放射線障害発生のメカニズムと活性酸素
昨日のブログでお話した、放射線障害発生のメカニズムについて、もう少し細かく教えてほしいという御要望を頂きましたので、今日はそこについてお話します。
放射線障害には、このブログでもおなじみの活性酸素が深く関わっています。
生体が60兆個の細胞によって構成されていると、昨日のブログでも述べましたが、細胞を構成している要素を大きく分けると、60~70%の水分と、30%のタンパク質によって構成されているということになります。
放射線の細胞への作用は、この人間の体の60~70%を構成する水分の部分に影響を及ぼします。それは電離作用が影響するのです。
ちなみに、電離作用とは、物質を構成している原子から電子を弾き飛ばす作用のことを指します。
電離作用によって生体の細胞の電子軌道から電子がはじかれる、ということがまず起きます。
ここで、電子がはじかれると
①はじかれた電子が直接DNAを損傷するという直接作用
と
②はじかれた電子が水や酸素分子にあたって生成された化学反応の高い活性酸素が、DNAを損傷するという間接作用
が起こってしまいます。
この電離作用が大きいと、①酵素機能の低下、②細胞分裂の遅れ、③遺伝子損傷・・・などの影響があらわれるのです。
細胞死に至らない程度の損傷を遺伝子が受けた場合、ほとんどが短期間に修復されます。しかしながら、ごく稀に癌になりやすくする遺伝子を作ってしまったり、逆に癌を抑制している遺伝子を破壊してしまうことが、癌細胞の誘発につながります。
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