知的なチャイコフスキーを聴きたい方に
上原彩子さんは、僕が最も注目する若手ピアニストの一人です。
2007年に横浜で開かれたラフマニノフのコンサートに行った話はブログにも書きましたが、それ以来しばらく彼女のコンサートには残念ながら行くことができていません。
彼女のピアノが聴きたいな・・・と、最近CDを買ってみました。
チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」とムソルグスキー「展覧会の絵」のカップリングです。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番は、何を隠そう、僕が中学生の時クラシックにはまるきっかけとなった曲。
第1楽章の最初のフレーズがあまりにも美しくて、父親の古いLPの巨匠エミール・ギレリスとライナーのカップリングのものをすり切れるまで聴いていました。
この映像は、マルタ・アルゲリッチが弾いているものです。
今までもこの曲の演奏は
アルゲリッチとコンドラシン
や
リヒテルとカラヤン
といった名盤が出ているのですが、この上原彩子さんの演奏は、それらの名盤に匹敵する名演なのではないかと、このCDを聴いて僕はすっかり感動してしまいました。
彼女の演奏は単に技術的に上手いのではなく、音の強弱をつけながらの曲の盛り上げ方や、特に協奏曲でのオケが追いつくまでの間の取り方が絶妙だと思うのです。
この演奏も、おとなしすぎるぐらいの控えめな演奏からスタートするのですが、彼女自身がこの長い曲の構成すべてを把握して、最終楽章にボルテージを上げていけるように演奏をコントロールしています。
良い表現が見つからないのですが、感情で弾くのではなく、曲全体の構成を鳥瞰(ちょうかん)して、意図的に巧みに演出を加えている様な、僕好みの“知的な”演奏なのです。
同じ日本人として、彼女のことを本当に誇りに思いますよ。
ロシア人が圧倒的に有利だと言われているチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で優勝したのに、
僕としたことが、迂闊にもなぜ彼女のピアノ協奏曲を今まで買わなかったのだろう!?
・・・と、後悔してしまいました(苦笑)。
チャイコフスキーがお好きな方は是非お聴きください。
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