カテゴリー「医療」の91件の記事

2014年7月 1日 (火)

 美容医療 今後の潮流を読む

今週末の講演について、ちょっと物思いにふけっています。

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クリニックF開業以来、本当に多くのレーザー/光治療機器を導入してきました。

21世紀に入ってからというもの機器の工学的な進化は著しく、治療のプロトコールも大きく変化しましたので、患者さんに対して最も効率の良い治療法がエビデンスをもって提案できるようになってきました。

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そんな中、今週の日曜日に大阪で米国キュテラ社のユーザーズミーティングが開催されます。

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こちらで僕は「美容医療の展望 〜美容治療 今後の潮流を読む〜」という総論的な演題を講演してほしいとのご依頼を受けました。

※※※

90年代の後半にこの日本で「美容医療」と言う言葉が出来ました。

間もなく20年となります。

それまで、美容と言えば    

A 外科系の医師が行う美容整形    

B エステティックサロンで行うフェイシャルやボディのマッサージ 針脱毛   

C 化粧品や美顔器で行うセルフケア   

しかなく

医者の領域としては 

A を選択するか 

または この領域にない 

D 皮膚科医として皮膚疾患の治療を保険診療で行った後、それ以上の結果を求める患者に対し自費でできることを提案する

 

という選択をとるしかなかったと言えます。

特筆すべき点は、A と D における 患者=顧客は 自分のマイナスの部分を0またはプラスにしたいと願う患者であったことであり、変身願望の強い患者であったことだと言えます。

そこに新たに登場したのがのちに「プチ整形」と呼ばれる注入療法や、レーザー治療、ホルモン療法といった、AでもなければDでもない それらの間を繋ぐもの、でした。

そして、新しい概念=病気の人や、マイナスを0あるいは1にしたい人に施すための医療ではなく、健康な人、すでに0以上に自分のスコアを持つ人を対象とした「アンチエイジング医療」が生まれるのです。

こうした美容医療の潮流と共に、時代はアナログからデジタルへ。インターネットによって生活スタイルが激変する時代に突入します。

電話での問い合わせはメールでの問い合わせへ。

雑誌やTVで情報を追いかけていた人々は、インターネットでの検索を使いこなし

診療の場でも口頭での説明や、筆記、触診に頼っていたものが、画像の導入やパワーポイント、イラストレーターなどのソフト導入が当たり前となり

広告を禁止されている医療法人や開業医たちは、ホームページやブログ、ツイッター、Facebookというツールを新たに与えられます。

パソコンやスマートフォンが日常生活に完全に入り込んだことで、機器の操作を日常的に行う人々が爆発的に増え、それに伴い機械と皮膚が触れ合うことに違和感や抵抗感、異質感を感じる人が減っていきます。

レーザー医療の浸透は、こうした背景を踏まえずには語れないのです。

僕としてはここを踏まえて、今後の流れを解りやすくプレゼンテーションに落とし込みたいと思っているのですが・・・この「解りやすく」というのは案外と難しいものです。

もう少し頑張ってみますね。

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2013年11月12日 (火)

プレゼンテーションの教材 画期的なすい臓がん診断キット TED Technology Entertainment Design

国内外の学会で発表のチャンスを頂くと、発表内容もさることながら、どういうスタイルで講演すべきかということも最近考えるようになりました。

考えても、もちろん実際それが本番でできるか、というのはまた別の話で、こちらはまだまだ課題があります。

自分のプレゼンテーションスタイルを作る、というのはやはり難しい。オリンピック招致のときにその手の専門家がいることを多くの日本人が知ったと思いますが、身近なもので僕が教材にしているものがあります。

TEDってご存知ですか?

TED(Technology Entertainment Design)とは、アメリカのカリフォルニア州ロングビーチで年一回、大規模な世界的講演会を主催しているグループのことを言います。

このTEDが主催している講演会は、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物がプレゼンテーションを行います。超有名人から無名の人まで。

これら価値ある英語の発表を日本語に訳している人たちがいます。

訳して、発表の映像に日本語で字幕をつけているのです。

この日本語字幕のついたTEDの講演シーンは、無料で学ぶことの出来る、英語の、そしてプレゼンテーションの最適な教材ではないかと思います。

ちなみに今回非常に感動した映像がありますのでご紹介しますね。

それは、すい臓がんの診断キットをこれまでにない精度で、しかも安価に作り上げたアメリカの高校生の話。

彼は、13歳の時に近しい人をすい臓がんで亡くしてしまいます。

なぜ彼は死ななければならなかったのか。もっと早く癌を見つけて、治療し、治ることがどうして出来なかったのか。そもそもすい臓ってどんな臓器なんだろう? すい臓がんとはどんな病気なのだろうか。

その死をきっかけにすい臓がんについて彼は調べ始めます。すると、どうやらすい臓がんの診断検査は高額で、しかも精度が低いことがわかります。また、60年前に作られた機器が未だに使われていることもわかります。

