カテゴリー「医療」の81件の記事

2009年8月28日 (金)

今日の僕 20090828

衆議院選挙が30日に行われますが、皆さん投票には行かれる予定ですか?

僕は明日から北京で行われる第六回 Medical Aeshthetics & Cosmetology という学会に二つの招待講演を引き受けています。

001 明日の朝一番の便で北京に向かいますので、今日はクリニックFの診療時間前に期日前投票に行ってきましたよ。

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2009年7月30日 (木)

レーザークリニックの利益還元

クリニックF

「患者さんにとって、とてもわかりやすいクリニックであること」

を信条としています。

いくつもの「わかりやすい」のひとつは、クリニックの仕組みについて。

「患者さんから頂いた治療代から、経費を差し引いて、もしも利益が残った場合、それは何に使われるのか」

という部分を、日頃から意識して明確化するようにしているのです。

株主が存在しない=株式会社ではない病院という組織では、院長・理事長の方針によってこの利益の使われ方は異なるわけですが、僕自身は、

「いつの間にかクリニックの内装がゴージャスになった」

とか

「クリニックが広いところに引っ越した」

とか

「病院や医者、スタッフが増えた」

とか

「いつの間にか院長が良い家に引っ越してる!」

とか(笑)

そういうものに使うのではなく、クリニックで治療を受けてくださった患者さんが後日御来院されたときに、治療内容のレベルアップをお約束できるような、利益があればそれをそっくりそのまま患者さんに還元される形が良いな、と考えています。

クリニックには常に、世界レベルでその技術力が認められている最新鋭のレーザー/光治療器を配備し、機器のメンテナンスを日々怠ることなく、またそれらの機器のポテンシャルを余すことなく引き出し治療にあたることができるよう、世界各地の学会で、最先端の情報と技術を仕入れてくる。

ここは絶対ぶれないよう、開業からずっと心がけているんですよね。

というわけで

実は

クリニック開院当時から丸2年間使ってきたレーザーを、今回新しく買い替えることにしました。

その話をしたら、スタッフにも患者さんにも

「ぎょっ」

とした顔をされ

(ま、また買うんですかっ!!!???) 

(まだ十分使えるんじゃないですか!!!!????)

という心の声まで聞こえてきましたが(笑)

たぶん誰一人気付いてないと思いますし、同じドクターでも気付かないくらいのごくごくわずかな範囲で、どうにも最近切れ味が鈍くなってきたような気がしていたのです。

今日は朝から銀行で海外送金を済ませ、それからクリニックに来たので、患者さんにその話をしていたら

「・・・先生は、“レーザーおたく”じゃなくて、実は“レーザー貧乏”なんじゃないの?」

と、言われてしまいました。

う・・・そうかもしれないなぁ・・・。

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2009年2月12日 (木)

機械で病院を選ぶ時代

みなさんは、病院を選ぶとき、何で選びますか?

ほんの10年前までだったら、その選択基準は 病院までのアクセス、規模や設備、そして医師の評判や実力であったのではないでしょうか。

特に医師の実力に関しては、医師・患者さんそれぞれに意識したり、こだわりがあったりするところだったと思います。

外科医の場合は、手術能力。

内科医の場合は、診断能力や優しさ。親しみやすさ。

あの先生は肝臓がんの名医だとか、今まで誰も見つけてくれなかった病気を発見してくれたのだとか、患者さんに親切で温かいとか、そういったファクターが病院の最も大きく重要な選択基準のひとつだったと思うのです。

医師はどこまでも専門家であり、職人であることを求められ、さらに人間力も求められてきました。

しかしながら、高度工学技術が医療の世界に入ってきてから、こうした医師の努力と実力、持って生まれた才能だけでは覆せない、もうひとつの基準が徐々に出来上りつつあるのではないかと思います。

それはその病院にどんな機器が揃っているのか。

そして、それらを正確に扱い解析できる医師であるのかどうか。

保険診療であれば、放射線科の抗がん治療器やSPECTやPETのような診断装置。

循環器科の心臓ペースメーカーや、人工補助心臓。

産科であれば、4Dエコー機器。

眼科であればイントラレーシック機器・・・などなど。

それぞれ数百万から数億円の投資が必要な医療機器ばかりなのですが、これだけ進歩が著しいと、

「医師の腕の違いが、機器の違いを越えられない。」

または

「優秀な医師でも、その機器が勤務先に導入されていないため、病院自体が患者から選ばれない。」

はてまた

「その機器を操作する環境に恵まれない為、操作をマスターできず最新の治療に遅れをとってしまう」

・・・といった事例がどうしても出てくるのです。

医者が経営者も兼ねる、病院という特殊な組織でこれは、時に悩ましいことではないでしょうか。

こと、自由診療の領域ではこの傾向が、じわじわとですが、顕著に見られるようになってきていると思います。

先日治療後に、とある患者さんと世間話をしていたら、その人が興味深いことを言っていました。

その方はお子さんを妊娠中、最初は小さなクリニックに通われていたのだそうです。

仮にこのクリニックをAクリニックとしましょう。

Aクリニックはこぢんまりとしていて分娩設備もないため、やがて妊娠後期になり、主治医の先生が懇意にしている、産科では大病院として有名で医師の知名度も非常に高い、B病院に転院することとなった。

さすがにこの世界では有名なB病院。設備もスタッフも素晴らしく、本当に良くして頂いた。

でもひとつ大きな違いがあった。

Aクリニックにはあった4Dエコーが、B病院にはない。

(ちなみに4Dエコーとは、いわゆる三次元(3D)の立体視画像を、さらにもうひとつの次元であるD(ディメンション)=すなわち時間経過を含めて見ることができる=動画で見ることができる というものです。

最新のエコー装置では、お腹の中の赤ちゃんの成長の度合い、手や指、足の裏などが立体的に見えたり、表情などを動画で見ることができます。起きているのかどうかも表情でわかるし、時に笑顔も見られたりするのです)

自分は検診の度に4Dエコーに映る赤ちゃんを見るのと、帰りがけにその写真をもらえるのをなによりもの楽しみにしていた。

検診の費用は決して安くないし、待ち時間もいつも長かったけれど、それを見るのが楽しみで楽しみで毎回きちんと通っていた。

マタニティブルーや、妊娠中のキツイ仕事も、その写真を見ると励まされ乗り越えることができた。

なのに、B病院にはそれがない。

大きな楽しみがひとつ減ってしまった。

B病院がいくら有名な大病院だとしても、

いくら知名度のある先生がいるとしても、

出来ることならそのままAクリニックに通い、Aクリニックで産みたかった。

・・・そう言うのです。

時代はほんとに変わったのだな、と僕はその話を聞いて思いました。

どんな機器がその病院にあるのか。そしてその機械からどんな感動とメリットを引き出せるのか。これに患者がこだわり、それを元に「患者が病院を選ぶ」。

これは10年前にはほとんど聞くことのなかった話です。

僕の専門であるアンチエイジング領域、美容皮膚医療では、しかしこの傾向はすでに数年前から見られていました。

サーマクールフラクセルアファーム、タイタン、パール・・・など、治療を受けたい「機械」がまず患者さん側に明確にあって、その機械がある病院であることを条件に、病院を探したり検索する患者さんが出てきたのです。

そして、もちろんその中から、お目当ての機械を使って確実に治療できる

「名器を使いこなす能力のある医師」

を更に絞り込んでいく。

いくら腕のいいピアニストでも、ピアノがない場所でその腕を披露することはできない。あるいは、ストラディヴァリウスのように、この名器の極上の音色を聴きたいから、そこから最高のパフォーマンスを引き出すことのできる、このヴァイオリニストのコンサートに行く。

そんなかんじでしょうか。

以前ならこういうことはなかった。患者さんはその病院の評判や悩んでいる疾患に応じて病院を選ばれていました。

雑誌やTV、ネット内で評判の病院だから。

毛穴治療で定評のある病院だから。

たるみを改善したい、

シミを改善したい、

肝斑やにきびを改善したい 

その設備がある病院だから・・・etc。

そのように選択し訪れる病院では、実際の治療法はあくまで医者・病院まかせであり、どんなツールを使うかまでを患者さんが指定することはなかった。

それが時代と共に変わって来た。

患者さんの情報レベルや病院に要求するレベルが上がってきたことと技術革新がシンクロし、「レーザー医療」という機器そのものにこだわり、特化した医療が確立され、その認知度とその分野の専門医であることの重要度が、急速に高まってきたのです。

治療をするためのレーザー機器は波長ごとに機器が必要なので数多くありますが、このハイテクのレーザー皮膚科の世界で、医者にとってのレーザー機器は、F1パイロット(レーサー)にとってのマシンみたいなもの。

マシンの性能差が僅差であれば、腕でカバーできる場合もありますが、挽回できない格差というものも確実に存在します。

アイルトン・セナやミハエル・シューマッハーがいくら優秀でも、マシンにある程度のポテンシャルがなければF1の世界で勝てないように、いくら優秀な医師でも、波長のぴったり合うレーザー/光治療器がなければ、この世界では厳密な意味での最適な治療法は導き出せません。

Qスイッチレーザーやフォトフェイシャルで治療できるレベルと、フラクセル、アファーム、eCO2などのフラクショナルレーザーで治療できるレベルには圧倒的に乖離があります。

本来であれば、こうした最新鋭のレーザー機器を大学病院に配備し、医師をトレーニングすることができれば、もともと器用な日本人医師ですから、日本の美容皮膚レーザー医療の技術は格段に上がるのでしょう。

しかしながら、これができない大きなハードルがひとつあるのです。

それは「厚生労働省」の新規機器の認可の問題です。

毎年のように米国をはじめとして、新しいレーザー機器などが開発されていますが、この機器が日本の厚労省で認可されるのには最低でも数年の時間と、検査のための相当の額のお金がかかります。

これは国民の生命を守るためには当然のことで、慎重な姿勢をとらざるを得ないのはよくわかります。けれど、FDA(米国の厚生労働省に相当する機関)などの認可は、日本に比べると遥かに早く、ことレーザーの分野では技術革新が速すぎて、日本で数年かかる厚労省の認可を待っていると、その間にまた別の新しいコンセプトのレーザーがデビューしてしまう。

厚労省の認可のないものは、文科省下の大学病院に入れることはできません。ですから最新のレーザーは、日本の大学病院には配備できないのです。

一方で、僕たち開業医は自分の医師免許を使って、レーザーを個人輸入するという手段で最新のレーザーにアクセスすることができます。

しかし、個人輸入するわけですから、所有権を他に移すことはできず、リースもかけられません。

さらに技術革新のすさまじいレーザー機器は、税法上の機器としての耐用年数は10年にされているにもかかわらず、実際に使用できる期間は3年余りと、償却年数に大きくズレがあります。

これが、レーザー医療開業医の経営状態を徐々に悪化させてゆく、トラップなのです。

クリニックFには、ニューヨークで最も有名なレーザークリニックとほぼ同じレーザー機器のラインナップがあることは、以前のブログでもお話ししたのですが、現在の機器を選択するのは、長い年月がかかりました。

僕は

「クリニックFで治療できなかった患者さんは、NYに行っても駄目」

・・・というくらいのレベルを維持しようという意気込みで、このクリニックFをやってきました。そのためにも、たとえ前年の利益が全部ぶっ飛んでも、「治療に必要な」最新のレーザーだけは、必ず購入すると決めています。

さて、こんな自由診療の現場での、医療全体を見れば「小さな」ムーヴメントが、果たして保険診療の臨床現場にも波及していくのか否か。

これまでの医者は“腕の良い職人”そして“良い人”であれば、“良い医者”だと言われていました。

病院は、そんな良い医師をどれだけ集めることができるか。患者さんからのアクセスをどれくらい確保できるか。ベッド数、科目数、臨床データの数などを看板に掲げてきました。

しかし、これからの時代、それだけでは患者から選択されないようになる。

多くの情報を収集する能力。

その情報群から必要な情報だけを選択する能力。

最新の機器に対する目利きがいて、それらを備え、操る能力。

加えると、医師にとってはその環境に身を置く嗅覚と先見性。

こうしたものを常に備え、先を読む重要性に気付くことの出来る医師と病院が、これからの日本の医療を変えていくことになるのではないでしょうか。

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2009年2月 4日 (水)

医学の進歩とは

世界の国際学会を回っていると、ひとつ改めて気付くことがあります。

「医学の進歩は、医師同士の議論によって進むのだな」

と。

新しい機器や薬が出たときに、その英文論文を根拠にご紹介(売り込み?)に来て下さる企業の方がよくいらっしゃいますが、研究者として医療に従事していた人間としては、それを頭から信じることは出来ません。

統計のマジックや、実験のプロトコールの立て方によって、いくらでも新しい機器や薬剤に有利な研究結果を提示することが出来るからです。

優位差を出すための「手の内」は、良く知っています(笑)し、簡単には騙されない自信もあります。

まず、その内容やプロジェクト、商材に自分のアンテナが引っかかるかどうか、ピンと来るかどうかを見極めた後、次に僕が行うことは、その種の関連論文で、対抗論文が出ていないか、そして、その数の多さをチェックすることなのです。

世界各国で新しい薬や治療方法は、学会の発表か、論文によって医学誌に発表されます。

この発表や論文が優れた、そして画期的であればあるほど、多くの施設で「追試」なるものが行われます。

同業者が本当にその方法で正しいのか、見極めるのです。

皆が興味のある分野、注目される分野だから、確認をしようとするわけですね。

ある理論が提示され、それが正しいとサポートする論文と、間違いを指摘する反論論文。

過去の経験から、この論文の数が多ければ多いほど、その理論が皆に注目を浴びていて、しかも効果的だと思われる場合が多いと言えます。

今では、西洋医学は万能のように思われていますが、顕微鏡と抗生物質が開発された時を本格的な西洋医学の歴史の始まりと考えると、その歴史は100年もありません。

Photo_3 世界初の抗生物質が発見されたのは、1929年。写真のイギリス人医学者アレクサンダー・フレミングによってでした。(画像はウィキからお借りしました。)

ブドウ球菌の培養実験中に、ブドウ球菌の生育が阻止される領域が生じる現象を発見したフレミング。そこにアオカビが生じていたことから、のちにアオカビの学名(Penicillin Notatum)にちなんでペニシリンが誕生したことは、有名ですよね。

西洋医学はその後飛躍的に発展していきますが、その中で生まれたのが、新しい発想の医療=「アンチエイジング医療」です。

その歴史はまだまだ浅く、アンチエイジングの分野は、そもそも論文の数自体が少ないですし、さらに現在の新しいサプリメントや治療が、30年後にどういった効果、そして作用/副作用を及ぼすかは、実際には現在まだまだ人体実験中のものも多くあるのだと思います。

新しい治療法や薬に出会った時には、そうした状況を前提に、医師は自分の持つ医学知識に照らし合わせて、理が通っているかどうかを考え、一人ひとりの患者さんにとって、利と不利を判断し、本当に必要か否かを毎回立ち止まって考えることが大事だと思うのです。

たとえば、FDAでの認可及び評価が目まぐるしく変化している「ハイドロキノン」。

美白剤としての効果は誰もが認めているものですが、白斑症をはじめとしたその他の危険性を提示する論文が数多く提出されています。

クリニックFでは、メニューに載せてこそいませんが、希望の患者さんに対して裏メニューとしては存在しています。

そして、「プラセンタ点滴

効能を考えるとメリットも多く、完全否定するのはもったいないと思うのですが、感染の可能性を考えるとメニューには載せられない。

ただし、患者さん個人で使用する量を決めた後、仕入の薬剤を100本程度を一括購入してロットを連番で揃え、連続したロットを一人の人に使ってもらえれば感染のリスクは格段に下がるので、希望者にはその方法を提案しています。

最近国内の医師の間でも広まり始めた、ライナス・ポーリング博士の「メガビタミンC療法

これも1965年当時から、反論が沢山出て、何度も葬り去られた理論ですが、しばらくすると、不死鳥のように議論が湧き上がってきます。実際に効能を実感する患者さんや医師がいるという証拠でしょう。

栄養学的に体内のビタミンC必要量を考慮すると、ここまで大量のビタミンCは必要ありません。日々の食事に気をつけたり、足りない場合にもサプリメントの量で十分だと思います。

しかし、メガビタミン療法は、

「若く健康な人が、それを維持するために必要な栄養としてのビタミンC濃度」

の多寡や必要性を議論しているのではないのです。

35歳を超えると、活性酸素を除去するために必要な、SOD活性が急激に低下しますので、老化や癌の助長因子である活性酸素を除去できなくなります。

そこで、ビタミンCの持つ抗酸化作用をSODの代わりに使用する。ここが、メガビタミン療法のポイントであり、ここをまず理解できないと、とんちんかんな議論になってしまうのです。

ビタミンCは3時間でほぼすべてが尿から排出されますが、その3時間の間に活性酸素を「キレート(=排出・除去)」することを目的に、あの量のビタミンCが集中的に必要となる。

ここでビタミンCに期待される役割は、「掃除やさん」。

掃除が終わればゴミと一緒に一度出て行って欲しい=そのままビタミンCが体内に留まっていればそれは意味がない、ということがこれで想像つくかと思います。

ビタミンCの特性である

「3時間でほぼすべてが尿から排出されてしまう」

というところに目をつけたところが、云わばこの療法第二のポイントであり、これを逆手に利用している点が画期的なわけです。

流行の言葉で言えばいわゆる「デトックス(解毒)」をその3時間で行ってくれているのと一緒ですから、仕事が終わった“必殺仕事人”には、速やかに去っていって欲しい・・・=むしろ時間と共に体外に出てもらった方が良い、ということが言える。

この作用のために使用することを考えると、若返りを含めた美容目的や抗老化、疲労や糖化、ストレスなどによって進んでしまった酸化の抑制、さらに抗癌作用を期待する場合は、必ずあの量を「点滴」で導入することが必要となります。

サプリメントなどの経口剤で、口から取り入れたビタミンCでは、どんなに大量に摂取しても、「解毒」に必要な血中濃度には上がらないのです。

ビタミンCについての、今までと違った新たな効能を生かすために、必要濃度と、投与方法が違うということなのです。

さらに、最近流行の化粧品の素材であり、コラーゲンやエラスチンを増やす作用のある細胞増殖因子=「グロースファクター」(EGF FGF IGF-1など)。

これらは基礎医学論文、つまり動物実験やシャーレ上の細胞では、確実に効果が証明された素材です。これが臨床医学で、実際の体内に入れたときにどうなるかはグレーなのではないでしょうか。

女性ホルモンや、男性ホルモンを注射する、ホルモン補填療法やドーピング療法も同じだと思いますが、リスクの見極めがまだ成されていない。女性ホルモンで言えば、閉経後のエストロゲン療法などでは乳がんのリスクも上がります。

増殖系の蛋白を皮下に入れることには、癌化を引き起こす可能性を完全に否定できず、自分としてはまだ抵抗があります。

勤務医だった時代も慎重だった方だと思いますが、開業し自分自身が患者さんすべての命と責任を背負っていると思うと、さらに輪をかけて慎重になりますよね。

いつまで経っても、日々勉強です。

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2008年12月28日 (日)

電子カルテ

海外出張に行くと、もうひとつ勉強になることがあります。

それは患者さんの情報管理について。カルテをどのようにしているのか、国や地域による様々な違いを知ることができることです。

最先端を走るのは、やはり今回出張で行ったアメリカではないでしょうか?

003写真のようなモニターが施術室に設置され、受付とのオンラインで繋がっているクリニックが主流となってきているようです。

全ては紙でなく、電子カルテ化されており、施術前・施術後の写真や情報もここでチェックできるようになっています。

クリニックによっては、外部につながるネットワークであるインターネットと、画像などの情報と診察内容を管理する院内で閉じたネットワークであるイントラネットを併設するところが多いです。

日本での電子カルテシステムを取り囲む環境は・・・と言えば、保険診療を行う病院ではだいぶ整ってきているようですが、自由診療のレーザー/アンチエイジングクリニックで採用するものに関しては、まだまだ課題が多いように感じています。

実際僕自身も、顧客管理システムや電子カルテシステムを過去のクリニックで導入した経験がありますが、納得のいくものにはまだ出逢ってないですね。

最近の大学病院では、すでにあるシステムをいくつか独自に組み合わせ採用するような流れもあるようですが、個人クリニックの規模ではなかなかそこまで出来ない現状があります。

また、サービスを重視する上で、電子カルテでは管理しきれない情報というものも生まれます。欧米のクリニックでは、日本的なホスピタリティや細やかさを患者さんが求める、ということはまずありませんから、システム化も多少楽なのでしょうね。

クリニックFでは、画像や会計などはPC管理で電子化し、施術内容は紙のカルテを使うといった併用をしています。毎回の診察で撮影した写真は、カルテ番号の名前のフォルダで管理するのです。

二つのファイルを共有化させるためのカルテの整理番号は、患者さんの誕生日にしています。

たとえば1月1日生まれの方で、初めてクリニックにいらっしゃった患者さんは

0101-001番

となるのです。同じ誕生日の方が来た場合、一番下の番号が2になります。

つまり

0101-002

というわけです。

誕生日で顧客管理すると、あいうえお順で管理するのに比較して、一度に患者さんを365分割できるのでとても楽ですよ。

困った時も、患者さんに誕生日をお聞きすれば、カルテもデータもすぐに見つけられるわけです。

こうすると、ファイルメーカーなどの高価なデータベース管理ソフトが要らないのですよ。

これから開業される先生にはお勧めです。

また、ちょっと話はずれますが、この仕組みでおもしろいことがひとつあります。それは、予約表を見ると似たような番号の患者さん=つまり誕生日が一緒だったり近い患者さんが、同じ日の予約に集中することがあるのです。

棚にずらっと並んだカルテを見ても、

なぜかこの月生まれの患者さんはすごく多いけど、この月は少ない

とか

同じ誕生日の人が集中して、末尾の番号がすでに6番まで来ている日があったり

とか

不思議なことがあるのです。

ちょっと言えないですが、患者さんの中でも、個性的な人の誕生日が集中している月とかあるんですよ(笑)。

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2008年11月29日 (土)

ユダヤ人に多い病気

そういえば、イスラエル出張中にふと思い出したのですが、実は最近日本人にも増えているある疾患で、イスラエル人に多く見られるものがあることを御存知ですか?

実はユダヤ人に多い病気はいくつもあります。腸の疾患であるクローン病や潰瘍性大腸炎。血管の疾患であるバージャー病(TAO)などなど。

そんな中、日本人にも増えている疾患として最も注目すべきは「多血症」です。

多血症とは、赤血球増多症とも呼ばれ、血液中の赤血球量が正常範囲を超えて増加した状態です。

血液の粘稠度が増すため、頭痛・眩暈などの非特異的な中枢神経症状や高血圧が出現する他、脳梗塞・心筋梗塞などの原因にもなり得ます。

治療法としては、赤血球の増加によるものの場合、心筋梗塞・脳梗塞などの合併症を回避するとともに、自覚症状を軽減する目的で「瀉血(しゃけつ)」が行われます。

瀉血とは、血液を抜いて赤血球濃度を薄めるもので、これにより粘度が高まらないようになるのですね。

一般には高地で生活を続けると、反応性に多血症となることがあります。

しかしながら、この多血症に「真性多血症」と呼ばれるものがあります。これは、骨髄原発の白血病類縁疾患であり、化学療法の適応となるのですが、これがユダヤ人に発症することが多い病気なのです。

真性多血症とは、まれな悪性腫瘍の一種であり骨髄の異常な増殖により赤血球の他、白血球、血小板とも増加するものです。

中年以上の男性に好発し、血小板は増加するものの機能は低下しているためむしろ出血傾向を示します。急性骨髄性白血病への進行があり得るため、楽観はできません。

TVなどで「どろどろ血」と言われる状態は、調べてみると多血症である場合がありますから、注意が必要ですね。

ふだんから予防及び進行を止めるためにできることは、脱水症状を避けるため、出来るだけコマメに水を飲むこと。(利尿作用の強いお茶などではなく、水や白湯などをメインに)

飲酒・喫煙を控えること。

飲酒をどうしても止められない人の場合は、肝臓への負担も考え、せめて適量の蒸留酒(焼酎・ブランデー・ジン・ウォッカ・泡盛・テキーラなど)に留め、飲酒の際その倍量の水をチェイサーとして摂取していただくことをお薦めします。

アルコールの分解には水が大量に使われてしまいますから、脱水症状を招くことによって血液の粘度を高めないためにも必要なのです。

酒飲みからすると、

「喉が渇いたから、水の代わりにビールを一杯!」

が、この上なく旨いこともわかりますし、この時期熱燗やワインを控えなきゃいけないことがツライのもわかる。「水を飲んでください」と言うと、

「金魚じゃないんだから水ばかり飲めるか!」

という気持ちも、僕自身酒飲みとしてよくよくよくわかるのですが(苦笑)、健康の為、そしてお酒をこれからも適度に楽しむためにはやむを得ません。これから本格的に忘年会のシーズンが始まりますから、くれぐれも気をつけてください。

そして、適度な運動を心がけること。肥満は厳禁です。

今後この日本でも益々増えることが予測されるこの疾患。ユダヤ人に何故多いのかと言えば、遺伝子の違い、環境要因や食生活もあるのでしょうが、興味深いですね。

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2008年10月24日 (金)

人間の体は左右対称なのか?

