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2013年5月24日 (金)

■2013年5月ドイツ出張⑤ミュンヘン空港で。 近代芸術の始祖としてのワーグナー

一昨日バイロイト祝祭歌劇場で行なわれたワーグナー生誕200周年記念式典に出席し、パリ行きの飛行機に乗るため、ミュンヘンに移動してきました。

ミュンヘンは、ワーグナーを後援したフリードリッヒ2世の住居があった場所。

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こちらの中央がフリードリッヒ2世。

手前の胸像がワーグナーです。

予定を詰め込みすぎて少々慌ただしかったドイツ出張でしたが、これから帰国です。

昨日記念祝典が行われたバイロイト祝祭劇場(Bayreuther Festspielhaus)は、ドイツ・バイロイトにある全館が木造のオペラハウスです。

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このオペラハウスは、リヒャルト・ワーグナーが「ニーベルングの指環」全4話を始めとした自身の作品の上演を目的として計画・設計し、バイエルン王ルートヴィヒ2世の後援を得て1872年に着工、1876年に完成しました。

現在でもワーグナーの子孫達が経営する特別な場所として知られます。

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こちらのお二人ですね。

7月から8月にかけて開催されるバイロイト音楽祭のチケットは、ドイツのワーグナー協会に入会しても、最低8年は待たされるというプラチナチケット。

僕も毎年ドイツに申し込みをしていますが、一度も通知が来た事はありません。

中学生のときにワーグナーを初めて聴き、衝撃を受けて以来、30余年の月日が経ちました。

いつかはこのバイロイト祝祭歌劇場の中で音楽を聴いてみたいと思っていたのですが、ついに生誕200周年という記念すべき年・記念すべき時にそれが叶いました。

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ワーグナーは、音楽家として近代舞台芸術を完成させた人物であるとも言われています。

祝祭歌劇場の内部をよく観察するとわかるのですが、馬蹄形の欧州の劇場というよりは、むしろ現在の映画館に近い階段型の劇場。

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さらに、通常は舞台目の前にあるオーケストラ•ピットが客席と舞台の下に配置されており、客席から見えないようになっているのです。

写真の舞台の前に、小さなピットの隙間が見えますか?

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オーケストラのスタッフが私服で演奏するのも、舞台の脇役に徹しているからこそ。

裏方も演者も、そしてもちろん観客も、この場に集うすべての人間が舞台に集中する事が出来るように、という配慮が随所に込められていることが、ここに来るとよくわかります。

先に書いたように、この劇場はゼンパー案が元になっていると言われています。ワーグナーが「盗用した」という説もありますが、それでもワーグナーがいなければこの劇場が完成しなかったこともまた事実です。

帰国後、こちらの記念式典の動画を見つけました。いつまでリンクがあるかわかりませんが、お楽しみください。

テレビや映画館の原型のような歌劇場を、ワーグナーの設計で作り上げたという訳です。

ハリウッドの監督も、揃ってバイロイトに見学に来ると言います。

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肝心の200周年特別記念演奏会の題目は

指揮 クリスティアン・ティーレマン

歌手 エヴァ・マリア・ヴェストブルック(ジークリンデ)

    ヨハン・ボータ(ジークムント)(リエンツィ)

    クワンチュル・ユン(フンディング)

曲目 楽劇「ワルキューレ」第一幕

    休憩

    楽劇「リエンツィ」序曲とリエンツィの祈り

    楽劇「神々の黄昏」ライン川と葬送行進曲

    楽劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」前奏曲

でしたよ。

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ワーグナーは思想家としても著名であり

「神は死んだ(も同然だ)(God is as good as dead)」

というドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェに多大な影響を与えました。

イギリスのターナーに始まる風景画の画家は神と宗教から離れることで芸術を完成させ、モネなどの印象派の流れを作りますが、ワーグナーは宗教や神と乖離する事によって成熟した現代芸術の始祖とも言えるのです。

今回一緒に旅行したワグネリアンの研究者仲間の言葉を借りると

「ワーグナーの業績は、レオナルド・ダ・ヴィンチに匹敵する」

と。

ここまでファンを心酔させる作曲家という意味でも、ワーグナーは他に類を見ないのではないでしょうか。

ワーグナーのためにバイエルン王国の財政が傾き、そのためドイツ統一が加速した・・・と言う歴史家も少なくないそうですが、彼の作品にはそういう人を熱狂させ、時に狂わせてしまうものがあるんですよね。

そんなワーグナーは晩年に、13作目の最後のオペラで「パルジファル」という神についての舞台を書きました。

今回ワーグナー生誕の地ライプツィヒでパルジファルを観る事が出来ましたが、本当に夢のような素晴らしい体験でした。

パリ行きの飛行機の時間が来ましたので、続きはパリで書きたいと思います。

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