オペラ バスティーユで観た「くるみ割り人形」
この日の夜はパリ国立オペラの定期公演を観に、オペラ バスティーユに向かいました。
定期公演の題目は、ヨーロッパの年末年始の風物詩=バレエ「くるみ割り人形」です。
くるみ割り人形の主人公 クララの家でのクリスマスパーティーが舞台になっているので、この季節によく公演されるのでしょう。
日本でのベートーヴェン「第九」の演奏会に近い印象がありますよね。
このくるみ割り人形のバレエもこのオペラ バスティーユで12月に14日間。さらに1月に入ってからも4日間公演されており、今日はいよいよその千秋楽だったのです。
そもそもバレエの始まりはギリシャ時代の無言劇に遡りますが、実際には宮廷文化が栄えたルイ14世時代に起源があると言われています。
ルイ14世自身もバレエを踊っていたそうで、1661年には王立アカデミーを設立し、バレエの舞踏家を育成します。
その後、天才バレリーナのマリ•タリオー二によるポワン(つま先立ちの踊り)の技法が開発され、衣装も貴族が着るような豪華な衣装から、「ロマンティック チュチュ」と言われる裾が長い円錐状のスカートを持つバレリーナの衣装が生まれます。
この流れは19世紀のはじめに至るまでは、「ロマンティック バレエ」と呼ばれ、「ジゼル」や「ラ•シルフィード」などの代表作を生むことになります。
そうしたバレエにも変化が訪れます。マリインスキー劇場の天才振付師マウリス•プティバによって、チャイコフスキーの三大バレエ音楽「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」が振り付けされ、「クラシック バレエ」へと変化してゆくのです。厳密には「くるみ割り人形」だけはプティバの弟子によって完成されています。
クラシック バレエでは、バレリーナの衣装も足が綺麗に見えるように「クラシック チュチュ」と呼ばれる丈の短いものに変化します。
さらに20世紀に入るとバレエはポワンやチュチュを捨てて、「モダンバレエ」と呼ばれるものに変化してゆきます。
ちょうど1年3ヶ月前。2008年10月にこのパリでヨーロッパ皮膚科学会の講演に来た際、ある企業の方に招待されて、このオペラ バスティーユでNYモダンバレエの公演を観劇したことがあります。
幕間はたくさんの人で賑わっています。
僕は、今までバレエ「くるみ割り人形」の表現は、クラシック バレエの発祥の地であるマリインスキー劇団のものが最高だと思っていたのですが、このパリ国立オペラのバレエ「くるみ割り人形」ですが、開演から本当に驚くことばかり。
さすが芸術の都であるパリの公演です。
チャイコフスキーのクラシック バレエの名作である「くるみ割人形」の音楽とストーリーから一歩も外れていないのですが、解釈がすばらしく新しいのです。
演出も衣装もすばらしく、本当に楽しませてもらいました。
今年も必ずクリスマスシーズンの公演があるはずですので、バレエの好きな方には是非おすすめです。
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