クリニックで皮膚・・・主に顔をメインとしたアンチエイジング治療を行っていると、患者さんの顔を診察でも治療でも、経過の写真でも毎日観察することになります。

そして思うのです。

人間というのはつくづく左右対称ではないのだな、と。

だからこそ、美術や建築などの世界では、シンメトリー(対称性)・・・左右対称な様式美を追求してしまうのでしょうね。自分が不完全であることを知っているからこそ、「完全」に憧れてしまう。

医者の視点で解剖学的に人体を考えると、そこからすでに人間は左右非対称です。

人間の体を縦に真っ二つに切ったとき、右半身と左半身では、どちらが重いかご存知ですか?

一般の人は心臓が左にあるのだから、当然左が重いのではないかと考えるかもしれません。

ですが、実は心臓に関して言えば先端が左にあるというだけで、実質心臓の大半は体のほぼ中央にあります。

では、どちらが重いのでしょう?

正解は右半身です。

人体の中で脳の次に重い実質臓器は、肝臓です。肝臓の体積の内、その8割が身体の右半分にあります。

真っ直ぐに立っているつもりが、鏡で見ると右肩の方が下がっている場合があります。あるいは右足の方が長く感じるときがあります。これもこうした臓器の位置による影響があるのです。

また、船や車、バスなどで車酔いを起こしたとき、右を下にして横向きになると楽になると聞いたことはありませんか?

これは、胃の位置が関係しています。

胃は右を下にしたほうが安定するので、胃の内容物が逆流しづらくなるのです。

他には、妊婦さんが横になるとき、左を下にして横向きで横になるとよいと、医師が指導する場合があります。

妊婦さんは子宮が大きいので仰向けで長時間眠ると、子宮が背骨の右側にある下大静脈を圧迫します。心臓へ戻る血液が減少すると、動悸や息切れがおこり、貧血と同じ状態になります。母体に酸素が不足すると赤ちゃんも苦しくなるため、左を下にすることで、下大静脈の圧迫が減り、血液の循環が良くなるのです。妊婦特有の腰痛も、左を下にして、クッションや枕などを膝で挟むことで軽減されます。

右脳と左脳がまったく違った働きをすることも、最近わかってきましたよね。

美容医療の現場でも、ニキビやたるみ、シワ、毛穴・・・など、いずれをとっても左右対称ではなく、どちらかの方が他方より、より深刻です。

最近「身体のゆがみをなおす」「左右対称に近づける」という施術があるようですが、これらは体をスケルトンにした、いわば骨格組織だけを考えた施術なのかなと考えさせられます。

医師の視点で考えれば、「左右対称に近づける」のではなく、「左右非対称」を受け入れ、左右どちらの機能も理解し、その上で「相互作用」の視点からどちらもうまく活用する為にはどうしたらいいのか考えていく方が、建設的のように思います。

人間は、左右非対称であることに意味があるわけですからね。

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2008年10月23日 (木)

歯茎から血!!

パリから帰国したのは先月の15日でした。報告をブログに書くだけで一ヶ月かかってしまった計算になります。

それにしても2008年も海外出張が多い年でした。

2月 エジプト カイロ大学でレーザーの講義

3月 ニューヨーク レーザークリニック見学

4月 フロリダ 米国レーザー医学会(ASLMS)発表

5月 イースター島 方位取り??

6月 ソウル 韓国美容皮膚科学会 招待講演

7月 シンガポール IMCAS 招待講演

7月 南アフリカ エンビロン開発医Dr.フェルナンデス訪問

8月 カナダ コントロバーシー&カンバセーションズ 学会参加

9月 ベトナム レーザーワークショップ

9月 ベトナム レーザーテレビ出演

9月 NY・ボストン ハーバード大学ウェルマン光医学研究所訪問

9月 パリ ヨーロッパレーザー皮膚科学会(ESLD) 学会参加

9月 パリ ヨーロッパ皮膚性病科学会(EADV) 学会発表

来月の頭にはイスラエルの出張も控えていますが、今年に入って出張した国は、すでに12ヶ国を数えます。特に9月は月の半分が海外出張でした。

最新医療の、こと1年おきに新しく登場するレーザー治療に関しては、当然、教科書も出ていないですし、実際に学会に参加してディスカッションすることで得られる「生」の知識がとても大切だと思っています。

「こんな話がされていた」なんていう学会の報告書をもらっても、あまり役には立ちません。

カタログ上に出ているスペック表を見ると、理論上は同じ機能があるはずのレーザー機器も、製造会社の技術力によって安定度や効力が全く違うことがあるのです。

また発表、講演するドクターも、企業が用意したプレゼンテーションを使用するときもあり、発表自体が企業寄りのデータになることもあります。

最新鋭の機械を扱うこの分野に関しては、いくら時間がかかっても、現地に足を運び、開発者と、使用者に腹を割って話を聞いて、実際に使用してみることがとても大切なのではないかとおもいます。

患者さんに質問されたり、レーザーの治療効率が悪かったりするときに、ふと、

「そういえば前の学会でそんな話をしていたな」

と思い出すのです。

意識の下に知識が刷り込まれるのでしょうね。

閑話休題

今までもいくつもレーザークリニックに携わってきましたが、代診の医師を入れてしまうと、患者さんとの距離が遠くなってしまいます。クリニックFに来てくれるレーザーの患者さんは、非常勤医師を入れずに、からなず自分で診ようと思ってこのクリニックを作りました。

でも、東京で外来をやりつつ、これだけ出張すると、疲れもたまります。さすがに先月は体力が落ちてきて、先月のパリでは滞在中に奥歯の歯茎が剥けて、なんと血が出てきたのです。

歯茎から出血するとき、歯科医ならばだれでも歯周病を考えるといいますが、医師ならまずビタミン類(特にビタミンC)の不足による栄養不足を考えます。

もちろん単なる栄養不足なら安心なのですが、白血病などの血液疾患の初期などでも歯茎の出血が起こります。

血友病や、紫斑病、血小板減少症、肝硬変のように、血液凝固にかかわる因子が低下している場合も起こります。もっと悪いと歯肉癌などの悪性腫瘍の可能性もあります。

今回は栄養が問題だったらしくて、出血は帰国したらすぐに治りましたが、海外でそういったことがおこると、たとえ医学の知識を持っていたとしても、びっくりしますよね。

そんなこともあって、実は今月、北京で行われる中国形成外科学会で招待講演を依頼されていたのですが、初めて国際学会の講演依頼をお断りしてしまいました。この10月は、久しぶりに一度も海外出張のない月を迎えているのです。

こうしてそろそろ紅葉の季節を迎える日本で、日本ならではの食事が毎日続く生活を送っていると、

「やっぱり日本はいいところだな」

と改めて感じています。

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歯茎から血!!

パリから帰国したのは先月の15日でした。報告をブログに書くだけで一ヶ月かかってしまった計算になります。

それにしても2008年も海外出張が多い年でした。

2月 エジプト カイロ大学でレーザーの講義

3月 ニューヨーク レーザークリニック見学

4月 フロリダ 米国レーザー医学会(ASLMS)発表

5月 イースター島 方位取り??

6月 ソウル 韓国美容皮膚科学会 招待講演

7月 シンガポール IMCAS 招待講演

7月 南アフリカ エンビロン開発医Dr.フェルナンデス訪問

8月 カナダ コントロバーシー&カンバセーションズ 学会参加

9月 ベトナム レーザーワークショップ

9月 ベトナム レーザーテレビ出演

9月 NY・ボストン ハーバード大学ウェルマン光医学研究所訪問

9月 パリ ヨーロッパレーザー皮膚科学会(ESLD) 学会参加

9月 パリ ヨーロッパ皮膚性病科学会(EADV) 学会発表

来月の頭にはイスラエルの出張も控えていますが、今年に入って出張した国は、すでに12ヶ国を数えます。特に9月は月の半分が海外出張でした。

最新医療の、こと1年おきに新しく登場するレーザー治療に関しては、当然、教科書も出ていないですし、実際に学会に参加してディスカッションすることで得られる「生」の知識がとても大切だと思っています。

「こんな話がされていた」なんていう学会の報告書をもらっても、あまり役には立ちません。

カタログ上に出ているスペック表を見ると、理論上は同じ機能があるはずのレーザー機器も、製造会社の技術力によって安定度や効力が全く違うことがあるのです。

また発表、講演するドクターも、企業が用意したプレゼンテーションを使用するときもあり、発表自体が企業寄りのデータになることもあります。

最新鋭の機械を扱うこの分野に関しては、いくら時間がかかっても、現地に足を運び、開発者と、使用者に腹を割って話を聞いて、実際に使用してみることがとても大切なのではないかとおもいます。

患者さんに質問されたり、レーザーの治療効率が悪かったりするときに、ふと、

「そういえば前の学会でそんな話をしていたな」

と思い出すのです。

意識の下に知識が刷り込まれるのでしょうね。

閑話休題

今までもいくつもレーザークリニックに携わってきましたが、代診の医師を入れてしまうと、患者さんとの距離が遠くなってしまいます。クリニックFに来てくれるレーザーの患者さんは、非常勤医師を入れずに、からなず自分で診ようと思ってこのクリニックを作りました。

でも、東京で外来をやりつつ、これだけ出張すると、疲れもたまります。さすがに先月は体力が落ちてきて、先月のパリでは滞在中に奥歯の歯茎が剥けて、なんと血が出てきたのです。

歯茎から出血するとき、歯科医ならばだれでも歯周病を考えるといいますが、医師ならまずビタミン類(特にビタミンC)の不足による栄養不足を考えます。

もちろん単なる栄養不足なら安心なのですが、白血病などの血液疾患の初期などでも歯茎の出血が起こります。

血友病や、紫斑病、血小板減少症、肝硬変のように、血液凝固にかかわる因子が低下している場合も起こります。もっと悪いと歯肉癌などの悪性腫瘍の可能性もあります。

今回は栄養が問題だったらしくて、出血は帰国したらすぐに治りましたが、海外でそういったことがおこると、たとえ医学の知識を持っていたとしても、びっくりしますよね。

そんなこともあって、実は今月、北京で行われる中国形成外科学会で招待講演を依頼されていたのですが、初めて国際学会の講演依頼をお断りしてしまいました。この10月は、久しぶりに一度も海外出張のない月を迎えているのです。

こうしてそろそろ紅葉の季節を迎える日本で、日本ならではの食事が毎日続く生活を送っていると、

「やっぱり日本はいいところだな」

と改めて感じています。

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2008年9月 5日 (金)

甲状腺の病気

先日は内分泌系とホルモンについて書いてみましたが、実はクリニックFに美肌治療でおいでになる患者さんの肌を見て

「? これは甲状腺機能が正しく機能していないのでは?」

と思うときがあります。

甲状腺は体内の代謝に深く関わっているので、たとえば甲状腺ホルモンが低下してしまうと、肌の「ターンオーバー機能」が低下します。肌のターンオーバーがうまくいかないと、レーザー治療を行っても、たとえばシミが落ちにくいとか、肌のハリが出てこないといった、治療計画で当初想定していた効果を得られないことがあるのです。

また、診察の段階で皮膚の色や質感を見て、「これはちょっと疑ってみた方がよいかもしれない」と思うこともあります。

その場合は率直に

「これは、ひょっとすると甲状腺疾患の疑いがあるかもしれないので、一度専門の病院で精密検査をした方がいいかもしれませんよ」

と患者さんにお伝えしています。

そんなことを今まで医師から指摘されたことも、自分で疑いを持ったこともない患者さんは、それを聞いてびっくりし、「甲状腺」という言葉に動揺もされます。けれど、僕からの指摘を受け、しかるべき病院で検査を行ったところ、甲状腺機能亢進症や低下症はもちろん、甲状腺のガンが見つかって手術になったケースもありました。

早い段階で手術ができたので大事には至りませんでしたが、もしあのときちょっと気になってその話をせずに、大事な患者さんの生命に関わることがあったら・・・と思うと、ぞっとしますよね。

ホルモンの中でも甲状腺の病気の怖さは、その機能が不全でも、

「最近なんだかちょっとだるいことが多いけど、これは歳のせいかも」

とか考えてしまい、自分が病気かもしれないことを疑いもせずに過ごしている方が、実は結構多いのでは? ということではないでしょうか。

また、こうした病気がわかるたびに思うことは、

「皮膚とはいかに雄弁であることか」

ということです。

人間の最も大きな臓器器官であり、心身の状態を鏡のように映し出す皮膚。

皮膚の健やかさ、若々しさを保つことは心身の健康を維持することにつながるのです。

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2008年9月 3日 (水)

内分泌系とは?

アンチエイジングに関わる病院で、必ずテーマのひとつとして挙がるのが、内分泌系の機能向上です。

「ホルモン」は耳慣れた言葉ですが、「内分泌系」については、あまりよくわからない方もいるかもしれませんね。

今日はこの「内分泌」について、書いてみましょう。

私達の体の中では、種々の作用を持つ物質がうまく調和して全身の臓器に作用し、人間の生命を維持し、生体のホメオスタシスつまり恒常性( 正常な機能を維持する仕組み)や正常な代謝機能を保っています。

これらの、正常な機能を保つのに必要な体の機構が「内分泌代謝機能」と言います。

そして、この内分泌代謝作用を示す物質を「ホルモン」と呼ぶのです。

ホルモンは体内の臓器で作られる物質で、タンパク質を作るアミノ酸が数百個繋がってできているペプチドホルモンや、ステロイド骨格を持つホルモンなどがあり、血流を通じて標的臓器に伝達されます。

ホルモンの量が十分になると、下部組織からホルモンを抑制する物質がでますし(ネガティブフィードバック)、反対にホルモンが足りないと下部組織からホルモンを刺激する物質が出て(ポジティブフィードバック)生体が維持できるように制御しているのです。

ホルモンを作って分泌する臓器を「内分泌臓器」と呼びますが、これには視床下部、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、 膵臓、副腎、卵巣、精巣、心臓、肝臓、腎臓などの多くの臓器があります。

これらが複雑に機能し合って、体内の血圧や血糖、電解質を一定にするとか、こどもの成長に関わるとか、生殖機能を維持し糖や脂肪の代謝に関わるなど、体内の調節を行っているのです。

医学の進歩の中では、それまで「この臓器はホルモンを分泌していない」と考えられていた臓器が、実は内分泌臓器であることが発見される・・・ということも起きてきました。

例えば近年では、脂肪(あぶら) を貯蔵するだけの機能しかないと思われていた脂肪組織が、実はホルモンを作り分泌する内分泌臓器の仲間だったことがわかって来ました。

ホルモンを作る内分泌臓器の障害により、ホルモン分泌の異常(増加又は低下)が起こった状態か、 またはそのホルモンが作用する対象臓器の異常(ホルモン受容体やホルモン情報の障害)により、ホルモン作用の異常が起こった状態を内分泌疾患と言います。

内分泌代謝疾患には当然、糖尿病や高脂血症、高血圧などが含まれますが、これまで原因不明の精神疾患(ノイローゼやうつ傾向など)として放置されてきた疾患なども、実は内分泌疾患が関わっていることもあり、内分泌代謝疾患を正確に診断し、治療することは非常に重要です。

内分泌疾患をいくつか例に挙げると

1.  視床下部・下垂体 ・・・ 脳内にあるいわば内分泌系の司令塔です。(小人症、先端巨大症、乳汁漏出症など)

2.  甲状腺 ・・・ 生体の代謝に関わります。(バセドウ病、甲状腺機能低下症など)

3.  副甲状腺 ・・・ 血中カルシウムの量をコントロールしています。(高カルシウム血症、骨粗しょう症など)

4.  膵臓 ・・・ 内分泌器官としては血糖をコントロールするホルモンであるインスリンやグルカゴンを作っています。(糖尿病など)

5.  副腎 ・・・ 体内の電解質を制御しています。(高血圧症、低血圧症など)

6.  卵巣・精巣 ・・・ 生殖機能に関わります。(インポテンツ、無月経、不妊など)

7.  心臓 ・・・ 血流量と心臓の収縮力を制御します。(心不全など)

8.  腎臓 ・・・ 赤血球を作るホルモンを作ります。(貧血など)

9.  脂肪組織 ・・・ 最近わかってきた内分泌器官です。 (肥満症、高脂血症など)

こうしてずらっと挙げてみると、ホルモンの多寡によって、病気も発生するということがわかっていただけるのではないでしょうか?

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2008年8月31日 (日)

「代謝が悪い」って?

1173683227 最近太った・・・

気がつけば数年前より5kgも増えてる・・・

加齢と共に太るのは、

「代謝(たいしゃ)が落ちたから」

「代謝が悪いから」

と言われたことはないですか?

「でも、この“代謝”ってそもそも一体なんですか?」

と、先日ふいに患者さんから聞かれました。その時にお答えした事を今日はここに書き出してみたいと思います。

代謝とは、医学的には生体内の化学反応のことを指し、体外から取り入れた物質から他の物質を合成する、またはエネルギーを得たりすることを言います。

生体の代謝経路には、主に「解糖系」、「β酸化」、「TCA回路」、「電子伝達系」などがあります。

それぞれ簡単にここで説明すると

糖を分解してエネルギーに変えるのが、「解糖系」

脂肪酸を分解してエネルギーに変えるのが、「β酸化」

解糖系やβ酸化で出来た「アセチルCoA」という物質をよりエネルギー効率の高い「NADH 」という物質に変換させるのが「TCA(クエン酸)回路」

そして、この「NADH」などをより効率の高いエネルギーに変換するのが「電子伝達系」

となります。

これで見ていただくとわかるように、蓄積された脂肪を分解してエネルギーに変えるためには、この「β酸化」の経路を正しく働かせる必要があるのです。

代謝という言葉が使われている用語で、「基礎代謝」という言葉があります。

基礎代謝は人間に限らず、生物が生きてゆく上で機能を保つために最低限必要なエネルギーをさします。体温や脈拍、呼吸に対するエネルギーはこの基礎代謝に含まれます。

基礎代謝の機能は、身体の脂肪を燃焼させることに大きく関わってきます。

基礎代謝が良い、高い人というのは栄養素を燃やしてエネルギーに代え、消費する働きが活発であるということで、食べても太りにくい人と同一視されます。

基礎代謝量は10代のころに最も大きくなり、それをピークに減少してきます。特に40代を過ぎると大きく減少するため、20代と同じ量の食事を食べていたとしても、50代には体重が増えてしまう・・・という現象が起きるのです。

患者さんの話を聞いていると、女性の場合は、30歳前後、35歳前後、40歳前後・・・と、だいたい5年ごとの周期で、代謝機能が階段を一段下がるように落ちていくような感覚を味わうようです。それに伴って皮膚の状態も変わりますから、普段のスキンケアや美容医療との関わり方もその都度見直さなければなりません。

クリニックFでは、5年前の状態に戻し、そのラインをキープすることを目安に皮膚と身体のアンチエイジングに取り組んでいます。熱治療と各種ビタミンやアミノ酸などの処方で、代謝機能も確実に上げていくことができるのです。

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2008年8月 6日 (水)

口唇ヘルペス

「口唇(こうしん)ヘルペスの既往があると、レーザー治療はできません」

と言われたことはないですか?

クリニックFでの問診表にも、ヘルペスの既往歴を書いていただく欄があります。

ちょうど昨日

「この“ヘルペス”ってなんですか? どうしてレーザー治療に関係あるんですか?」

と、ある患者さんから聞かれたので、ここで簡単に説明しておきたいと思います。

ヘルペスとは、

「皮膚や粘膜に小さな水ぶくれ(小水疱)が集まった状態」

のことです。「ヘルペスウイルス」の感染によって起こります。

ヘルペスウイルスの特徴は、一度感染すると、症状がなくなった後にもウイルスが神経節に潜んでおり、抵抗力が落ちると潜伏していたウイルスが神経節から出てきて再発を繰り返すというものです。

レーザー照射を口の周りに行うと、ヘルペスが再発するといった例がまれにあるため、きちんとした診療を心がけるクリニックでは、たいてい診察の段階で口唇ヘルペスについて事前に確認するわけです。

では、具体的にどういった症状が起きるのでしょうか?

ヘルペスになるとまず、皮膚の違和感が起こり、「かゆみ」や「ほてり」を感じます。

半日ぐらいすると口唇の周りが赤くはれ、1~3日で水ぶくれとなり、かさぶたになって治る・・・といった経過をたどります。

もしこうした症状に心当たりがあれば、一度診察を受けておくことをお勧めします。

ヒトヘルペスウイルスは、実は8種類もあり、中でも上記の症状を示す「アルファヘルペスウイルス」に属するものは3種あります。

口唇ヘルペスをおこすものは、単純ヘルペスウイルス1型。

性器ヘルペスをおこすものは、単純ヘルペスウイルス2型。

水ぼうそうをおこすものは、水痘・帯状疱疹ウイルスといいます。

どれもが皮膚に同じような水疱を作りますし、体力が落ちた時、疲れた時など免疫力が落ちたときに再発すると言うのは一緒なのですが、それぞれ違ったウイルスなのです。

口唇ヘルペスを防ぐのは、やはり体調管理と休養・休息、睡眠、そして十分な栄養を取ることにつきます。

細菌を殺す抗生物質の開発に比べて、抗ウイルス薬の開発は遅れましたが、現在はアシクロビルなど、口唇ヘルペスに効果的な薬も処方箋や薬局で買うことができるようになりました。ただ自己診断は禁物ですね。必ず専門の医師に指示を仰いでほしいものです。

クリニックFでも、自費診療にはなってしまいますが、こういった薬を処方することもできるので、患者さんからは美容やアンチエイジングの相談の際に気軽にお声を掛けて頂いています。

特に夏場は思ったよりも身体が疲れていますから、ヘルペスの再発に注意が必要な季節なんですよ。

「人間は夏に老いる」

という言葉もありますから、くれぐれもお体には気をつけてくださいね。

僕も今日は一日診療を休んでゴルフに出かけてきます(笑)。

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2008年5月16日 (金)

ダイエット専科

001_080516_2 クリニックFにアメリカ製の新しいサプリメントが入荷しました。 

超吸収型 ダイエットサプリメント

DIET EXPERTS 453ml 21,000

タブレットやカプセルでサプリメントを摂っても、実はその20%しか身体に吸収されないことを御存知ですか? アンチエイジングブームに乗って、かなりの金額を月々のサプリメント代に使っている方も多いようですが、

「毎朝何粒も飲むのは大変だし、しかもその20%しか吸収されないんじゃお金ももったいない。良いのがあったらクリニックで仕入れてもらえないか?」

と患者さんからよく言われていました。

そこで、サプリメントに含まれるすべての成分を身体に届けるために、液体状で、且つダイエットにもアンチエイジングにも美肌にも効果のある成分が、ぎっしりひとつに濃縮されたものがないか、探し求めてきました。

なぜなら固形状のサプリメントが吸収率20%に対し、液体状のものであれば、最大で98%まで身体に浸透することができるからです。

昨日からクリニックで紹介できることになった「DIET EXPERTS」は、実に124種類もの栄養素と機能性成分が盛り込まれた、医師の視点から見ても理想的な高吸収液体状サプリメントです。

1日わずか15ccで、美容と健康を維持するために必要な栄養素を確保することが出来ます。

最近疲れが顔に出やすい方、メイクのノリが良くない方、体力や記憶力の低下を感じられている方、倦怠感や不眠などに悩まれている方にもオススメですよ。

一応内容成分を書き出しておきますね。

内容成分一覧

  • ビタミン・・・ βカロテン、ビタミンB群、CDEK、葉酸、コリン、ビオチンなど14種類

  • ミネラル・・・カルシウム、銅、ヨード、鉄、マグネシウム、リン、カリウム、セレン、亜鉛など11種類

  • アミノ酸・・・アラニン、アルギニン、グルタミン酸、グリシン、システイン、ロイシン、セリン、チロシンなど17種類

  • 脂肪酸/オイル・・・リノレン酸、γリノレン酸、αリノレン酸、パルミチン酸、オレイン酸、月見草オイルなど8種類

  • 機能性成分・・・ヒアルロン酸、CoQ10αリポ酸、朝鮮人参、マリーゴールド、カテキン、リコピン、ルテイン、βグルカンなど20種類

  • ベリーエキス・・・エルダーベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、ストロベリー、ラズベリー、クランベリー、ワイルドベリーの7種類

  • 果物/野菜エキス・・・バナナ、トマト、キウイ、桃、マスカット、マンゴー、パイナップル、ライム、アロエ、赤ピーマン、たまねぎ、サツマイモ、ほうれん草、にんにく、オリーブ葉、ペパーミント、リコリス、人参など47種類

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2008年4月28日 (月)

コラーゲンを飲むと肌に良いのか?

ここのところ、患者さんに立て続けに

「コラーゲンを飲んでいるのだけれど、本当に肌に良いのでしょうか?」

という質問を受けます。

これって、どうなんでしょう?

Collagen_triple_helix コラーゲンはタンパク質の一種です。この図のように三つのらせん状のタンパク質が絡まった構造をしています。この大きな物質が、消化管から体内に取り込まれるためには、少なくとも分子量100程度のアミノ酸まで分解されないといけません。

つまり、コラーゲンの骨格がそのまま体内に吸収されるわけではないのです。

では、コラーゲンを食べる(飲む)ことで、分解吸収されたアミノ酸の、栄養効率はどうなのでしょう? はたしてコラーゲンを作るのに役立つのでしょうか?

