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2014年4月17日 (木)

医療経営学の講演 自由診療クリニックの経営手法 マイケルポーター 経営の3つの基本戦略

おはようございます。

今日は4月17日(木)。クリニックFの診療日です。

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こちら先週アメリカはフェニックスのASLMS 米国レーザー医学会でお目にかかった、ハーバード大学ウェルマン研究所のロックス・アンダソン教授。

現在の皮膚科領域におけるレーザー治療の基礎理論を作り上げたこの世界で知らぬ者はいない名教授から、光栄なことに会場でお声をかけていただきました。

もともと彼は工学部出身。研究助手をしていたのですが、その優秀性から医学部に引き抜かれ、医師の資格を取ったのです。

「Selective Photothermolysis: Precise Microsurgery by Selective Absorption of Pulsed Radiation」

1983年にSCIENCEに掲載された彼の論文は、僕も読みすぎて何度読んだか覚えていないほどです。

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さて、昨日の休診日は、ホテルサンルートプラザ新宿で開催された、自費研カンファレンスという会で講演を行ってきました。

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依頼された題目は「自由診療クリニックの経営手法」。

最近はレーザー工学や薬学の講演をする機会が多いのですが、経営学は久しぶりでした。

平日にも関わらず、70名近い参加が会ったそうです。

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僕は大学院医学系研究科の博士課程の時に3院のレーザークリニック経営に関わった経験から、医師も経営に関して総合的な常識を学ぶ必要があると、2003年にビジネススクールの門を叩きました。

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「日本の保険診療下における医療機関の法人形態の転換―医療機関の株式会社化を含む病院経営の強化策について―」

という論文を提出し、MBA学位(The Univ. of Wales, UK)を取得しました。

その後、平成25年3月発行の日本美容外科学会会報(第35巻1号)にも、「美容関連診療所の経営強化策」の論文を掲載していただきました。

こちらは保険診療クリニックにアンチエイジング医療を補助エンジンとして加え、経営安定化をはかるための論文。

経営学には幾つかの基本理論があり、これは一定規模以上のビジネスをするためには“常識”として必ず修めなければならないものです。

しかし、これを自然科学的な学問に昇格することが出来るかというと、正直難しいというのが僕の感想でした。

あえて言えば、「ビジネススクールの教授達が実際のビジネスをしても、おそらく上手く行かない」のです。

それには、二つ理由があると思います。

●一つ目の理由は、「人間には永久の時間はない」ということ。

ビジネスチャンスというのは人生に数度しか訪れない。

この時に、投資するキャッシュと、経営に集中する時間がある人は限られています。

さらに、このチャンスをチャンスと認識できる第六感のようなものが必要です。

●二つ目の理由は、経営には「事象の再現性が無い」ことです。

自然科学の論文では、同じ実験を繰り返せば必ず同じ結果を導き出せますので、研究論文の対象になりますが、ある成功したビジネスマンと同じことをしても、業界のチェイサーとなることは出来ますがそれ以上の成功は望めないでしょう。

事業にはオリジナリティが必要です。

考えてみれば、事象の再現性がないという意味では、恋愛に似ていますね。

恋愛では、資質、情報、財力のすべてを投入したとしても、「絶対に勝つための理論」を作ることが出来ません(笑)。

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医療機関を経営し、成功させるためには、その機関が存続することが絶対条件です。

しかし、医療法人は商法上の法人ではありません。また、現在の段階では医療機関を存続させるために、株式を発行するなどの間接金融の手法を用いることは出来ません。

院長が自らのお金を出すのか、銀行などからの借金でまかなうか。直接金融に頼るしかないのです。

半公的機関として医療機関を維持するためには、

1)ただ金儲けをしているのではなく、利益を得ることで、より質の高い医療を普遍的に患者に還元する。

ことが必要です。

クリニックを経営するにあたり、僕がいつも話をしているのは、

マイケル・ポーターの「3つの基本戦略」です。

ポーターは企業の「競争戦略論」の第一人者で、彼の著書「競争の戦略」は経営学のバイブルの一つともいえますが、初めてビジネススクールでこの理論を学んだ時には、まさに目から鱗が落ちるほど衝撃を受けました。

ポーターは「競争の戦略」の中で、企業の基本戦略は突き詰めると3つしかないと述べています。

その「3つの基本戦略」とは

①コストリーダーシップ戦略

②差別化戦略

③集中戦略

です。

①のコストリーダーシップは、日本で言えば、トヨタやマクドナルドが選択している方針。

経営者に誤解されることが多いのですが、これは安売り戦略ではありません。

販売価格を下げるのではなく、社内の製造販売コストを下げて、純利益を上げることです。

2)経済がまわるためには、むやみに価格を下げて、未来の市場の刈り取りをするのではなく、正当な利益を得て、次の研究、投資に向ける姿勢が必要です。

②の差別化戦略は、事実上、僕のような個人クリニックが参考にすべき戦略です。

業界全体を市場として考えていますが、他者との競争において優位に立つために、低コストでなく、特異性を目指すものです。

業界では、フェラーリやポルシェ、またはモスバーガーなどがこの戦略を取っていると言えます。

3)他者との競争軸の方向を出来る限りずらし、戦争の機会をなるべく減らし、出来れば最初から戦わない。こちらは孫子の兵法の戦略ですね。

③の集中化戦略は、戦略のターゲットを特定のセグメントに集中する方法です。

自社の経営資源を、研究開発から製造、流通、広告宣伝、販売にいたるまでのすべての過程を特定の製品やサービスまたは市場に特化集中することにより、競争の優位に立つのです。

業界では、日野トラックやダイハツ。例えば歯列矯正のための機器や、工事現場の橋桁を作る企業などがこれに相当するでしょう。

4)一般的に長く存続する企業がこの戦略をとりますが、例えば世界最古の企業として知られる日本の株式会社金剛組(Kongo Gumi Co.,Ltd.)は、578年創業。寺社仏閣建築の設計・施工、城郭や文化財建造物の復元や修理等を主に手がけている企業です。

こうして考えると、個人クリニックとしては、差別化戦略を元に、

社会的な

ミッション(使命)

ビジョン(展望)

バリュー(価値)

を考えてクリニックの基本コンセプトを考えなければなりませんね。

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業界のニーズを理解し、今までにないオリジナルなコンセプトや、新たな経営形態のクリニックを生み出す作業は、僕自身も本当に楽しいです。

美容医療の中でも、レーザーによる肌質改善を専門とし、日々進化し続ける世界最高水準のレーザー医療を提供するために、1月に10日前後を海外出張で自分の勉強時間や思考する時間にあてようと、わずか30坪の小さな仕組みで始めたクリニックFも、今月で8年目になりました。

この仕組みのおかげで、海外での英語での講演も100を超え、念願だった工学博士号も取得し、多くの英文論文を書き世界に発表し、国内外のいくつもの医療機器メーカーと仕事をすることが出来ました。

しかしながら、そろそろ僕も、新たなコンセプトのクリニックを開きたいと思い、国内外で準備を始めましたよ。

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