発見されたダ・ヴィンチの真作
来月スウェーデンのヨーテボリに出張で行く予定です。
ヨーロッパ皮膚科学会(EADV)の参加なのですが、実は8月15日までヨーテボリで「:And There Was Light」という、ミケランジェロ、ラファエロ、ダ・ヴィンチを中心とした芸術家達を一斉に集めた世界的に注目されるある展覧会が開かれていたのです。
この展示会終了後わずか2ヶ月差でのヨーテボリ出張・・・。タイミングが悪いのか良いのか、でもやっぱり
「あと2ヶ月会期を延ばしてもらえたら・・・」
と、ちょっと残念な気持ちになってしまいますね(苦笑)。
今回の展覧会で一番の注目作は、2008年に約100年ぶりに証明された、「美しき姫君」という、レオナルド・ダ・ヴィンチの真作の世界初の展示でした。
この展覧会は、各国を経由していずれ日本に来るとのことなので、すこし待てば日本でも観られるのでしょうか?
そもそも数の少ないダ・ヴィンチの新たに発見された絵画作品。しかもかなり質の高い作品とあっては絵画ファンなら興奮しますよね。観に行きたかったですよ。
日本での展示は、絵がガラスの先、しかも、ものすごく遠くに鎮座していたりしますから…(苦笑)。
1998年のオークションでわずか1万9千ドルで落札され、2007年に美術収集家のピーター・シルヴァーマン氏に転売された、ドイツの無名画家の作品といわれていたこの作品。
しかしながら、無名の画家にしては高い完成度と、左利きのダ・ヴィンチを思わせるさまざまな画法。眼識のあるシルヴァーマン氏の依頼で、もしかしたら、ダ・ヴィンチの作品ではないかと解析が始まります。
その経過をまとめたものがこの「美しき姫君」という著作。
オックスフォード大学美術史学科マーティン・ケンプ名誉教授は、ダ・ヴィンチの画法、科学観、個人史的側面からの解析を行います。
リュミエール・テクノロジー研究所代表のパスカル・コット氏は、最新のマルチスペクトル撮影による光学的な解析によって詳細な分析を行うのです。
僕は絵画の解析なんて、X線を当てるぐらいのものかと思っていたのですが、分析の経過では100nmぐらい波長をずらした光を絵に照射して、反射した光を取得し、近赤外線など実際に目に見えないものまでもを再現したり、
取得した何枚もの写真をもとに、実態顕微鏡のように絵画を拡大したものを、ミクロン単位でデジタル画像のピクセルに落とし込み、指紋や掌紋などを解析するといった様子は、さながら法医学の検証のよう。
それらのデジタルデーターを元に絵を再現し、使用された羊皮紙の経年変化などをデジタルサブトラクションを行い、完成当時の色彩をよみがえらせるといった、医療画像機器でも応用されている技術を使います。
さまざまな考察の結果、この「美しき姫君」はダ・ヴィンチの真作であろうとの結論。
美術ファンとしては非常に興味深い本でしたよ。お勧めします。
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