人間の体では、20種類のアミノ酸が必要です。

コラーゲンに含まれるアミノ酸は、リジンやプロリン、グリシンを多く含む半面で、必須アミノ酸であるトリプトファンを全く含まないといった偏在した性質があります。つまり、コラーゲンよりももっと効率よくアミノ酸を摂取できる物質は他に数多くあるのです。

実際にはアミノ酸は、タンパク質をはじめとした栄養を含んでいる食品類をバランスよくとっていれば摂取量が不足することはありませんので、「コラーゲンを新生するための栄養素として意味がある」とっいった議論も否定されるのです。

つまり、「肌に良いのでコラーゲンを飲む」という仮説を、医学的に立証するには、少々無理があるということです。この仮説を支持する医師は、おそらくいないでしょう。こういった視点でこれらの健康食品や飲料の広告を改めて見てみると、どこにも肌に効くとは書いていません。これが広告のマジックなのでしょう。不思議ですよね。

コラーゲンは化粧品に配合すると、保湿効果がありますので、保湿剤という点では意義はあります。ですが、化粧品に配合したコラーゲンが肌に浸透するものではありません。(最近はマイクロコラーゲンといった肌に浸透する細切れのコラーゲンがあるということですが、医学的に実証はされていません。)

「皮下のコラーゲンを増やすには、現状ではレーザーや光治療器を使用するしかない」

というのが僕の持論です。

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2008年4月23日 (水)

メタボリック「スキン」シンドローム

少し前まで、肌の老化は「=(イコール)酸化である」と考えられてきました。

紫外線、ストレスなどによって活性酸素が生じ、それによって肌は劣化し、錆びついてくすみ、弾力が落ちたるんでいく・・・と考えられていたわけです。

しかし現代人の肌において、最近「酸化」よりも問題視されているのが、実は

「糖化」

と呼ばれる現象です。

「メタボリック症候群」が注目を浴びているように、そもそも日本や欧米諸国において今は「栄養過多」の時代。内臓にストレスをかけているだけでなく、肌にも深刻な影響を与えているのです。人類は、生物として生まれて以来、飢餓への対処法はDNAに多く刻まれていますが、飽食に対する危機への対処法はほとんどなかったに等しいのです。 飽食への危機は、まさに人類史上始まって以来の初めての危機であるということです。

若々しい肌のキーワードである「ハリ、ツヤ、弾力」に、コラーゲンとエラスチンが深く関わっていることは皆さん御存知のとおりです。真皮層のコラーゲンによって皮膚はハリを保ちツヤを出すことができ、エラスチンによって弾力を保つことが出来るのですが、老化した皮膚には「良質のエラスチン」ではなく「劣化したエラスチン」が増えてしまう、という現象が起きます。

この「劣化エラスチン」がなぜ増加してしまうのか?

それは、エラスチンが糖化してしまうことが原因です。

糖によって架橋形成されたタンパク質は弾性を失い、劣化変性しているために「エラスターゼ」という酵素で分解されずに停滞してしまうのです。

怖いですよね。

糖化(グリケーション)を押さえる為には、血糖及びインスリンを低く保つことが必要不可欠です。

5年前と比べて明らかに肌が劣化していると感じる方は、「メタボリック“スキン”症候群」にかかっているのかもしれません。美容医療と生活習慣双方向からのアプローチを考えてみてください。

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2008年2月25日 (月)

世界最古の医療器具の絵

003 この日はバスに揺られて約5時間。アスワンまでの途中、コムオンボ神殿に立ち寄りました。

夕陽の差し込むなか、プトレマイオス朝(紀元前4世紀)に建てられたコムオンボ神殿を散策しましたが、中に興味深い壁画を見つけました。

0071 それがこれです。写真をクリックすると大きくなりますが、この図がなんだかわかりますか?

この図は、第三王朝時代にジョセル王に仕え活躍した宰相、イムホテプの作成した医療器具の図なのです。

イムホテプは史上初のピラミッドであるサッカラの階段ピラミッドを設計した人物でもあり、この功績の後、古王朝時代には多くのピラミッドが設計されました。彼は同時にすぐれた医師でもありました。死後は「知恵、医術と魔法の神」として神格化された人物です。

この図を見ていると、今でも使用している器具もあります。良く見ると、はさみも描かれていますね。同じ職業を持った者として、彼の功績には、感嘆せざるをえませんでした。

013 小高い丘にあるこの遺跡から、この日もナイル川に沈む夕日も見ることができました。

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2007年12月12日 (水)

ビタミンCがガン細胞を殺す

 Vitaminc_2 

今日はクリニックFの休診日でした。僕は在宅診療の日だったのですが、向かう途中偶然本屋で立ち読みしていて見つけたのがこの本です。

「ビタミンCがガン細胞を殺す」

「ビタミンCの大量注入療法は果たしてガンに効果的があるのか?」

という議論は、古くから医師の間でなされていました。

ライナスポーリング博士による「メガビタミン療法」という言葉を聞いたことはありますか? 一度は米国医学会から葬り去られた彼の理論は2005年にPNAS(米国科学アカデミー紀要)に採択された「薬理量濃度のアスコルビン酸は選択的にガン細胞を殺す:過酸化水素を癌組織へ移送するプロドラッグ作用」( 2005;102:13604-13609 )という論文によって、また注目を浴びることになりました。大量ビタミン療法がやはりがん治療において無視できない理論であったことが再確認されたのです。

この論文を一般読者向けに噛み砕いて書かれたのがこの本です。

家に帰ってから論文の原文を読んでみました(下にアブストラクトを貼り付けます)。ほんの10年前なら、よい論文を見つけても、大学の図書館に通って、内容を確認しなければならなかったのです。これが大学病院勤務医と開業医の知識差を作っていたのですが、今は英語を読むのが苦でなければ、自宅から原文をチェックできるのです。日々勉強している医師ならば、どんな地域にいても最新の医学知識にアクセスできる。インターネット時代の素晴らしいところです。

この実験では、バーキットリンフォーマという悪性リンパ腫の細胞を使用していますが、大量のビタミンCが、その抗酸化作用により、正常の細胞に影響なくガン細胞のみを破壊することが出来るということが証明されています。ガン細胞を破壊できるまでビタミンCの血中濃度を上げるためには、ビタミンCを静脈に注射をするしかないのですが、その方法は医師であればいたって簡単であり、しかも抗がん剤などとの併用も可能です。

しかし残念なのは、この方法は、日本では現在、保険診療が出来ないということです。日本の保険診療は、国民に低い自己負担額で、医療のアクセスを保障したと言う点では世界に胸を張れる素晴らしい制度だと思いますが、こと最新医療に関しては、厚生労働省が保険診療を認可するまで、試すことが出来ないというのは残念な話です。

ちなみに、現在世界で使われている販売実績ベスト100の薬の中で、日本の保険診療下で使用できるのは60程度。つまり世界で最も売れている薬の3分の1が日本で保険診療では使用できないのです。これは世界の主要30カ国のうちで27番目の数字です。驚くべきことだと思いませんか?

僕のクリニックFでも、最新のレーザーは、自分の医師免許を使って個人輸入しています。そうでもしない限り、世界と同じレベルの医療は提供できないのです。

今後、日本の医療がこれから転換をしてゆかなければならない分野ですね。

Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 Sep 20;102(38):13604-9. Epub 2005 Sep 12.

Pharmacologic ascorbic acid concentrations selectively kill cancer cells: action as a pro-drug to deliver hydrogen peroxide to tissues.

Molecular and Clinical Nutrition Section, National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.

Human pharmacokinetics data indicate that i.v. ascorbic acid (ascorbate) in pharmacologic concentrations could have an unanticipated role in cancer treatment. Our goals here were to test whether ascorbate killed cancer cells selectively, and if so, to determine mechanisms, using clinically relevant conditions. Cell death in 10 cancer and 4 normal cell types was measured by using 1-h exposures. Normal cells were unaffected by 20 mM ascorbate, whereas 5 cancer lines had EC(50) values of <4 mM, a concentration easily achievable i.v. Human lymphoma cells were studied in detail because of their sensitivity to ascorbate (EC(50) of 0.5 mM) and suitability for addressing mechanisms. Extracellular but not intracellular ascorbate mediated cell death, which occurred by apoptosis and pyknosis/necrosis. Cell death was independent of metal chelators and absolutely dependent on H(2)O(2) formation. Cell death from H(2)O(2) added to cells was identical to that found when H(2)O(2) was generated by ascorbate treatment. H(2)O(2) generation was dependent on ascorbate concentration, incubation time, and the presence of 0.5-10% serum, and displayed a linear relationship with ascorbate radical formation. Although ascorbate addition to medium generated H(2)O(2), ascorbate addition to blood generated no detectable H(2)O(2) and only trace detectable ascorbate radical. Taken together, these data indicate that ascorbate at concentrations achieved only by i.v. administration may be a pro-drug for formation of H(2)O(2), and that blood can be a delivery system of the pro-drug to tissues. These findings give plausibility to i.v. ascorbic acid in cancer treatment, and have unexpected implications for treatment of infections where H(2)O(2) may be beneficial.

http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pubmed&pubmedid=16157892

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2007年10月31日 (水)

在宅の日

今日はクリニックFの休診日です。僕の方はこれから何軒かのお宅に伺って、痛みの治療を行う「在宅医療の日」です。

もう何年になるでしょうか。月に何度かこうして伺っています。毎月僕のことを待っていてくれる患者さんがいるのです。ありがたいことに。

普段関わっているレーザーという最新の医療分野を探求する日々と、こうした医師としての原点に立ち戻る日々を行ったり来たりすることで、自分の中で医者としてのバランスを保てているのかもしれません。

ホスピスなどターミナルケアの分野でも、いつかなんらかの形で自分が役に立つことができたら・・・と思っています。

在宅の前に、府中で2時間ほどかけてゴルフの練習をしてきました。ドライバーは得意なんですが、アプローチが苦手なんですよ(苦笑)。

では、これから行ってきます。

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2007年9月 4日 (火)

アメリカの医療現場

02487952 毎週読んでいる週刊誌のひとつに「週刊文春」があります。そのなかで、「大リーグ養成コラム」という大リーグ評論のコラムがあっていつも楽しみに読んでいるのですが、このコラムを書いているボストン在住の李啓充さんという方が、実は京都大学を卒業した医師で、元ハーバード大学の助教授だったことを知って、著作本を読んでみたくなりました。

そこで購入したのがこの本「市場原理が医療を亡ぼす アメリカの失敗」です。この本はアメリカの医療の実情を述べている本で、内容は衝撃でした。ぜひ医療関係者は読んで頂きたいと思ったのですが、筆者が主張する中で的を得ているなとおもったのがこの文章です。

「日本の医療制度の抜本的改革が必要といわれて久しいが、改革の名に全く値しないものとなっている。現在の医療保険財政の危機が長年の失策の結果生じたものに対する反省もないまま、患者の自己負担増と診療報酬の切り下げという当座の銭勘定のやりくりでその帳尻を合わせようとしているに過ぎない。」

本を読み終わったときに、中でも印象に残ったのは、国家政策として医療の「コスト」「アクセス」「質」の三つを同時に達成することは、夢物語に過ぎないということです。ひとつあるいは二つまでしか達成はできないと。

英国は「質」を維持しながらも、先進国の中で医療費に対するGDP比率が7.7%と医療「コスト」を抑制してきたが、手術待ちが、数ヶ月から数年と長くなり、癌の患者さんが手遅れになってしまう例が多発し「アクセス」が悪化した。近年医療費を他の先進国並みにGDPの10%上げるという英断を下した。

米国は医療費のGDP比率が14.6%と、先進国の中で最も医療「コスト」が高く維持しているため、お金のある人に対しては「アクセス」と「質」の高いものを手に入れられるが、反対に6人に一人が無保険者となり、医療費破産する人たちが急増している・・・。

日本は先進国の中では医療費のGDP比率が7.8%とイギリスについで医療「コスト」の低い国です。しかも国民皆保険という制度があり、「アクセス」を保障している。ただこのふたつを達成することで、弟三のファクターである医療の「質」が犠牲にされていることがあると言えるのではないでしょうか? 

日本の医療問題は、政治家の方々が心配している医療費にかかる「コスト」の問題ばかりではなく、医療の「質」に対する投資という「コスト」についても議論されるべきだと考えさせられました。

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2007年8月10日 (金)

人に興味をもつこと

先日のブログ「主人公の気持ちを答えなさい」に補足すると、つまり僕を含め医者は医学部を出たあと、ある勘違いを訂正されないまま医師としてのキャリアを積んでしまうことが時にある、ということではないかと思います。

それは何かと言えば、

「医者の務めとは病気を治すことである」

ということにフォーカスしすぎて、病気に苦しむ患者さん・・・という「人」ではなく、その患者さんが抱える「病気」自体に興味を抱いてしまう、ということが往々にしてあるということです。

炎症を治療し、腫瘍があれば取ることを考え、痛みがあれば緩和する手段を講じ、見たことのない異型の細胞が見つかればどういう手を打つべきものかと空を仰ぎ、悩む。大学病院にいた頃は、それこそが医師の仕事であり、その仕事が完璧にできることを目指していたと思います。

そして「病気」に「気持ち」はない。

しかし開業し、しかも病気を専門に扱う病院ではなく健康な人を対象にした病院で仕事を始めたときに初めて気付きました。

医者とは「病気」ではなく「人」を扱う仕事であることを。病気ではなく人に興味を持たなければ、この仕事は続けていけないことを。その患者さんがふだんどんな生活を送り、どんなことを考え、今どんな気持ちでいるのか。それがわからないと必ず壁にぶつかるのです。

こうして文章にしてみれば、至極当たり前で「何を言ってるんだ今更」というかんじですが、これを頭でなく体で理解するまでに時間がかかりました。

医者は専門職であり、常にプロでなければならないと思う気持ちに変わりはありませんが、病気の向こうにある「人」に視線を常に向けていけば、医者と患者さんとの間に病気を超えた信頼関係が生まれ、その人が病気であってもなくても一生診ていくことができる。

これからの時代に必要なことではないかと思います。

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2007年7月28日 (土)

はたして美は健康を作るのか?

昨日のブログで、“美は健康の上にしか成り立たない”という文章を書きましたが、反対に「健康は美の上に成り立つことができる」ということも言えるのだなと、この仕事をしていると気付くことがあります。

たとえば病に侵された病床で、髪を整え化粧を施し、その顔を鏡で確認することで、毎日に「ハリ」が生まれ病と闘う気構えが変わるというような話はよく聞きますよね。

大学受験のときに亡くなった僕の父方の大伯母はとても美しく強い人だったのですが、病に倒れたときも、診察の前には必ず化粧をし、指にエメラルドの指輪をはめ、身支度を整えて担当医を待っていました。そのときの姿を母がよく僕に話してくれました。

クリニックを開業してからは、シミやシワをレーザーで改善してあげることで、患者さんの顔がぱーっと明るくなって雰囲気も華やぎ、オーラみたいなものががらっと変わるのを何百人も見てきました。

美しくなることで、生きる力や健康状態まで変わったと患者さんから実際言われたこともあります。

僕達男性にとってはシミがひとつ消えたところで、見た目の問題だけで心の変化はあまりないと思うのですが、女性にとってはとても大きな問題なんですよね。

「このシミが綺麗に消えて、本当にハッピー。」とか、「化粧のノリが違うと、朝から心がうきうきする」といった言葉を、レーザー治療をした患者さんから聞くたびに、女性は美しくなることで、生物として自信を持つことができ、さらに心も健康になるのだとしみじみと感じます。

健康であることには、「肉体的な健康」と「心の健康」の両方の側面があるのだと思いますが、年齢や事故や病によって「肉体の健康」が損なわれても、人間の心はそれによって損なわれること無く踏みとどまり、健康を取り戻すことができる。

「心の健康」はいくつになっても守ることができるのです。

「アンチエイジングとはバイタルフォース(生きる力)を上げること」と教えていただいたことがある、と以前書きましたが、これはそのまま

「美しくなることは、女性のバイタルフォースを上げること」と言えるのではないかと思っています。

そしてそのお手伝いを自分ができれば、これほど嬉しいことはありません。

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2007年7月 9日 (月)

アトピー性皮膚炎とレーザー

クリニックFでは基本的に「病気の治療」を行うことはありません。病気治療のために必要な機材・設備・スタッフと美容医療のために必要な機材・設備・スタッフは微妙に異なるため、個人クリニックで両方をカバーしようと思うと、余るほど潤沢な資金がある場合は別ですが、そうでなければどちらかが中途半端になってしまう、と個人的に思っているからです。

たとえば、にきびやアトピー性皮膚炎は「病気」として捉え治療することが重要となります。皮膚表面からの美容的アプローチだけでは限界があるのです。内臓疾患や心的ストレス、栄養管理、生活習慣、体質の改善・・・など多角的にアプローチする必要があり、そのためには専門分野の異なる医師がタッグを組むこともときに必要となります。こうした症状が出ている患者さんは自律神経が乱れた軽い「自律神経失調症」になっている方や甲状腺ホルモンや女性ホルモンなど、ホルモンの分泌が乱れている方もいますから、科で言えば婦人科・内科・皮膚科・・・などそれぞれの医師が必要となる場合も十分にありうるわけです。

この中で僕の専門性を生かせる部分としては、主に顔の皮膚に対して「皮膚体力を上げる」というところになります。具体的に言うと、「にきびの出来にくい肌」「アトピー性皮膚炎になりづらい肌」を土台から作り直していくという作業です。

アトピー性皮膚炎で言うと、顔にアトピーが出ている人の場合、バリア機能が完全に乱れ、ちょっとした刺激にも敏感となり、症状が悪化してしまう・・・という悪循環に一度はまって抜けられなくなってしまうケースがよく見られます。こうした患者さんにその疾患を改善させるような「治療」を施すことはできませんが、皮膚自体をレーザーの照射で強くして、「アトピー性皮膚炎になりにくい肌」にしていくことは可能です。

このときクリニックに揃っているレーザーの中から患者さんの皮膚の厚さや症状に合わせて最も合うものを選択し、定期的に来院していただくことで、ちょっとの刺激では「揺らがない」肌を作ることが可能となるのです。

アトピー性皮膚炎の方は人知れず悩んでる方も多いでしょうし、このじめじめとした季節にはつらい思いをされている方も多いと思いますが、「肌体力を上げる」ことに興味のある方がいたら、ぜひ一度ご相談にいらしてください。今までの症例もありますから、お役に立てると思いますよ。

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2007年6月29日 (金)

年齢を若く見せるコツ

A 僕は美肌を作る仕事をして長くなりますが、患者さんが初めて診察室に入ったときに、男性でも女性でもほぼ1歳ずれずにその方の年齢を当てることができます。今までに数万人の肌を診ているわけですから当然なのかもしれませんね。一般的には「シワの数を見て」歳を数える人もいるようですが、写真などを撮ってみると、必ずしもシワの多い人=歳をとっている人でないことがよくわかります。

Photo_17 実際の年齢よりも見た目の年齢が若く見える人には、三つのポイントがあると思います。

一つめは、肌のテクスチャーです。肌が老化すると、コラーゲンやエラスチンなど、肌を構成する要素が劣化しますので、いわゆる“乾燥し”“たるんだ”肌になり、10代・20代特有の"水を弾くようなピチピチした肌”や30代くらいで出せる“手に吸いつくようなしっとりとした潤いある肌”からは遠ざかります。

若々しさには肌に「水」が含まれ「弾力」のあるかんじが大切なのですね。

二つめは、色素系の老化です。歳をとると“シミ”はもちろん、そばかすや色むら、くすみが増えてくると思いますが、これは日光を浴びる時間やいわゆる「酸化ストレス」に比例して起こります。

また、これはメイクによって違いが出る部分でもありますが、実年齢よりも「老けて」あるいは「やつれて」見える人というのは、目の周りが黒ずんでいたり口角や法令線のあたりに「影」があったり、またまだらに「赤ぐすみ」してる人も多くみられますよね。

三つ目が顔の輪郭のたるみです。30歳をすぎると法令線が出てきます。40歳を過ぎると、あごの横に操り人形のような“マリオネットライン”というものが出てきます。歳とともに、頬の一番高いところが、目の下1cmぐらいの場所から、1.5cmぐらいの場所まで下がってきます。また目の特に目尻の部分の皮膚がこれもわずかに数ミリ下がってくるのです。

綺麗に見える人と見えない人、若々しく見える人と老けて見られてしまう人の違いは、美容医学の世界ではほんの数ミリです。数ミリの違いが、大きく顔の印象を変えてしまうといえます。

では、レーザーでどこまでこうした「老化のサイン」を改善できるのでしょうか? 美容整形や、ヒアルロン酸・ボトックスの注入といったプチ整形と異なるレーザーの美点は、こうした老化のサインに対し、非常に緩やかで自然、かつ確実な効果が望めることです。そして何台ものレーザー機器を揃えているクリニックでは、患者さんの肌に最適な機器をそのときの状態に合わせて選択できるのです。

まず、一番目のテクスチャーの改善については、西洋人に対してはスキンリサーフェシングという特殊なレーザーを肌全体に照射する方法がありました。アジア人の肌にこれが適応できるようになったのは2004年に発売されたリライアント社フラクセル以降といえます。

現在はサイノシュアー社アファームやフラクセルⅡなど、肌をすばらしく改善できる機器がいくつも登場しています。「ミニマムアブレイティブ」といわれる新しい分野に存在する機種は、適応も効果もそれぞれに全く違う。この患者さんの肌ならこちらの機械、あの患者さんの肌ならあちらの機械・・・というふうに分かれるのです。

次に二番目の色素の改善に関しては、1999年に発売されたルミナス社のフォトフェイシャル(IPL)以降、すばらしく効果のある機械がどんどん開発されてきました。いわゆるノンアブレイティブといわれる施術です。

2002年に登場したシネロン社のオーロラは日本ではその代表ですし、その5世代あとの進化型モデルともいえるE-MAX SRAなどは、クリニックFでも使用していますが、肌に何も負担なく、シミだけが浮き上がる様に、技術の進歩を感じます。

最近使用しているキュテラ社のライムライトは、パルス幅というパラメータが非常に短くまで設定できるので、肝斑や、より薄いシミに対応できます。ホワイトニングの機械というものは、照射の技術よりはむしろ、機器の選択に熟練がいりますね。

最後に三番目のいわば顔の輪郭を改善する機械ですが、これは2003年に登場したサーマクールが“痛い”“高い”とはいうものの、一回で施術が終わることなどを考えると、やはり一番効果があると思います。

現在はサーマクールNXTという機種に変わっていますが、顔の若返りや、妊娠後のおなかのたるみ、バストアップも含めて、効果は圧巻です。

他ではキュテラ社のタイタンXLやシネロン社のポラリスWR、リファームSTなどが痛みもなく、よい効果を残していますね。機種によって特徴があるので、より適した機種を選択する必要があります。

そして、機種の選択よりもっと大切なのは、照射する部位と打ち方の技術です。昨日もある美容ライターさんが来院し、目をぱっちりさせたいという要望があったので、リファームSTを照射したのですが、顔の輪郭からショットの場所を決定し、わずか30発あまりで見違えるように目がぱっちりしました。その効果に、思わず僕自身も

「お~」

と感嘆の声を上げてしまいましたよ(笑)。

タイタンやリファームSTは、同じ機械を使用しても、技術によって効果に大きな違いが現れる機器の代表といえます。まさに我々の腕の見せどころで、患者さんに喜んでもらえるとこの仕事をやっていてよかったな、と思うんですよ。

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2007年6月15日 (金)

顕微鏡の神秘

001_3 クリニックFの院長室には一台の顕微鏡があります。実は顕微鏡は、僕を科学の世界に引き込んだ、きっかけの光学器機です。

僕は藤沢と鎌倉で育ちました。祖父母の家が由比ガ浜にあり、特に祖母は僕が初孫だったのもあって、本当にかわいがってもらいました。

その祖母が僕が小学校2年生になった時に、「二年生になったから、顕微鏡を買ってあげようね。」といって、鎌倉のデパートまで連れて行ってくれたのです。僕は顕微鏡というものが一体どんなものなのか全く知らなかったし見たこともなかったのですが、分からないながらもその名前にわくわくし、「何を買ってくれるんだろう??」と、デパートまでついていった記憶があります。

確か1980円という当時としては高額のプレゼントだったと思うのですが、その後、僕は身の周りの自然のものを顕微鏡で眺めて、スケッチをするという、ミクロの世界に魅了され、はまってしまいました。顕微鏡熱は小学校の高学年になるまで続きました。医師だった母方の祖父の家に遊びに行き、病理の顕微鏡スライドを見せてもらったり、顕微鏡を使った研究職についていた叔父の研究所を見学させてもらったり、いっぱしの研究者気取りで毎日顕微鏡に向かっていたものです。

今思うと、不思議ですね。でも、物事に集中する性質は子供のころからあったのでしょう。今レーザー機器のおたく?マニア?になっている自分を見ると、三つ子の魂百までと言いますが、不思議に思います。

医師になる遠因を作ってくれた祖母は83の時に大腸がんの手術を受けなければならなくなりました。その時手術部にいた僕は、祖母を東京の病院に連れ出して、信頼できる医師に手術をお願いし(教授や准教授が手術がうまいわけではないのです)当時麻酔科にいた僕が麻酔を担当し、最高の環境で手術ができるようにアレンジしました。祖母は90歳を超えて、今だに健在ですが、少しでも恩返しができたとうれしく思いました。

今回備品として購入したのですが、顕微鏡を見ると、研究者として初心に戻る気がしますよ。

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2007年5月25日 (金)

クリニックF 開院

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拝啓

新緑の候、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素はひとかたならぬ御愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。さて私こと

藤本 幸弘は平成19年5月26日、JR営団地下鉄四ツ谷駅より徒歩1分 上智大学の通り向かいに新しくクリニックを開業させて頂くこととなりました。

レーザーに魅了されてここまで来ましたが、新しいクリニックは患者さまの為はもちろん、国内外から訪れるドクターやレーザー医療関係者のアクセスを第一に考え、わかりやすくシンプルで、ある意味レーザーと光治療の初心に立ち戻ったコンセプトが核となっております。

新クリニック立ち上げに伴い、数々の方に助けていただき、こうして無事開業の日を迎えることが出来ることとなりました。皆様には感謝の言葉もありません。本当にありがとうございます。

私はレーザーの専門医として、アンチエイジング領域におけるレーザー医療の可能性をこれからも探っていきたいと思っております。ビバリーヒルズやニューヨーク5番街と同じ機材・施術をリアルタイムで導入し、そこに日本的ホスピタリティと繊細な技術を加えた世界一のそして世界で唯一の「レーザークリニック」を創ることを目標に、一から頑張っていきたいと思っております。ぜひ一度遊びにいらしてください。スタッフ一同お待ちしております。

今後とも今までと変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具

20075月吉日

クリニックF院長  医師 医学博士 経営学修士(MBA) 藤本 幸弘

Photo 奇麗な花がたくさん届きました。ありがとうございました。

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2006年12月 2日 (土)

牡蠣にあたる理由

Photo_16 牡蠣がおいしい季節ですね。僕も大好きです。でも牡蠣は一度「中(あた)る」と二度と食べられないと言われます。好きなんだけど食べられない! そんな人もいるのではないでしょうか?

