スコッツデールとフランク・ロイド・ライト
フェニックスの隣に、スコッツデールという街があります。
「マイアミ サウスビーチの砂漠版」とも呼ばれる、ここは避寒地として冬場には全米各地から多くの人が訪れる場所。ショッピングやスパ、ホテル、ゴルフ場などの設備が整い、高級住宅街も見られます。
この街に、一度行ってみたい場所がありました。
それはアメリカを代表する世界的な建築家 フランク・ロイド・ライトの傑作 TALIESIN WESTです。
ニューヨーク・グッゲンハイム美術館などの設計で知られるライト。それまでの欧州様式を模倣するスタイルから、アメリカ建築を自立させた「立役者」「英雄」と言われ、彼の作品はそのいくつもが文化財として保護の対象となっています。
日本でも、関東大震災や東京大空襲にも耐えたとして知られる旧帝国ホテルや自由学園の設計などで、有名ですよね。また、商業施設や高級マンションのロビーなどに、時々彼の作った照明器具が置かれていたりしますが、照明にもつけられている名称「タリアセン」とは、ウェールズ語で「輝ける頂」という意味なのだとか。
建築的な価値はもちろん
「タリアセン・ウェストは、ある意味セドナにも勝るパワースポットだと思います」
・・・と人にも薦められ、行ってきましたよ。
学会日の夕方、会場から車で約30分のところにある、このアメリカが誇る文化遺産に。
外観から、これまで僕が見たことのあるどんな住居、どんな建築物とも似ても似つかず、すごいな、と圧倒されます。砂漠に融合しながらも、静かに主張する不思議な存在感なのです。
ここでは、ツアーチケットを購入すると、ツアーガイドさんが約90分かけて敷地内をジョークを交えながら案内してくれます。
もともと、ライトの冬場のアトリエとして建てられたタリアセン・ウェスト。多くの弟子達がここで育ち、現在この場所は建築を学ぶ人たちのための学校になっているのだそうです。
卒業のためには建築設計図を提出しなければならないのだそうですが、基準を満たさないと学校を卒業できないらしく、96歳の女性がまだ学生でいらっしゃるのだそうです。
でも、アリゾナの綺麗な空気のもと、こんなに素敵な建物のある場所ならば、ずっと暮らしていてもいいですよね(笑)。
残念ながらこの建物の中は写真を撮ることは許されていませんでした。
驚いたのは、正方形や長方形といった、通常の住居のいわゆる四角形の壁がほとんどなく、天井も床と平行には作られていません。
もちろん、室内のソファや照明などもすべてライトによってデザインされたもの。
それも全てが三角形か、五角形、もしくは六角形から構成されているのです。
どの椅子も、どのソファもデザインが美しいことは僕が言うまでもないことですが、機能的にもすばらしいと改めて思いました。本当に座りやすいですし、内部構造も含めて極めてバランスが良い室内でした。そして、外部も内部も「有機的」とはまさにこのことと、ライトの哲学や思いが時間を超えて伝わってくるようで、とても勉強になりましたね。
室内から外を見ると、このスコッツデールのこの場所にしかできないであろう借景が見えるのです。
草むらでは、野うさぎが走り回っていましたよ。
お土産にグッズもあれこれ見たかったのですが、時間がなくて断念。
ちょっと外に出ると、4月のアリゾナは花で一杯です。
日本ではあまり見る事のないサボテンの花も沢山咲いていました。
これが綺麗なんですよ。
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