レニングラード国立バレエ団の「くるみ割り人形」
Merry X'mas
皆さんはどのようなクリスマスを過ごされていますか?
僕は今日含め仕事でばたばたとしていますが、今週は一日時間をやりくりして、クリスマスらしい気分を味わえる夜に恵まれました。
レニングラード国立劇場(ミハイロフスキ―劇場)によるチャイコフスキーの名作、バレエ「くるみ割り人形」を観てきたのです。
バレエ「くるみ割り人形」といえば、舞台がクリスマスの夜の出来事ということもあって、ヨーロッパでは“ホリディ・シーズンの風物詩”とされています。
日本での「第九」や「忠臣蔵」のように、毎年必ず「くるみ割り人形」がヨーロッパ各地で上演されるのです。
思い返せば、今年2010年1月に出張したパリ オペラバスティーユでもこの「くるみ割り人形」を観ましたので、今年の舞台鑑賞は偶然にも「くるみ割り人形」で始まり、「くるみ割り人形」で終わった、ということになりますね。
そう考えると、幸せな1年でした。
さて、舞台の感想を書く前に、レニングラード国立バレエ団について、すこし触れておきましょう。
レニングラード国立バレエ団は、設立170余年。草刈民代さんが在籍したことでも日本人には知られていますが、1981年に日本に来日するようになってから今年が30周年なのだそうです。
写真は舞台袖の様子。レニングラード国立バレエの関連グッズも売られていました。
そんなレニングラード国立バレエ団による「くるみ割り人形」とは。
チャイコフスキー最後のバレエ作品として知られるこの舞台。チャイコフスキーのバレエ音楽の中で最も完成されている一方、最も複雑であるともいわれています。
なぜ「最も複雑」なのかといえば、文学的な想像力に富んだホフマンの原作と、チャイコフスキーのシンフォニックな音楽は、相半する二元的な性質を持っており、これらを融合することがそもそも“ミッション・インポッシブル”の域にあるからなのです。
事実、この作品には数多くの演出があるのですが、その演出を原作のホフマンよりの「ドイツのおとぎ話」に振るのか、またはチャイコフスキーの「情感豊かな美しい旋律のスコア」に振るのかによって、多くの解釈が生まれ、そんな解釈の違いを舞台で見るのもまた楽しいんですよね。
僕もDVDを含めて、今まで10種類以上の「くるみ割り人形」を観ていると思いますが、その比較をするだけでも一冊の本になるぐらい。
とても興味深いですよね。
演出や振付に関わる人たちはきっと誰もがこの作品で
「今までの舞台にはなかった自分の世界を表現したい」
という創作意欲に何時にも増してかられることでしょうし、観客にとっても
「何度観ても飽きない」
作品であり、いずれにしても世界中で最も愛されている作品のひとつであることに、変わりありません。
初演は、1892年12月。ロシア・サンクトペテルスブルグのマリインスキー劇場です。以来120年あまりの間、この作品は常に進歩/進化し続けているのです。
ちなみに、この日観たレニングラード版は、年初に観た斬新な解釈のパリ版とはほぼ対局にある、非常にトラディショナルな演出でした。
クララ役は、イリーナ・ペレン。
高度な舞踏の技術と、旋律に溶けて溢れ、流れ出るようなしなやかな表現力を合わせ持っているバレリーナで、素晴らしかったです。
そしておなじみの第二幕。くるみ割り人形と主人公のクララに助けられた各国の人形が踊りだすシーン。
スペインの人形の踊り
アラビアの人形の踊り
中国の人形の踊り
パストラルの踊り
ロシアの人形の踊り
そしてコロンビーナとピエロの踊りが順番に行われ
その後に僕がこのバレエ組曲の中でも最も好きな、著書のCDにも音源を入れた
「花のワルツ」
が始まるのです。
このおとぎの国での「花のワルツ」が何とも幻想的な演出で、あまりに感動して不覚にも涙ぐんでしまいました。
こちらはYOUTUBEで見つけた「花のワルツ」です。マリインスキー劇場のものですが。
バレエは、鍛え抜かれた強靭な体を、最も美しく見せるためにどうしたら良いのかということを数百年の間考えてきた、「人間の英知」のひとつなのだな・・・と改めて思いました。
この通り、パンフレットも購入してきましたよ。
素晴らしい夜でした。
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