ところで貝毒っていくつかの種類があるのをご存知でしたか? 日本では下痢性貝毒と、麻痺性貝毒があります。下痢性貝毒は、ホタテ貝やムラサキ貝、アサリ、ホッキ貝などでおこります。激しい下痢と吐き気、嘔吐などを起こします。しかしながら、日本では死亡例はありません。麻痺性貝毒は、ホタテ貝、アサリ、カキ、ムラサキ貝でおこり、食後30分で口唇、舌、顔面のシビレ、手足にも広がるもので、重症になると呼吸不全で死亡する例もあります。治療薬はなく、対症療法として、胃洗浄、人工呼吸をする場合があります。

海外では神経性貝毒(口内の灼熱感、紅潮、運動失調)や、記憶喪失性貝毒(脳細胞の異常興奮により海馬が破壊され、下痢、嘔吐、腹痛を起こす)があります。貝には少量の毒が含まれていることが良くあるようで、同種の貝を大量に食べてしまうと貝毒にやられることが多いのです。

牡蠣で「中る」というのは実はこれとは全く別の理由です。牡蠣やえびなどの特殊なタンパク質を持つ食材でアレルギー反応を起こしてしまうことによるのですね。

タンパク質は無限にありますが、体内には同種のタンパク質(主に病原体なのですが)が二度目に入ってきたときに抗原抗体反応が即時に起こせるような仕組みがあります。これは、死に至るような病原菌が体内に入ったときに、一刻も早く、その病因に対処するための人の優れた防御装置なのです。

ある特殊なタンパク質に対して、アレルギー反応を持つということは、体内で抗原を見つける細胞が、そのタンパク構造の一部を鍵と鍵穴のように、立体的に構造を記憶するということです。ところが、Tリンパ球の体内での寿命は約20年といわれており、20年の間、一度もその同種のタンパク質に接触しないと、Tリンパ球による再感作が起こらないので、再び異物として判断されなくなるのです。

私の父は、子供の時に大好物だった牡蠣を食べ過ぎて、ある時、突然アレルギー反応が出るようになってしまったらしく、牡蠣を全く食べられませんでした。ところが、60歳を過ぎたあたりから、20年ぶりに牡蠣がまた食べられるようになったといって喜んでいたのです。アレルギー反応に関して言えば、20年で抗原提示リンパ球が消滅するわけですから、実はこれは理にかなっていることなのですね。

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2006年11月26日 (日)

分子整合栄養医学

Thomas_edison あのトマス・エジソンは、ひとつの予言を残しているのだそうです。

「未来の医師は、薬を使わず、食事を重視し、病気の本来の原因を探し、予防するという、人間の基本を大事にして治療をするであろう。」

エジソンは1931年に亡くなりましたが、この予言にある「未来の医師」に僕もなりたいと、とある勉強会に23日、参加してきました。

会場はホテルサンルート品川シーサイドというところです。先日のJMECのトータルアンチエイジングセミナーで、一緒に講演した溝口徹先生を中心に行っている「分子整合栄養医学」という学問の勉強会に行ってきたのです。

Image008 「分子整合栄養医学」・・・なんだか耳慣れない言葉ですよね。

この学問はノーベル賞を二回受賞したライナス・ポーリング博士の提唱された「分子整合栄養学」を元に、カナダで未だ91歳で現役医師をしているエイブラハム・ホッファー博士や、分子栄養学研究所の金子雅俊先生らを中心に40年前から行われているものだということです。

ホッファー博士はナイアシンを中心としたメガビタミン療法で、うつ病や統合失調症を治す治療を行ってきたことで有名な博士です。

彼らの長年の臨床実験データを元に、わずかな血液データの変動を捕らえて、一見正常範囲にある血液データからその異常を発見し、体内の微量ビタミンや、ミネラルなどを大量に摂取して補正することで、不足を補ってゆく方法は画期的でした。

実は医学部では栄養についての講義がありません。医者は健康と病気についての専門家であるべきなのに、その健康の土台となる栄養学について学部で学ぶことがない、という恐ろしい現実があります。僕自身はといえば、母親が栄養士の資格を持っていたこともあり、栄養学については細かい知識を教えられてきたと思っていました。でも、実際の臨床の現場でその知識を使うチャンスはあまりなかったのです。

また、僕自身、長年健康診断を受けていますが、ここ数年、「異常なし」というデータをもらい続けています。しかしながら、長年人間ドックをやって、「異常なし」のデータをもらっている患者さんが、半年後にガンになってなくなってしまうことも医師として経験してきました。今検診でもらうデータは過去のもので、決して未来を保障してもらえるものではないのですよね。

実際クリニックで診療する患者さんで美容の相談と一緒に「眠りが浅い」「倦怠感がある」「うつっぽい」「やる気が出ない」「むくみがひどい」「冷えや肩こりがなかなか治らない」「婦人科系の症状に悩まされている」・・・と言ったことを訴える方が多い最近ですが、こういった患者さんを人間ドックのようなもので調べても、実際今の医学で断定できる「病気」の人は少なかったりします。美容医療では、「ホルモン補填療法」を適用させる場合も増えてきましたが、僕自身はまだホルモン療法には疑問点もある。その点で、栄養療法というのは毎日の食生活を見直すきっかけにもなりますし、美容と健康、そしてアンチエイジングを根本から考え直すチャンスにもなる。僕自身の次の展開を考えても非常におもしろかったですよ。

僕もこの冬カナダに行って、エイブラハム・ホッファー博士に会ってこようと思います。報告は、またこのブログでしますね。

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2006年11月20日 (月)

インフルエンザって

Influenza_virus_1 最近ずいぶん寒くなってきました。今年も冬の到来です。インフルエンザの予防接種をする人も増えてきたと思いますが、インフルエンザと普通の風邪ってどこが違うのか、ご存知ですか?

インフルエンザとヒトとの関わりは古く、古代エジプト時代すでにインフルエンザと見られる病気の記録が残っているそうです。重大な転機は1918年から1919年にかけて発生したスペインかぜの世界的な大流行(パンデミック)であるといわれています。当時は栄養状態が悪かったこともあり、感染者数6億人、死亡者数 4000~5000万人にのぼり、第一次世界大戦終結の遠因ともいわれているのです。

普通の風邪が、鼻咽頭の乾燥感およびくしゃみから始まるのに対して、インフルエンザは発熱、悪寒、頭痛が初発症状です。インフルエンザで体感する症状として最も顕著なのは40度近い高熱と激しい悪寒でしょう。また、気管支炎、インフルエンザ肺炎、細菌性脳炎や脳症などの合併症も併発することが多いので、高齢者は、絶対に避けなければならない病気と言えるでしょう。 普通の風邪は原因ウイルスがたくさんあります。

風邪を治す薬を発明できたらノーベル賞ものだと言われていますが、細菌を殺す抗生剤に対して、ウイルスを殺すウイルス剤は、開発が難しいのです。ちなみに・・・ ライノウイルス・アデノウイルス・コロナウイルス・RSウイルス・パラインフルエンザウイルス・インフルエンザウイルスC ・・・などが原因ウイルスだと言われています。

インフルエンザの場合は、インフルエンザウイルスA,Bなどが原因ウイルスですが、実は北里柴三郎がインフルエンザが重症患者から発見したインフルエンザ菌というものもあります。

治療にはA・B型双方に有効な吸入薬ザナミビル(商品名リレンザ®)、A・B型双方に有効な内服薬オセルタミビル(商品名タミフル®)、さらにA型のみ有効な、もともと抗パーキンソン病薬であったアマンタジン(商品名シンメトレル®など)が使用されています。こういった薬が出来たことで、インフルエンザへの恐怖は減ったのですが、これらの薬の精神障害や、異常行動などの副作用が稀に新聞をにぎわせますよね。

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2006年11月16日 (木)

真っ赤なお鼻の??

実は先週から体調を崩していて、鼻のところになんと“面疔”が出来てしまいました。クリニックのスタッフからは「先生、どうしたんですか? 鼻が赤いですよ!!」と何度も言われるし、患者さんと話をしていても、なんだか視線をちらちらと鼻の頭に感じるんですよ。

ここ2~3日初対面の人には、視線を感じた瞬間自分から「ちょっと体調が悪くて面疔が出来ちゃって・・・」と自己申告/言い訳しながら診察している有様です。この状況は男の僕でも正直つらいですね。人の目線が気になって外出するのも億劫になります。重症なアトピー・にきびの患者さんや、顔に濃いシミを持った人は、外に出たくないし人にも会いたくなくなって、そういった精神的なストレスがさらに肌への悪影響を及ぼすと言われます。

医者として知識ではわかっていましたが、その患者さんの気持ちが、初めて心から良く理解できました。身をもって知る貴重な患者さん体験ですね。

ところで、面庁が危険だと言われるのには、理由があります。毛穴が細菌に感染したことによって起きる炎症を、“毛嚢(もうのう)炎”又は“せつ”と呼びます。毛穴と一致した所に赤い腫れや、軽い痛みがあり、中心に膿みを持つことが多いのですが、この“せつ”が鼻の周りに出来ると、昔の人は注意したようなのです。なぜなら顔面・・・特に鼻周囲の汗腺、皮脂腺は非常に深いところに分布しており、血管は頭蓋内の血管と直結しています。さらに、顔面は表情の変化などで常に動いていますから、患部の安静が保ちにくい場所です。原因の細菌はブドウ球菌など一般の菌が多いのですが、栄養の悪かった時代には、脳髄膜炎に至る危険性があったとされているのです。

確かに「面疔」なんていう言葉を、皆本当によく知っていますよね。面疔は通常は抗生剤を使用して1週間ぐらいで治りますが、長引く人はメスを使って切開するのがよいでしょう。直に治るさと軽く考えず、お医者さんに相談すべきですね。

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2006年11月 1日 (水)

分子栄養整合医学

415fx644yhl__ss500_ 以前、ある方のご紹介で、新宿溝口クリニックの溝口徹先生と一緒に食事をする機会を頂いたのですが、昨日、先生の新宿クリニックに見学に行かせて頂きました。溝口先生は、先日のトータルアンチエイジングセミナーでも経営学の部門で講演をご一緒させていただいたことも縁でした。

溝口先生は、サプリメントを使用して、栄養バランスの乱れを補正し、足りない要素を補充するという、分子栄養整合医学と分野を専門にされている先生です。

先生とディスカッションしているうちに、非常に多くの示唆を受けました。いわゆる、肩こりや眼精疲労、メニエル病、統合失調症、男性ウツ、小児自閉症などなど、不定愁訴といわれている疾患は、通常よりも多めの血液検査によって、ほとんどの場合、異常値を見つけることが出来るのだそうです。その異常な値を、数ヶ月かけてサプリメントを使用して補正すると、症状が変化してきます。実際の患者さんのデータを拝見しましたが、こういった病気は糖代謝の異常と、ビタミンB3であるナイアシンなどを中心に補正することで、かなりの症状が補正できるのです。

思えば、僕がまだ医学生だった頃、遊びに来た両親に、医療と栄養学を合わせた分野が、将来ニーズがあっていいのではないかと思うんだよと、小料理屋で話をした記憶があるのです。もう20年ちかくも前でしょうか。母親が栄養士の資格を持っていたこともあって、栄養バランスは、未病のうちに、病気を防ぐという考えを小さな頃から植え付けられていたのです。この分野は今後もっと広がりを見せると思います。医師としてとても興味深いのです。僕の専門のひとつである、偏頭痛、肩こり、手足のむくみなどのペインクリニック治療にも結びつかないかなと考えています。

カナダのビクトリア州に、分子整合栄養学の治療法を確立されてきたエイブラム・ホッファー博士という90歳で元気な医師がいるのですが、溝口先生はその先生を何度か訪問されているそうです。僕も、年末から年始にかけてちょっと時間が出来るので、今年の米国アンチエイジング学会か、年初の全米皮膚科学会の合間にでも、ぜひ訪問してみようと思います。

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2006年10月29日 (日)

健康スポーツ医講習会

Photo_2 昨日今日と、日本医師会の健康スポーツ医の講習会に参加してきました。毎日朝9時半から6時ごろまで、長い講義でした。この講義に4日間出席すると、日本医師会公認の健康スポーツ医の認定が取れるのです。日本医師会会館というのが駒込の六義園の近くにあり、そこに初めて行って来ました。かなり大きな講堂があって、そこでの講義でした。

僕は中高では剣道をやりましたし、大学では水泳部とスキー部に所属しました。運動はとても好きなのですが、最近は忙しくてほとんど運動が出来ません。しいて言えば数カ月おきに誘われるゴルフぐらいで、運動不足は否定できません。

9人の先生が話したのですが、健康を維持するためのスポーツは奥深いですね。オリンピックに出場したような人が、その後健康的な人生を送るとは限りません。激しい運動をしすぎたことによる後遺症もあるのです。約40年前に東京オリンピックに出場した選手の中でも、もう亡くなってしまった方もいるわけですから。

また、今日の講義を聴いて、少年野球やサッカーのように、幼少期に行う過度のスポーツは、骨格の健全な成長を押さえてしまうこともあるのです。監督も良かれと思ってしごくのでしょうが、必ず専門のドクターの診察とアドバイスが必要なのだと思いました。

来月月末にあと二日講義があって、そこで晴れてスポーツ医の認定を受けられます。頑張らなきゃですね。

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2006年10月16日 (月)

海の上のクリニック

Fi1316_0e 今回の客船の旅では、船の中のクリニックが気になっていたので、見学に行きました。


客船には1800人の客と、300人のスタッフがいますので、まさに小さな都市の様になります。クリニックは第1階層にあり、窓のない部屋でした。


この客船に乗っている日本人の医師だけれど、クリニックの見学をさせてくれないかと言ったところ、快く案内をしてくれました。実は、写真を撮ったのですが、残念ですが、どこかにまぎれてしまったのですよ。また探しておきます。


クリニックは窓のない、25坪ぐらいの大きさで、待合室と診察室というシンプルなつくりでした。開業時間は午前、午後3時間づつで、船が港に停泊するときは閉まっています。


小さな開放創などに対して、簡単な外科手術は出来そうですが、内科診療がほとんどという感じでした。


診察料は60ドル。西洋の船だと60ユーロというのが相場らしいです。技術料は別途かかります。


こういった船の上で100日ぐらいのクルーズをする間に、美肌のレーザー治療器を使用して、降りたときに10歳若返らせるビジネスをしたら、さぞかし面白いのだろうなと思いました。

51s1rtp633l__ss500_ 写真は映画、”海の上のピアニスト”です。あんまり関係ないですかね??(笑)

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2006年9月28日 (木)

不老革命!

Fi1287_0e 吉川 敏一 (著, 編集) の、「不老革命!」 老化の元凶「フリーラジカル」と戦う法 という本を読みました。


最近話題の活性酸素についての話ですが、これ一冊で活性酸素についてほぼ全て理解できますね。とてもお勧めの本です。


 「老い」は、体を構成する細胞自体が傷つき、死ぬことで進行します。細胞を殺す犯人である「フリーラジカル(反応性が高く不安定な原子や分子)」が引き起こす酸化反応を食い止めることができれば、理論上は130歳まで生きられるのです。


 活性酸素が引き起こしている病気は、ガンに始まり、40代からの生活習慣病、肥満や加齢臭などがあり、これらは抗酸化物質を補うことで予防できるのです。たとえば、タバコを1本吸うと、抗酸化物質のひとつであるビタミンCが血液中から25mgも消えてしまうのです。成人男性に必要な一日のビタミンCの量は、100mgですから、なんとたった四本のタバコによって、それが消えてしまう計算になります。タバコをやめることは必須ですね。


さらに有効な手立てとして、それらの物質を高濃度に含んだ「サプリメント」の摂取がよいとされています。この本には23種類の抗酸化剤が紹介されていますので、参考にしたらよいのではと思いました。


お勧めの医学書(アマゾンドットコムの検索ページです)

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2006年9月22日 (金)

偽薬(プラセボ)効果

Fi1276_0e プラセボ効果って聞いたことがありますか?


たとえば、この薬は特効薬なんだよと、白衣を着た高名の医師に勧められると、たとえ食塩水を飲んでも病気が治ってしまう現象のことです。


つまり、偽薬を処方して、薬だと信じ込む事によって何らかの症状の改善がみられる事を言うのです。この改善は自覚症状だけではなく、客観的に測定可能な体温や血圧、皮膚疹などの実際の症状の改善がみられることもあります。


特に痛みや、不眠症や下痢などに効果的と言われています。プラセボ効果は統計によると20-30%といわれていて、決して無視できる数値ではありません。一部の健康食品など、こうしたプラセボ効果を狙った商品もあります。あまりよいことではありませんが。


ちなみに医師法にも、このプラセボの暗示的効果を期待し、処方箋を発行する事がその暗示的効果の妨げになる場合には、処方箋を処方する義務がない事が規定されているのです。


もちろん、偽薬効果を期待して処方される事もありますが、実際には本物の薬の治療効果を明らかにするため、比較対照試験で利用される事が多いです。


中でも、二重盲検法という実験は、実験する医師も、患者も、どちらが偽薬でどちらが本当の薬なのかを知らないで効果のみを判定します。こうすれば、プラセボ効果を排除して、薬の効きを判定できるわけです。実際に販売されている薬は、こうした高いハードルを越えてきているのですよね。


閑話休題


最近、薬を海外からインターネットで買えますよね。僕の知り合いのレーザー業者の社員さんが、以前に医者から痩せの薬のゼニカルを処方してもらって、非常によく効いたので、先月、インターネットで安いゼニカルを探して、輸入したのだそうです。ところが、包装も、カプセルも本物そっくりなのに、飲んでも全く効果がない。おかしいと思って、前に医師から処方されていて、一錠だけ残っていた薬を試しに飲んでみると、今まで通り、脂肪の塊が便からどんどん出るのだそうです。そのとき、騙されて偽薬を買わされたことに気付いたのだそうです。


こうした偽薬の話は、実は結構あるらしく、一錠数千円もするバイアグラやレビドュラなどを本物そっくりに石膏などで作る工場も、中国などの一部にあるそうなのです。全く効果がないとリピーターがつかないので、本物の薬を砕いて入れたりとか、工夫もあるそうです。こうした薬を処方されるときは、日本では医師の処方箋が必要ですが、もしも、個人輸入するなら、騙されていないか、気をつけないといけませんね。

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2006年9月16日 (土)

中国からの患者さん

Fi1262_0e_1 クリニックには海外からの患者さんがいらっしゃることがあります。その中でも、中国の患者さんも結構いらっしゃるのです。最近の中国の経済発展は、目覚しいですよね。


今日いらしたのは、北京からの二回目の患者さんで、年頃のお嬢さんのほほの目立つホクロを取ってくれという方でした。前回、二ヶ月前に来院されたときに、一時間ぐらい英語でカウンセリングして、よし、お前を信頼するので次に日本に来るときに、娘の診療を任せると言ってくれました。


今日、16時に予約が入っていたのですが、フライトが遅れて来院が遅れてしまうとの連絡がありました。でも、僕は18時にどうしてもはずせないアポがあったのです。


幸いに、ホテルニューオータニに宿泊されるということだったので、アポをこなした後、夜の21時にクリニックを開けて、炭酸ガスレーザーでホクロを焼却し、綺麗に創傷治癒をさせるためにハイドロコイドを使用して密閉療法にしました。


おそらく満足していただけたのではないかと思います。中国では提供できない、最新で、質の高い医療を提供できたのは、嬉しかったです。

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2006年9月15日 (金)

二日酔いに効く秘策

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昨晩、仕事の後に、ホルモン補充療法で有名な先生と、日本最王手のエステティック会社のPRの方と食事をしました。ホルモン補充療法には以前より興味があったので、とても楽しい飲みになったのですが、おいしいジンをたくさん飲んでしまったので、今日は二日酔いです。


人間、加齢すると基礎代謝率が低下します。これは、入れ替わる細胞が減ってしまうということなのですが、ホルモン補充療法によって、代謝が上がると肌の細胞の入れ替わりも早くなるので、レーザーの効きが格段に上がるんですよ。これについてはまた別のブログでふれますね。


二日酔いは、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドやその酸化物の毒性が主な原因です。アルコールの脱水作用、エネルギー不足、体液の酸性化、低血糖などが複合して症状が引き起こされます。


同時に、二日酔いのときは激しい頭痛が起こりますよね。これは、アルコールの脱水作用により、脳に含まれている水分が少なくなり脳硬膜が牽引されることによっておこる硬膜牽引痛が原因です。激しく泣くと、頭が痛くなるときがありますよね。これも同じ原因で起こるのです。この脱水状態は水分の補給により回復します。


さらに脱水状態は脳だけでなく全身で起こります。体内の細胞外液が減少して、血液に含まれているナトリウムやカリウムの濃度が高くなります。体液の受容体が作動して、筋肉の収縮などに関わっているカルシウムやマグネシウム、などが尿と一緒に体の外へ出てしまいます。これが疲労感や脱力感の原因なのです。血糖も低下しますので、肝臓のグリコーゲンも分解されます。これも疲労感や、脱力感につながります。


ところで、二日酔いの特効薬って、なんだか知っていますか?


それは点滴なのです。僕が研修医だったときに飲みすぎて、頭が痛いといっていたら、同僚の医師が、「じゃあ血管を刺す練習もかねて、点滴をさせろ。」と言いました。だいぶ抵抗したのですが、結局やられてしまいました。確か針を刺すときに、何度か失敗された記憶があるのですが、点滴の威力はすごかったですよ。頭痛や倦怠感があれよあれよという間に減ってスーッと消えてゆくのです。


点滴の内容は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、そして糖が含まれているものがスタンダードでおすすめです。商品で言うと、ソリタ3号とかでしょうか。そして、ビタミンB1のアンプルを入れるとさらに効果的です。これでアルコールで失われたものを補充できます。


保険適応は出来ないと思いますが(笑)、オススメです。

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2006年9月13日 (水)

男女産み分け

Fi1255_0e 新王の誕生で妊娠や出産についての話題が一気に沸騰していますね。僕も患者さんから連日さまざまな質問を受けます。今日はそのよく聞かれる質問のひとつ=男女産み分けについて書いてみましょう。

男と女はどのようにして決まるのでしょうか? これは受精するときの性染色体の組み合わせで決まります。卵子はX染色体1個しかないのですが、精子にはX染色体とY染色体を持つ2種類が存在します。これらが組み合わさると、

XX→女児
XY→男児

がそれぞれ生まれます。これは、高校の生物で習いましたよね。


ところがこのXとYは同条件ではないのです。まず、Y精子の数は、X精子の2倍存在します。女児になるX精子は、寿命が2~3日と長く、酸にも強いという特徴があるため酸性の膣内をくぐり抜けても、しっかりと子宮に到達し受精します。ところが男児になるY精子は、寿命が1日と短く、また酸性の液の中では動きが鈍くなります。このため、素早く子宮に到達しないと、力尽きて途中で死んでしまうのです。男女の生まれる確立は、ほぼ同じ(正確には男:女は1.05:1)となっています。昔は男児が弱かったので、5%ぐらいの確率で、生後に死亡したのですが、今は医療の進歩のおかげで、ほぼ全員が生き残るのです。ですから、同年代であれば、男の方が5%ほど多いといわれています。


日本では1983年頃からパーコール法(濃縮し、質の良い精子を分離する)というXとY染色体をもつ精子の分離と人工授精がおこなわれてきましたが、この方法を使って産み分けるのは、血友病などの劣勢伴性遺伝(X染色体に変異があり、このX染色体が1つしかない、男児に発症する)に属する病気を防ぐのが目的でした。この方法は精子を分離してX精子を抽出し人工授精する方法なのですが、特殊な婦人科でしか、行われていません。また、Y精子とX精子の電荷の違いに注目して電気泳動法を利用した産み分け方法もあります。どちらも成功率は70%ぐらいといわれています。


昔から指摘されている方法で、体全体のpHを変えていく方法があります。肉・魚を食べると体は酸性に、そして野菜中心にすると体はアルカリ性になるといわれていますので、女の子が欲しければ肉・魚を、男の子が欲しければ野菜を食べればいい事になります。この理論を利用して、膣内にピンクゼリー(酸性で、女の子が生まれやすい)をいれる方法や、男児にするためにリンカル(天然カルシウム)という薬を2ヶ月間処方するという方法もあります。


最近「男女産み分けについて相談に乗ります」と言う産婦人科も増えているとは聞きますが、医師同士で集まると倫理的な点や実際の実現率などについて、議論になります。僕の個人的意見としては、やはり自然に任せた方がいいのでは・・・と考えてしまいますが。


医師が介在せず自然に出来る方法はないのか? と患者さんに聞かれ、う~んとあれこれ悩んでいる最中ひとつ思い出したのですが、夫婦生活をエンジョイしている夫婦は男の子ができやすいという噂を聞いたことありませんか? これは俗説のように思われていましたが、理論的に、そして医学的に考えると、そうでもなさそうです。


膣内は通常はデーデルラント桿菌により、酸性(pH=4.5)に保たれています。しかし、女性がオルガスムスに達してくると、アルカリ性の分泌液(バルトリン腺液)を出して、膣内を徐々に中和されていきます。アルカリ度が強いとY精子が生き残りやすくなるので男児が生まれやすいというわけです。


人間のメカニズムは面白いですね。

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2006年9月 8日 (金)

帝王切開

519xko0jifl__ss500_ そういえば、紀子妃は帝王切開で出産しましたが、なぜお腹から胎児をだす手術を帝王切開と言うのかご存知ですか?


