医工学部が必要な時代へ その① 医者になったはいいけれど
おはようございます。
今日1月16日(水)はクリニックFの診療日です。
雪が降った後、一段と冷え込みましたね。都心も渋滞はだいぶ解除されたものの、路面に氷が残っているところも多々あります。引き続き気をつけてください。
さて、今日のブログは、少々真面目なお話。
医工学部という新しい学部の提案です。
書いているうちにちょっと長くなってしまったので、二回に分けてアップしますね。
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僕が現在研究の対象としているレーザー・アンチエイジングは、「美容皮膚科」という大きな枠組みの中にあるひとつの専門分野であると言えるかと思います。
2013年の段階で美容皮膚科に携わる医師は、圧倒的に皮膚科医か形成外科医(もしくは美容外科医)が多いと言っていいでしょう。
皮膚の専門家が治療の延長として美を追求すべく、ピーリングや注入剤、レーザー・光治療器を扱ったり、外科の特殊分野である形成外科医や美容外科医が造形に携わり、メスによって美を追求する延長で、肌を美しくするレーザー・光治療を扱ったり、その他の施術を行うわけです。
そんな中で、僕はといえば米国(AAD)や欧州(EADV)では皮膚科学会の会員ですし、日本では日本形成外科学会の学会員となっていますが、あくまでそれらはレーザー治療が前提にあり、その治療症例を報告するために所属しています。
すなわち、厳密に僕はそのどちらにも属していません。
意識の中では、自分は皮膚科医でも形成外科医でも、ましてや美容外科医でもないのです。
自分のバックグラウンドとして現段階で最もしっくりくるものは、米国レーザー医学会(ASLMS)専門医かもしれません。
そのため、日本の学会では少々変わり者扱いされることも、しばしば? です(笑)。
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僕の母方の祖父は明治生まれの皮膚科医で、昭和の初めに医学博士号を取得した人でした。
知的好奇心や研究心が旺盛で、若い頃は研究者としても多くの功績を残しました。
祖父の医師としての人生の一部は、祖父の死後、テレビ朝日系列の鳥越俊太郎さんの「ザ・スクープ」で取り上げられたこともあります。
晩年は静岡県三島市で医院を開業していました。
初島近くの沖で海水を採取し、医院で抽出して、オリジナルの神経痛に対する痛み止めの注射薬を作っていた時期もあると、クリニックを手伝っていた母に聞きました。
現在でいうペインクリニック診療という、痛み治療の先駆けのような感じの治療でしょうか。
そんな祖父をもつ僕でしたが、僕自身は初めから医師を目指したわけではありませんでした。
以前に書いたことがありますが、目指さなかった一つの理由は、名医の誉れ高かった祖父が、これからはもう医者の時代ではないと5人の子供を誰一人として医者にしなかったこと。
これからは医者に教える人になりなさいと、理学系や薬学系の研究者にしたのです。
昭和の初めにこの考え方が正しかったのかわかりませんが、その後医学が理学や薬学の発展のおかげで飛躍的に進歩したのは事実です。
また、昭和の初めに比較すると、医療訴訟なども増え、医師が暮らしにくくなりました。
僕が高校3年生の時に祖父が亡くなり、一族に医者が誰もいなくなります。
その後に初めて大学受験を迎えた孫が僕でした。
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一方僕は高校生の時には外交官に憧れて、もともと理系が得意だったのに、受験のために文転。東大法学部を受験して、結果、見事に落ちました。
そのため、すべり止めとしていた慶應義塾大学経済学部に入学し一度は籍を置きましたが、結局自分の進路を改めてそこで考え直すことになります。
外交官となる夢に遠くなった今、では自分はどんなことを大学で学び、卒業後どんな仕事に就くべきなのかということを考えざるを得なくなったわけです。
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悩みに悩んだ僕は、文系よりは元々好きで得意だった理系を、理系の中でも祖父の跡を・・・と考え、他大学の医学部を再受験して医師の道を選択することになります。
医師といっても、様々な専門の医師がいることをこの段階で漠然と理解していましたが、とはいえ自分自身はどういった専門の医師になるのかといったことは、正直この段階でまだ考えていませんでした。
医学生の時は、自分は外科系の医師になるのだろうという漠然とした思いはありましたが、国家試験までに6年間もあるので、とにもかくにもまずは医師免許を取得することが先。その後臨床実習までの期間に専門を決めれば良いだろうと思っていたのです。
読書が好きだったのもあって、医療を扱った小説や本も本当に沢山読みました。
中でも、 A.J.クローニンの「城砦」は記憶に残りましたね。
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そうして無事国家試験に合格し、医師免許を取得する歳になって、はて、と気づくことになるのです。
いくら考えても、既存の科に自分の行きたい診療科や研究科がない、ということに(苦笑)。
医師の仕事とは、人間の生命という大きなテーマに対し、自分の何を捧げ、どう役に立つかということに尽きるかと思います。
人間の生命とは、他の生命体とは違って体と心の両方によって維持されます。
時に、体と心のどちらもが、医師の力量によって寿命が左右される場合もあるのです。
基礎研究で役に立つのか、それとも臨床で役に立つのか。
自分の特性の中で、一体どこの何を使えば良い医師となれるものなのか。
自分でなければできない仕事とは、専門とは、いったいなんなのだろう?
20代半ばのまだ若き、社会経験の乏しい青年であった僕は、ここでまったく途方に暮れてしまったのです。
世界最先端のレーザー情報がわかる
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