カテゴリー「経営学」の28件の記事

2014年12月18日 (木)

医師がMBAを取得するメリットとは

突然ですが、医師がMBAを取得するメリットとは一体なんでしょうか?

最近またこのご質問を受ける機会が増えましたので、ブログにも書いておきたいと思います。

今年は立て続けに友人の医者から、独立したいので経営を見てくれないかという依頼が来ました。

経営が苦手な医師が多いのはある意味当然です。

通常の医師の業務で治療費用について考えることはありません。

価格も厚生労働省が決定しています。

病原菌を撒いてお客を増やす(苦笑)なんてことも当然できません。

悪い冗談はさておき

プロのピアニストや俳優、スポーツ選手ときっと似ているところもあることと思いますが、専門についてとことん追求し、それを全うした生活を送っている、いわゆる「スペシャリスト」である分、それ以外の分野を苦手としてしまうのかもしれません。

また、芸術家や音楽家が美大や音大で似たような志向の人間の中だけである時期を過ごし、そのまま社会に出てしまうことがあるように

スポーツ選手が小さいころからずっと部活にどっぷり毎日浸かって、そのままプロチームや実業団に入ってしまうように

同じ業種の縦社会・・・先輩―後輩の関係には慣れていても、横に広がった社会の体験に乏しく、専門以外のことについて相談をしたり学んだりする機会にあまり恵まれないこともあるかもしれません。

医者の場合は学生時代に本当でしたら余裕もあるはずなのですが、その時はまだ若くて横に視野を広げなければいけないことに気付かぬまま専科に進んでしまうことも多いのです。

そんな医者にとって、ある日突然事業計画書やキャッシュフローを作れと言われても、青天の霹靂、まさに「ちんぷんかんぷん」でしょう。

これは医学の世界にどっぷり漬かった人であればあるほど、そういった傾向があるのではないでしょうか。

※※※

知的好奇心を満たすということは人間の本能だと思いますが、人間の好奇心は最終的には宇宙か、自然か、人体に向かうものではないかと思っています。

好奇心の旺盛な人間にとって、医学の勉強は学生のときに寝ずに教科書を読んでしまったりするほど、本当に面白いのです。

なぜ風邪をひくのか? どうやって骨折の骨が治ってゆくのか? どうして人は老化するのか?

そういった答を見つけるためのヒントが教科書に書いてあります。

こういった疑問を答えるために、いわば医学の共通言語を学び、将来の研究に役立てるのが医学の道です。

でも、すばらしい医療技術を持っている人が、経営も上手いとは限りません。

保険診療費が今年も下がり、7割の病院や診療所が赤字であるという現状で、落ち着いて仕事に打ち込める状態を作るのは、非常に難しいことだと思います。

病院の維持さえ難しいのですから。

また、クリニックを率いる人材になった時には、スタッフ管理の知識も必要です。

医師は独立した瞬間に

「臨床家」として

「管理者」として

「経営者」として

の3つの顔を持たなければいけなくなるのです。

僕がMBAを取得したのはもう10年以上前の話になりますが、MBAを取得することが無かったら、自分のクリニックを売却したり、国内外で医療以外の事業を始めたりすることは絶対になかったと思います。

MBAを取得するにあたり、まずは基礎的な知識をつけます。

●計量分析 

●財務会計   

●マーケティング

●ビジネス・エコノミクス

●組織行動論 

●コーポレートファイナンス   

●経営戦略   

●人的資源管理

などのMBA取得時の基礎教科は、いわば経営の解剖学、生理学、生化学、病理学、薬理学にあたる基教科です。

これらの基礎的な教科によって、経営の共通言語を学びます。

どの教科も学ぶのに非常に魅力的で、毎週授業が楽しみでした。

この基礎科目のうち、計量分析は、統計学のたしなみのある医師でしたら楽勝の教科です。

財務会計。最初はPLやBSって何だ?というところからスタートし、基礎的な簿記の本を読んで勉強しました。

マーケティングの考え方は、そもそも集客しようという概念のなかった医師にとっては全く新しい新鮮なものでした。

経営戦略では、授業のタームで6チームに分かれ、モデルを使って経営シミュレーションゲームをして、戦いました。適切なときに資金投下して、リターンを得るのですが、僕の率いたチームが総合優勝した時は嬉しかったですね。

そして、どの教科でも、プレゼンテーションが必須でした。

理系の研究では、真実は一つです。その真実について話せばよいのですが、文系の研究では、論理過程や、思考方法によって全く別の解決策を導き出すことが出来ますので、プレゼンの上手さはとても大切です。