彼は非常な熱心さをもって、ネット上のデータバンクにある4000種のタンパクの中から、すい臓がんや卵巣がん、肺がんに特異的なタンパク質である「メソテリン」を見つけ出しました。

そして、高校の授業で習った抗体と、偶然読んでいた本の中のカーボンナノチューブを組み合わせ、メソテリンに特異的に反応する抗体を作ることを思いついたのです。

彼のすごいところは、その後ジョン・ホプキンス大学と国立衛生研究所の200名の教授にメールを送り、材料一覧、予算、研究予定表、研究手順を詳しく書いたのちに、

「自分に研究をさせてくれないか?」

と、働きかけたこと。

200名の内199名からは断りの返事が来たそうですが、ひとりだけよい返事をくれた教授がいました。

その教授を訪ねていくと、いくつもの質問を投げかけられ、それに答えていく内に別の教室から彼に質問に来た博士(PhD)たちで次第に教室が一杯になり、最後には20名の博士と教授がひしめきあうような状態になったのだそうです。晴れて彼はこの教室で研究を行う権利を与えられ、実験系を再度組み直す作業を行い、この研究結果を出した・・・というわけです。

青年の着眼点の素晴らしさ、行動力、熱意にも胸打たれましたし、経緯や結果も夢があって素晴らしいですね。

すい臓は十二指腸の横、胃の裏側にある薄い組織です。

消化液を排出する外分泌器官と、インスリンを排出する内分泌器官を併せ持つ、非常に重要な臓器なのにも関わらず、癌が出来てしまった場合、その解剖学的場所から発見が難しいのです。

膵頭部という消化液が十二指腸に排出される部分に癌が出来た場合ならば、症状がすぐに現れますが、特に膵尾部といわれる部分に癌が出来た場合、ほかの臓器に浸潤し、症状が出た時には手術が出来ないし、手の打ちようがないということも多いです。

万が一癌が見つかっても、外科の手術の中でも、最も大きく体に負担がかかる膵頭十二指腸切除という手術が必要になります。

癌治療は早期発見に勝るものはありませんが、検査の中には放射線被ばくなどの悪い影響があるものも存在します。

このように体に負担の少ない診断機器が今後も出来るとよいですよね。

プレゼンテーションというのは、かように人の心を動かし、その上で歴史までをも変えていく力がある、ということが映像を見ているとよくわかります。

勇気までもらえる、よい教材です。

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2013年7月 1日 (月)

「顔のシミが多い」と「動脈硬化の危険性が高い」のか?

クリニックの患者さんから、「顔のシミが多い」と「動脈硬化の危険性が高い」のはどうしてですか?

という質問が多いので、なぜかと思ったら、どうやらテレビで放映されたのですね。

テレビでは理由を話していなかったのだとか。

ちょっと考えてみればわかりますが、これは当たり前のことです。

生体が老いる時、活性酸素が関わっていることはご存知だと思います。

活性酸素を除去する能力は、加齢とともに減ってゆきます。

たとえば、体を丹念にメンテナンスしている野球選手などのスポーツ選手は、35歳を境に引退する人がぐんと増えますよね。

これは35歳を超えると、激しい運動による活性酸素が除去できなくなるので、運動のパフォーマンスが落ちるためです。

活性酸素は紫外線、ストレス、過度の有酸素運動、などで増加します。

皮下の活性酸素が、シミやしわの原因になりますので、活性酸素が多ければ多いほど肌は衰えてしまいます。

反対に、生体内で活性酸素を除去する能力が高い人は、見た目も若々しく見えるのです。

動脈硬化に関しては、血中コレステロールや中性脂肪を気にしますが、そのものが動脈硬化を起こすのではありません。

血中コレステロールや中性脂肪が、活性酸素と結びついて、過酸化脂質になって初めて動脈硬化の原因となるのです。

したがって、

「顔のシミが多い」=「動脈硬化の危険性が高い」

という数式は成り立つのですよね。

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皮膚科医とレーザー治療 英文論文

おはようございます。

7月1日。今年も後半になりました。

今日もクリニックFの診療日です。

今週も毎朝毎晩、企業の方々と打ち合せが入っています。

今日も早朝から新規にプロデュースすることになった、「最新医療機器による痩身クリニック」の朝食会議が入っています。

ずいぶんと枠組みが整ってきましたよ。

楽しみです。

今日は、以前取材を頂いた日経ヘルスの新刊

「女の「たるみ」を解決!」

がクリニックに届いていました。

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よろしかったらご覧くださいね。

さて、今日のブログは新しい医療について。

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学会活動やFacebook、ブログといった媒体を通じて、様々なドクターからご連絡を頂くことが最近以前よりも増えてきました。

特に皮膚科の先生方から相談を受けるようになり、開業医の先生方、そして大学病院の先生方の意識の変化を感じます。

以前からこのブログでもお話していますが、日本では厚労省の認可が遅れて、最新の機器が使用できない「デバイスラグ」という問題があります。

また、保険診療の範囲で臨床を続けられる先生方は様々な事情により、レーザー治療のことは聞くけれど実際にレーザーに何がどこまで出来るのか把握しきれない現状もあります。

