レーザー/光治療器のパワー設定
今日9月12日もクリニックFの開院日です。
朝はココログがメンテナンス中で、ブログをアップするのが遅れてしまいました。
今日の話題は、レーザー/光治療器のパワー設定について。
もともとクリニックFには、遠方からおいでくださる患者さんもとても多いのですが、そうした方々と最近診療でお会いすると、
「クリニックFを見つける前、自宅近くの病院でフラクセルを○○ジュールで打たれたのですが・・・・」
「どうしてもクリニックFまで距離的な問題で行けないのですが、近くの病院で施術をしたいので、eマトリックスを照射する具体的なパワー値を教えてください。」
などという、ジュール数を含めたレーザーのパワー設定についての非常に具体的なご説明・ご質問を頂くことがあります。
こうしたご質問の中には、直接お話を伺う以外にメールで頂く場合もあります。
メールの場合、さらにとても詳細に書かれたものもあり、これが匿名だったりすると、
「・・・これって、送り主はもしかしたら同業のドクターなのでは???」
と思うものも、けっこうあります(笑)。
(ちなみに、その場合には、その旨書いていただける方がありがたいです。ご対応させていただきます。)
これは以前にも書いていることですが、レーザーのパワー設定であるパラメーターを同じにしたところで、施術者が違うのであれば同じ施術はできないと思ったほうが良いと思います。
これは、施術者の ①感性・感覚・センスの問題 と ②技術力の問題、両方の側面により、施術内容が変わってくるのです。
レーザー治療機器の名前自体に注目が集まるようになりましたので、同じ機器があれば、同じ治療が出来ると勘違いされる方が増えてきたように思いますが、レーザー治療機器は、「メス」や「包丁」、「カメラ」や「ゴルフのクラブ」のような道具のひとつです。
「メスさばき」がうまい人とそうでない人がいるように、そして同じメーカーの一眼レフを持っていてもうまい写真を撮る人とそうでない人がいるように、良い道具を持っていることと、その道具を使いこなせるかどうかはまた別の問題。
要は、その道具をどのように使用してゆくのか、その方法を考えるほうが大切なのだと思うのです。
良いゴルフ・クラブを持っていれば良いスコアを出せるか、といえばそうではないですからね(笑)。
今日はこの②技術力の問題について、より深く掘り下げてみたいと思います。
レーザー/光治療の場合、
「機器上に表示される照射パワーのパラメーター」
よりも、
「医師による照射密度の違い」
のほうがはるかに大きな違いを及ぼします。
試しにいくつかシミュレーションをしてみましょう。:-
この図の青い円がレーザーの口径だと思ってください。
まず、球面である人の顔の肌に、このような円形のレーザーを均一に、同間隔で照射するのは想像以上に難しく、慣れと技術が必要なことです。
照射に不慣れで技術が足りない場合、このようにひとつひとつの照射の間隔が開いてしまったりすることはよくあります。
自分では詰めて打っているつもりが、意図せずに照射面が開いてしまうわけです。
中には、わざわざ意図的に間隔を開けて照射する医師もいますが、そうした例外を除くと、これはレーザー照射をする医師としては基本的な技術習得が必要で、練習を繰り返すしかないでしょう。
そこで、僕が肌にまんべんなく照射するためには工夫している3つの方法をご紹介しますね。
①ひとつは、口径を少しづつ重ねて、下図のように照射すること。
これを1方式とします。
上の1方式の照射方法で照射した場合、表示されたパラメーターを補正して考えなければなりません。
この場合、中央に照射された赤円を想定すると、その円に影響されるレーザーの口径は接する9つの円として考えられます。
レーザーの口径の半径を1と仮定します。
上記の正方形の面積は、対角線が4であることから、8です。
この正方形の面積に照射されるレーザーは、
中央に一つ分。
辺に沿ったもの(半円)が4つ分。
角に沿ったもの(1/4円)が4つ分ありますので
全部で4ショット分ある計算になります。
レーザーの一つの面積は、πr二乗の式より3.14と想定されますので、
3.14×4=12.56になります。
正方形の面積8に、合計12.56の面積のレーザーが照射されますので、
12.56÷8=1.57
つまり、実際にはパラメーターの1.57倍のレーザーエネルギーが単位面積に照射されていることがわかります。
②二つ目は、
一度目を青円の様に照射して、二度目を赤円の様に照射して、非照射部位を消すというもの。
これを2方式とします。次は2方式の場合の照射密度を考えてみましょう。
こちらも小さい正方形のところに二度目のレーザーが照射されますので、レーザー光の半径を1と考えると小さい正方形の面積は4ですよね。
この正方形の単位面積に対して、正円が一つ。1/4円が四つありますので、3.14×2=6.28分の面積分のレーザーが照射されているわけです。
こちらも計算すると、同じく6.28÷4=1.57倍
になります。
③三つ目は四角形ではなくて、三角形を利用した方法です。
この様に、レーザー光が三角形を作るように照射してゆくのです。
小さな三角形の面積は2×1.73÷2=1.73に。
そして照射系の面積は1/6円が三つ。すなわち半円で3.14÷2=1.57ですから
1.57÷1.73=0.907で、一度照射すると約9割の部位の照射ができることになります。
当然のことながら、二度打ちすると1.81倍ですよね。
この通り、パラメーターをいくら同じにしたところで、肌に均一に照射しようと考えていたとしても、照射方法次第で0.9から2倍ぐらいの吸収エネルギーの差が出てしまうのです。
さらに注目してほしいのが個人間による顔の大きさや隆起、彫りの深さ他の違い。
男女の平均的な顔を半楕円球として想定して、一度計算してみたことがあるのですが、1.4倍以上も表面積が違う場合があるのです。
つまり、たとえば何ショット必要か? 何ショット打ってくれるのか? という議論が、医師だけでなく患者さんの間でも議論されたりしますが、この議論自体が少しずれていると言えるのです。
このあたりは実際に計算してみれば初等数学(というか算数?)で十分対応できますので、照射の密度の方が明らかに大きな変化要因となるのです。
パラメーターはあまりに高すぎると火傷をおこしますので、火傷をおこさないための目安の値ぐらいと思っていたほうがいいのかもしれませんよ。
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