同じ題材について、サポートする議論と反対する議論を練習したりと毎週のように練習しましたので、プレゼンは上手くなりましたね。

※※※

医師であるにもかかわらず、ビジネススクールに通いMBAを取得して特に良かったと思った点は二点あります。

一つは、「コーポレートファイナンス」という、クリニックの現在価値を瞬時に把握する企業価値評価法についての知識を得たことです。

例えば、クリニックの成長のステージで、どの価格の医療機器を、どのタイミングで投資したら良いのか? ということを、理論を後ろ盾にすぐ理解できるようになったのです。

企業価値評価法について簡単に述べると 財務予測をもとに将来のフリーキャッシュフローを予測し、資本コストにより現在価値に割引、事業外資産の処分価値を加算し、有利子負債を控除する。 という、DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法の考え方を身につけたこと。

DCF法を自分が経営するクリニックの財務状況に適応し、常にクリニックの現在価値を上げる努力を行い、そのベクトルに合った投資のみを重点的に行うことができるのです。

そして、もう一点は人的資源管理の科目において、「リーダーシップ理論」を学んだことでした。

現在主流のリーダーシップ論は、ハーバードビジネススクールのジョン・P・コッターが提案した理論です。

ちなみにコッターは、MITとハーバード大を卒業し、1981年にわずか34歳、史上最年少でハーバード大学の正教授に就任した秀才です。

コッターは著書の中で、組織を動かす人間には「リーダーシップ」と「マネジメント」が要求されると明示し、さらにそれらの違いを明確にします。

リーダーシップは組織をよりよくするために変革を成し遂げる役割を持ちます。

企業進路の明確化、人心の統合、動機付けと啓発が課題達成のプロセスとなります。

マネジメントは複雑な経営環境に対処して既存のシステムの運営を遂行すること。

計画立案と予算策定、組織化と人材配置、コントロールと問題解決が課題達成のプロセスです。

変化のスピードが加速する現代では、特にリーダーシップの重要性が増しているのですが、組織内での認識は未だ低く、意思決定を合理的に導き出す「プロセス」と「ツール」を著作で提案しています。

一方で、「俺についてこい(笑)」的なリーダーシップを発揮することだけがリーダーシップではありません。

幾つかあるリーダーシップ理論のうちで、僕が面白いと思ったのは、ロバート・K・グリーンリーフによって提案された「サーバント・リーダーシップ論」です。

グリーンリーフは、 「真のリーダーはフォロワーに信頼されており、まず人々に奉仕することが先決である」 と提言しました。

サーバント・リーダーは、まず相手が最も必要としているものを提供し、相手に奉仕したのちに、その後リーダーとして相手を導く役割を受け入れるというもの。

この考え方には学ぶことが多かったです。

そして、医師に求められるリーダーシップとはどういった性質のものか、僕も考えさせられました。

大学生のときにした勉強は、記憶しなければいけないものが多く、苦痛でした。

社会人になってからの、特に大学院での勉強は、基礎知識を学んだ後に理論を構築するのが主な手法です。

時間が限られている中、新たな分野の勉強は何度も徹夜をしましたし、大変な思いをしましたが、とてもエキサイティングで、特に論文を上梓した後は充実感に満たされました。

※※※

こうして思い返してみると、実は医師免許をとった人間にとって、MBA取得のために学ぶものの数々はいずれも非常に興味深く、勉強を始めるとっかかりを掴むことさえできれば、意外にスムーズに入っていける学問のように思います。

決してハードルは高くなく、医師国家試験のあの勉強量を考えれば(笑)たぶん誰でも頑張れば極めることの可能な学問であり、また資格取得後にとても有益なものであるように思うのです。

僕も偉そうなことを言える立場には全くありませんが、一方で「医師に経営はできない」と企業の偉い方々に言われ悔しい思いをしたことも過去にあり、そんなことはないと言いたい気持ちもあります。

学問と実際の現場はまた異なることも承知していますが、MBAという資格をとるというとりあえずの目的のために医師が頑張るというのは、確かな意味があると思います。

経営学について一緒に語り合える同業のドクターが増えたらとても嬉しいですね。

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2014年8月29日 (金)

医師が経営学を学ぶと言うこと

昨晩は診療後に、僕がMBAを取得した時の面接官だった喜多さんにお会いしました。

クリニックから歩いて行ける距離にある、紀尾井町のオーバカナルにて。

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もう10年以上前の話になりますが、MBAを取得することが無かったら、自分のクリニックを売却したり、国内外で医療以外の事業を始めたりすることは絶対になかったと思います。

僕のようにレーザー機器を扱う医師が、経営学を学んで良かったと思うことは、「コーポレートファイナンス」という、クリニックの現在価値を瞬時に把握するツールを得たこと。

例えば、クリニックの成長のステージで、どの価格のレーザー機器を、どのタイミングで投資したら良いのか? ということを、理論を後ろ盾にすぐ理解できるようになったのです。