厚労省で認可が下りない機器を、大学病院で使うのは難しいですから、大学医学教育にここ10年間のレーザー医療の進化が反映されていないのですよね。

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アトピー性皮膚炎やニキビ、肝斑といった症状に対し、以前でしたら街の皮膚科に行くと

「レーザーを打つと悪化する」

という都市伝説のような「常識」がありましたが、最近インターネットで一生懸命英語の論文を検索されたり、実際読み込まれることで、過去のこうした常識が世界基準では決してないことに気付かれる勉強熱心なドクターが増えているようです。

僕も大学研修医の時に、

「日本語で得られる医学情報は、英語のものよりも10年以上遅れている。」

「専門分野の英文医学雑誌は、どんなに忙しくても必ず目を通しておきなさい」

「先生(僕のこと)も、日本語で論文を書こうと思ってはだめだ。世界に発信するつもりで英語で書きなさい。」

と教えられました。

苦労して初めて英語の論文が通過した時に、お世話になった当時の教授がとても喜んでくださり、

「これで君も、世界のFujiomotoになる資格を持ったんだよ。世界中の医師が君の論文を読むことができるんだ。これからも頑張りなさい。」

と褒めてくださったのを今でも思い出します。

研修医の時に叩き込まれた医師としての生活習慣は、20年後の今になっても変わらないですね。

僕もどんなに忙しくても、最新の英語の医学雑誌は、必ず目を通しています。

医学は常に進化しているのです。

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国民皆保険を擁する保険診療と自由診療という日本独特な枠組みの中で、新しい医療に取り組んでいくと、古い常識を持った人たちとコンフリクトすることがあり、時折様々な局面で壁にぶつかってしまいます。

僕自身も時々悩んだり落ち込むこともありますが、大きな歴史の流れの中で日本の医療を考えると、たぶん今は夜明け前。

レーザー/光治療という、医療の中でも限られた範囲にはなりますが、僕はこれからも日本に「世界常識の医療を提供する」という気持ちを忘れずに、頑張っていきたいなと思っています。

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2013年1月29日 (火)

ショパンピアノ協奏曲第一番 チェルニー・ステファンスカ プラシーボ効果 二重盲検法

おはようございます。

1月29日(火)。今日もクリニックFの診療日です。

今日は音楽の話題から。チェルニー・ステファンスカというポーランドの女性ピアニストをご存知ですか?

彼女は、ショパンピアノコンクールでも優勝経験のある一流のピアニストです。

彼女のこちらの演奏、ショパンピアノ協奏曲第一番の録音は、史上最高のピアニストとして誉れ高いルーマニア出身のディヌ・リパッティ(Dinu Lipatti)のものと誤認されてきました。

リパッティは33歳という若さで、悪性リンパ腫(ホジキン病)にて夭折したのですが、残された録音(モノラル)のどれもが素晴らしいもので、死後特に評価が高くなりました。

僕も好きなピアニストの一人で、このブログでも何度か登場したことがありますよね。こちらはリパッティのほぼすべての録音が残されている7枚組お買い得CDです。

以前は「リパッティの芸術」シリーズとして発売され、1枚3000円以上したのです。

僕は7枚全部持っていたにもかかわらず、もしかしたら録音状況が違うかもと、ついつい買ってしまいました....。 

そして、こちらYOUTUBEで見つけたリパッティのショパンピアノ協奏曲第一番です。

どちらの演奏も技術的には素晴らしいですが、リパッティの弾くショパンの方が物悲しいですかね。ショパンの特徴を捉えているのかもしれません。

興味深いのは、この誤認の事実が知られた後に、チェルニー・ステファンスカの録音に対する音楽評論家の意見が一転したこと。

思い込みとは罪深いものです。 

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医学の世界では、特に薬の治験の際、プラセボ効果(プラシーボ効果)を統計学的に排除するということを行います。

Placeboはラテン語で、「私は喜ばせる」の意味です。

プラセボ効果とは、偽薬効果(ぎやくこうか)とも表現しますが、偽薬を処方しても、薬だと信じ込む事によって何らかの症状の改善がみられる事をいいます。

ちなみに医師法では、常習化が起こりうる危険な患者さんに対して、睡眠剤と偽ってビタミン剤を投与することが認められていると聞いたことがあります。

ビタミン剤を処方しても、眠剤と信じて飲めば効いてしまう人もいるのです。

僕は良く、患者さんに対して、医療施術と美容施術の違う点を説明するようにしているのですが、美容は一言で言うと、このプラセボ効果の影響を多大に受けているのですよね。

もちろん化粧品に紫外線をカットしたり、乾燥を防ぐといった「効能」はありますが、原料的には、医薬的「効果」はないはず。

しかしながら不思議なことに、高額なクリームを塗ったことで気持ちが高揚し、実際に綺麗になる人も中にはいるのです。

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医療として治療法や薬が認められるためには、このプラセボ効果との差異を、統計学的に証明しなければなりません。