僕は医学部の学生のときに、その理由を聞きました。実は、昔のお医者さんのドイツ語医学用語の誤訳なのです。


日本語訳の「帝王切開」はドイツ語の「kaiserschnitt」の直訳です。これは、分解すると「kaiser=皇帝」と、「schnitt=手術」の訳語であるために、帝王切開と訳されたのです。しかし、「kaiser」という言葉には、「切る」と言う意味が含まれています。つまり、「kaiser」を本来の「切る」という意味ではなく、皇帝のカイザーと勘違いしたのが誤訳の原因らしいのです。


ちなみに通常医師は、帝王切開のことをカイザーと呼んでいます。カイザーにも緊急で行われるものと、予定で行われるものがあります。緊急のものは、早く胎児を出さなければならないので、おへその下の下腹部を縦に切開する場合が多いのです。一方で、今回の前置胎盤のような予定されたカイザーは、下腹部のずいぶん下の方を横にきるのです。だから出産後にビキニも着ることが可能です。


写真は皇帝ペンギンです。あんまり関係ないですけど…。可愛いですよね。

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2006年9月 7日 (木)

臍帯血輸血

親王が誕生しましたね。

Bth1242_0b 親王の臍帯血が臍帯血バンクに登録されるということですが、臍帯血ってなんでしょうか?

臍帯血とは、胎盤と臍の緒に残った血液で、白血球、赤血球などに育っていく造血幹細胞が豊富に含まれています。赤ちゃんのへその緒や母親の胎盤にある血管中の血液には、通常の体内にある血液に比べると血液を造る能力を持つ、「造血幹細胞」という細胞が多く含まれています。

胎盤は少し前まで、医療廃棄物として処理されてましたが、現在はプラセンタとして滋養強壮・美容目的で再利用されるようになりました。

この臍帯血を患者に輸血するのが臍帯血移植です。通常、造血幹細胞の移植(骨髄移植)は、白血病の治療などに使われますが、将来的には、臓器の再生医療に使われる可能性があり、無限大のニーズがあります。

また、提供者の負担は骨髄移植とは比較にならないほど軽く、採取した臍帯血は冷凍保存が可能なので、必要な時に利用できます。臍帯血提供者が痛みを感じたり、経済的、時間的負担を強いられることはないのです。

血液の移植には、恋愛遺伝子の欄でも書いた、HLAという白血球の型の一致が重要ですが、臍帯血のリンパ球はまだ成熟していないので、「自己」と「他者」の区別を認識するシステムが出来上がっていないのです。ですから、移植した骨髄が、患者の細胞に対して拒絶反応を起こす移植片対宿主病(GVHD)が軽度で、骨髄移植に比べると、HLAが一部不一致でも移植可能なケースが多いのも利点です。

現在では、万が一、自分が血液病にかかったときに、自分の白血球のHLAに合致した臍帯血を確保しておき、冷凍してバンクに保存しておくといったビジネスも立ち上がっています。値段は保存料を含めて、一人当たり100万円前後ということですが、将来的には肝臓などの臓器再生医療にも使われる可能性もありますので、一部の富裕層には魅力的な話なのではないかと思います。こういったお問い合わせを実際に僕はクリニックでも受けたことがあります。僕に出来ることとしては、橋渡ししかないのですが…。いずれにしても、こうしたニーズは、この日本でも今後ますます高まって行くのでしょうね。

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2006年9月 6日 (水)

無痛分娩

Fi1238_0e 今日はいよいよ秋篠宮紀子さまの出産日ですね。帝王切開による出産が医師としても気になります。今回のブログは最近日本でも増えた無痛分娩について書いてみましょう。


日本では無痛分娩を行うことがあまり推奨されていない風潮がありますが、実はアメリカやフランスではほとんどの出産が無通分娩になるといいます。


そういえば、世界で初めて無痛分娩を行った人物は誰だかご存知ですか? 実はジョン・スノウという医師が、AD 1853のビクトリア女王の出産にクロロホルムによる無痛分娩を行ったのが世界初の無痛分娩だと言われています。


無痛分娩は専門的に言うと、大きく三つに分類されます。


一つ目は、全身麻酔による分娩です。全身麻酔ですと、妊婦さんの出産の記憶が全く失われます。麻酔科医が必要であること、そして麻酔薬も胎児に移行するリスクがあることから、特殊なケース以外現在この全身麻酔による無痛分娩は適応されません。


二つ目は硬膜外麻酔による無痛分娩です。硬膜外麻酔は、脊柱のなかの硬膜という部位に、細いチューブを留置して、そこから局所麻酔薬を流し込み、子宮に関連する一定範囲の痛みをとるというものです。この麻酔は熟練した麻酔医が担当すると、非常に良い結果をもたらすのですが、少し麻酔薬が効きすぎると、痛みは取れても、運動神経が麻痺してしまうため、子宮の収縮力が落ちてしまい、出血が止まりにくくなるリスクはあります。


三つ目は陰部神経ブロックというものです。ドイツでは主流の無痛分娩法ですが、胎児の出口である会陰部の神経を支配している陰部神経を局所麻酔薬によって麻痺させる方法です。陰部神経は運動神経の支配もありますので、産道から会陰部の筋肉の弛緩作用もあり、分娩をスムーズにさせます。日本では一部の施設で行われています。


リスクから考えて、紀子さまはどの麻酔法を選択するでしょうか? 多分僕は第二の硬膜外麻酔法を選択すると思います。


無事の出産を祈っています。

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2006年8月24日 (木)

医療事故と医療ミス

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航空機産業の世界では、ハインリッヒの法則というものがあるそうです。ひとつの重大事故の裏には、29件のかすり傷程度の軽災害があり、その裏にはケガではないが、ヒヤッとした300件の体験があるというものです。医療の世界にもそのまま適応できるのではないでしょうか。


医療過誤が起こるたびに、医師免許を更新性にすべきだなどといった議論が毎回起こりますが、僕はそれはナンセンスだと思っています。医療ミスは、一般には、医師の医学的知識が欠除しているために起こるのではなくて、点滴や、薬の申し送りがうまくいっていなかったりする、単純なミスが連続した場合に引起されることが、実に多いのです。


実際には、医療事故と医療過誤は全く違います。


事故は一定の確率で起こるものです。過誤は人為的なミスが重なったものなのです。ですが、この2つは混同されつつありますよね。


やはり医療事故は、手術に関わるものが多いです。今までに肉親など近い人の手術を三回経験しましたが、手術室の外で祈りながら待つ気持ちは、表現できないぐらい、心配で、なんともいえない気持ちになります。


純粋な麻酔の事故も、70000例に一例あるという報告も有ります。事故ならしょうがないという医療サイドの考え方と、事故や過誤が起こりません様にという患者サイドの気持ちとを考えながら、でも、過去に経験した色々な手術の事例を想像してしまうのです。


昔は手術は危険なものだというのが当たり前でしたし、スピードが勝負でした。ですから、手先の器用な、作業の早い外科医が重宝されましたし、手術室から患者さんが出たら、皆安心したものです。


しかし、以前、ブラックジャックのブログ[関連した日記LOG]にも書きましたが、今は、麻酔の技術が発達しているので、たとえ何時間手術時間がかかっても、心臓を動かしたまま、手術室から患者さんを出すことは出来るのです。手術の良し悪しは、その後の予後にかかわってくるのです。


今でも、医療事故や医療過誤で尊い命が失われることがあるわけですが、医療従事者として、一件でもそういったことが減るのを祈るのみです。

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2006年8月18日 (金)

研究者向けの血液型

Cx41_fullpic 血液型って気になりますよね。最近思いついたことがあります。


それは、良い研究者はB型が多いのではないか?ということです。B型の人は物事にこだわりが強いし、ある意味マイペース。研究は孤独なものですし、結果が出なければ粘り強く同じ作業をしなければなりません。うちのクリニックでも、B型の職員は、自分が気に入った仕事は、とことん突き詰めて、自ら技術レベルを上げる人が多いですね。


きっと有名になる調理師さんとか、そういった人が多いのではないでしょうか?

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2006年8月11日 (金)

傷の残りにくい、新しい創傷治療

Fi1139_0e そういえば、創傷治療について書こうと思っていたのを思い出しました。


最近、出来た傷は消毒せずに、ラップのようなものでカバーをして治したほうが傷口が綺麗になるという考えが出てきました。夏井 睦先生という人が提唱を始め、数冊本が出ているのです。


今までは「傷の治療は、毎日消毒をしてガーゼを当てる。」「消毒の時しみるのは、細菌が死んでいるから。」「傷は乾かせばよい。」などを、古くからの伝承文化のごとく、多くの医療従事者が盲目的に従ってきました。先輩の医者からそのように言われていますし、子供の時からそうやっている。今更その常識を、辞めようなんて、出来ないですよね。


消毒剤は、確かに、細菌を殺すという作用があります。しかし、考えてみれば、一旦消毒しても、皮下より湧き出す皮膚常在菌によってあっという間に汚染されます。それどころか、皮膚の上皮化をつかさどるケミカルメディエーターを一緒に殺し、組織も破壊してしまいます。功罪のうち、罪の部分もあったのです。


夏井先生の本を初めて読んだときには、新しい治療法に挑戦したその勇気に頭が下がりました。毎日消毒で痛い思いをしなくて良いし、患者さんの負担も楽。これこそ新しい医療です。


結局、傷が出来たら、48時間以内であれば、汚れを(放置すると外傷性の入れ墨になってしまいます。これはレーザーで治療できますが…。)水道水で洗い流し、ハイドロコイドなどの湿潤物質を上から乗せて、放置したほうが傷が綺麗に治るのです。消毒剤や減菌水ではなくて、普通の水道水でいいのです。


数年前に、顔に大きな擦り傷を作ってしまった女の子を診たことがあって、この治療法をおっかなびっくりやってみたのですが、結果はまさにグレイトジョブ!!。それから傷の治療には、この方法を利用するようになりました。毎日のガーゼの交換は痛いですし、傷を作り直しているようなもの。顔にそんなことをやったら色素沈着が起こりますよ。


実は数週間前、クリニックのスタッフが目の前の坂で転倒して、左の膝を大きく切ってしまったのです。膝なら傷が残ってしまうのはかわいそう。


 縫うまでも無かったので、この湿潤治療法を採用することにして、早速実践に移したのですが、ガーゼはしない。消毒はしない。本当にこれで治るんですか?と散々詰め寄られ、最初は信じてもらえなくて、困りました。でも、
http://imsiblog.cocolog-nifty.com/blog/2006/08/post_f02a.html
このブログを読むと、今は感謝してくれているようで…。


医師としての信頼が失墜しなくて良かったです(笑)。

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2006年8月 8日 (火)

心筋梗塞はなぜ朝方に起こるのか?

Fi1118_0e 心筋梗塞は寒いときの朝4-5時に起こりやすいといわれていますが、なぜだか、知っていますか?


 これは体内の優位神経が副交感神経から、交感神経にバトンタッチされる時間とほぼ同じなのです。交感神経の影響で、急激に心臓冠血管がしまるので心筋梗塞や狭心症が起こるのです。


数日前に、自律神経のブログをかきましたが、
[関連した日記LOG]
人間の体のメカニズムは本当に複雑でよく出来ています。
病気というのは、その間隙を突いて、おこるのです。

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2006年8月 5日 (土)

不眠症の秘密

Fi1114_0e 子供のとき、”こども電話相談室”というラジオを好きで聞いていました。皆さん覚えていますか? 

実はこの番組、いまでもNHKのラジオで”こども科学電話相談”という番組として残っているのだそうです。

昨日だったか、たまたま、それを聞いていた友人が、”眠くなるとき、足が温かくなるのはどうしてですか?”という質問があったと話してくれました。

子供の視点は的確です。実はこれは人間が眠るためにはとても重要な現象で、自律神経、つまり交感神経と副交感神経が深くかかわっているのです。

もう10年近く前ですが、僕が都立病院の勤務医だったときに、その横の研究所で自律神経の研究をしていたときがあり、英文論文 J Auton Nerv Syst. 1999 Feb 15;75(2-3):109-15. も書きました。痛みと密接な関係のある自律神経の分野は得意だったのです。

人間の臓器には交感神経という戦うための神経と、副交感神経というリラックスするための二つの神経支配を受けています。

交感神経が亢進すると、瞳孔や血管が縮み、脈拍や血圧が上がります。副腎からはストレスホルモン(コルチゾール)が出ます。この状態が続くと血球像では白血球が優位に立つため、癌を含む、炎症性の疾患の発症が多くなります。

反対に副交感神経が亢進すると、リラックスして手足などの末梢の血管が開くので手足が暖かくなります。脈も緩やかになり、眠ることができるのです。リラックスにかかわる神経ですので、ストレスも解消されます。ですが、この状態が続くと、血球像ではリンパ球優位になり、アレルギーや花粉症などが増えるといわれています。


電気のない時代は、夜暗くなると自然と副交感神経が活発化し、眠りについたものですが、24時間のコンビニや、テレビがある現代社会では、この交感神経(ON)と副交感神経(OFF)の切り替えが苦手な人が出てきているのです。不眠症が増えたのはこういったわけです。

実は副交感神経を優位にする薬はありません。しょうがないのでアルコールや、睡眠薬、鎮静剤などのトランキライザーを使って夜眠る人が多いですよね。西洋医学的なアプローチだと、薬で自律神経を抑える方法しかないわけです。

ではストレスが強い場合、何をするのか。僕はアロマセラピー等の自然療法を利用しています。ぐっすりと眠れますよ。

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2006年7月26日 (水)

恋愛遺伝子?

Fi1079_0e 恋愛遺伝子って聞いたことがありますか?


血液の中には大きく分けて赤血球と白血球とがあります。


赤血球のサブタイプが、ABOであったり、Rhであったりする
わけですが、移植術などでより重要なのは、白血球の
サブタイプであるMHCというものなのです。


これは6個のコンパートメントの組み合わせから出来たもので、
まったく同じ配列を持つ人は数十万人に一人というもの
なのです。骨髄移植などで、こういった話が出ますよね。


実は人間は種を残す生物として、MHCがより違う相手に
魅力を感じるようになっており、これがフェロモンと関連が
関連があるようなんですね。


MHCの種類(バリエーション)が違う

=フェロモンの臭いが違う

=強い遺伝子を持った子孫が生まれる

=相性が合うために惹かれあうということなのです。


恋愛で、何であまりに違う、この二人が惹かれあって
付き合っているのかな? なんて不思議に思うときが
ありませんか?


でも、こういった生物学上の因子が絡んでいる可能性も
あるのです。おもしろいですね。

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2006年7月15日 (土)

第二回 東京抗加齢研究会

Fi1033_0e 世は三連休ですが、僕は学会続きです。


今日は大手町のサンケイプラザホールで行われた、第二回 東京抗加齢研究会に出席してきました。


アンチエイジング総合研究所所長の久保先生が会長のこの研究会は、今回第二回目ですが、200人近い出席がありましたね。


弁舌巧みな久保先生の司会で、会は歯切れよく進みました。いわば生活習慣病の予防システムのための研究会で、パワーリハビリ、サプリメントドック、健康寿命ドックなど、多くの企画が紹介されていました。


前回は1月に六本木ヒルズでやったのですが、今回は出席者は倍になりましたね。毎回出席者が増えて、驚く限りです。

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2006年7月10日 (月)

味覚のマジック

Fi1008_0e
沢庵+牛乳=コーンポタージュ

牛乳+麦茶=コーヒー牛乳

のり+しょうゆ+みかん=いくら

ようかん+バター=スイートポテト

牛乳+酢=ヨーグルト

何のことだか分かりますか?


以前のブログ[関連した日記LOG]で話したと思うのですが、臭いに比べて、味の受容器というものは実は曖昧です。


甘、酸、塩、苦、旨味ぐらいしか、判定できないのです。


沢庵と牛乳を飲むと、ちょうどコーンポタージュスープを飲んでいるような感覚になるのです。


のり+しょうゆ+みかん=いくら というのは実際にやってみると驚きますよ。(笑)

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2006年7月 9日 (日)

プロバイオディクスって??

Fi1004_0e プロバイオディクスという言葉を最近聞きますが、何のことだか知っていますか?


プロバイオディクスは、”消化管に常に住んでいる細菌群に働きかけて、生体に有益な効果をもたらす生きた細菌”というのが定義です。


probioticsは、共生関係(Probiosis)が語源で、抗生物質を意味するantibioticsに対比される言葉なのです。


1991年から特定保健用食品制度によって、生体に良い影響を持つ食品が、有効性と安全性が試験によって確認されたもののみ、商品に表示できるといったものです。


・食物アレルギーやアトピー性皮膚炎の改善
・腸内への細菌やウイルスの進入を防ぐ
・抗コレステロール(コレステロールを低下させる)
・ビタミンB3、B5、B6、B12、葉酸、ビタミンKを作る
・ガン予防、老化防止など免疫を高める
・過敏性腸炎、クローン病、潰瘍性大腸炎による下痢を緩和させる
・口臭を減らす


などの働きを持つものがあります。


メタボリック症候群など、生活習慣病などを対象にした医療が、保険適応外になるのは時代の流れなので、特定食品として認可されたプロバイオティクス商品が医薬品との併用で医療分野に普及していくのは明らかでしょう。こういった健康を維持するための研究に携わりたいですよね。

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2006年6月28日 (水)

腹いっぱい食べてはいけないのです

Fi957_0e_2 僕は、昼食を抜くことが週の半分以上あります。仕事が忙しくて、その数分がどうしても取れないことが多いのです。


でも、昼を抜くと、夜にドカ食いしたくなるんですよね。健康には悪いのはわかっているのですが、やってしまいます。


今日も6時から始まった会議も2時間以上かかり、食にありつけたのは8時半でした。会議後、隣のパレスホテルで中華を食べたのですが、やっぱり食べ過ぎてしまいましたね。おなかがパンパンになりながら、このブログを書いています。


満腹にすると白血球の力、貪食力・殺菌力が低下して免疫力が落ちることは以前より指摘されています。逆に空腹になると、白血球の貪食力・殺菌力は高まるのです。そういえば、野生動物は、病気や怪我のとき、食を絶ち、じっと動かず病気や怪我を治しますよね。体が弱っているときや、風邪など感染症があるときは、実は一定期間、空腹の方が病気に対する抵抗力が強いのです。


昔から言い伝えられるように「腹八分に病なし」ということですね。

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2006年6月24日 (土)

医者とのコミュニケーション

Fi918_0e
「ムンテラとは、医療従事者が頻回に使う言葉です。」
という言葉の意味、分かりますか?


医者が患者さんに病状を伝えるのを“ムンテラ“といいます。Mund(口)とTherapie(治療)を合成して「言葉で説明することで治す」という意味を作り上げたらしいですが、本国ドイツでは使われない言葉だそうです。


ムンテラは研修医や医学生がまず覚える言葉なので、ほんとうに日常茶飯事に使われる言葉なんですが、医療関係者は頻度が多く行われることを表現して「頻回」という言葉を良く使うのです。最近、気付いたのですが、この言葉はことばだけで話しても、一般の人には全く通じないですね。ワープロで「ひんかい」と入力しても「頻回」とは変換されませんでした。


患者さんが亡くなることは sterben(死ぬ)というドイツ語の動詞に始まりましたが、シュテルベンするというカナ書き外来語になった後に、ステるという医療関係者専用の動詞ができて、「ステる:ステらない,ステる時,ステったら,ステっても……」などと「活用」して使っていますね。同じような使用法として tachycardia(頻脈)で心臓の鼓動が早くなったときに、タキるなんて言葉も良く使いました。 


読み方が違う言葉は結構あります。最近流行の腹腔鏡手術という手術ですが、皆さん腹腔の読み方を知っていますか?通常の日本語なら腹腔は(ふくこう)と読みますが、医療関係者は(ふくくう)と読みます。僕は最初の日本語の論文を書いたときにあまりにめんどうくさくなって、この単語の読み方をマイクロソフトのワードの辞書に加えたので、良く覚えています。骨も、(ほね)じゃなくて(こつ)と読む人が多いですね。


 最近医療事故が多いため、医師の質が落ちたといわれ、医師免許も更新制にしたら良いのではという意見がありますが、ほとんどの事故は、医療知識の欠如からではなく、医療従事者間もしくは患者との、コミュニケーション不足から来る凡ミスが連続することが原因なのです。



言葉は大切ですね。

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2006年6月23日 (金)

はたして日本で最高の医療が受けられるのか?

Fi929_0e 質問です。


現在世界のベストセラー薬100品目のうち、日本で認可されていないものはいくつあるでしょうか?


日本は国民皆保険制度のもと、長寿国として世界に知られていますが、新薬承認は遅く、基本政策として薬剤費抑制策を行っているため、将来的に新薬を作る研究開発費が足りないという状況が起こっているのです。


新薬とは商品名が違うが、有効成分が同じジェネリック医薬品を勧めるCMを見ましたが、開発した薬品会社の研究者にとってはキツイ話しだなと思ったりもします。1つの医薬品の新規開発は100以上の薬の失敗から生まれます。さらにその薬に副作用がないか、長い期間審査をし、ようやく販売にたどり着いたものの、特許が切れたら他の会社に後発品を出されてしまう。


まあ、消費者の立場から言えば、間違いなく安い方が良いのですが、医者としては両サイドの言い分を聞くわけです。


ところで、最初の問題の答はなんと31薬品。

世界で最も有効(売れている)と考えられる薬のうち三分の一が、日本では使用が出来ないのです。学生のときに(もちろん医者になってからも)英語の教科書を使って勉強していましたが、教科書に載っている多くの薬が実際に日本にはなくて困ったっけ…。


同じことがレーザーの世界にも言えると思います。フラクセルやサーマクール。ギャラクシーやオーロラプロ。クリニックFで最も売れているレーザーのほぼすべてが、国際的には評価されているのに日本では未認可なのです。


僕はビバリーヒルズや5thアヴェニューなどにある世界の最先端のクリニックと全く同じレベルの診療をクリニックで行うことを常に目指しているので、僕の医師免許を使って、こういった最新鋭のレーザーを海外から個人輸入しているわけです。


逆に、文科省管理下の大学病院では、こういった最新鋭の機器が入れられないという事になります。もっとも優れた機器が日本の公的機関で使えないというのはおかしな話ですが、本来大学教授が呼ばれるような国際学会に僕のような市井のクリニックの院長が10回以上も呼ばれるということは、この日本というちょっと変わった医療事情の国でしか有り得ないことですから、すごいチャンスですよね。


とてもありがたいことですし、僕自身の強みになっているような気がします。


皆さん、どう思いますか?

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2006年6月21日 (水)

匂いでガンを見つける犬

Fi902_0e 嗅覚、つまりにおいを嗅ぐ能力というのは、原始脳しか持たない動物のにおいても存在する感覚で、味覚などに比べると格段に多くのレセプターが存在するのです。

 嗅神経の受容体は20000以上、味覚の受容体が甘酸苦塩ぐらいしかないのと比較すると、その複雑さがわかりますよね。

これら嗅覚の作用を利用してリラクゼーションに用いているのがアロマセラピーなので、当然効能があることがお分かりいただけると思います。

以前に”芸能界格付けランキング”というテレビ番組があって、自称一流芸能人が超一流と普通の食材やワインなどを食べ比べる番組があったのですが、覚えていますか?僕はあの番組が好きで良く見ていたのです(笑)。

高級ワインの時など、テイスティングして飲んでいる芸能人より、未成年でお酒が飲めないので、においだけで判断した娘の方が、正確な判断をしたりしました。考えてみれば人間でも味覚より嗅覚のがはるかに発達していますから、当然のことなのです。

目隠しをされてしまって食材を食べさせられると、味覚だけで判断するのは本当に難しいようで、食事の時には、いかに嗅覚と視覚に助けられているのか良く分かりました。確かに風邪で鼻が詰まっていると、高級料理も全くおいしくありませんよね。

1989年4月1日号の医学臨床雑誌のLancetに掲載された「Sniffer dog for the clinic?」という記事は大変面白いものでした。

Church J, Williams H. Another sniffer dog for the clinic? Lancet 2001; 358: 930. 

