紀尾井町清水谷公園 ヤマハ出版から仕事の依頼 聴覚と時間軸
おはようございます。
今日5月25日もクリニックFの診療日です。
昨日の休診日は工学博士論文を仕上げるために沢山論文を読みました。
煮詰まったので、クリニック近所の紀尾井町清水谷公園に散歩に行きました。
クリニックから徒歩5分ぐらいでしょうか? 都心のオアシスといった感じで僕は好きなんですよね。
この清水谷公園は、明治維新の立役者である大久保利通が暗殺された場所でもあります。
1878年ですからもう140年前ということになりますね。
世界史上、近代国家に移行するためには、治世者が何人も暗殺される期間がどの国にも必ずあるのですが、維新後の日本もそんな時代だったのでしょう。
花と毒と、どちらもを内包した場所。
現在でも自然森の中に遊歩道がある、都心では数少ない公園です。
春にはこの池の周りで桜が咲くのですよ。
さて、今日は新規の患者さんも何人かいらっしゃるようです。新しい患者さんは話も弾んで(!?)診療がついつい長くなってしまうものですから、既存の患者さんにご迷惑をおかけすることがないよう、一日に限られた人数の方しかお受けできないのですが、今日も集中力を切らさずに、質の高い診療と施術に心がけていきたいと思います。
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昨日、ヤマハ出版さんから、僕の著書である『スッキリ! 聴くだけで痛みがとれる!』のアプリ化の話が来ました。
現在の著作を音楽ごとに細切れにして、音楽と合わせてアプリにするのだそうです。
ヤマハさんから依頼されてこの本を書いた時に、内容が少々専門的に偏りすぎて難しくなってしまい、泣く泣く削った文章がたくさんあります。
付録の音楽CDは、音源から僕が全部選びましたが全部クラシック音楽です。
本当は題名も、「痛みのメカニズムと音楽の関係」「クラシック音楽は痛みを軽減する」の様な、より音楽ジャンルを限定したものにしたかったんですよね。
結局は、依頼者さんの意向があったので、このような形になりました。
僕は幼少の頃からのクラシック音楽ファンで、現在でも一番の趣味は、海外でオペラやバレエを鑑賞すること。
音楽には様々な専門家の方がいらっしゃいますが、僕自身は音楽について、単なる一ファンにしか過ぎません。
ところが、音楽が脳に与える影響を医学的にとらえた内容ならば、僕はいくらでも語ることが出来ます。
医学に絡めた音楽の話で仕事の依頼がくるのは、一番嬉しいことかもしれませんね。
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以前ブログに、聴覚は時間の流れがある論理的な感覚であり、視覚は時間の流れのない直感的な感覚であると書いたことがあります。
「百聞は一見に如かず」 “Seeing is believing.”
と言うことわざは、一見正しいように思えますが、実は違います。
視覚によって得られた情報は、瞬時に理解出来るというメリットがある反面、騙されやすいとも言えるのです。
一方で、聴覚の情報は、時間軸を入れ替えることができません。
言葉も論理もメロディーも順序を入れ替えると、根底から意味をなさないものになってしまうのです。
時間軸を入れ替えないという条件の元、初めて音楽が成立します。
さらに、音楽を構成する三要素である
「リズム」
「メロディ」
「ハーモニー」
のうち、
第一の要素、「リズム」は、第8脳神経の聴神経からから脳に入った後に、最終的には旧脳などの脳幹部などの極めて原始的な脳で処理認識されます。
定期的なリズムは自律神経の安定化に関わりますし、異質な文化のもので、初めて聴いても容易に理解できます。
和太鼓の公演がヨーロッパで大変な話題を呼んでいますが、心を動かされますよね。
第二の要素、「メロディ」を理解するには、時間的な感覚と音階の概念が必要ですので、少し高度な脳が必要になります。素晴らしい「メロディ」は、大脳のドーパミンを放出させるため、より大きな快楽に繋がります。
アフリカ由来のの「リズム」感がアメリカでジャズを産み、これが白人の音楽であったカントリーミュージックの「メロディー」の要素を取り込んで「ロックンロール」に変化したのですが、ジャズとロックの根底は一緒です。
この辺りはブロードウェイのミュージカル、「メンフィス」などで詳しく述べられています。
この三要素のうちもっとも高度な脳の働きが必要なものは、「ハーモニー」です。
いくつかのメロディを記憶した後に、初めて理解できるのが「旋律の調和」とでもいうのでしょうか?
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ハーモニーを感じることは、脳内での立体感覚を認識する理系の能力に近いもので、圧倒的に男性脳の方が得意な分野です。
クラシック音楽の作曲家や指揮者は、やはり男性が多いですよね。
ハーモニーを重視するクラシック音楽の作曲家は、コンポーザー(構成者)であり、メロディメーカー(旋律職人?)ではないのです。
この「ハーモニー」は初期には理解できないものですが、トレーニングや歳を重ねることによって脳が複雑化されニューロンが増えると、より理解できる様になります。
子供の時は理解できなかったけれど、大人になってクラシック音楽を楽しめる様になったという話を良く聞きますが、このハーモニーを理解できる様になると単一のメロディよりも、脳はさらに大きな快楽を得ることが出来るのですよね。
素晴らしいハーモニーによって、あたかも神と繋がったかのような満たされた感覚を得ることができるのはこのためです。
パイプオルガンや聖歌隊などで、宗教がこの脳の働きを利用したのも良く理解できます。
僕の記憶を辿っても、音楽を聴いて涙が出そうになるぐらい感動する時は、旋律が美しい時ではなくて、いくつかの楽器や声楽家の声のハーモニーが見事に調和した時ですね。
より多くの脳のニューロンが活性化しポジティブフィードバックを起こし、刺激を加速化するというわけです。
音楽の働きを脳科学の分野からアプローチするのも興味深いですよね。
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アプリ化されたら、またご報告させていただきますね。
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