喜多さんは、フランスのENPC MBA ParisでMBAを取得されています。

商社などのいくつかの職を経た後、現在は英国のバッキンガムシャー・ニュー大学のMBAプログラムを国内で立ち上げる仕事をしていますが、昨晩は僕をその大学に客員教授として来ないか? という有り難いお話を頂きました。

幾つかハードルはありますが、MBAプログラムを東南アジアに持って行くといった、将来的な展開も含め、微力ながら僕のできる範囲でご協力させて頂くことになりそうです。

Buckinghamshire New Universityは科学と芸術の教育機関として1893年に設立され、現在までに120年以上の歴史を積み重ねてきた英国国立大学です。

今回は、MBA top-upという、PGD(Postgraduate Diploma)取得者が、論文を追加提出し合格することでMBA学位が取得できるという制度を利用し、9ヶ月の授業および論文提出で英国のMBAを発行すると言うもの。

医学の論文博士に似たシステムですね。

キャリアを止める必要も無いですし、日本でMBAの授業が受けられるのは魅力ですが、僕はこのプログラムを海外に輸出することに興味がありますね。

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2013年5月 1日 (水)

日本美容外科学会誌に「クリニック経営」についての原著論文が載りました

おはようございます。

今日5月1日(水)はクリニックFの診療日です。

東京の朝は肌寒く、曇り空ですね。日中は気温も多少上がってくるようですが、雨も降りそうだとか。

この後連休のご予定がある方も多いでしょうから、お天気回復するといいですね。

今月末でクリニックFも6周年。6周年というのは数字としては半端かもしれません。とはいえ、3周年や5周年がひとつの区切りだったのに対し、6という数字はここを無事超えられればいよいよ10年という数字も見えてくるような気がして、当事者としては大きな意味を感じています。

ひとつ上の階段から見る景色を楽しみに、そして新しい試みも少しずつ試していきたいと思っています。

さて、連休の中日ですが、昨日は日本美容外科学会誌3月号に載せていただいた僕の原著論文の別冊が届きました。

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「美容関連診療所の経営強化策」について。

2011年に博多で開催された日本美容外科学会の、リスクマネジメントの枠で講演させていただいた内容をまとめて加筆して、論文にしたものです。

もともと医療経営学は僕の専門の一つでもあります。

ビジネス書の新書はほぼすべて目を通していますし、週末もこんな本を再読し、感銘を受けました。

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約10年前の本で、ビジネススクールに通っていたときに読んだのですが、

「経営で成功者というのは単なるまぐれで、実際には成功者に学んでその成功体験を自分の分野に応用できることはほとんどなく、むしろ失敗の原因をアーカイブすることに意義がある」

ということを再確認させてもらいました。

医学部進学のために途中退学した慶應義塾大学経済学部では、入学当初ここで経営経済学を学ぶつもりでいました。

しかしながら、まだ青かった自分は入学後考え込んでしまったのです。経営経済と一言で括る前に、どの分野の経営について、どんなテーマの経済について自分なりに突き詰め、学び役立てたいのだろうか? と。

10代終わりの、まだ乏しい知識と経験の中で自分なりに考えていたわけですが、漠然とそのとき医療のことが頭に浮かんだのですよね。

いずれ経営を学ぶにしてもまずは医師免許を取ることが、少なくとも自分にとっては先だと、一大決心をして進路変更をしましたが、医師になってから10年間は医師としての勉強で精一杯でした。

卒後6年で専門医を、卒後9年で医学博士号を手にしたのち、ビジネススクールに通う決心をしたのです。

「日本の保険診療下における医療機関の法人形態の転換―医療機関の株式会社化を含む病院経営の強化策について―」

が僕の修士論文のテーマでした。おそらく自費診療関連の医師で、最も早い時期に経営管理学修士号(MBA)を取得したのではないでしょうか?

学生のときにした勉強は、記憶しなければいけないものが多く、苦痛でした。社会人になってからの特に大学院での勉強は、基礎知識を学んだ後に理論を構築するのが主な手法です。

時間が限られている中、新たな分野の勉強は大変な思いをしましたがとてもエキサイティングで、特に論文を上梓した後は充実感に満たされました。

高等教育機関や研究所という「場」に自分は惹かれ、そこで新たなことを学び、学位や資格を取得し、それまでの経験や知識と結び付ける形で役立てることが好きなのだ、という自分の特性もよくわかりました。

その後、航空物理学や航空法規を学んで飛行機操縦士免許を取ったり、工学部博士課程に進学したりとしましたが、いよいよ今年9月の工学部博士課程修了と工学博士号取得が見えてきた今

最近化粧品の仕事も増えてきたので、次は薬学博士号を取ろうか?

それとも、昔から好きだった声楽関係の大学に行ってみるか?

哲学や絵画の勉強をきちんとしたいので、文学部でも受けるか?

