1813年生まれの天才
11月2日からイタリアに来ています。
成田から直行便でまずミラノに入り、その後電車でフィレンツェに移動。「Laser Florence 2009」で口演の発表をさせて頂いた後、再び電車に乗って、今はローマにいます。
ミラノでは、スカラ座でバレエ「ジゼル」の初日を観劇しました。こちらはチケットを取るのが大変でしたけど、それだけの価値がある舞台で感動しました。レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」も見ることが出来ました。日本から予約しておいたのが良かったようです。
特急電車で入ったフィレンツェでは、メディチ家歴代の美術コレクションが収蔵されたウフィツィ美術館にも行ってきましたよ。こちらも日本から予約していきました。
海外での限られた滞在日程と時間を、120%有効活用するためにはどうしたらいいか。だんだん僕にもコツが掴めてきたようです(笑)。
そして昨日また口演終了直後電車に飛び乗り、到着したローマ。オペラ座でワーグナーのオペラ「タンホイザー」を観劇してきました。この日が最終日だったのです。
ミラノのスカラ座。ローマのオペラ座。イタリアの三大劇場のうち二つに行くことができたのは個人的には本当に嬉しかったです。
肝心の仕事の方は、フィレンツェのレーザー学会で今回僕が発表した
「アジアンスキンにおける、CO2 (10600nm) フラクショナルレーザーとエルビウム・グラス (1550nm) フラクショナルレーザー治療の比較検討」
は、口演としてもとても興味深い内容だったようで、講演し、いくつかの質問に答え、席に帰るとき、予想外の拍手喝采と温かい言葉を贈って頂きました。日本から遠く離れた異国の地で、他の演者の方より大きな拍手を頂けるとは、研究者としても大変嬉しく光栄なことでした。
来ることができて良かったです。
ネットの環境が思っていた以上に悪く、接続できても、途中ですぐに切れてしまい、いちいち必要以上に時間をとられてしまうので、イタリアの出張記については、また帰国後改めて写真と共にアップしていきたいと思います。
しかしながら、2ヶ月連続でドイツとイタリアという地方文化(公国)が豊かな国を訪れることが出来、その素晴らしさが身に沁みてわかりました。
少しの地理的な違いでも、文化圏が異なると圧倒的な差が至るところに出てくるのです。そして、その差こそが個性であり豊かさであり、文化であり、歴史である。
全国を都市化・東京化しようとした日本政府の政策について、改めて考えさせられましたよ。
また、先月行ったドイツでは二夜連続、ベルリンとドレスデンでヴェルディとワーグナーのオペラを観劇してきましたが、イタリアに今回来て改めて感慨深いな、と思ったことがひとつ。
イタリア・オペラの巨匠であり作曲家のジュゼッペ・フォルトゥニーノ・フランチェスコ・ヴェルディと、ドイツ・オペラの集大成とも言えるヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナーは、どちらも同じ1813年生まれなのです。
二人は同じ年だったということになります。
改めてここでヴェルディの代表作を挙げると、「ナブッコ」「エルナーニ」「マクベス」「海賊」「椿姫」「仮面舞踏会」「アイーダ」「オテロ」などなど。
ワーグナーの方は「さまよえるオランダ人」「タンホイザー」「ローエングリン」「トリスタンとイゾルデ」「ニュルンベルグのマイスタージンガー」そして、四部作「ニーベルングの指輪」を代表作としています。
全く同じ年に生まれた、類い稀なる才能を持つ二人の音楽家。
1800年代のドイツ地方とイタリア地方は、国家として存在したイギリスやフランスと違って、まだ小国の寄せ集めでした。
現在のドイツとイタリアが国として成立するのは19世紀の中頃。
ヴェルディとワーグナーの曲が、イタリアとドイツ統一のために、そして国家威信と民族のアイデンティティを鼓舞するために、それぞれ使われたのです。
ヴェルディ最初の成功作となった「ナブッコ」が初演されたミラノ・スカラ座に今回初めて来て、その感激を噛み締めると共に、ヴェルディとワーグナーの生年が同じなんて、偶然の一致とはまさにこの事をいうのではないかと、そして、音楽が果たしうる、また果たすべき役割について、考えてしまいました。
明日、日本に帰国します。
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