医学博士論文を書く時に、多くの統計学的検定手法を学ぶのは、このためです。

僕が過去の論文を書く時に使用した検定で、ちょっと頭に浮かぶだけでも、ベイズ推定 • 仮説検定 • Z検定 • スチューデントt検定 • カイ二乗検定 • F検定などなど、沢山の手法があります。

さらに、統計学的にいくら正しくても、元データの精度が悪ければ意味がありません。

元データを取る時に特に大切なのは、出来る限り二重盲検法(Double blind test)を使用するということ。

この二重盲検法は、実施している薬や治療法などの性質を、医師(観察者)からも患者からもわからない様にして行う方法なのです。

プラセボ効果や、観察者バイアスの影響を防ぐ意味があるのですよね。

ちなみに、今年通過した僕の米国レーザー医学会の二つの演題でも、患者さんの施術評価の際に、二重盲検法を行ったか、選ぶ項目がありました。

医学会の演題の通過条件としても重要な点の一つなのです。

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この10年間、肌を美しくするためのレーザー・光施術が急速に発展しました。

○透明感を上げる

○コラーゲンやエラスチンの再生力を高める

○毛穴やシワ、にきび跡などが平滑化した艶(ツヤ)のある肌を作る

○皮下組織のタルミを引き上げる

肌を美しく、さらにメンテナンスする機器が、二重盲検法によって評価される時代になったのです。

僕がクリニックFで導入している機器は、こうした二重盲検法によって米国のレーザー学会で評価され、米国FDA(米国厚生労働局)た機器であることを基準にしています。

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僕は、クリニックFで施術をするからには、すべての患者さんに、正確なデータの蓄積と統計検定を行った上で選択した、最短の最も効果のある治療を提案したいと常々思っています。

診察にいらっしゃる患者さんの肌を診察、分類し、さらに患者さんの希望を聞いた後、30以上もある多くの機種の中から、最も適しているとおもう機種を、患者さんごとに選んでゆくのが、僕の楽しみでもあるのです。

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2013年1月16日 (水)

医工学部が必要な時代へ その② 医学博士、工学博士の取得へ 

その①より続く

医師免許取得時に初めて

「既存の科に、自分の行きたい診療科や研究科がない」

ということに気づいても、現実はそんなことを言っている場合ではありません。

時間的猶予もありません。

とにもかくにもまずは祖父の生き方を辿るべく、彼が行っていたペインコントロールの専門を診療と研究対象にしたいと思い、痛みの専門家である麻酔科を選択。

結局麻酔科で5年目に麻酔専門医を取得しましたが、進路の選択が果たして正しかったのかどうか、いつも悩んでいました。

とはいえ、一度自分で決めた道なので、専門医を取得するところまで突き詰めることがまず先決。

それがなされなければ転科はしないと考えていました。

そんなとき大学病院の外来で、ペインコントロールに使用していた低出力レーザー機器を思い出したのです。

そうだ、自分は幼少の頃より顕微鏡やカメラなどの光学機器や機械がなにより好きだった。

いつか理系の研究者になりたいと思っていたのだったっけ・・・という、小さい頃の夢を思い出したのです。

そして、医師免許を生かして理系(工学)の研究に携わることもひょっとしたら可能なのではないか、と考えるようになりました。

米国の場合、メディカルスクールに進学するためには他の科の大学を卒業し、学士を持たなければなりません。

医学生の中には、工学部を卒業した人も多く、こうした環境から米国では医学にも工学にも詳しい人間が、機器開発に携わることができるのです。

しかしながら、同じ理系に分類される医学と工学は似たようで非なるもの。

日本では二つの分野にまたがった専門家は数えるほどしかいません。

医学と工学に長けた専門家は、人工心臓(心臓ペースメーカーを含む)を作る分野か、重量子線治療を含めた放射線医学を扱う分野か、レーザー医療に携わる分野に属する限られた人間です。

これからの医療現場には、もっともっと高性能機器が登場する時代が来るに違いない、そうであればそうした機器を扱って治療にあたる医師ももっと必要になるはずという確信も、僕の背中を押しました。

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僕は理学系研究の中でも特に工学(光学)に興味がありました。

