■2013年5月ドイツ出張⑥パリ シャルル・ド・ゴール空港 ワーグナー生誕200周年記念式典を振り返って
ミュンヘンからのフライトで、パリ・シャルル・ド・ゴール空港にやってきました。
いよいよ帰国となります。
土曜日の朝より外来を再開いたしますので、またよろしくお願いいたします。
こちらはバイロイトで購入したリヒャルト・ワーグナー生誕200周年記念式典コンサートのパンフレットです。
シリアルナンバー付きでした。
僕も毎年かなりの数のパフォーマンスを観ていると思いますが、ワーグナーのオペラは格式といい、思想性といい、芸術性といい僕にとって特別なものです。
ワーグナーのオペラは平均4時間。
筋も難解で謎が多く、中でも「ニーベルングの指輪」の4部作は、音楽史上最大規模の作品です。
■序夜 「ラインの黄金」(Das Rheingold):2時間40分
■第1日 「ワルキューレ」(Die Walküre):3時間50分
■第2日 「ジークフリート」(Siegfried):4時間
■第3日 「神々の黄昏」(Götterdämmerung):4時間30分
簡単にあらすじをお話すると、手にした者は世界を支配できるという「ニーベルングの指環」を、小人族やヴァルハラの神々、巨人族、英雄ジークフリートなどが世代を超えて相争う物語なのですが、
特に楽曲中において、複雑に絡み合う登場人物の、特定の人物や状況などと結びつけられて繰り返し使われる短い曲想であるライトモチーフを多用し、この方式を広めました。
現在の映画やテレビでも使用されていますし、ハリウッドのダースべーダーのテーマなんてまさにライトモチーフにあたりますよね。
最終日にこちらのミュンヘン国立歌劇場で「椿姫」を観ました。
椿姫も大好きな演目なのですが、ワーグナーのオペラと比較してしまうと、さすがの椿姫も輝きを少々失ってしまいます。
1813年の同年生まれで今年同じく生誕200周年を秋に迎えるヴェルディも、晩年はワーグナーの芸術性の高さを脅威に感じていたようです。
ワーグナーは、19世紀という、先進国が宗教という概念を捨て、帝国主義と実利主義に向かう時代に、まさに思想的な補強として生まれ、さらに共感された芸術なのだと思います。
バイロイト音楽祭の参加が今年で6度目となる方とお話をする機会を得ました。
その方が
「舞台の上に正装のオーケストラが乗った事は、(バイロイト音楽祭では)過去に観た事が無いし、生の演奏を聴いてみると、毎年バイロイトに招集されるオーケストラの素晴らしさが分かる」
と言っていました。
今回の旅では毎晩ワーグナーの作品をドイツ語字幕で見ました。学生のときに習った懐かしいドイツ語を思い出しましたよ。
バイロイトのお土産に、古本屋に寄って、1913年の「さまよえるオランダ人」の楽譜と、1903年の「ニュルンベルグのマイスタージンガー」の楽譜、そして1883年出版の「バイロイト通信」を買ってきました。
僕にとっては本当のお宝。大切に保管しようと思います。
いよいよ搭乗時間が迫ってきました。
ではまた日本で。
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