シャンゼリゼ劇場 シルヴィ・ギエムの「Eonnagata」
パリの夜も三日目、この日は夜にアヴェニューモンテーヌのシャンゼリゼ劇場まで、シルヴィ・ギエムのバレエを観に行く予定を組んでいました。
実はバレエを熱心に観始めたのは、ここ数年のこと。以前はあまりバレエの舞台を観るのが得意ではありませんでした(苦笑)。
というのも、バレエ・ダンサーを目の前にすると、長い年月をかけて丹念に造り上げられた肉体の、筋肉や骨、内蔵等にかかる様々な「負荷」のようなものに意識が行ってしまい、医師目線で観てしまうものですから、ストーリーや音楽、その優美さといったものに集中しきれないところがあるような気がして、あえて避けていたところがあったのです。
一種の職業病、といったところでしょうか。
でも、このところ、鍛えられた肉体だけが持つ能力をいかんなく発揮されるバレエの、その芸術性を観る「目」のようなものがだいぶ肥えてきたような感覚があり、機会があるときに少しずつ観るようになりました。
すると間もなく、オペラやクラシック音楽では観る事のできない、体だけで物語を表現する技術が本当に素晴らしいな・・・と、遅ればせながらバレエのファンになってしまったのです。
そんな僕が、一度観たいと思っているバレエ・ダンサーのひとりに、シルヴィ・ギエムがいました。
フランス・パリ生まれの、「100年に一人の逸材」といわれるバレエダンサー。19歳にして、パリ・オペラ座バレエ団の芸術監督ルドルフ・ヌレエフより最年少エトワールに任命されるも、契約と束縛の問題で5年後に退団。
当時は「フランスの国家的損失」とまで言われた、といいます。
その後はイギリスのロイヤルバレエ団に舞台を移し活躍し、さらに多くのファンを魅了。フリーとして日本に何度も訪れている親日家としても知られています。
今回のパリ滞在中、そんな彼女が主演を務める舞台のチケットをとることが出来ました。
昨年までロンドンで公開されていた「Eonnagata」が2010年12月29日から2011年1月14日にかけて開催されていたのです。
こちらが街にも貼ってあったポスター。
この日はあいにくの雨。それでもシャンゼリゼ劇場は、この演目とギエムを楽しみに見に来た人たちで、この通りの大盛況。
中も大混雑です。
さて、国際学会周遊記恒例。劇場内部の写真です。
赤い椅子に気持ちが高揚してきます。
「Eonnagata」はフランス語で台詞が話されたので、舞台はよくわからなかったのですが、購入したパンフレットのフランス語をなんとか解読すると、実在したChevalier d'Eonという男性外交官の一生を描いたもののようでした。
あるときから女性(スパイ)として生活したという人物。
Youtubeでロンドン公演の画像も見つけましたよ。
この人物を、シルヴィは本当にその肉体と踊り、表情だけで見事に表現していました。
舞台はシルヴィの超人的な踊りと、日本芸能の要素が多く含まれるストーリーが挿絵のように入り込む現代のパフォーマンスでしたが、以前に公演されたロンドンでもとても好評で、パリに凱旋したというわけです。
ふと思いついて、題名のやけに母音が多い不思議なアルファベット
フランス語かと思っていたのですが、
「Eonnnagata」を目で追ってみると、「E女形」って書いていますよね。
なるほど(笑)、日本を舞台とした女形を演じた男性についての舞台ですね。
パリジャンにとっては、いろいろな謎が含まれている題名だったようです。
皆舞台に満足して楽しそうに帰ってゆきました。
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