そうなるとやはり光学機器の英知を結集したレーザー機器を専門にしたい。

レーザーはアインシュタインにより1920年代に発表された、「誘導放出の研究」により理論を提案されて80年。

さらにメイマン博士によりルビーレーザー機器がつくられたのが1960年。

自然界には存在しない人知が作り出したコヒレントな光。

まだまだ工学的にも新しい分野です。

レーザーが医療に応用されている局面は沢山あります。

古くはレーザーメスを主体とした外科領域、皮膚科・形成外科領域、泌尿器科領域、歯科領域、眼科領域さらには痛みの治療。

レーザーの医学応用には、診断領域と治療領域の二つの利用方法があります。臨床治療応用では、やはり皮膚科・形成外科領域での応用が最も多い。

医師となって6年目に大学院医学博士課程に進学。4年間の在学中に、自分の生活のために青山外苑前、六本木、そして表参道にレーザークリニックを開業しました。

これら3つのクリニックは、大学院修了後に東京大学医科学研究所で、大学職員(助手)になる前に、経営権を譲渡売却しました。国家公務員は兼業は出来ませんでしたので。

大学院医学系研究科では皮下の免疫細胞の司令塔であるマストセルを研究テーマにしました。

皮膚・免疫系の勉強を研究者の立場から勉強し直すことができたのは、今の自分のキャリアに生きていると思います。

僕の医学博士号の主査は、東京大学皮膚科の前教授の玉置邦彦先生にお願いしました。

玉置教授は素晴らしい人格者でした。

2010年に急逝されたときには大変驚き、もっと様々なことを教えて頂きたかった、もっとお会いしたかったと悔やまれました。

レーザー臨床では米国レーザー医学会やヨーロッパ皮膚科学会、米国皮膚科学会に所属し、世界に人脈をつくるために、毎年学会発表をするようにしました。

***********************

僕はレーザーを利用する治療科を専門とする様になり、今年で14年目です。

英語による国際学会発表や招待講演も約90回行いましたので、そろそろ目標としていた100回という数字が見えてきました。

もともと新たな分野を学ぶことが好きなので、医療経営に興味を持ち経営学修士号(MBA)の学位を取ったり、フライングドクターを目指してセスナ機の免許を取得し、航空力学を勉強したりしたこともありました。

しかしながら、齢40にして思い立って工学部大学院を社会人受験。

当初アメリカの大学で取得の準備をしたのですが、アプローチしたどの大学も、工学部修士課程からしか入学が認められなかったのです。さすがに日本で医業をしながら修士・博士の5年間は離れられません。

人の縁を通じて、僕の今までのキャリアから判断していただき、工学部博士課程から入学できる大学を探したのです。

この3年間工学部博士課程に在籍し、工学博士号の取得がが本年中に見えるようになり、工学的な研究アプローチがわかるようになって、初めてぼんやりとしか見えてなかった輪郭がくっきりと見えてきました。

僕は医学部工学科もしくは、工学部医学科を専門にしたかったのだ、ということがようやくわかってきたのです。

医療の発展には、それ以前にその分野の工学の発達が不可欠です。

新たな機器が出来ることによって診断・治療能力が上がり、新たな治療が広がるのです。

しかしながら、同じ理系でも、医学と工学は研究アプローチがかなり違います。

臨床医として医学に携わる以上、医師の免許は必要です。

僕はどこかの大学で「医工学部」をつくる企画があったら、是非とも合流して仕事をしてゆきたいですね。

医師として医師国家資格を持つために勉強する学部と、医学にかかわった工学の学位を取るための学部。

もしくは工学博士などの理系の学位を持った人たちに、より短期間に医師免許を取得していただく勉強をしてもらう学部。

世界の200余の国や経済地域の基幹産業の中で、基軸となる1位から3位までの間に医療分野が含まれない国は本当にわずかです。

逆に医工学は、世界がこれから高齢化社会を迎えるにつれ最もニーズがある分野であるとも言えます。

もともと高い工業技術を持ち、世界の中でいち早く高齢者会を迎える日本の強みを生かすことが出来ると思うのです。

今後も、医学工学にまたがるレーザー研究を続けてゆきたいと思います。

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医工学部が必要な時代へ その① 医者になったはいいけれど

おはようございます。

今日1月16日(水)はクリニックFの診療日です。

雪が降った後、一段と冷え込みましたね。都心も渋滞はだいぶ解除されたものの、路面に氷が残っているところも多々あります。引き続き気をつけてください。

さて、今日のブログは、少々真面目なお話。

医工学部という新しい学部の提案です。

書いているうちにちょっと長くなってしまったので、二回に分けてアップしますね。

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僕が現在研究の対象としているレーザー・アンチエイジングは、「美容皮膚科」という大きな枠組みの中にあるひとつの専門分野であると言えるかと思います。

2013年の段階で美容皮膚科に携わる医師は、圧倒的に皮膚科医か形成外科医(もしくは美容外科医)が多いと言っていいでしょう。

皮膚の専門家が治療の延長として美を追求すべく、ピーリングや注入剤、レーザー・光治療器を扱ったり、外科の特殊分野である形成外科医や美容外科医が造形に携わり、メスによって美を追求する延長で、肌を美しくするレーザー・光治療を扱ったり、その他の施術を行うわけです。

そんな中で、僕はといえば米国(AAD)や欧州(EADV)では皮膚科学会の会員ですし、日本では日本形成外科学会の学会員となっていますが、あくまでそれらはレーザー治療が前提にあり、その治療症例を報告するために所属しています。

