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2011年2月28日 (月)

YAGレーザー のYAGとは?

最近クリニックFの備品・資料用に購入した本の中で、ちょっとお気に入りの図鑑があります。

Photo_2

「The Elements (元素)」という本。

この本は「世界で一番美しい元素図鑑」です。

The_elements

この通り、英語版と日本語版があります。

Elements

化学の時間で習った元素について、わかりやすい写真でまとめたものなのですが、綺麗でお勧めですよ。

なぜこの本を購入したかというと、レーザーに使用する鉱石について、患者さんから質問があるからなのです。

たとえば、研究用、医療用に最も使用されるYAGレーザー。

「YAG」は固体レーザーの発振用媒質として使用する結晶ですが、YAGのアルファベットはそれぞれ

■原子番号39のイットリウム

007

そして、

■原子番号13のアルミニウムの

005

複合酸化物を

■ガーネット(ザクロ石)構造の結晶にしたもの

で、自然界に存在しない人工物質です。

つまり、YAGとは、■イットリウム、■アルミニウム、■ガーネットの頭文字をとっているわけです。

また、YAG結晶を生じさせる過程で、イットリウムを他の希土類元素で置換した数々のYAGレーザーが存在します。

イットリウムに原子番号60のネオジウムを少量ドープ(添加)したものがNd:YAG(ネオジウムヤグ)レーザー。

008

1064nmの波長が出せる、工学の世界で最も利用されているYAGレーザーです。

医学の世界でも、刺青治療や肝斑治療などに使いますよね。

イットリウムに原子番号67のホルミウムを少量ドープ(添加)したものがHo:YAG(ホルミウムヤグ)レーザー。

010

ホルミウムヤグレーザーは、外科手術のメスに使われます。

イットリウムに原子番号68のエルビウムを少量ドープ(添加)したものがEr:YAG(エルビウムヤグ)レーザー。

002

特にエルビウムは、光ファイバーケーブルの中で光パルスを増幅できる効果があるので、このレーザー領域には欠かせない元素。

医療用では、米国サイトン社やパロマ社が得意な波長。

フラクショナルレーザーにして、ニキビ跡治療などに使われます。

イットリウムに原子番号69のツリウムを少量ドープ(添加)したものがTm:YAG(ツリウムヤグ)レーザー。

003

ツリウムは、今までは最も使い道のない元素と言われてきました(笑)。

ですが、1927nmの波長を使用できるツリウムは、ニキビ跡治療のソルタメディカル社、フラクセル3DUALでは欠かせない波長となっています。

汚名挽回ですね(笑)。

そうそう、キュテラのレーザー機器、Pearl(パール)で使用するYSGGは、イットリウム、スカンジウム、ガリウムをガーネット構造にしたもの。

このYSGGにエルビウムをドープしたもの。

ネオジウムとクロムをドープしたもの。

エルビウムとクロムをドープしたもの。

の3タイプがあるのです。

ちなみにパールは、エルビウムのみをドープしたEr:YSGGです。2790nmの波長が使えます。

こちらはチタニウムのページ。

006

チタニウムは、硬くてまったく錆びず、アレルギー反応もなく、人工関節などの医療目的でつかわれる物質ですが、眺めていると綺麗ですよね。

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