IMCAS2010 肝斑についての口演発表
2010年のIMCAS International Master Course on Aging Skinでの僕の発表は、ここ数年出し続けている肝斑治療の口演発表でした。
このIMCASの学会でも肝斑治療のための専門のセッションが用意されるなど、肝斑のレーザー治療に対する期待度が世界的にも上がっているのがわかります。
とくにIMCASは、世界の40カ国からスピーカーが集められ、地域ごとの最新美容レーザー医療について語られるので、とても参考になりましたよ。
レーザーによる肝斑の治療は、フラクショナルレーザーによる治療か、低パワー照射によるQスイッチレーザー治療による治療とに方針が分かれています。
世界的にみると、欧米人や肌の色の白い人にはフラクショナルレーザー治療が優れ、黄色人種や黒人種など、肌の色の黒めの人はQスイッチレーザーを使用する場合が多いようです。
この演題は、僕の昨年の米国レーザー医学会(ASLMS)で発表したレーザー比較の追試でした。
ルートロニック社のSpectraVRM から、HOYAコンバイオ社のメドライトC6(写真)に変えて追試を行ったのです。
このセッションでは多く国のの先生がこのQスイッチヤグレーザーの低出力による肝斑治療について発表していましたし、僕もディスカッションしていていつも思うのですが、この治療が普遍化できないことの大きな理由の一つが、医師による経験が、使用するレーザー機器以上に治療効果に大きな影響を及ぼすということです。
長年、レーザー機器を利用していると気づくのですが、レーザー機器には必ず劣化が起こります。
機器が劣化した場合、機器のメンテナンスで対処をしている医院も多いと思うのですが、地理的な理由や経済的な理由で、定期的にメンテナンスができていないクリニックも正直あるのが事実です。
以前、あるアメリカのレーザー会社の方とアジアのクリニック訪問した時に、
「レーザー照射によって飛散した多くの角質などの飛沫が、レーザーのレンズを汚していて出力を下げていることが、本当に驚くほどよくある。」
と言っていたのを思い出しました。
レーザー機器の販売価格は、世界でみると、30%ぐらいの誤差はあっても、ほぼ同じような価格になっています。
でも、アジアのような地域の場合、機械代をペイするために一回当たりの単価を上げるわけにはいかないので、一日にものすごい数の患者さんをこなすのだそうです。
つまり、レーザー機器の機器としての劣化が激しい場合が多いのです。
タイや、シンガポール、韓国などの先生が話すパラメータを、同じアジア人の日本人の肌に照射するとやけどを起こす報告がよくあり、僕は日本人の肌が弱いからだと思っていたのですが、理由はそれだけではなさそうですね。
つまり表示されている出力が、実際には出ていないレーザーが、意外なほど多く存在するという事です。
自動車を購入すると、定期的に車検をする必要があると思いますが、レーザー機器は自動車よりもはるかにハイテクです。数年前のレーザー機器は、出力が落ちている場合が多いと思うのですが、それについては車検の様なシステムが無いのでわからない。
経験あるドクターは、自分の持っている機器についてはどの程度のパワーで打てばよいかということがよくわかっていると思うのですが、そのパワー設定をそのまま耳コピーして自分の患者さんに適応しようとすると、ミスが起こるということです。
このあたり、経験のあるお医者さんを探すことがとても大切なのだと思いましたよ。
このIMCAS2010でも、肝斑治療のセッションが特別な枠をとって一時間ありました。
ほんの数年前までの教科書には、
肝斑はレーザー照射をしてはいけない
・・・と書かれていましたが、肝斑治療をレーザーで行うということがいよいよ常識になりつつあると感じましたね。
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