ある飼い犬が、飼い主のある特定のホクロをなぜかいつも臭いを嗅いだり、時には噛み切ろうとしたりするのです。でも、他のホクロには全く興味を示しません。気になった飼い主が、皮膚科医に診せに行ったところ、一見普通のホクロが、悪性黒色腫という超悪性の腫瘍だったのです。

この記事を見たフロリダ州のアメリカ人医師が、警察犬の調教師とある犬を訓練したら、悪性黒色腫の検体をほぼ100%で嗅ぎ分けたとか。

嗅覚とはすごいものですね。

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2006年6月20日 (火)

日々新しくなる医学の情報

Fi917_0e 寄生虫感染が減ると、アトピーが増えるといった考えがあるのですが、エクアドルの医師が、2006年5月に臨床医学誌ランセットに載せた論文(Lancet. 2006 May 13;367(9522):1598-603. Effect of albendazole treatments on the prevalence of atopy in children living in communities endemic for geohelminth parasites: a cluster-randomised trial.)のなかで気になる記事を見つけました。


それは、駆虫しても、残念ながらアトピーやアレルギーの罹患率に変化がない。というデータを示したものでした。


彼はエクアドルの小学生を対象に、アベンダゾール(albendazole)という駆虫薬を用いて駆虫を実施したうえで、約一年後にアトピーとアレルギーの有病率を調べてところ、実験開始前と統計学的な差がみられないことを述べています。


彼はディスカッションの中で、寄生虫感染が減るとアトピーが増えるのでなく、アトピーだと寄生虫感染が起きにくいという可能性があること。もしくは、寄生虫感染によるアトピー抑制は生後数年間に形質として獲得され、成長してからの駆虫には影響されないなどの可能性を述べていました。


実はこういった全く結論の異なる論文は、医学の世界では良く出るのです。データの母体となる人種や年齢によっても差はあります。統計によってもデータが変わります。


僕は、昔都立の看護学校の講師を3年間していたことがあります。レギュラーでは麻酔と救急医療について教えていたのですが、最後に国家試験対策という授業をやっていました。僕は共通1次試験世代ですし、学生のときも、ダブル・トリプルヘッターで家庭教師をやって教科書代や、生活(遊び?)費を稼いでいましたから、マークシートは得意です。出題者の意図を読んで、必ず不正解である答を探してやると、自然と正解が導かれる問題も多くあるのです。でも看護婦さんの卵に、そういった試験のテクニックを教えてくれる人はなかなかいません。


そのときに、看護師国家試験のときの選択枝の中に、”必ず”という言葉があった場合、それは絶対に不正解だと思っていいよと教えた記憶があります。


医学の世界においては、例外は必ず存在するのです。死の病から奇跡的に復帰する人。治らない病気が治ってしまう人。余命3ヶ月といわれたのに10年以上もピンピンしている人などなど。


医師がどんなに医療をしても、最終的には患者さんの生命力に助けられるんですよ。人間というものはまあ、人知を超えた存在なんでしょうね。

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2006年6月17日 (土)

美女とストレスの関係

Fi896_0e 「恋をすると綺麗になる」
「ストレスがたまると肌荒れする」

といった現症を、科学的に解明する研究が実は始まっています。

学者セリエのストレス学説では、体に害をおよぼす精神的肉体的な刺激をストレッサーをいい、刺激によって体内に生じるヒズミを戻そうとする力をストレスと呼んでいます。


脳がストレスを受けると、その情報が脳下垂体のホルモンや、副腎のホルモンの分泌を促進します。そうなると循環器系に血液が集中し、肌への循環が悪くなるのです。これにより皮膚のバリア機能が低下します。

さらに、皮膚の免疫を担当しているランゲルハンス細胞も、この副腎皮質ホルモンの影響で低下しますので、皮膚の免疫力が大きく低下するといえるのです。

表皮の上部にまで伸びている神経線維の末端から神経情報を伝達する化学物質が放出されるのですが、これによって蛋白が血管から漏出したり、浮腫がおこったりといった炎症反応が起こるのです。


これらはストレスが皮膚の炎症反応に関与していることの証拠なのです。しかし、このことを逆に利用して、その作用を抑える物質を研究すればよいということになります。


ストレスを和らげる物質として脳下垂体から分泌されるβエンドルフィンが知られています、この物質は内因性モルヒネなどとも呼ばれていますが、痛みを和らげるとともに、不安や不快をほぐして快楽を引き起こす作用があります。このβエンドルフィンは、表皮や真皮細胞に不活作用を引き起こすとともに、メラニン生成も抑制するのです。


われわれはこういったストレスを排除するために、自然療法(ナチュラルセラピー)を併用しています。


 ヨーロッパで発達したアロマセラピーは、香りによる心の安らぎ効果とマッサージによるいわゆる刺激効果を同時に行い、神経系、内分泌系にストレス解消効果を及ぼすことが出来るわけです。


アロマセラピーに使用される精油は約200種類もあるといわれていますが、使用される精油は100%純粋であることが大切で、合成されたものは利用しません。セラピストは、これらの精油を、クライアントの症状にあわせてブレンドします。心を穏やかに落ち着けるにおいとか、緊張をほぐすにおいとか、そういったものをつくるのです。

Fi896_1e 良い意味でのストレスの発散がいかに美容につながるかをぜひとも体験していただきたいと思います。

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2006年6月16日 (金)

PMS (月経前症候群)について

Fi882_0e 月経痛、生理痛について、大学の後輩でもあり、現在は違う分野の医師としての友人である林先生のクリニックロタージェのブログから引用します。


月経は脳の中の下垂体という部分から分泌されるホルモンによってコントロールされています。実はこの脳下垂体、すぐ横に「視床下部」という自律神経やストレスなどを感じる中枢が位置しているため、その影響を非常に受けやすい場所にあります。


その為、強いストレスを受けたり自律神経に乱れが生じたりすると下垂体から分泌されるホルモンに異常が生じ、正常に分泌されなかったり、量が少なかったり・・・。結果としてそれが子宮に正常に通達されないことで起こるのが「生理痛」「生理不順」です。


つまり月経は、妊娠に関係あるだけでなく、女性の健康のバロメーターでもあるのです。

周期が不規則、月経の始まり/終わりに強い痛みがある、月経が8日以上続くなどの異常は女性特有の病気が隠れている可能性もあります。

「ちょっとおかしいな・・・」という症状があれば迷わずご相談ください。


治療には個々の症状、状況に併せて漢方薬やピルを用います。

◆漢方等
生理周期に併せて下図のように漢方等を使い分けます。
これらのお薬は保険適用が可能です。 図をクリックしてください。

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2006年6月15日 (木)

男も子宮で考える?

Fi887_0e 「女は子宮でモノを考える」という言葉があります。


男性は頭でものを考えるけれども、女性は気分や感情で考えるというような意味合いで使われる言葉ですよね。


でも、実は男性にも子宮があるのを知っていましたか?


実は胎生期に子宮になる部分は男性にも女性にも存在します。女性はそれがそのまま子宮となり、男性はそれが前立腺となるのです。学生のときに解剖学と発生学の教科書で、前立腺の断面図と子宮の断面図を見たときはあまりに似ているので、ビックリしましたよ。


前立腺の一番内側の内腺が腫れる病気を前立腺肥大症といいますが(これは良性の病気です)、つまるところ、前立腺肥大は男の子宮筋腫に相当するわけです。


ところで、ヒステリーの語源は古代ギリシア語の「Hystera」すなわち「子宮」から来ているのをご存知でしたか?


ギリシア・ローマ時代、感情のコントロールが効かなくなる状態を、「子宮が体内で動き回っている病気」ということで、ヒステリーと呼ぶのが語源なのです。


男性にもヒステリーはあるのですけどね(笑)。

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2006年6月11日 (日)

コスモフェイシャルで見た夢

Fi856_0e 実は、今日、いつもより夢をたくさん見たのです。いつもは全く見ないのに。

そういえば、昨日蝦名さんが、コスモフェイシャル[関連した日記LOG]は、夢(良い夢、悪い夢)をたくさん見ることがあるのですが、より夢を見た方が効き目があるといっていました。


学生のとき生理学で習った知識ですが、人は、五感(視覚、嗅覚、触覚、味覚、聴覚から得た情報をそれぞれの感覚器から得て、一旦、側頭葉に格納します。

得た情報の整理は、脳の海馬というところで行われます。海馬はいわば短期記憶をつかさどるところです。

海馬は、人が寝ている間に、必要な情報とそうでないものを振り分け、必要なものだけ、また側頭葉に返し、記憶として残すわけです。

夢は、この海馬が情報整理をしているとき、睡眠で言うと90分に一度来る浅い睡眠、レム睡眠中に見ます。


コスモフェイシャルは顔面の求心路神経、すなわち感覚神経である第V脳神経 三叉神経を刺激するのでしょう。納得です。

脳はダイレクトにその刺激を受けるため、夢を見やすいのだと考えられます。(あくまで自分の予想ですが)



そういえば、脳から直接出る神経は12対あるのです。


第I脳神経 嗅神経 嗅覚
第II脳神経 視神経 視覚
第III脳神経 動眼神経 眼球運動
第IV脳神経 滑車神経 眼球運動(上斜筋)
第V脳神経 三叉神経 顔面、鼻、口、歯の知覚、咀嚼運動
第VI脳神経 外転神経 眼球運動(外転筋)
第VII脳神経 顔面神経 表情筋の運動、舌の味覚、涙腺や唾液腺の分泌
第VIII脳神経 内耳神経 聴覚、平衡覚
第IX脳神経 舌咽神経 舌の知覚、味覚、唾液腺の分泌
第X脳神経 迷走神経 のどの知覚・運動、頚胸腹部の臓器を支配
第XI脳神経 副神経 肩や首の筋肉の運動(僧帽筋、胸鎖乳突筋)
第XII脳神経 舌下神経 舌の運動

学生のときは、「嗅いで見る動く車の三の外、顔聴くのどに迷う副舌」という語呂で覚えました。実は解剖学は医学生にとって最もつらい学科の1つなのです。


体内にある204個の人体の骨を、すべて見分けたり、筋肉や、血管、神経をすべて日本語と英語、ラテン語で覚えたり、人体のひとつの細胞を見て、それがどの細胞か言い当てたり。解剖学ではそういったトレーニングを行います。記憶力との勝負でしたが、それが医師の世界の共通言語なのだからしょうがありません。


僕が解剖学の試験で脳の神経核とか覚えながら、本当に苦しんでいるときに、ちょうど、”スーパードクターK”という漫画が流行っていたのですが、その挿絵の脳が、前後反対に描かれていて、一般の人はこんな知識でいいのだなと羨ましく思ったのを思い出しますよ。(笑)


ちょっと、トリビアルな知識ですが、世に顔面神経痛という一般用語がありますが、顔面神経の枝は顔の表面には運動神経しかありません。顔面神経は表情筋を司っているのです。運動神経は、痛みを伝えないじゃないですか。
ですから痛みを表わす場合、顔面の感覚神経を司る三叉神経の名前を使って、三叉神経痛というのが正解です。


また、最近”顔筋マッサージ”なるものが流行っていますが、これは医学用語ではなく、顔面筋もしくは表情筋が正解です。”がん”筋というと、医者は眼筋を思い出してしまいますね。


いわゆる医者しか使わない医者用語というものがあって、僕が都立の看護学校の講師をしていたときに、講義中にこの話題はすごく受けたのですが、また別の機会にご紹介しますね。

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2006年6月10日 (土)

コスモフェイシャル

Fi853_0e フェイシャルリフレクソロジーの進化版メニューであるコスモフェイシャルを、今日セラピストの蝦名さんにやってもらいました。フェイシャル・リフレクソロジーは指とオイルだけで脳に働きかけるセラピーですが、こちらはもう少しエステティック寄りの施術。小道具が多数出てきて、ワザ勝負なかんじです。


まず、顔と肌を見ての問診。フェイシャル・リフレクソロジーでは顔を触りながら臓器のどこに弱まりがあるかを探っていきますが、コスモフェイシャルでは顔(肌)を見れば、だいたいのことはわかってしまう様子。僕は大腸経が弱いとか。その後ステップ1~ステップ3までは フェイシャル・リフレクソロジーと指の動きは一緒。ただ使う商材がいくつか出てきます。


ステップ1 ローズヒップ・オイル(=フェイシャル・リフレクソロジーと一緒)

ステップ2 クレイ+クリーム。これを塗った上からデポジット(皮下のしこり)を探っていきます。このしこりが体の弱い部分と一致するのだそうです。

ステップ3 特別な塩とクリームを混ぜ合わせたものを筆で顔に塗布。その上から探り当てたデポジットに対して働きかけます。


このあとは、コスモフェイシャル独特の手技になります。


ステップ4 顔に塗れタオルを置き、塩が溶けるまでの間、独特な手技のハンドリフレクソロジーで、弱まりがある臓器に対して働きかけます。
この塩分(ミネラル)量の加減を人によって変えるそうです。


ステップ5 塩で出来た平たいストーンをひとつずつ両手に持って、筋肉マッサージ。

ステップ6 木で出来たスティックを使って、独特なツボ刺激。ここで眠気に襲われ、僕は眠ってしまいました。


ステップ7 筆で顔を流れにそって、なでるように動かしていきます。そのあと、丸い石を使ってコロコロ・マッサージ。


以上で基本ステップ終了なのだそうです。あとは、状態とお好みに合わせて いくつかワザをオプションで行います。


ニキビ肌や敏感肌、むくみ・クマの改善やリフトアップなどの効果を望めるそうで、あくまで自然療法っぽいのに、美容的でとても良いとおもいました。施術中は、ちょっと塩が滲みたかな。


終って数時間ですが夜の会食で会った人に、なんだかすっきりした顔していますねといわれました。


顔の老廃物が、コスモフェイシャルによって一気に流れたのでしょう。西洋医学では体感できない効果ですよね。

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2006年6月 4日 (日)

アトピー性皮膚炎とキレーションセラピー

キレーションセラピーは体内低量重金属を点滴によって体の外に出す療法です。デトックス療法の走りですね。アメリカでは自閉症の患者さん、そして、心臓血管の動脈硬化には効果があるとされている論文が提出されています。

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英語版グーグルでChelationと検索すると、308万件もヒットする、40年以上も前から行われている療法なのです。但し、アメリカではいまだに作用についての賛否両論があり、僕のクリニックでも導入を検討しつつ、いまだ治療に加えていなかったのです。やはり患者さんに提供するものは、安全第一というのが僕のポリシーなので。


ところが、友人のある医師からキレーションで、重症のアトピー患者を治療できたと報告がありました。そうなると話はがらっと変わってきます。難治性の重症なアトピー性皮膚炎には、本当に悩まされてきましたから・・・。医者として何とか治してあげたくても、手段がなくて治せない。これはつらいことなんですよ。特に僕のように美容に関わっている医者とすれば、患者さんの肌を綺麗にする事が仕事です。それをできないのは心底歯痒いことなのです。


早速来週アメリカから薬を仕入れる手配をしました。どんな結果が果たして出るのか・・・またブログでご報告しますね。

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2006年6月 3日 (土)

にんにく注射

「にんにく」とありますが、にんにくが入っているわけではありません。ビタミンB群とビタミンCがたっぷり入ったエキスです。たった1回の投与で、疲労回復、身体能力向上、肌のツヤの変化が実感できます。忙しすぎて肌の調子、身体の調子がよくない、そんな時の特攻薬としておすすめです。


ここでちょっとまじめな話し。


人間がエネルギーを作るときは、ブドウ糖が1つ消費されると、ATPというエネルギーが38個できる仕組みになっています。ところが酸素がない状態でブドウ糖を分解してしまうと、乳酸とATPが2個できます。エネルギー効率から行ったら18分の1です。さらに乳酸は、筋肉痛や、肩こり、目の疲れなど、人間にとって悪いことばかりをするのです。にんにく点滴に含まれるビタミンB1は、この乳酸を正常なクエン酸回路に戻し、エネルギーを作る手助けをするのです。


にんにく点滴をすると、体の疲れや、コリ、目の疲れなどが一気に取れます。僕のクリニックにはその効果を求めて、野球選手などが試合後にやってきます。


最近元気のない、体力が落ちたという人にはお勧めです。ただこれにはひとつ欠点があって、にんにくにそっくりな匂いがするのです。
にんにく注射」と呼ばれる所以ですね。

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2006年5月28日 (日)

メタボリックシンドローム

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メタボリックシンドロームという名前を新聞で見ない日はなくなりました。国民の意識が健康維持に向かいつつある証拠ですよね。

1) 肥満(正確には内臓肥満)ウエスト男性>85cm、女性>90cm
2) 高血圧(上の血圧>130または、下の血圧>85)
3) 高脂血症(中性脂肪>150またはHDLコレステロール<40)
4) 糖尿病ないし耐糖能異常(空腹時血糖>110、HbA1C>5.8または、食後血糖>140)

などの疾患を併発ないしその予備軍を含めた病態を併せ持つ症候群です。それぞれの重症度はそれほどでもないのに、2つ3つと重ね合わさると動脈硬化への影響は数倍から十数倍になると考えられています。


動脈硬化といってもイメージがわかないと思いますが、結局水道管がさび付いた状態と思っていただいてよいのではないでしょうか。腐っていつ中を流れる水が、いつ噴出するのか、もしくはさびで詰まるのか、わからない状態です。


脳で噴出してしまえば、脳出血に。心臓で詰まれば心筋梗塞になるわけです。脳卒中と心臓血管障害をあわせたら国民の死因の一位であるガンに匹敵します。


政府が必死になって対処法を考えているのも分かりますよね。


そして、いよいよ来月より、生活習慣病とアレルギー(=代謝と免疫)のエキスパートである関谷院長の下、世界初のメタボリックスパ・クリニック銀座が始動します。


まずは、この写真の世界初の、体組成計と携帯電話が合体した画期的な健康ツールを使っての診療がスタートするのです。


 この組み合わせのすごいところは、体組成計(体重、筋肉量、骨量、水分量などが計測できる)に毎日のるだけで、自動的にすべての数値が携帯電話に飛んで、クリニック銀座のWEBのデータとして記録でき、そのデータをいろいろ長期にわたって分析できるというモノなのです。


この生活習慣を続けると、半年後には体重が何キロになりますよとか、今週は食べ過ぎて体重が増えてきたので、ちょっと節制しましょうとか、メールが送られたりするのです。


まさにITと医療の統合です。楽しみですね。

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2006年5月22日 (月)

医者の履歴書

Fi766_0e 僕は医師免許を取得してまず麻酔科を選択しました。多くの友人には僕が性格的にも必ず外科に行くだろうと思われていたらしく、驚かれたものです。


麻酔科の選択は臨床面と研究面の二つから考えました。

臨床面では、手術室の中で麻酔科は、心電図を見たり、呼吸管理をしたりと、内科の仕事を行います。反対に手術室の外では、外科やERのような救急の仕事も担当できる。他の科に比べて、技術を習得することが早いため、得意分野を持った上で、他科に転科がしやすく、人間の全身を診ることの出来る数少ない科なのです。

若い医者はいろいろな病院にアルバイトにいくことになるのですが、僕はわざわざ他の科の外来も進んで経験して勉強しました。内科、外科、皮膚科、耳鼻科、精神科、眼科、放射線科、小児科、救急部。行かなかったのは脳外科と、産婦人科ぐらいでしょうか。

また研究面では、麻酔科は痛みの専門です。病気は何がいやかって、痛いことがいやですよね。その痛みをとる研究をしたかったのです。


麻酔の勉強はわき目もふれず、一処懸命やりました。大学病院の初期研修の後、医局人事で東京都老人医療センターという世界的にも稀な、400床以上の病棟を持つ、都立の高齢者専門病院に3年間配属され、合併症の多い難しい患者の麻酔を多く担当しました。在任中には病院にペインクリニック外来という痛み治療専門の外来も立ち上げました。麻酔科の専門医と、ベインクリニックの認定医もここで取得しました。


横には東京都老人研究所という研究施設もあり、自律神経の研究もそこで行うことが出来ました。この病院にいた時は、日本老年医学会会員となり、いわば、すでに病気になってしまった高齢者のみを診ていたのですが、病気にならないためにはどうすればよいのか、今だったらアンチエイジング医療なのでしょうが、それを考える場を与えてくれました。


いわゆる特別介護老人ホームも併設されており、そこでも笑顔の素敵な魅力的なおばあさんを殴り合って取り合うおじいさんも目撃しました(笑)。幾つになっても人間には本能があることをある意味喜ばしく感じ、見た目の若さは人生の中では、いつまでたっても想像以上に重要なことだということも知りました。


この病院を、大学院に進学するために退職して、大学院在学中に六本木に最初のレーザーのクリニックを開き、勉強のため日本の形成外科学会と、アメリカのレーザー学会の会員にもなりました。アメリカでレーザーについて学会発表をしているうちに、アジアやヨーロッパの国々から講演に呼ばれるようにもなり、これが縁になって、フランスのメソセラピーの認定医の資格を取ったり、今のようなアカデミックな最新レーザー医療や、世界のナチュラルセラピーを日本に紹介するメディカルスパという形態のクリニックをニューオータニの中に作ることになったわけです。


高齢者専門の病院にいたことは、今のアンチエイジングの仕事をするために、大切な経験だったのでしょうね。

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2006年5月19日 (金)

人はどうしたら若く見えるか?

Fi764_0e 僕は職業柄、人の年齢を当てるのが得意です。でも、予想が外れて、人がより若く見える時は、ただ1つ、”肌のうるおい”があるときと断言できます。

私たちの皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3つに大きく分かれています。

表皮はさらに角質層、透明層、顆粒層、有刺層、基底層の5層に分かれます。一番下の基底層には10個に1つぐらい、メラノサイトという細胞があり、紫外線が当たると、メラニン色素を生産するのです。これが、シミやそばかすの原因となります。

表皮の一番下の基底層で生まれた細胞は、14日間かけて角質層に押し上げられ、さらに14日ほど角質層の表面にとどまった後に、垢としてはがれ落ちます。健康な肌なら28日間を周期に入れ替わるのです。

30代、40代になって新陳代謝が衰えてくると、周期は35~40日とゆっくりになり、いらなくなった角質が長く皮膚に残ってくすみの原因になり、最下層のメラノサイトによってできたシミも動かずそのままになってしまいます。

Fi764_1e うるおいのある肌を守るために欠かせないもの。これは肌からの水分の蒸発を防ぐことです。角質層には、肌から水分を蒸発させないための4つのバリア機能があります。


1つ目は、肌の表面を覆おう皮脂膜
2つ目は、肌の表面の角質層
3つ目は、角質層内にあるNMF=Natural Moisturizing Factor と呼ばれる天然保湿因子
4つ目は、角質が簡単にはがれ落ちるのを防ぐセラミド


この中でアミノ酸と関係が深いのは、肌のモイスチャー成分の主力になるNMF。アミノ酸や乳酸、尿素などから作られる天然保湿因子のことで、角質層の細胞内に点在しています。水分を維持して肌をみずみずしく保ちます。 アミノ酸はNMFの主原料になり、保水力をアップして、しっとりとした肌をつくってくれます。
 
だからこそ良質なアミノ酸をとって、NMFが十分な角質層を作ることが大切。アミノ酸を摂ると表情筋をつくる筋肉の発達も期待できるので、笑顔の美しい美肌をつくることができるのです。
このNMFに成分がそっくりなのが、カイコから抽出したセリシンという物質です。この物質を利用した化粧品を現在開発しています。こうご期待。

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2006年5月17日 (水)

食品を加熱しても食中毒が起こることがあるのです

Fi761_0e これから食中毒が増える季節になります。細菌による食中毒には、実は二種類のものがあるのをご存知でしたか?


細菌が食物と一緒に体の中に入り菌そのものが増殖して起こる感染型(サルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、大腸菌など)と、食物中で細菌が増殖してそこでつくられた毒素により起こる毒素型(ボツリヌス菌、ブドウ球菌など)の二種類があります。食物を加熱すると、食中毒は防げると思っている方が多いと思うのですが、毒素型食中毒では加熱しても毒性を減らすことは出来ないのです。


感染型食中毒は一定量の細菌に汚染された食物を摂取し、細菌が胃腸管内で繁殖することにより発症します。腸炎ビブリオは夏によく発生し、魚介類の摂取によることが多く、潜伏期間は約15時間位。

サルモネラ菌の食中毒の原因としては牛肉、豚肉、鶏肉等の食肉類、うなぎ料理、鶏卵等が考えられます。潜伏期間は平均8~48時間。

大腸菌はほとんどは非病原性ですが、その中の一部のものが病気を起こします。1996年に堺市で起こした集団食中毒事件はO-157でしたが、O-157(写真)は腸管出血性大腸菌とも言います。細菌に汚染された食物を摂取することにより発症し、潜伏期間は約4~9日です。


もう1つは、毒素型細菌性食中毒です。これは食物 の中で細菌が繁殖して 毒素を出し、その毒素の混入した食物を摂取する事で起こり、次の二種類があります。


 ブドウ球菌による食中毒は比較的多く、調理作業にての汚染が考えられ、手指の化膿巣、鼻腔、糞便などに汚染された食物が原因の事が多いようです。潜伏期間は約2時間です。記憶に新しい雪印の食中毒事件はこれが原因ですね。

もう1つはボツリヌス菌によるものです。1984年、熊本県で製造された真空パックの辛子蓮根事件は記憶に新しいですよね。潜伏期間は約12~24時間、発熱はなく、目まい、頭痛に次いで特有の眼症状、発語障害、嚥下障害が起こり、やがて呼吸困難から死に至ります。ボツリヌス毒素(ボツリヌストキシン)は毒性が非常に強くボツリヌス毒素1gの殺傷力は約2000万人といわれています。フグ毒(テトラドトキシン)と並んで、史上最強の生物毒素で、生物兵器として研究開発が行われました。菌は毒素の抗原性の違いによりA~G型に分類されます。


シワをとることで有名なボトックスはこのボツリヌストキシンのA型のみを抽出したものです。もう30年以上も臨床利用されており、安全性は確認されています。


食中毒を避けるには、当たり前のことですが

食物の中で最近が増殖しないように冷所で保存する。
よく手洗いをして、食物にブドウ球菌が混入しないようにする。
傷がある人は調理しない。
調理した物は早く食べる。
調理器具や台所を清潔にする。

などに注意するとよいと思います。

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2006年5月14日 (日)

普通の風邪に抗生物質は効かない!!

