Melanin reader by Palomar Medical Technologies メラニン測定器 スキンテルのデモ ICON
おはようございます。
今日1月19日(土)はクリニックFの診療日です。
雪に振り回された一週間でしたが、今日は穏やかな日差しに恵まれた都心部です。晴天で風もなく、暖かく感じるほどですね。
こうした日があると、本当に日本は暮らしやすい国だと思います。
さて、昨日はレーザー企業3社から担当者による来院があったのですが、そのうちの一つ、米国はボストンにあるパロマ社の最新機器についてお話ししますね。
パロマ社の新しいプラットフォームであるICONと、新たなメラニン測定器であるスキンテルのデモです。
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以前にも書いたのですが、レーザー治療機器を語る上で、患者さんを非常に混乱させてしまう点のひとつに、機器に
「複合機(プラットフォーム)」
というものがあり、それぞれのハンドピースごとに名前があるということが挙げられます。
(レーザー機器のプラットフォームに関しては、以前のブログをご照覧ください。)
レーザー及び光治療器に、電圧系や駆動系、そして冷却系を共有した「プラットフォーム」を作っておき、先端のハンドピースを交換するという発想です。
これならば、毎回機器を新たに買い増さなくても、ハンドピースの交換のみで違った治療が可能になりますので、空間の面でもコストの面でも非常に効率的だというわけです。
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パロマ社は以前より「スターラックス」というプラットフォームを使用しており、これはクリニックFでも利用しています。
そのパロマ社が昨年新たな機器を登場させました。
それが「ICON」です。
今後はICONを利用した新たなアプリケーターを作っていくようなのですが、このICONと組み合わせて使用する、少し面白い診断機器が登場しました。
それが上記の写真で僕が右手に持ち光っている「スキンテル」です。
スキンテルは、皮下のメラニン濃度を測定する機器。
レーザー照射に使用するパラメーターを決定する際には、皮下のメラニン量の想定が大切です。
例えば欧米の教科書通りのパラメーターは白人用に作られていますので、同じパワーでアジア人に照射すると、まず100%の確率でやけどをしてしまいます。
クリニックFにも、海外赴任中に施術をされたが火傷やひどい色素沈着をおこしてしまい、その先生に日本で信頼できる医師を紹介して欲しいと言ったら僕の名前が挙がったので、帰国時に診療をしてほしいと、海外からご連絡を受けることがよくあります。
レーザー治療に関していえば、アジア人の肌を扱う方が遥かに経験が必要で、経験がある医師であればあるほど、患者さんによって細かくパラメーターを調節しているといえます。
数多くの症例をこなしている医師であれば、このパラメーターの設定はまず間違いないのですが、時に患者さんが旅行などで予期せぬ日焼けをしていて、肌の表層には見えないメラニンが多く存在したりする場合、レーザーの事故が起きてしまうのです。
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このブログでも書きましたが、レーザーの医学分野への応用は、大きく二つの分野に分けて考えることができます。
その一つはレーザー光をセンサーとして用い、様々な情報を得る情報応用でがんの診断や細胞の分析に応用する場合。
そして他の一つはレーザー光を、微小な局所に集中できるエネルギー源として用いる応用であり、レーザー光を治療に用いた場合です。
僕は、これからのレーザーの医療への発展は、このセンサーの特性をより生かすべきだという話を常にこのブログでも書いていますが、まさにスキンテルは皮下のメラニン量を感知するとても良いレーザーセンサーです。
このスキンテルは640nm、700nm、910nmという赤から近赤外線領域の三つの波長の光(LED)をそれぞれ肌に照射し、それぞれの波長の皮膚からの反射光によって、メラニン量を同定するというもの。
最大で10回の測定を行い、数値を平均化し、メラニン・インデックス(MI)を1-100の数値で表すのです。
この手の測定機器は、同じ条件で数分後に同じ場所を測定した時に、値のずれが出てしまうことがあるのですが、5-10回任意に取得したデータに、大きなずれがあるとエラーが出るシステムになっています。
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僕も自分の肌を測定してみましたが、MI値28で、フィッツパトリックの皮膚分類ではⅢと測定されました。
さらに、このスキンテルのデータは、ブルートゥースでICON本体に飛び、パワー設定をしてくれます。
僕も最初は、自分はある程度経験もあるから、パラメータの設定を間違うことはまずないなと思って話を聞いていたのですが、考えてみればそういった驕りが事故につながりますよね。
レーザーによる事故を減らすことができますので、レーザー業界にも、患者さんにも利益をもたらすものです。
しかも、この機器の理論を聞いていたら、レーザー照射後に、皮下のメラニンがきちんと破壊されたか評価する診断機器のアイディアが頭に浮かびました。
これは十分に実現可能ですし、臨床的にも価値があるものですよ。
最近、工学的な研究を続けているので、セレンディピティが多いです。
今の研究がひと段落したら、ちょっと作ってみようかな(笑)?
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