すなわち、厳密に僕はそのどちらにも属していません。

意識の中では、自分は皮膚科医でも形成外科医でも、ましてや美容外科医でもないのです。

自分のバックグラウンドとして現段階で最もしっくりくるものは、米国レーザー医学会(ASLMS)専門医かもしれません。

そのため、日本の学会では少々変わり者扱いされることも、しばしば? です(笑)。

*******************

僕の母方の祖父は明治生まれの皮膚科医で、昭和の初めに医学博士号を取得した人でした。

知的好奇心や研究心が旺盛で、若い頃は研究者としても多くの功績を残しました。

祖父の医師としての人生の一部は、祖父の死後、テレビ朝日系列の鳥越俊太郎さんの「ザ・スクープ」で取り上げられたこともあります。

晩年は静岡県三島市で医院を開業していました。

初島近くの沖で海水を採取し、医院で抽出して、オリジナルの神経痛に対する痛み止めの注射薬を作っていた時期もあると、クリニックを手伝っていた母に聞きました。

現在でいうペインクリニック診療という、痛み治療の先駆けのような感じの治療でしょうか。

そんな祖父をもつ僕でしたが、僕自身は初めから医師を目指したわけではありませんでした。

以前に書いたことがありますが、目指さなかった一つの理由は、名医の誉れ高かった祖父が、これからはもう医者の時代ではないと5人の子供を誰一人として医者にしなかったこと。

これからは医者に教える人になりなさいと、理学系や薬学系の研究者にしたのです。

昭和の初めにこの考え方が正しかったのかわかりませんが、その後医学が理学や薬学の発展のおかげで飛躍的に進歩したのは事実です。

また、昭和の初めに比較すると、医療訴訟なども増え、医師が暮らしにくくなりました。

僕が高校3年生の時に祖父が亡くなり、一族に医者が誰もいなくなります。

その後に初めて大学受験を迎えた孫が僕でした。

******************

一方僕は高校生の時には外交官に憧れて、もともと理系が得意だったのに、受験のために文転。東大法学部を受験して、結果、見事に落ちました。

そのため、すべり止めとしていた慶應義塾大学経済学部に入学し一度は籍を置きましたが、結局自分の進路を改めてそこで考え直すことになります。

外交官となる夢に遠くなった今、では自分はどんなことを大学で学び、卒業後どんな仕事に就くべきなのかということを考えざるを得なくなったわけです。

*********************

悩みに悩んだ僕は、文系よりは元々好きで得意だった理系を、理系の中でも祖父の跡を・・・と考え、他大学の医学部を再受験して医師の道を選択することになります。

医師といっても、様々な専門の医師がいることをこの段階で漠然と理解していましたが、とはいえ自分自身はどういった専門の医師になるのかといったことは、正直この段階でまだ考えていませんでした。

医学生の時は、自分は外科系の医師になるのだろうという漠然とした思いはありましたが、国家試験までに6年間もあるので、とにもかくにもまずは医師免許を取得することが先。その後臨床実習までの期間に専門を決めれば良いだろうと思っていたのです。

読書が好きだったのもあって、医療を扱った小説や本も本当に沢山読みました。

中でも、 A.J.クローニンの「城砦」は記憶に残りましたね。

*************

そうして無事国家試験に合格し、医師免許を取得する歳になって、はて、と気づくことになるのです。

いくら考えても、既存の科に自分の行きたい診療科や研究科がない、ということに(苦笑)。

医師の仕事とは、人間の生命という大きなテーマに対し、自分の何を捧げ、どう役に立つかということに尽きるかと思います。

人間の生命とは、他の生命体とは違って体と心の両方によって維持されます。

時に、体と心のどちらもが、医師の力量によって寿命が左右される場合もあるのです。

基礎研究で役に立つのか、それとも臨床で役に立つのか。

自分の特性の中で、一体どこの何を使えば良い医師となれるものなのか。

自分でなければできない仕事とは、専門とは、いったいなんなのだろう?

20代半ばのまだ若き、社会経験の乏しい青年であった僕は、ここでまったく途方に暮れてしまったのです。

その②に続く

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2013年1月10日 (木)

カメラ光学技術の進化は医療を進化させる CANON SX50HS

おはようございます。

今日1月10日は木曜日でクリニックFはお休みです。

昨晩は診療の後、ちょうど1月9日締め切りだった英語の論文を仕上げました。日本とは時差があるので、アメリカ時間の1月9日。

つまり日本時間の今朝提出。ちょうど間に合いました。

今日は諸処の予定をこなした後、工学部大学院レーザー研究室に行って、研究の続きをしてこようと思っています。

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ところで、このブログを読んで下さっている方は良くご存知だと思いますが、僕はカメラに目がなく、新しいものをついついチェックしてしまいます。

今回年末年始の米国出張には、3台のカメラとiphone5を持ち込みました。

その中で新調したカメラは、こちら。

CANON SX50HSです。

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この大きさで、光学50倍ズーム1200mm。

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しかもレンズ交換なくマクロ撮影も可能。

一眼レフを主体に使っている人間としては考えられない完全無欠のカメラですね。

望遠でかつ、動きが速いのでシャッタースビードの短い、高い撮影技術が必要なサーフィンの撮影も、こんなにあっさり撮れてしまってよいのか?と思うぐらい。

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雨天で光量が足りない中ですが、ハワイのノースショアでの写真です。

広角も24mmまでですのでこの通り。

この虹はダブルレインボーになっているのがわかりますか?