Fi750_0e 朝、軽井沢で起きたら、左目が膿がついてしまって、目が開けにくいぐらいでした。結膜炎です。きっとゴルフ場のお風呂でもらったのかなあ。このところ、ストレスもあったし、免疫力が落ちていたのでしょう。


結膜炎というと、大きく分けて、アレルギー性結膜炎と、 感染性の結膜炎に分けられます。アレルギー性のものは両目で、感染性のものは片目で症状が見られるので、初期にはそれで診断がつきます。コンタクトレンズや花粉症の原因の場合、アレルゲンは両目に影響しますからね。


感染性の結膜炎の場合、ウイルス性のものと、細菌性のものがあります。細菌性のものには抗生物質が、ウイルス性のものには抗ウイルス薬が効くのです。でも、多くの結膜炎を引き起こすアデノウイルスに対する抗ウイルス剤はありません。体を休め、静養することが唯一の治療となります。


ところで、細菌とウイルスの違いってご存知でしたか?


細菌は、ヒトの体の中に入ると、自分の能力だけで増殖します、増殖したらその内毒素によって、ヒトの細胞を壊します。一方ウイルスは、ヒトの体に入っただけでは増えません。ウイルスはまず細胞内に入るのです。そして感染した細胞自体の代謝経路を使って複製することで増殖し、最後には、その細胞を壊してしまいます。つまり、細胞に寄生する生物(厳密に言うと、寄生虫とは違います。寄生虫は増殖して本体を殺すことはしないからです。)なのです、そもそも別物なんですね。そして、ウイルスは写真のように、こんな宇宙船みたいなカッコしているものもあるんですよ。



一般の風邪を引き起こす原因は下のようなウイルスが原因です。

RSウイルス
アデノウイルス
ライノウイルス
コクサッキーウイルス
エコーウイルス
コロナウイルス
レオウイルス
インフルエンザウイルス
パラインフルエンザウイルス
マイコプラズマ
クラミジア

一番下のマイコプラズマとクラミジアは特殊な型の細菌に分類されますが、上を見ると分かるように、ほとんどがウイルス発症なのです。


1940年代というかなり昔に、初めての抗生物質としてペニシリンが臨床利用されましたが、これは細菌が光学顕微鏡で観察できるぐらい大きいからです。抗生物質と違って、電子顕微鏡でしか観察できない大きさのウイルスに対して、抗ウイルス薬をつくるのは実は難しい作業なのです。さらに、抗ウイルス薬は、人の細胞に対して毒性をもったりします。当然、ウイルスが抗ウイルス薬に耐性をもつようになることもあります。


抗ウイルス薬として開発されたものは、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、インフルエンザウイルス、HIVウイルスなどに対して薬効を認められているものがありますが、まだ数種類です。


上記の風邪を引き起こすウイルスの表の中で、抗ウイルス薬が開発されているものは、インフルエンザだけであるといえます。でも、私達医師の眼から見ると、本当に画期的なことでした。風邪薬は、症状を抑えるために処方するだけで、根本治療はできないというのが常識だったんですから。


ただし、良薬口に苦し。良い薬は当然、副作用もあります。画期的な薬だった抗インフルエンザ薬のタミフルの副作用情報が新聞に載りましたが、こういった情報を聞ける家庭医を、普段から選んでおきたいものですね。

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2006年5月11日 (木)

刹那的な美

Fi740_0e たとえば、20代から30代になって、アダルトニキビに悩んでいる人がいるとします。女性のアダルトニキビは通常は仕事や試験などのストレスなどで発症しやすいのですが、実は体内に婦人科系の病気を持っている場合もあるのです。こういった病気の診断をせずに、美肌の治療をするというのは本末転倒です。


また、20代の患者さんで、体脂肪率が17%の人がいるとします。こういった人でもダイエットを希望して来院することがあるのですが、このような方にむやみにダイエットを薦めることは出来ません。体脂肪はコレステロール骨格を持ちます。コレステロール骨格は大量にあると害を及ぼしますが、実は、女性ホルモンの原料になりますので、少なすぎると女性らしさが失われてしまうのです。妊娠しにくくなったり、肌が荒れてしまったりします。


無理にダイエットをしてしまったがために、体内に必要な栄養素がとれずに、かえって老いを進めてしまった人もいるのです。


僕は良く講演でこんな話をします。普通の医者は、-1の病気を0にすることが仕事です。でも美容皮膚科の医者は2や3のものを、4や5にするのが仕事です。そして僕自身はそれを4や5と言わず、9や10にしたい。そのために海外の学会に参加して世界トップレベルの医師たちと会い、世界で一番新しい情報や知識を仕入れ、技術を磨く努力をしているつもりです。


健康でない人の美は刹那的な美です。永続する美は健康の上にしか成り立たないのです。

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2006年5月10日 (水)

肌の診断装置

Fi739_0e 今日、クリニックで、ロボスキンアナライザーという肌の診断装置のデモをやってもらいました。この装置は、肌の写真を撮ることで、毛穴の数、顔面メラニン色素の面積、肌の赤み、目の下のシワの数、水分・油分量、きめなどの項目を、施術の前後で経時的に測定出来る器械なのです。

フラクセルやオーロラなど、美肌の施術をして、肌が変わってくるのが客観的に分かるのは、患者さんにとっても楽しみだと思います。


肌の診断装置の研究は今までもなされてきましたが、一番の問題点はその再現性でした。顔面の表情によって、たとえ同じ時に肌診断をしても、大きくデータが変わってしまうことが多々あったのです。


この器械は、「撮影時位置合せ機能」という機能が新しくつきました。これは目頭と目尻、眉毛の位置、鼻翼の最も広い位置、口角の位置などを最初の画像に記録して、その位置を合わせて次回の撮影をすることによって、再現性を上げたところが画期的なのです。


ちなみに僕の顔で、同じときに2回、開いた毛穴を調べたのですが、2150個と2230個でした。まず自分の毛穴の多さに驚いたのですが、測定値の誤差は3.5%です。通常、統計学的には5%以下の誤差は有意差が無いものと判断します。ようやく臨床評価に使えるレベルになったなと思いました。


機器の購入を考えて、しばらくクリニックに貸してもらうことになりました。実際に使用するのが楽しみです。

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2006年5月 8日 (月)

補完代替医療(統合医療)

Fi736_0e 西洋医学はもともと分析科学的な手法で、病気の病態解明、診断、治療法の開発という過程を経ることによって成功してきたため、どうしても患者本人の健康・生活よりも病気そのものの治療に焦点を当てがちである。そのため、西洋医学は原因のはっきりした疾患の治療には成功してきたが、膠原病やアレルギー疾患といった原因不明あるいは原因が複雑な疾患、精神的な要素が関与する疾患などの治療には必ずしも成功しているとはいえない。


多くの伝統医療を含む補完代替医療(または統合医療)は、分析主義の西洋医学に対して初めから患者を全人的・総合的に治療したり、病気を未然に防ごうとするのが基本方針である。以前は主流の西洋医学の立場からは「インチキ、不法のもの」として扱われがちであった多くの伝統医療が、上述の西洋医学におけるさまざまな欠点を補うことのできるものとして見直された結果、「補完代替医療(統合医療)」という概念が生まれ、近年ますます盛んになってきたものである。



いろいろな補完代替医療 (出典)新しい診療理念 日本医師会雑誌 (2005、p90)

補完代替医療(complementary and alternative medicine)とは一般に大学の医学部で教育されている主流の現代西洋医学(主流医学;mainstream medicine)以外の医療と定義され、下記のようにさまざまなものを含んでいる。

民族療法などの体系的医療
漢方、鍼灸、アーユルベーダ、チベット医学、ユナニ、その他各国の民族療法、ホメオパシー、自然療法、人智医学

食事・ハーブ療法
栄養補助食品、絶食療法、花療法、ハーブ療法、長寿食、菜食主義、メガビタミン療法

心を落ち着かせ、体力を回復させる療法
バイオフィードバック、催眠療法、瞑想療法、リラクセーション、イメージ療法、漸進的筋弛緩療法

体を動かして痛みを取り除く療法
大極拳、ヨガ、運動療法、ダンスセラピー

動物や植物を育てることで安楽を得る方法
アニマルセラピー、イルカ療法、園芸療法

感覚を通じて、より健康になる療法
アロマセラピー、芸術療法、絵画療法、ユーモアセラピー、光療法、音楽療法 

物理的刺激を利用した方法
温泉療法、刺激療法、電磁療法

外からの力で健康を回復させる治療法
指圧、カイロプラクティック、マッサージ、オステオパシー、リフレクゾロジー、頭蓋骨調整療法、セラピューティックタッチ

宗数的治療法
クリスタル療法、信仰療法、シャーマニズム



アメリカでは1970年代から補完代替医療に対する関心が高まり、1992年に国立衛生研究所(NIH)内に補完代替医療事務局(OAM)が設立された。 1998年には予算も当初の10倍の2,000万ドルとなり、補完代替医療に関する研究、調査を行い、EBM(Evidence Based Medicine)に基づいた有効性の検討を行っている。


近年、アメリカではメディカルスパ(治療の泉)といった施設名称が一般名詞化してきている。これは、スポーツクラブなどの健康増進施設、アロマセラピー、鍼灸、リフレクソロジーなどの補完代替医療を集めた診療施設を西洋医学の医師のクリニックに併設し、リラクゼーションをすることで、ストレスを排除し、病気を未病のうちに防ごうという考えが発祥である。


ヨーロッパ諸国はアメリカと並ぶ補完代替医療の発達した国といえる。なかでも補完代替医療への関心が最も高いイギリスでは、国民の10人に1人、1年間に1,000万~1,200万もの人がアロマセラピーのような補完代替医療治療を受けているのは驚くべきことである。


日本は古来より、鍼灸学や漢方医学が発達し、補完代替医療に対しては世界的に先進国であった。しかしながら、戦後、西洋医学の意義が重要視され、現在、日本において補完代替医療を教育している大学医学部はわずか4校だけである。医師以外の施術者によって行われている補完代替医療分野のうち、鍼師、灸師、あんま・マッサージ・指圧師、柔道整復師は厚生労働大臣による免許で国家試験になっているが、カイロプラクティック師、整体師などには国家資格がなく、その養成機関も実体が不明瞭なものが多い。十分な医学知識を持たずに施術することは健康を害する可能性も大きく、研究施設などの配備とエビデンスのある診療方法の選別には細心の注意が必要であるといえる。


これらの治療が保険診療治療として認められていない以上、自費診療として日々の診療に取り入れざるを得ないが、このような治療基準の整備を行うためには、やはり初期に、西洋医学の知識を持った医師が補完代替医療に対して正確な知識を持ち、実践することが大切であろう。


外科や内科、皮膚科といった既存の概念のクリニックから全く離れた、新しい価値観のクリニックを、これからも作り上げて行きたい。

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2006年4月13日 (木)

眠れない!

Fi679_0e 時差ぼけで全く眠れないまま、今日は出勤しました。始業前にスタッフと週間ミーティング→ 副院長の小山先生と外来→ 昼はコンビニのおにぎり2個(梅と鮭)→ 午後は美顔器の打ち合わせ→ 夕方ChouChou編集部の方たちが、フラクセルとオーロラSRAの体験取材・・・。寝てないと一日がほんとうに長い! テンションが妙に高いままなので、セラピストのマッサージでも受けてクールダウンしたいところですが、自分のスタッフには忙しそうでなかなか頼めないんですよね、これが。


眠れない!と患者に悩みを訴えられても、西洋医学では薬を出すしかありません。自律神経を整える方法が他にないのです。けれど、自然療法では薬を使わずに副交感神経を優位にして、深い眠りを引き出す知識やテクニックがたくさんありますよね。ホルモンは寝ているときに分泌されるものも多いので、アンチエイジングには質のよい睡眠が欠かせません。医療と自然療法が一体となったうちのようなメディカル・スパが提案するアンチエイジングの領域は、ふつうの美容クリニックよりも圧倒的に広いと言えるでしょう。


うちのメニューで一番良く眠れる施術はなんだろうな。施術中に必ず眠れるフェイシャル・リフレクソロジーとか、個人的にはかなり好きなんですけどね。これは完成度の高い非常に良く考えられた施術で、クライアントが眠りに落ちるタイミングまで計算されているのです。その日の夜はなぜか夢をたくさん見て、これがまたおもしろいんですよ。夢というのは「リリース(解放)」であると解釈されているのです。去年創始者のロぺス夫婦がスペインから来日した際には、とても有意義なディスカッションが出来、感動したことを覚えています。御主人のセニョール・ロペスが医者なので、施術の理論に医療も反映されていて、医者の視点から見ても奥が深く興味深いのです。まだライセンスを持っているセラピストが日本には少なくて、なかなか施術を受けられないのが玉に瑕なんですけどね。


彼らの脳に働きかける独特の手技は、これから日本の医療現場でも注目され、必要とされるのではないかと思っています。今年の夏に彼らが再来日するのが今から楽しみです。

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2006年3月13日 (月)

声が出ない!!

8日の水曜日、夜にサンフランシスコから帰国して、成田からその足でクリニックに出勤し、残務の整理や、テレビや雑誌の取材の対応、そして彼岸前の墓参りなどをやっていたら、土曜日の夜から、ついに熱でぶっ倒れました。もう若くないですね。僕はもともと忙しい生活が好きなので、“忙しくて寝むれない“なんてことは、どうってことないのですが、この風邪で、なんと、声が出なくなってしまったのです。きっと鼻腔の奥の上咽頭炎で、後鼻漏が続くうちに声帯にも virus が飛び火したんだなとか、西洋医学的に予想はしてみても、実際に声がでなければ、診療も出来ません。さあ、月曜日までに治さなきゃ。


西洋医学的には、のどの痛みをとるために、トラネキサム酸(トランサミン、面白いことに、この薬には、シミを薄くする効果もあります)や、細菌感染症がないときはPL顆粒のような、総合感冒剤を使うしかありません。風邪の引き初めは、葛根湯のような漢方薬が効くこともありますが、このようにどっぷりと風邪になってしまったときは、体力のない、老馬に鞭打つようなもので、逆効果になってしまいます。だったら早く治すために何をしようかと思って、民間療法を調べてみたところ、いろいろと、出てきますね。
 

風邪の民間療法は長い間の経験によって確立された、いわば生活の知恵といえます。たとえば、卵酒は卵によってタンパク質を補給し、日本酒で体を温めて眠りを誘う効果がありますし、しょうがは中国で古くから「風邪を治して冷えや頭痛、鼻づまり、咳、痰を取り去る薬効がある」とされています。梅干しに含まれているクエン酸は、体のTCAサイクルを回して栄養補給をしてくれますし、はちみつやそれに含まれるプロポリスなども効果があります。


<漢方で風邪に効果があるといわれる食品>
●しょうが
●長ねぎの白い部分
●しその葉
●にんにく
●だいこん
●梅干し
●シナモン(桂皮(けいひ))


“喉の痛みや咳には大根“といわれるほど、咽頭部感冒の民間療法として根づいているのが大根です。大根の辛味成分アリル化合物には、炎症を鎮め、せきを止め、さらに殺菌の作用があります。また大根には、天然の消化剤といわれる酵素のジアスターゼやアミラーゼが豊富で、疲れた胃腸の働きを助け、食欲不振を改善するのです。呼吸器系の風邪のときは、Tシャツの胸の前にカイロを貼るのが効果的です。


世界各国でも、風邪に対する様々な対処法があります。フランスでは高熱の時には冷水風呂にいれて体を冷やせなんてとんでもない療法がほんの数十年前までありましたが、今は当然、廃れています。イギリスには『Feed acolid and starve a fever』という言葉があります。「風邪は食べて治せ、熱は食べずに治せ」こうすれば風邪は自然に治るという意味です。かるい風邪の場合はしっかり食事をし、栄養をつけて安静にします。熱がある場合は細菌感染やウイルス感染が考えられますので、食事をして胃腸に負担をかけるよりも(食事をするという行為は実は体力使うのです。現に基礎代謝量の大きな部位を食事が占めています。)水をたくさん飲むようにしろというものです。世界の民間療法にも、程度の差はありますが、西洋医学の観点から考えても一理あるものも多いですね。


で、昨日の日曜日は本当に丸一日眠って(疲れていると本当に丸一日、眠れるものなんですね!)、ついでに民間療法もいろいろ試してみましたが、今日起きて、体力的にはだいぶ復活したものの、残念ながら、声はかすれていて、全快というまでには行きませんでした。でも、仕事には復帰できそうです。やっぱり風邪の時はディフェンスで、時間が経つのを待つしかないですね。(笑)

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2006年3月12日 (日)

アミノ酸で体が変わる!!

Fi765_0e たんぱく質(写真)は、炭水化物、脂質と並んで三大栄養素の一つとしてよく知られています。アミノ酸はたんぱく質を作っている原材料です。


では、皆さんは五大栄養素という言葉を知っていますか?
これは上記の3つの栄養素にビタミンとミネラルを足したものなのです。
最近このビタミンとミネラルに注目した議論が中心になされていると思うのですが、これら二つの補佐の栄養素は、三大栄養素が満たされたのちでなければ、効果を発揮できないことを忘れてはいけません。


ビタミン、ミネラルなどのサプリメントをお弁当のように嬉しそうに食べているOLさんを見かけることがありますが、憂慮すべきことだと思います。良質なアミノ酸を摂取すること、良質な炭水化物、脂質を摂取することが人間の体を作るために、いかに大切なことなのか、考え直すときなのではないかと思うのです。


たんぱく質を構成している、20種類のアミノ酸のうち、体の中で合成できるものを『非必須アミノ酸』と呼び11種類あります。体の中で合成できず、食事などから補給する必要があるものを『必須アミノ酸』と呼び9種類あります。体内で合成出来ない必須アミノ酸のうちひとつでも必要量に満たないアミノ酸があると、他のアミノ酸も一番少ないレベルでしか働けなくなります。私たちは、意識して必須アミノ酸をバランスよく摂取することが大切なのです。


実は日本は世界で一番アミノ酸の研究が進んでいる国なのをご存知でしたか?味の素や宝酒造などがこの研究が最も進んでいるのです。


ちなみに、スベスベの肌になるためには、体をつくる20種類のアミノ酸すべてが必要ですが、なかでも美肌効果が高いのはアスパラギン、チロシン、セリン、プロリン、アルギニンの5つのアミノ酸です。肌細胞の原料になり、細胞分裂を促す酵素にもなるアスパラギン、チロシン、セリンは、ターンオーバーの周期を整える潤滑油とも呼ばれています。プロリンとアルギニンは、肌にハリを与えるコラーゲンをつくる材料になります。


以下にアミノ酸の説明を載せます。


必須アミノ酸

バリン・ロイシン・イソロイシン
3つの必須アミノ酸は分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれます。カラダのたんぱく質を増やす働きや筋肉増強や疲労回復に効果があります。 
たんぱく質をつくる作用を高める、肝機能強化作用など

リジン
身体の成長を促進し、組織を修復する 
集中力を高める
ブドウ糖・脂肪の代謝促進(ダイエット効果)
コラーゲンの生成をサポートする(美肌効果)
育毛・発毛効果
肝機能強化作用
ウイルスを抑制

スレオニン
脂肪肝になるのを防ぐ

メチオニン
血液中のコレステロール値を低下
ヒスタミンの血中濃度を低下させる
肝機能強化作用

ヒスチジン
紫外線の害の予防。
赤血球、白血球の形成に関与

フェニルアラニン
脳と神経細胞の間で信号を伝達する神経伝達物質になる
記憶力を向上させる
抑うつ症状の改善
気分を高揚する作用

トリプトファン
神経伝達物質であるセロトニンの前駆体
成長ホルモンの分泌を促進します。


非必須アミノ酸

アラニン
アルコール代謝を改善する作用があり、肝臓のエネルギー源として重要

アルギニン
コラーゲンの主原料でもあり、肌再生アミノ酸とも言われる
血行促進、免疫機能の向上、肝機能増強、脂肪の燃焼などの作用もあり

グルタミン
最も多くみられるアミノ酸
免疫機能の向上・筋肉のたんぱく質合成を助けたり潰瘍の治癒を早める

アスパラギン酸
体内の老廃物の処理、肝機能の促進、疲労回復

グルタミン酸
潰瘍の治癒を早める
脳の機能・知能を高める
アンモニアを体外に出す効果 

プロリン
筋肉のエネルギー源で脂肪の燃焼を促進する効果

システイン
傷の治癒の促進
シミの原因となるメラニン色素の沈着を防ぐ

チロシン
神経伝達物質であるドーパミン、ノルエビネフリン、エビネフリン、甲状腺ホルモン、成長ホルモン、メラニンの前駆体
気分を高揚させる

アスパラギン
セロトニンをつくる前駆体


グリシン
コラーゲンの合成、遺伝子の構成成分の合成
赤血球のヘム、クレアチンの合成、グルタチオンの合成

セリン
コラーゲンの手助けをする、エラスチンを形成

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2006年3月 8日 (水)

医療の進化

「賢者は歴史に学び、愚者は体験に従う。」と言います。古くより、歴史より包括的な知識を学び、現実に応用する能力のあるものは大成し、経験による成功に溺れ、失敗を恐れる人は一時の成功のみで没落するのです。ヨーロッパにおいても、ビジネスにおけるもっとも大切な資料は、失敗の蓄積の資料であるということだときいたことがあります。孔子の古い言葉ではあるが、温故知新(故きを温(たず)ねて、新しきを知ること)が現在でも必要だということだとおもいます。

医者の業務というものは、記憶力を頼りにする業務が多いのです。患者さんを診察し、症状を自分の記憶の本から呼び出して、本に書いてあった治療を提供する。この業務の繰り返しなのです。普遍的は歴史のデータ(つまり医学書、論文、学会)に学び、医療を実践するものがいる一方で、長い間の体験が、かえって治療方針を偏らせてしまう医師も多く目にしてきました。
 
西洋医学が優れている点は、以前に感染症や交通外傷などの初期治療だと話したことがだとおもいますが、もう一点、他の医学に比べて、統計解析の技術が優れていると思います。博士論文を書くときには、その実験結果が、他の条件のデータ集団と違いがある(有意差といいます)ことを証明する技法を学ぶのです。

たとえば風邪の人に砂糖水を、これはとてもよく効く薬だと言って飲ませる。これで40%ぐらいの人は実は治ってしまいます。これをプラセボ効果といいます。だから、薬を開発するときに、このプラセボとの違いを科学的に検証することが大切な業務になるのです。

どんなにゴルフが下手な人でも、18ホールも回れば、必ず1度はナイスショットがあると思います。コースをまわり終わったらそれしか覚えていないでしょう。人間は調子の良かったもの、嬉しかったものを忘れないものなのです。ガンの治療でも特定のキノコを食べていたら、ガンが治ってしまうなんてこともまれにはあるのかもしれません。でも、それは単なる体験に従うことです。最初からこの単なる体験に従って治療をすべきではありませんが、特定の医療分野が学問として成り立つときには、このクリエイティブな努力の体験の過程が必要なのです。

今の美容皮膚科の世界は、顔に施術できるレーザーが開発されて24年。体験に従う学問から、歴史に学ぶ学問に変化しつつあります。今年もいくつかの学会に参加しましたが、参加する海外学会の進化の早さは、美容の世界がいよいよアカデミックな学問として確立しつつあることを意味しているのだと痛感します。今の我々のクリエイティブな体験による努力が、統計的手法にて歴史となり、次世代の教科書を作っているのですね。

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2006年2月27日 (月)

幼稚園の同級生からアドバイス

僕の幼稚園と小学校の同級生で、再度、東大の研修医で一緒になった友達がいます。ちなみに彼は、”小早川伸木の恋”のときも、一緒にインタビューを受けたりしました。なんだか昔から彼とは深い縁を感じるのですが、その医師が僕のブログを読んで耳鼻科医としての意見をくれました。確かに最もな意見なので、そのままご紹介します。

”耳鼻科医としての意見を少々。うちは結構プロの歌手がくるのですが、もう明日本番というときは、ステロイド点滴、プラス ステロイド 吸入をやっています。家ではぜんそく用の、フルタイドエアーなんかわたして、本番前にいっぱいやれといっています。”

日本を代表する声楽家や歌手、声優の皆さん。朗報です。


また、、僕のブログの2006年02月17日の記事で、事故にあった子供を救う方法 についてですが、

”小児の異物で、掃除機を使うのは正解ですが、最初にスウィッチを入れておくと、舌にくっついてしまうので、なるべく奥に入れてから、スウィッチを入れましょうと講習会では言っています。”

なるほど、確かにその通りですね。過去のブログにも付け加えさせていただきました。

ちなみにこの友人、明日(というか今日ですが)僕のクリニックを訪問してくれる予定になっています。ひさしぶりに会うので楽しみです。

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2006年2月17日 (金)

