フラクショナルレーザー機器 波長の性質の違い にきび跡治療に対する機器の使い分け
突然ですが、これはなにかわかりますか?
現在、来週シンガポールで開催されるIMCAS(International Master Course on Aging Skin)の講義にむけて、フラクショナルレーザー機器の比較についてプレゼンテーションを作っています。
2004年より、世界各国でも数多くのフラクショナルレーザー機器が開発され、市場に出ていきました。
◎ソルタメディカル社 フラクセル フラクセル2 フラクセル3DUAL
◎サイノシュア社 アファーム アファームマルチプレックス
◎ルートロニック社 モザイク eCO2(エコツー)
◎パロマ社 スターラックス1540 2970 1540XD
◎DEKA社 スマートサイドドット スマートサイドスクエア
・・・などなどを僕自身も臨床の場で使用してきました。
それではどこが違うのでしょうか?
レーザーで肌をリサーフェシングしようと思うと、下図左の図のように表皮最下層の基底細胞が障害されてしまい、治癒に時間がかかっていたのですが
レーザー径を右図のように櫛状にすることで、皮膚の再生に関わる表皮基底細胞を温存しようという考えから、この治療法は開発されました。
この考え方は画期的で、この10年間のレーザー治療を一気に進化させたといえます。
ただし、あまりに数が出てしまい、機器間の差がわからないという声があることも確かです。
フラクショナルレーザー機器は機器によって性質が異なるものの、そのポイントは4つあります。
1)波長選択
2)ビームモード進達度およびフォーカス
3)ビーム系に対する熱変成比率
4)スキャナの方式
です。
まず第一に波長選択なのですが、フラクショナルレーザー機器で使用される波長は、特に水に対する吸収率で機器の性能が変わります。
1320nmから10.6μmまで数多くの機器が登場しました。
レーザービームは
■加熱され細胞活動が活性化される(図オレンジ)。
→加熱され蛋白変成がなされ、壊死する(図赤)。
→加熱され皮膚が蒸散され穴が開く(図白)。
のように変化します。
例えば、こちらの図はフラクセル3DUALで照射した時の皮下の変化の組織像です。
1550nmで照射した場合と、1927nmで照射した場合では同じ20mJのパワーでも皮下の進達度が全く変わります。さらに、組織は蛋白変成はしていますが、蒸散はしない。
一方、こちらの図はフラクセルリペアで照射した時の肌の変化を表しています。
フラクセル3DUALの場合と皮下のほぼ同じ深さまで照射していますが、10600nm水の吸収度の高さから、組織の蒸散が起こっているのがわかりますよね。
にきび痕など深い組織の治療は、CO2を利用しなければならないことがわかります。
さらに、こちらの図は同じC02レーザーを使用した際に、ほぼ同じパワー設定の機器で、異なる機器を、肌に照射したケースです。
ビーム系や照射密度がずいぶんと違いますよね。
同じCO2レーザーでも、ビームの径のフォーカスポイントがどの深さに設定してあるかによって効果が全く異なることも、お気づきになるのではないかと思います。
フラクショナル機器の治療方法にも、疾患により最適解というものが存在します。
幾つかの波長と機器を使い分けることが、疾患の解析及び治療のスタートとなるのです。
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