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さらにこちらは望遠で撮った、「虹の架け橋のまさに開始地点」。

ハワイの強い紫外線もあると思うのですが、ここまでくっきりと映るのは驚きました。

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こうしたカメラ光学技術の進化は、科学の世界に応用すると、測定能力の精度の高さに直結しています。

「人はなぜエセ科学に騙されるのか」などを著した、元コーネル大学のCarl Sagan教授はScience is a self-correcting process(科学とは自己修正過程である)という言葉を残しました。

昨日のブログにも書きましたが、より精度の高い測定機器が開発されると、過去の理論では説明できない事象が観測される様になり、さらに新たな理論が構築されてその分野の科学が進化するのです。

医学を始めとした生物学の世界は、顕微鏡の開発による、細胞の発見から発展が始まります。

17世紀にニュートンにより基礎的な理論がほぼ成立していた物理学に比較すると、生物学は20世紀半ばから始まった、まだまだ新しい学問ですよね。

1953年のDNA構造の発見が生物学を大きく進化させます。

僕が医学生だった1980年代から1990年代の前半には、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction, PCR)機器が、最新医療のトピックとなりました。

これはDNAを増殖させるための原理およびそれを用いた手法のことで、最新最速のPCRの機器、つまり最速のDNAのシークエンス測定機器をいち早く手に入れた研究室が、論文を量産できたのです。

これからの科学の発展はどんな分野が中心になるのでしょう?

僕の専門である医学の中では、自分でも注目している分野が3つあります。

一つは、もちろん僕の専門とするレーザー工学の分野。

レーザーの技術は、レーザーをセンサーとして用いる場合と、治療に利用する場合があります。今世紀には、アト秒発振レーザーの開発により、原子どころか電子動態が測定できるようになり、物質の測定精度が著しく上がりました。レーザー治療機器の分野も新機種の開発が続いています。

もう一つは、生体内の「気体」の動態についての分野。

気体である「NO」に生体内で役割があることがわかり、生体内の「水素」が活性酸素の除去にかかわっていることがわかってきました。特に水素については2007年に日本医科大の太田成男教授がネイチャーに論文の載せたことから一気にメジャー化しました。いよいよ生体内の「気体」の動きが測定できる時代になりつつあります。

最後の一つが、小腸内細菌叢(フローラ)の役割についての分野。

こちらにはカメラの技術の進化が大きな影響を与えています。

小腸は癌になることがない不思議な臓器。

今までは、生体内消化管はとても長い臓器ですが、胃カメラもしくは大腸ファイバーによって、入り口と出口のごく一部しか観察ができませんでした。

日本でも世界に遅れて2008年にようやくカプセル内視鏡が認可されたことから、遅ればせながら視覚による小腸の観察機器を手に入れたということになります。

人一人当たり、100種類以上、100兆個以上の腸内細菌が存在していて、さらに個人個人によって種類が違います。

人間が作ることができないある種のビタミン類やアミノ酸などが、この腸内細菌によって作られていますし、宿主に対してよい働きをしている善玉菌も多いでしょう。

栄養学が、現在の医学に応用しにくい点は、口から入る非加熱状態の栄養素の量を、体内に入ったと換算している点です。

医学的には消化管内部は、「体の外部」と考えますので、本来ならば、栄養素が口に入った時点ではなくて、消化管で100%吸収されるのか、10%しか吸収されないのかという吸収率を栄養素に「掛け算」しなければならないのですよね。

必要量も相当変わってくるはず。

小腸内細菌叢(フローラ)は、栄養素の吸収率の多寡や、微量元素の補填など、宿主にとっても多くの役割を担っている可能性があります。

カプセル内視鏡によって、小腸内細菌叢(フローラ)を実際に研究することで、栄養学の理論の抜本的革命が行われる可能性があるのです。

こうした研究にはアンチエイジングに関わる医師としては興味がありますね。

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2012年10月 9日 (火)

iPS細胞と山中伸弥教授のノーベル賞受賞

おはようございます。

三連休が明けた今日10月9日(火)もクリニックFの診療日です。

連休中に素晴らしいニュースが飛び込んできましたね。

受賞が噂されてはいましたが、日本で最もノーベル医学生理学賞(正確には 医学または生理学賞)に近かった研究者山中伸弥教授 が賞を取りました。

Nobel

1962年生まれの山中教授は、臨床医としてキャリアをスタートさせ、様々な経験を経た後臨床の中に問題意識を見いだし、99年に医学系研究者として転身。06年にiPS細胞の論文発表。