事故にあった子供を救う方法

Fi453_0e 以前に都立の看護学校で救急医療の講義を担当していたことがあります。100人ぐらいの看護婦さんの卵を教えるのは楽しかったですが、彼らの集中力も限度があります。いくつか興味を惹く話をした覚えがあるのですが、医学的にもとても受けた話をします。

以前に脳が使用することの出来る栄養素は、脂肪、炭水化物、糖のうち、最後の糖だけだというコラムを書きました。糖を分解するためには必ず酸素が必要です。1つのグルコースが分解されると、ATPというエネルギーが38個出来るのです。組織で酸素が足りなくなると、グルコースは乳酸という物質に変化して、ATPを2つ作ります。乳酸は、体のをだるくします。何だか体がだるく、疲れが取れないというのも乳酸の代謝が悪いことの影響のことが多いのです。余談ですが、いわゆるにんにく注射と呼ばれる、ビタミンB1を注射する療法は、ビタミンB1が、乳酸を消費して、通常の回路に戻すことを手伝うのです。だから疲れを感じるときにはにんにく注射をすると良いのです。しかし、脳は他の組織のような便利な対応はありません。大人で脳に酸素が行かない状態が4分以上続くと、間違いなく脳が障害を受けます。これは酸素が脳に供給されないと、エネルギーが使えずに、脳が維持できないからなのです。

ところで、表記のように子供が長時間、水没してしまったのに、何の後遺症もなく生き返ったと言うニュースを耳にすることがあります。6歳以下の子供の場合は、脳の構造がちょっと違うのです。脳死の概念も6歳以下の子供は例外とされています。胎生期には、子供は低酸素の状態で生活しています。お母さん静脈血で生活しているので当たり前です。そのときには、大人と違った特殊なヘモグロビンを使用しているのです。正常産の新生児黄疸というのがありますが、それは、この低酸素でも対応できる特殊なヘモグロビンが破壊され(最終的にビリルビンと言う黄色い物質に代謝されます。汚いですが、ウンチの黄色はビリルビンです。)、大人のヘモグロビンが作られる過程なのです。そしてもう1つ、この胎生期には脳が、糖だけでなく、脂肪(ケトン体)を利用できるリザーブシステムを持っています。ケトン体の分解には酸素が必要ありません。6歳以下の子供の場合、急激に酸素が低下し、体温が低下したときには、このリザーブ回路が働き、酸素のない状態で脳を保護する遺伝子が発動する場合があるのです。

言葉は変かもしれないけれど、実は動脈を切った様な特殊な場合を除いて、人間を数分以内に殺すのは実は案外と難しいのです。たとえば、腸が飛び出てしまったような外傷を受けた場合でも、出血が少なければ、約3時間は生きられます。心筋梗塞でも30分以内に(つまり救急車が来ることを待てれば)生きられます。つまり救急車を先に呼ばなければならないのです。太い動脈を切ってしまった場合は押えるしかありませんが、唯一、救急車を呼ぶ前に我々が処置をしなければならないのは、呼吸系のトラブルです。それこそ4分以内に勝負が決まってしまいます。子供さんがコインを詰まらせたり、お年寄りがお餅を詰まらせたりしたときが、もっとも危険です。そんなときは、まず、掃除機を使って吸い出してください。それで命が救われる場合があります。覚えていてくださいね。


ちなみにこの記事を読んで、僕の幼稚園と小学校の時の同級生、そして東大の研修医でも一緒だった耳鼻科医師がコメントをくれました。鋭い指摘だったのでそのまま引用します。

”小児の異物で、掃除機を使うのは正解ですが、
最初にスウィッチを入れておくと、舌にくっついてしまうので、
なるべく奥に入れてから、スウィッチを入れましょうと講習会では言っています。”

なるほど、小さなことですが、気が動転しているときには重要な情報でよね。皆さん覚えていて下さい。これで1つでも命が救われると良いのですが。(笑)

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2006年2月16日 (木)

代謝とダイエット

Fi450_0e 人間の消費カロリーを決定しているのは、基礎代謝量だと言われています。「基礎代謝量」とは、一体なにを指すかご存知ですか? 人間が日常生活を送るためには一定の体温を維持することが必要となります。そのために必要なエネルギー量・・・簡単に言ってしまうと息を吸って吐くためだけにどの程度エネルギーを消費するか、それがこの「基礎代謝量」と言うことですね。基礎代謝量の消費カロリーは全消費カロリーの8割をしめていると言われています。運動や、食事制限でコントロールできるのはわずか2割のことなのです。

基礎代謝量の多くの部分を占めているのは、その人の筋肉量だと言われています。低体温の人は、概して筋肉が少ない。ですから絶食することによるダイエットは、筋肉量を減らしてしまうので、基礎代謝量が落ちてしまうのです。以前と同じ量を食べてしまうと、リバウンドしやすいと言うことになります。

ダイエットは、結局最後は食べる量を減らすしか方法がないといわれてきました。運動して消費できるカロリーは、思ったよりも少量なのです。3km走ったところで、お茶碗一杯分のご飯のカロリーも消費できません。その程度のカロリーなら、運動後のビール一杯でもう補われてしまうのです。

絶食する、もしくは食事を減らす方向でダイエットしてしまうと確かに痩せることは出来ます。食事がないと、まず生体は、体内の筋肉を分解します。筋肉が分解されるとケトン体という物質が増えるため、頭痛が起こり、いらいらして、さらに糖分が少なくなるために、脳の回転効率が落ちます。パソコンの前に一日中座っていたり、会議が多いような頭脳労働に携わる人にとっては、仕事をするという日常生活の基本をまっとうすることさえ困難になります。

現在、アンチエイジング・ドクターズで、僕はクリニック経営企画を担当しています。去年は紀尾井町に日本で初めての本格的なメディカル・スパを作りましたが、今年は銀座に「メタボリック症候群」をテーマとしたクリニックを作ろうと思っています。ここでは、画期的なITシステム主導の医学的ダイエットが大きな柱となる予定です。知的労働者でも、日常の生活を送りながら安全にダイエットが実現し、かつ、ダイエット期間中の物理的心理的ストレスを心身両方からサポートしていきたいと思っています。ダイエット以外にもアトピー性皮膚炎ほか生活習慣病に対し、各種検査システムを導入し、おもしろいアプローチで挑もうと思っていますので、乞ご期待。オープンは2006年4月の予定です。

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2006年2月 7日 (火)

血液型と性格について

Fi429_0e 血液型と性格について、書かれている俗本によるとおおよそこのようになります。A型はまじめで几帳面で、悪く言えば理屈っぽく融通が利かない。O型は感情優先のおおざっぱ性格。B型はひょうきんものでマイペース、時に自分勝手に映るため批判を浴びることもある。AB型は時にはA的自分とB的自分との葛藤の末の、天才・分裂肌。世界的には、西洋ではO型が多く、東洋ではB型が多いので、A型の多い日本は世界的にみると特殊な存在です。日本人について言われる様々な性格風土は言われてみれば農耕民族的な生真面目なA型と重なるように思えてきます。アメリカ人のあのような喜怒哀楽に富んだ自己表現もO型的特徴といえますよね。


でも、医学的には血液型と性格はまったく関係がないと言われています。脳と血管の間には解剖学的にはBBB(ブラッドブレインバリア)と呼ばれる関門があって、そもそも脳の中には血流がはいらないのです。性格を決めているのは脳でしょうから、西洋医学的には、関連があるはずがありません。ただし、脳の中の自律神経を支配している視床下部および下垂体と呼ばれる部分にはBBBが存在しないため、血液が脳内に入り込む可能性はあります。本能とか、情動に関しては、血液型が関わる可能性はありますよね。でも、こいつはA型に違いないとか、B型に違いないとか、なぜか分かるときが正直あります。ちなみに僕自身はO型ですが、僕が今まで付き合った女性は、選んだわけではなく、全員がA型なのです。友人はB型が多いです。何ででしょうか?


 おそらく、血液型はもともと持っている遺伝子のオリジンに関わっているのでしょう。アジア大陸的は遊牧民族であるB型、農耕民族の多いA型、そして狩猟民族のO型。各々によって食生活が違うので、血液型にあった食事をしたほうが良いと言われています。アメリカの自然療法医であるダダモ博士の本によると、A型は、肉、乳製品は極力避け、野菜や穀物を多く摂ると良い。B型は乳製品を中心に青菜、肉、卵、レバーなどを積極的に摂ると良い。O型は、肉中心の食生活だったから米で太るなどと言ったものです。これからの検証が必要ですが、面白い説だと思いました。


ところで、O型の血は蚊に刺されやすいというのを知っていますか?体温が高ければ、刺されやすいというのを聞いたことがありますが、O型が蚊に好まれるというのは化学的に構造式で説明できます。O型の血液には構造上、フルクトース(糖鎖)に近い構造があるのです。この論文を読んだときに、どうして友達と一緒にいても、僕ばかりが蚊に刺されるのか、よく分かりました。

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2006年1月14日 (土)

『本物のアンチエイジング治療を提供するために』

トリニティという雑誌にクリニックが取り上げられました。記事を紹介します。

アンチエイジング治療の進むべき方向

Fi327_0e 9月にオープンしたばかりのクリニックは、白木やテラコッタの床を基調としたナチュラルで優しい雰囲気のクリニック。通された待合の大きな窓からは、自然光が降り注ぎ、木々の鮮やかな緑が眼下に広がり、ここが東京の中心であることを忘れさせる。
「今、『アンチエイジング』という言葉が先走りしてブームになっていますが、今ここで私たちが本物を売らなければ、消費者にそっぽを向かれると思います。アンチエイジング医療は、非常に大きな岐路を迎えているといわざるを得ません。」と語るのは、院長の藤本幸弘医師。

多様化する患者ニーズに対応できるクリニックづくり

「保険診療のシステムに不安を感じていた私は、自由診療という枠組みで独立できる医療分野を探していました。実際に美容医療のフィールドに足を踏み入れてみると、1から治療法を探さなければならないことも多々あるクリエイティブな分野であることがわかり、ふと気づくと面白さにはまっていました。」と軽快に語る藤本医師。
クリニック経営にも強い関心を持つ藤本医師は、多様化するニーズとそれに応えるためのストラテジーを常に追求しているという。「美容医療とは、マイナスをゼロにする保険診療とは違い、1や2のものを4にも5にもする医療です。それゆえ、患者様の要求するレベルも高く常に最先端のものが望まれます。加えて価値観が多様化するこの時代、一つのビジネスモデルの寿命はとても短くなっています。ある美容クリニックが現在うまく経営されているとしても、五年後に同じ状況であるとは思えません。我々は常に時代のニーズを先読みしなければならないと考えています。」

『本物』を提供するために

冒頭に語られた『本物のアンチエイジング』とは、またそれを提供するためにどうすればよいのか?それに対する藤本医師の考えを聞いてみた。「数年前に比べ美容治療が格段に普及した今、アンチエイジング治療を本物に育てるために必要なのは、レーザー美容皮膚科という分野に携わる医師の知識や手技レベルの向上と、それを確立するための教育システム構築だと考えています。この分野は、形成外科医からも、皮膚科医からも専門性を極めるのが難しい分野です。だからこそ、美容医療の先駆者や第一線で活躍する皆と共に協力をし、専門の教育システムを構築し、更に学問に育てる必要があるのです。
そのためには、国内に留まらず、海外の学会にもできる限り参加し、ネットワークを広げ、自身の経験と多くの情報から最良の治療法を確立し、標準化することが重要だと考えています。」

メンテナンス治療という概念
Fi327_1e 開放的でおおらかな性格の藤本 医師の人気の秘訣は、何も人柄だけではない。患者の気持ちを第一に考えた治療方針により、患者からの高い信頼を得ている。
「当院では、『対症療法』と『メンテナンス治療』という2つのアプローチを使い分け、患者様の要望に答えるようにしています。『対症療法』は、注入療法など患者様の要望に対する直接的な解決策であり、『メンテナンス治療』は、患者様の肌を定期的にケアし理想の状態に近づける治療です。初めて美容治療を受ける患者様は、少なからず恐怖感をお持ちなので、フォトファームRF等のダウンタイムやリスクの少ない治療で自分の肌が変わっていく喜びを実感していただき、定期的に治療を受けることをお勧めしています。」

革新的かつアカデミックな医療を目指す傍ら、日常の診療では「とにかく一人一人の患者様が行った施術に対して満足していただけるように心がけています。」といつもの笑顔で語ってくれた。

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2005年12月12日 (月)

少子高齢化(特に少子化)の対応策は、保育問題の充実しかない??

今回僕は「メディカル・スパ」をテーマにいままでのクリニックをプロデュースしてきましたが、もう一つ興味のあることが少子高齢化社会に対応する何らかのシステムを作ることです。先進国、移民の国アメリカ以外に、少子高齢化対策が成功した国は、事実上スウェーデンとデンマークしかないのです。これらの国は、保育休業制度、保育所の問題、経済的負担軽減措の三点を国を挙げて対応しました。人口減少によって実は国が豊かになるという説もありますが、やはり人口は国力ですよね。日本の医療問題とともに改革が必要な点だと思います。以前に少子高齢化社会について書いた文章があるので、今日はそれをご紹介します。

はじめに

日本の年間出生数は1973年以降減少傾向が続いていて、現在は当時の約半数(2003年54%)にまで減少している。出生率(合計特殊出生率)でみても、最も高かった1971年の2.16から、2003年には4割減の1.29になっている。この数値は長期的に人口を維持できる水準の2.07よりかなり低い。こうした少子化の結果日本の総人口はまもなく減少を始め、これに加えて高度医療の進歩により高齢者の寿命が伸びることで人口高齢化が進行することが予想される。

少子化の原因

年間の出生数は、親となる世代の人口規模と、彼らの子どもの生み方(出生率)によって決まる。少子化過程の出生数の減少には、この両方、つまり親世代の縮小と、子どもの生み方の変化が同時に影響してきたと考えられる。このうち、子どもの生み方が変わった最も大きな要因は、結婚に対する意識が変わったこと(晩婚化・未婚化)にあると考える。
 中でも晩婚化は1970年代半ばの少子化過程のはじめから出生率低下の主な原因となっていると考える。晩婚化は若い年齢層から順に結婚している人の割合を下げ(つまり 未婚化 を引き起こし)、そこでの出産を減少させる。日本の場合、少子化の過程での出生率(合計特殊出生率)低下は、女性20歳代での出産が大幅に減るかたちで起きてきた。これはこの年代で結婚している人が減ったことが主な原因である。代わりに30歳代で出生率は高まっているが、20歳代で減った分を補うまでには至らず、合計特殊出生率は減少し続けている。女性20代後半では、1970~2000年の間に未婚率は18%から54%へと3倍に増え、半分以上が未婚者となった。また、男性30代前半では同じ時期に12%から43%へと3.6倍になった。これらの年齢層では、その分だけ結婚している人が減少し、出産も減少するということになる。また近年では晩婚化が "非婚化(生涯結婚しない人の増加)" につながっていると考えられるので、若い年齢層で失われた結婚・出産の一部は取り戻されないと考えることが出来る。
 女性の晩婚化の理由として、何よりも大きな点は男女雇用機会均等法によって、優秀な女性が仕事を行うようになり女性の経済力が向上したことにあると考える。政府の主催したアンケート調査によると「仕事を持つ女性が増えて、女性の経済力が向上した」、(66.1%)、「独身生活の方が自由である」(54.1%)、「結婚しないことに対する世間のこだわりが少なくなった」(35.5%)、「仕事のためには独身の方が都合がよい」(30.7%)などが理由としてあげられている。一方、男性の晩婚化の理由は、「独身生活の方が自由である」(59.6%)が大きな理由となっている。
これに加えて90年代からは結婚後の出生ペースの低下が低下したことが大きな原因となっている。これには社会・経済の変化全体が関係して、結婚のし方や結婚後の子どもの生み方が変わり、経済変化による働き方や消費生活の変化、男女、家族など社会関係や価値観の変化・多様化が起こったが、そうした変化と従来の慣行、制度との齟齬(そご)が指摘されている。そして、このような出生率の低下は、おおむね先進国に共通した現象であり、社会経済の変化にともなって、もし人々の間に結婚や出産を望んでいるのに、しにくい事情が生じているとすれば、これを取り除く必要があると考える。

少子化による問題点

有史以来、国力とは人口そのものに他ならなかった。まもなく日本の人口は減少を始めるが、労働人口の減少、とりわけ若い労働力の縮小と消費市場の縮小による経済への影響が懸念される。また高齢化が進むことで年金、医療、介護などの社会保障費が増加して、国民の負担が増大することも懸念されている。ただし、地球規模の市場と労働力が認識できるようになりつつある今、経済や生活は一国の人口だけで決まるものではないので、そうした懸念を実現させないための工夫を国、自治体、企業をはじめ国民全体が協力して築いて行けるかどうかが重要な点である。

諸外国における少子化の対応策

出生率の動向と人口の年齢構成を考察すると、米国では、2.03(96年)と、比較的高い水準にある一方で、欧州の6ヶ国はいずれも合計特殊出生率が人口置換水準(2.0強)以上であった時期は過ぎているが、最も高いフランス、デンマーク、イギリスで1.75(フランスは98年、他は96年)、最低のドイツで1.32(96年)と、その水準には幅がある。 欧州の6か国及び米国はいずれも1960年代半ば前後から合計特殊出生率の相当な低下を経験しているが、変化の軌跡を大別すると下記の4つの類型に分けることができる。 第一に 60年代半ばから70年代半ばまでに大きく低下したあと80年前後に若干回復し、その後はかなり緩やかな低下傾向にあるフランス・イギリス型のケース。第二に低下の趨勢が続いてきたドイツ型のケース。第三に60年代から70年代半ばにかけて大きく低下したあと、1.5~1.6程度で比較的安定して推移しているオランダ型のケース。第四に比較的大きな回復を経験しているデンマーク・スウェーデン・アメリカのケースがある。この少子化問題の解決策となりうるデンマーク・スウェーデンでは、低下傾向が始まる前の60年代半ばのピーク時の合計特殊出生率は、それぞれ2.6、2.5程度であった。その後80年代前半まで低下傾向が続いたが、いずれの国も、その後回復基調に転じ、0.5ポイント前後の比較的大きな幅の上昇を経験している。但し、スウェーデンについては、91年以降は再び大幅に低下し、1997年には1.52となっている。アメリカでは、60年代前半の合計特殊出生率3.6以上の水準からその後大きく低下し、76年には1.77と最低水準を経験した。その後は、緩やかな上昇を経験し、89年からは2.0を若干上回る水準を維持している。 

少子高齢化対策の改善策

移民の国であり、人種のモザイクであるアメリカでのモデルは日本に当てはめて考えるわけにはいかないかもしれないが、日本型の少子化問題の解決策となりうるデンマーク・スウェーデンでは、少子化改善における障壁となりうるもの三点についての改善が特になされていると分析する。第一に保育休業制度があげられる。デンマーク・スウェーデンは、いずれも、25~44歳の女性の労働力率が8割程度から9割弱と高くなっているとともに、3歳未満児数に対する社会的な保育サービスで対応している割合が40~50%と高い。また、育児休業制度における休業中の給付額の水準は、「親保険」等により、相対的に高くなっているが、デンマークでは給付率は順次引き下げられてきている。育児休業期間は、デンマークでは13~52週、スウェーデンは合計では18月までであるが子どもが8歳に達するまでの部分休暇取得を権利化しているなど、弾力的に活用できるようにするための配慮がみられる。取得者の約10%(デンマーク)から30%(スウェーデン)が男性と、職場面でも家庭面でも男女共同参画が進んでいるものと見受けられる。 第二に保育の問題がある。社会的な保育サービスの提供形態については、保育所施設において集団的に対応するという方式のほか、子育て中の親が自分の家で他の家庭の子どもも預かるという方式や、家庭に赴いてそこで個別に子どもをみるという方式など、いわゆる個別保育者による保育についても、地方政府が何らかの支援を行っていることが多いことがあげられる。これらの個別保育者については、地方自治体の許認可と研修受講を求めるなど、サービスの質を確保するための方策が講じられている場合が多い。 第三に経済的負担軽減措置が考えられる。経済的負担軽減に関しては、両国とも、税制における児童扶養控除制度はなく、児童手当が支給されている。アメリカは、働き方に関する制度では、育児休業については1年間に12週間の無給休暇の制度が法定されているにとどまる。なお、イギリスと同様、個別の労使交渉等に基づき家族に関する責任と仕事の両立を可能とするための様々な多様な働き方を実施している個別企業の例はみられる。 保育に関しては、全国一律の制度はなく、詳細は把握できていない。 経済的負担への対応に関しては、税制において、児童扶養控除(所得控除)の制度がある。児童手当制度はない。
前述したが、国内人口の低下は国力の低下である。現行の社会保険制度や高齢化対策が事実上崩壊する合計特殊出生率1.29という数値を現実のものとして認識し、一刻も早い対応策を政府は提示すべきであると考える。具体的には男性を含めた保育休業制度の充実。東京都を中心に不足している保育所施設(特に夜間)の充足。国家政策的規模の経済的負担軽減措置を明示し、子供の作りやすい環境を整備する必要がある。わが国の少子化の要因分析を踏まえて大局的に捉えると、自国の置かれた固有の状況の下、総合的な視角の中で個別分野に位置付けを与えることが肝要となる。そのような中で、固定的な性別役割分担の是正をはじめとして、我が国の状況にふさわしい施策を各分野にわたり適切に整備していくことが、結果として子どもを産み育てることと仕事のバランスを確保する上で重要ではないかと考えられる。

参考文献

現代日本の人口問題-統計データによる分析と解説-. 日本統計協会編[人口統計研究会](総務庁統計局監修) 日本統計協会 1995/06

結婚に関する意識 ([第2章 調査結果] Ⅲ) [富士総合研究所] 『 子育てに関する意識調査事業 調査報告書 平成12年度 』 こども未来財団, , 2001/03, pp.32-37

結婚・恋愛も経済取引!? (特集 経済学はこんなに面白い!) 森永卓郎 『 経済セミナー 』 日本評論社, No.543, 2000/04, pp.12-15

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2005年12月10日 (土)

次世代に維持するべき社会保険制度について

厚生年金は(1942年)積立方式で成立し、老齢基礎年金は立ち上がり期には賦課方式(現役世代の保険料が年金受給世代の年金に回る)で成立した(1961年)。国民年金は国民皆年金を目指して賦課方式を採用した。賦課方式は立ち上げ期もすぐ保険金を給付できることがメリットであり、社会的世代間扶養という理論的根拠を与えたといえる。当時の時代背景は、高齢化率は低く、少子化の兆しもなく、雇用も拡大の一歩をたどり、所得も伸び続けていた。賦課方式は負担をしない高齢世代に即時に受益を与えその程度も増幅しがちであったといえる。(1973年福祉元年 老人医療費無料化 国民年金の増額)しかしながら、この恵まれた時代に設計された制度のマイナス部分がそれから30年から40年後に顕在化したのが現在の保険制度の問題点といえる。

賦課方式は立ち上がり期のやむをえない方式ではある。年金保険料負担期間はないのに受給している現役時代に年金制度のなかった人は、保険料に該当する負担を税金として徴収され、それを社会資本充実のために供しているという解釈もあるからである。その恩恵を後世代の人が受けているので無拠出受給者であってもそれなりの正当性がある。しかし何時までも国民に賦課方式の説明を固執するのは問題があるといえる。資本蓄積(社会資本)が時の経過と共に増え、教育投資も多い後世代ではこれらの恩恵を得て労働生産性も高くなると考えてもおかしくない。そうであれば国民負担率が上がっても可処分所得は減少しない。
賦課方式の場合、世代により人口が異なるため、給付に必要な資金をすべてその都度徴収すると人口構成の変化により不安定になり、世代間の不公平も生じることとなる。人口構成により調整の必要がある。予め積立てをしておく必要が生じるが、さらにその運用の問題も発生する。2000年には4人で一人分 2010年には2.8人で一人分 2025年には2.3人で一人分の負担が現状でも想定されており、さらなる国民の負担率の増加を意味している。現在の徴収した年金保険料を全て使い尽くす賦課方式は個人の生活に例えると貯蓄をしない生活であり、現実にはそんな人はほとんどいない。

 一方、積立方式だと自分の老齢年金は自分の拠出金から捻出される。保険料と給付額が連動し、国民負担率の増加は自分への年金給付の増加を意味する。問題は給付時における積立額の実質の評価額であるが、これは現役世代の生産性に影響される。賦課方式であれば必要な財源は現役世代から保険料として徴収されるが保険料は負担能力であり結局は現役世代の生産性に影響される。結局は賦課方式であろうと積立方式であろうと現役世代の生産性に影響されるのは事実である。その意味では世代間扶養は当然の事であり経済的側面では積立て方式も賦課方式も本質的・結果的にはあまり変わらない。

総論を言わせてもらえば、世代間の公平とともに、年金保険制度には所得再分配という理念があるが、世代内の公平を考えるときが来たのではないかと考える。つまり、高齢同世代の高額所得者と低所得者間(高齢者の世代内)の所得再分配・助け合いの考えである。富裕な高齢者もたくさん存在する。機会の平等と結果の平等により富裕な高齢者はその富を楽しむ権利を有するが、同世代の富は同世代の人達の働きの結果であり、この富裕層の高齢者は同世代の相互扶助として介護費用の負担を検討する時期が来たのだと考える。政府の押し出している世代間の所得再分配よりも高齢者世代内の所得再分配を重視すべきであると考える。

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