2011年レーザー治療器総括その2
おはようございます。
9月20日(火)今日もクリニックFの診療日です。今週は明日から香港の招待講演の出張を控えておりますので、本日と24日(土曜日)のみが診療日となります。僕が不在中につきましては、お電話で診療の御予約を承れるようにしていますので、よろしくお願いします。
では、引き続き、2011年レーザー治療器総括のブログを書いてしまいますね。
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2011年に起きたレーザー/光治療に関するニュース・話題を振り返ると、二つ目のトピックは、
◎フラクショナルRF機器の台頭と、フラクショナルに付随する技術開発
ということになるでしょうか。
フラクショナル機器が美容レーザー領域に対して使用され始めたのは2004年のダラスの米国レーザー医学会ASLMSでの発表以来のことなのですが、
フラクショナルのビームを必ずしもレーザーにする必要はないのでは?
との考えが起こるのは当然のことでした。
レーザー/光を治療機器に使用しすると、電磁波であるレーザー光は
■皮膚への入射前には 反射 放射
■皮下では 散乱 吸収
・・・されてしまうことによって、エネルギーが低下します。
特にアジア人の場合、皮下にメラニン色素が多いため、メラニンに集光してしまう波長の光の場合、深くまでエネルギーを伝達できないという点と
多くのエネルギーが皮下のメラニンに吸収され、ショックウェーブが火傷を引き起こすので、強いパワーで照射することができないといったデメリットがありました。
こうしたエネルギーの伝達効率を考えると、媒体にレーザー/光を使用するよりも、RF(ラジオ波)を利用したほうが特に有色人種には遥かにメリットがあるのです。
モノポーラーRFのサーマクールや、バイポーラ―RFのオーロラやポラリス、リファーム、トリニティなどのRFをベースとした医療機器が日本人に好まれるのは当然の結果なのですよね。
そうした中、RFフラクショナル機器であるシネロン社のeマトリックスと、
韓国ジェイシス社のイントラセルが発売されたのは、以前このブログでもお伝えした通りです。
このフラクショナルRF機器の市場に、シネロン社からもう一台の「eプライム」が発売されました。
eプライムはイントラセル同様に針を刺してRFを皮下に直接流し込む技術。
人間の肌では表皮が最も熱に弱いので、針を刺して皮下深くで直接熱刺激を加え、表皮に熱を加えないという意味では非常に有効な手段です。
「eマトリックス」や「イントラセル」は、表面のリサーフェシングを目的とした「フラクセル」 の対抗器
「eプライム」は、リフティングを目的とした、「サーマクール」や「ウルセラ」 の対抗器
という位置づけと考えられていました。
特に「eプライム」を受けた被験者に聞くと、ほほがボリューマイズ(膨らんだように見える)されたという印象があるようですね。
eプライムは、局所浸潤麻酔が必要であったり、ダウンタイムが長いのが気になりますが、今後は改善がされると思います。
また、フラクショナルレーザー機器の機能を付加するために、いくつかの技術が開発されてきました。
一つはパロマ社のコンプレッションフラクショナル技術です。
以前もご紹介したのですが、この右のようなクリスタルを使用して、組織を圧迫してフラクショナルレーザーを照射するという方法。
皮膚を引き伸ばしてレーザーを照射するとメリットがありますが、その性質を列挙すると
1.レーザー光を吸収してしまう水分やヘモグロビン成分を圧排できる。
2.物理的に組織を厚さを薄くして、標的組織への距離を近づけることができる。
3.クーリングデバイスを当てることで、やけどをおこしやすいとされる表皮真皮接合部(D/Ejunction)と真皮乳頭層への熱刺激を減らすことができるので安全性が向上。
4.圧縮することで皮下の深い部分のコラーゲン構造を平坦化し、熱効率を上げる。
ということになります。
こういった付随する技術が開発されてゆくのは重要ですよね。
2011年レーザー治療器総括その3に続きます。
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