そして、今年2012年、50歳でノーベル賞受賞なんて、夢のような物語です。

99年というと、僕が医学博士号を取るために医学系大学院の入学試験を受けた年。自分の研究生活と重ねてしまいます。

特に1949年の時点では安全性がわからなかったロボトミー手術に対してポルトガルのエガス・モニス(Egas Moniz)博士へのノーベル賞授与で批判が高まったため、論文が発表されてから短い期間でのノーベル賞は慎重に選択されるのですが、それを超える功績があったのしょう。

さらに、ノーベル賞は生前に授与されることが条件ですが、共同受賞者の英ジョン・ガードン氏が高齢だったことも幸いしたのだと思います。

医師として、研究者として、本当に嬉しい。

そしてなによりも日本人として誇らしいことだと思います。

僕も興奮しています。

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iPS細胞、すなわち人工多能性幹細胞(Induced pluripotent stem cells)とは、一旦分化してしまった生体の細胞に、4種類(後に3種類)の遺伝子を導入することで、胚性幹細胞のように非常に多くの細胞に分化できる能力を持たせた細胞のことです。

マウスの皮膚の線維芽細胞から山中先生らによって2006年に世界で初めて作られました。

生物を構成する種々の細胞に分化することが出来る分化万能性は、胚盤期の胚の一部である細胞塊や、そこから培養されたES細胞、ES細胞と体細胞の融合細胞、一部の生殖細胞由来の培養細胞など、卵母細胞が関わった細胞の特殊能力でした。

ところが、iPS細胞の開発により、受精卵やES細胞をまったく使用せずに、すでに分化した細胞から、万能細胞を単離培養することが可能となったのです。

人体の皮膚などの細胞から、さかのぼって病気で壊死してしまった火傷後の皮膚細胞や、肝臓の細胞、梗塞後の壊死心筋細胞や神経細胞など細胞を作ることが出来ます。

白血病などの骨髄血液病変などにも福音でしょう。さらに輸血の時に足りない特殊な血液型の補充などにも大きな進歩があるでしょう。

胚細胞が必要な治療は、実際受精した卵子を利用しなければならないなど、倫理的な側面もありましたが、一旦分化したiPS細胞であれば、そうした心配もありません。

さらに、自分の遺伝子を使った細胞で、最新薬の治験もすることが出来るでしょう。

医学の未来が広がリますね。

一方で、どんな細胞へも分化増殖してしまう細胞は、癌細胞と一緒でいくらでも無限に増殖してしまいます、実際の生体利用にはまだハードルがあることも確か。

今後の研究に期待したいところです。

閑話休題(笑)

僕の専門であるレーザー医学/工学の研究分野でも、過去8つのノーベル賞受賞者がいます。

実は日本のレーザー技術のなかに、ノーベル賞が近いと言われている技術があるのをご存知ですか?

それは、X線自由電子レーザー(XFEL:X-ray Free Electron Laser)。

兵庫県に2011年9月に建設された世界最短波長のX線レーザー機器。

というか、大きさ直径450m、長さ1.6kmと巨大な施設。

0.06nmの波長のコヒレントなエックス線レーザー光を出力できる世界唯一の機器です。

一般に利用されるレーザー機器は可視光線の波長(600nm前後)ですので、それらに比較しても分離率10000分の1。

フェムト秒すなわち、千兆分の一秒の観測が出来ます。

細胞内のタンパク質の反応の観測や、分子や原子を観察することによる新たな物質の融合などに使える可能性がありますよね。

スーパーカミオカンデもそうですが、こうした大型の実験機器を作ることが出来るのは、莫大な研究費が国から出ることが条件。

日本の経済的な繁栄とは切っても切れないのです。

過去の蓄積によってできた日本の科学の財産。

不景気になるとこうはいきません。

この機器から次の分野のノーベル賞受賞が出ることを望みます。

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2012年10月 2日 (火)

超有名英文医学雑誌からのレヴューワーの依頼

おはようございます。

今日10月2日はクリニックFの診療を再開しています。

ちょっと留守していたため、残務が沢山。患者さんも沢山。

時差ボケの中、集中力を切らさずに何とか頑張っています。

さて、帰国してメールを開けてみると、超有名英文医学雑誌からレヴューワーの仕事の依頼が。

医学雑誌のレビューワーとは、その論文が出版に値するか、過去に執筆した論文などから専門分野の近い学者が編集者から依頼される仕事。

たいてい一流誌だと数名以上のレビューワーが論文の判定をします。

すごい名誉なことだなあと、論文の題名をみてみると、確かに自分の研究内容と良く似ている!!

これはレビューの仕事も来るなと。

しかし、文章を開けてわかりました。

なんと、先日の共同研究で自分も加わった研究。

しかも、僕は4番目の著者に入っているのです。

I have checked the manuscript and that is possible publication. But unfortunately, I can not review because I am one of the authors of this article. Coincidence.

と返信しておきました。

とほほ(笑)。

先ほど、編集部から、「混乱させて申し訳なかった。知らせてくれてありがとう。」

というメールが届いていましたよ。

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