■ヨーロッパ4ヶ国巡り 2012年1月(23) ペスト ハプスブルグの王宮 皇妃エリーザベト
おはようございます。今日から3月ですね。雪は溶けてしまいましたが、東京は地震が続き、またちょっと落ち着かない日々が続きそうです。
さて、今日3月1日は木曜日で、クリニックFは休診日です。
昨晩は執筆途中の論文を夜中まで書いていました。
今日も続きを仕上げ、時間があれば工学部大学院に顔を出そうと思っています。
僕のブログ新国際学会周遊記はウィーンの最終章。
こちらもようやく書き上げました。
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シュテファン寺院から王宮に抜ける、歩行者天国のグラーベン通り。
ウィーンに来る観光客が必ず通る、いわゆる目抜き通りです。
こちらは通りの中央にある「ペスト記念柱」。
圧倒的な致死率でもって恐れられた死の感染症「ペスト」。1679年にウィーンを襲ったペスト流行は、約10万人の死者を出したのですが、その終結を感謝して、皇帝レオポルド1世が建設したものだそうです。
ペストは人類史上、最も猛威をふるった病気とも言えます。
特にヨーロッパでは、定期的にペストの流行が起こりましたが、このペストが撲滅されるたびに各地で記念碑が作られてきました。
イタリアのローマにある、オペラ「トスカ」の舞台となるサンタンジェロ城もそうした記念碑の一つですよね。
ペストは高い致死性を持ち、症状が悪化するとペスト菌による敗血症から体内に出血斑ができたため、黒死病といわれました。
特に中世ヨーロッパを襲い、人口の3分の1を死滅させたペスト流行は、ペストが「神罰」であった時代から「公衆衛生」時代へと、ヨーロッパ人の死生観と社会構造を変え、中世のヨーロッパ時代からの転換を迎えるほどのインパクトがありました。
ヨーロッパを旅すると、病や死がいかに宗教、芸術、文化に関わっているか、それを改めて知らされる場面が多々あります。そしてそれは医師である僕にとって非常に興味深いことであり、色々と考えさせられます。
ペストは主にげっ歯類(ネズミ)によって介在され、ネズミを刺したペスト菌保有のノミにヒトが刺咬され感染するのですが、ヒトに流行する前にネズミに流行が起こるのだそうです。
この話で思い出すのは、ノーベル文学賞受賞者のアルベール・カミュの、その名も「ペスト」という作品。
1947年、戦後すぐの作品ですが、僕は高校生の時に読みました。
ペストに襲われたアルジェリアのある街を舞台に、ペストと人との戦いが始まります。
物語の初めに、主人公で医師でもあるリウーが、階段で死んだ一匹の鼠にふと気づきます。
やがて、人の中にも死者が出はじめ、リウーはその死因がペストであることに気付くのです。
住民は外部との接触を禁止され、さらに街が閉鎖されます。
住民の中にはリウーを中心した、治療に専念するグループ。
また、閉鎖された街からの脱出を試みるもの。
若者が苦しみながら死ぬのを見て、ペストで死ぬのは罪深いからだと説教する神父(彼は結局ペストで死んでしまうのです)。
家族を守ろうとして努力したリウーはこのペスト流行で妻を亡くしますが、時を違えずして、街でのペストの流行が何もなかったかのように終わるのです。
ペストの脅威と、脅威にさらされた時に人間が取る行動。
細かい人間描写が記憶に残った作品でした。
こちら、ハプスブルグの新王宮です。
ハプスブルグ家の実質的な最後の皇帝、フランツヨーゼフ1世の皇妃であったエリーザベトのシシィ(エリーザベトの愛称)博物館にも行きました。
以前にウィーンに来たときには行くことが出来なかったのです。
エリーザベトの並外れた美貌は、国民に愛され、さらには映画化やミュージカル化されていることで知られていますよね。
この美貌を維持するために、シシィは、本当に毎日のように、それこそ血のにじむような努力を続けたようです。
毎朝の運動。
生の仔羊肉、イチゴの美顔パック、オリーブ油浴、搾りたて牛乳ダイエット、オレンジダイエット、塩入卵白ジュースなどなど、今で言えば抗酸化物質とフレッシュな酵素を含む食材を規則正しく食べる。
まさに食のアンチエイジング医療の実践に励んでいたと言えますが、晩年には過度なダイエットと運動により膝関節や足関節に水が溜まり、歩くのにも苦労したと言います。
当時、レーザー照射系の医療技術があれば彼女の努力も変わったものになっていたでしょうね(笑)。
まばゆいばかりの金銀の食器。
ハプスブルグ家の繁栄を示すものばかりです。
王宮から出ると市庁舎が見えました。
こちらのネオゴシック様式の市庁舎もきれいな建物ですね。
中央の尖塔は98mの高さがあるそうです。
ウィーンは本当に綺麗な街ですよね。
いよいよウィーンからロンドンに移動となります。
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