が学んだことで知られる病院です。
1710年に設立され、来年2010年には300周年を迎えるという、世界最古の大学病院施設なのです。
敷地内は近代的な建物もありますが、赤レンガで統一されています。
学会が終わった後、夕方過ぎに行ったので、もう辺りはほの暗く、ぽつりぽつりと灯りが点っています。
ドイツは、2007年の統計で世界第3位、GDP比11.3%のの医療費がかかっています。
1990年に西ドイツが東ドイツを併合する形で統合が行われましたが、この段階で東西の医療格差がかなりあり、その混乱を収束させるために、ドイツ国土にある558の行政区域をそれぞれ医療圏とし、開業医の定員を専門医別に定めました。1993年のことです。
この定員は3年ごとに人口密度、人口構成、住民の年齢、性別、職業などを配慮して見直しがされているそうです。
ドイツらしく合理的ですよね。
ドイツでは公的医療保険に基づいて、1割程度の高額所得者を除いた全国民が公的医療保険への加入が義務付けられています。高額所得者は保険に入れないため、民間保険に加入しているのだそうです。
統一後の医療政策は、一貫して医療費削減に向かっていますが、そのしわ寄せは医師や看護師などの医療従事者に来ており、公的健康保険からの診療報酬がヨーロッパ各国と比較しても低いため、米国やイギリスなどの周辺諸国に移り住んで開業する医師も多いのだそうです。
このシャリテ病院でもストライキが行われたそうですよ。
ドイツ医師連合会によると、1万2千人もの医師がドイツ以外で開業しているのだそうです。ドイツ人医師の数は、2007年に14万人強と発表されていますので、10%弱の医師免許保有者が海外流出していることになります。まさに頭脳流出。日本でも近い将来同じ未来が訪れるのでしょうか。
さて、このシャリテ病院は、医者にとってはある事でとっても有名な病院なのです。
かの有名な病理学者のルドルフ・ウィルヒョー博士の研究室があった場所。
静脈血栓症の生成に関する三つの要因(Virchow's Triad)というのを病理の時間に習った記憶がありますが、(ちなみに血管の障害、血流のうっ滞、血液性状の変化)彼の作り上げた数多くの標本や、彼の使用した顕微鏡など、興味深いものがたくさん展示してありました。
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