2011年レーザー治療器総括その3
おはようございます。現在羽田空港にいて、香港行きの飛行機を待っています。
香港での招待講演は明日ですが、大型台風が気になりますね。
大きく迂回しながら進路を取るんでしょうか?
クリニックFでの僕の診療は今日、明日はお休みさせて頂きますが、スタッフは出勤しておりますので、ご予約やご質問がありましたらクリニックF(03−3221−6461)にお電話くださいね。
帰国は金曜日になりますので、土曜日からは通常診療させて頂きます。
さて、先ほど書き上げた2011年のレーザー治療器総括のブログを続けてアップしますね。
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三つ目のトピックは、赤み(ヘモグロビン)に対するレーザー機器の進化です。
レーザー治療をするうえで最も大切なものが、ロックス・アンダソン博士の選択的光融解理論だとすると、赤(ヘモグロビン)を治療する際に競合するのが茶色(メラニン)です。
理論上はヘモグロビンに対しては、
532 nmのKTP から、585 もしくは 595 nm のパルスダイレーザー(PDL)の間の波長
が有効です。
しかしながら、このレーザー波長をヘモグロビンが破壊できるぐらい短いパルス幅で照射してしまうと、必ず施術後に2週間程度の紫斑(あざ)が生じるのです。
回数が必要な赤みに対する治療では、このダウンタイムが非常に厄介で、治療の選択の幅を減らしてしまうものでした。
米国サイノシュア社は、赤みの治療のゴールドスタンダードであったパルスダイレーザー(PDL)と、微小血管の治療にも使われていたNd:YAGを数ミリ秒単位で組み合わて照射するマルチプレックスシステムを組み込んだシナジーMPXを2008年に発売し、一旦は赤みの治療に決着をつけたものと思われました。
ところが2011年に米国キュテラ社が、532nmのKTP波長を使用したエクセルVという血管に対する機器を発表。浅い血管を532nm、深い血管を1064nmのロングパルスで治療しようというものです。
現在試用期間ではありつつも、国内に導入が始まっていますがアジア人にはパラメーターの設定が難しいと考えられますので、結果を見るまで経過観察が必要ですね。
米国パロマ社はレーザーではなくて、光(IPL)を利用したスターラックスMaxGを発表。
こちらはIPLのプローブの中に、赤に関係のない波長の部分にダブルフィルターを入れ込んで作り上げたシステムですが、施術後に紫斑が現れにくいのが大きな特徴です。
フィルターを一枚入れるだけでも相当熱を発生し、安定度と耐久性が落ちますので、二枚入れるのは非常に高い技術が必要です。
医療レーザー分野で多くのパテントを保持するパロマ社ですので、技術的な縛りもありません。最も得意な分野なのでしょう。
このMaxGは、2011年に多くの論文が発表され、現在赤(ヘモグロビン)に対する効力が最も高いと評価されている機器です。
クリニックFでも今年の春に導入していますが、ニキビ跡の赤みや、赤あざ、手術後瘢痕などには非常に良い結果を出していますよ。
今後が楽しみな機器です。
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