「ハイゼンベルクの不確定性原理」の欠陥
おはようございます。
今日1月17日もクリニックFの診療日です。
今日は一時間早くクリニックを開けますので、今のうちにブログを仕上げてしまおうと思います。
実は昨日、ツイッターとフェイスブックには載せたのですが、「ハイゼンベルグの不確定性原理(Uncertainty principleですので、和訳は本当だったら不確実性原理ですね)」に欠陥がある事を、ウィーン工科大学と、名古屋大学の研究者が指摘したと新聞に報道がありましたね。
15日付の電子版のネイチャーフィジクスをすぐに確認したのですが、これが本当なら、量子力学どころか物理学の原理、さらにはこれらを引用した哲学などを覆す様な大きな発見で、今後の動向を興味深く観てゆきたいとおもいます。
この理論については半年前に、「理性の限界」という本について、僕のブログ国際学会周遊記でもふれたばかりなのですが、ハイゼンベルクの不確定性原理は、ドイツの物理学者ハイゼンベルクが1927年に提唱し、32年にノーベル物理学賞を受賞したものです。
大学生の時にこの理論について本を読んだことがあり、とても印象に残っている理論で、何しろこの理論が発表されて以来、何人もの科学者が対抗論文を用意して来た歴史があるのです。
この理論は、量子力学の礎とも言える理論で、「ある粒子の位置と運動量を、両方同時に正確に測定することは絶対に出来ない」
ということ。
もう少し詳しく説明すると、観測者がある粒子の位置や運動量を測定しようとすると、その測定器具も光や電磁波を利用しなければなりません。
しかしながら、測定器具から発進された光や電磁波も粒子です。
粒子をつかって測定しようとすることにより、元の粒子の位置や運動量が変わってしまうので正確な位置を測定することができない。
つまり、量子力学の世界では、測定では粒子の位置が決定できず、ある粒子が「特定の空域に存在する確率」が想定できるのみだということ。
世の中の物理事象は、全て数式で示すことができると考えて来た古典物理学者達は、この理論が提示されたときには、当然のように聞儀を醸し出しました。
特にアインシュタインがこの原理に対しては強く反対し、
「神はサイコロを振らない」
の台詞で、当時の物理学では解明していない実験者が観測できない「隠れた変数」理論(hidden variable theory)があるはずであるということを発表し、対抗しました。
しかし、この隠れた変数理論も(ジョン・シュチュワート・)ベルの不等式などで否定され、世紀のアインシュタインが量子力学に関しては、ハイゼンベルグの軍門に下ったのです。
さらに、この理論は量子力学の他に、哲学、文学、医学などの他の分野の科学に多くの応用分野がありました。
観測測定を元に進化して来た科学が、ある粒子の位置と運動量を確率的にしか測定できない。
「この世に100%絶対確実なことを、観察測定の手法では証明できない」ということを示されてしまったということです。
これはデカルト以来の機械論者の敗北を意味します。
一方で確率的にしか存在し得ない素粒子の位置が、人間が観察した瞬間に一点に決定(想定)されるというこの奇妙な現象。
観測の世界に人間の「意識の介在」が復活しなければならなかったということなのです。
例えば今の医薬の治験の方法をご存知でしょうか?
新薬の被験者は、実際の薬とは関係なく、今は自分は最新の医薬品を試しているのだという気持ちだけで病気が回復に向かうこと(プラシボー効果)があります。
これでは薬の効能を正しく測ることができないので、新薬を飲んでいる側も、飲ませている側もどちらが偽薬かわからない状態で検査をするニ重盲検法という方法で検査をするようになりました。
このハイゼンベルク不確定原理闘争は、20世紀に繰り返された観測主義論争の成果物でもあるのです。
今後の対抗論文に注意深く注目してゆきたいと思います。
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