なんて、次はどんな大学院を受けて、どの分野の勉強を始めようかと考えている自分にちょっと呆れています(苦笑)。

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2011年7月15日 (金)

ソルタメディカル社のスタッフ来院

今日の診療がやっと終わりました。これから準備をして空港に向かいます。

その前に、ちょっとクリニックの話も書いておきましょう。

昨日、診療も終わりかけたころ、サーマクールCPTやフラクセル3DUALを製造/販売するソルタメディカル社から、セールスマネージャー Benedict LimがクリニックFを訪問してくれました。

彼は、フィリピンの出身。昨年にシンガポールで招待講演を受けた時以来の再会でした。

1時間ばかり話をしたのですが、今回一番の話題は、今春発売予定のフラクセルグループの下位機種のことでした。これをどのように販売しようか、ということで意見を求められました。

下位機種、といってもデザイン的には興味深いものが出てきました。というのも、ソルタメディカル社はアメリカ カルフォルニア州シリコンヴァレーにある会社ですので、土地柄コンピューターのデザイナーが多くいます。

そうした背景もあり、今回はこういった

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マッキントッシュみたいなデザインの機器を持ってやってきたのです。

ソルタ社のフラッグシップであるフラクセル3DUALの波長は、1550nm&1927nm。

それに対し、今回の機種は「フラクセル:リファイン」に近いコンセプトで、波長は1440nmとなります。

今までこの波長はグラスファイバーを使用しないと作成できない波長でしたので、機器を作っても販売価格が非常に高額となってしまうのが難点だったのですが、今回この波長を半導体(ダイオード)レーザーでつくれるようになったので、廉価版を販売できることになったといいます。

ただ、レーザー機器の工学的な特性を考えると、ダイオードで高出力にするのは、技術的にも相当難しいので、この機種の出力は弱いのですけれどね。

これは日本で売れる可能性があると思うか?

という点について、意見を求められました。

日本でも、数名の医師にコメントを求めているようです。

売れる売れないは別にして、僕は少々心配になってしまいました。レーザーを購入する顧客として考えてみると、ソルタメディカル社が近い将来典型的なアメリカ企業の失敗の轍を踏むことになってしまうのではないか・・・? という不安が頭をよぎったのです。

僕自身はソルタメディカル社のサポーターを自任しています。彼らのもつ独自の技術を最も理解し、最もリスペクトをしている日本人医師の一人だと自負しているのです。だからこそ思い入れも強く、身内の事のように、喜んだり心配したりといったことが起きる訳ですが。

ちょっと前に、イタリアのフェラーリ社が株式上場を目指しているのは、既存の顧客を逃す可能性があるのではないか、というブログを書いた覚えがあります。それと同じで、きっとある一定の成功を収めた企業は、その後、それまで以上の努力とセンス、時の運を味方につけなければ、そこからさらに上を目指したり、またそのポジションを維持することは出来ず、株主のプッシュによる、さらなる飛躍と売り上げを伸ばすためには、常に新しい機器と市場を開拓しなければならないというディレンマを抱えることになるのでしょう。

経営学の世界では

「トレードオフ」

という原則があります。

一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという二律背反の状態・関係を指すのですが、一つのブランドで、最高級と安価のダブル・ブランド戦略を取ることは、よっぽどの戦略がない限りできないのです。

典型的な失敗例としてよく挙げられるのが、米国企業 コーチの例です。

コーチは米国で生まれ育ったファッションブランドで、特殊なデザインの高級皮を利用した高級ブランド戦略で躍進し、一時は欧州の歴史あるブランドであるエルメスやルイヴィトンなどと張り合うぐらいの人気を誇りました。

それがなぜ凋落してしまったのか?

アウトレットショップなどに売り込みをかけ、さらに売上げを上げるために、セカンドラインの安いラインを新たに作り上げたからなのです。

これでコーチに対して高級なイメージを持たせた参入期のブランディングは、見事に崩れ去ってしまい、別の道を模索することとなったと言われています。

今では戦略を変え、新しいニュースとともにまた頑張っているようですし、僕自身はブランドに詳しいわけではないので教科書以上のことは語れませんが、ビジネスの実例としては非常にわかりやすいですよね。

これを我々の市場に当てはめてグローバルな視点で考えてみますと、現在世界の美容レーザー市場は、ソルタメディカル社のフラッグシップである「フラクセル3DUAL」、および同社のCO2フラクショナルレーザーである「フラクセル:リペア」を頂点に成り立っているといっても過言ではありません。

最高の能力を持ち、最高の施術が可能な「フラクセル3DUAL」を購入したくでもできない人たちが、一部のフラクショナルCO2レーザー機器や、他の波長の追従品を購入している状況なのです。

こうした世界最高の能力を持った会社が、自ら性能と価格を落としたセカンドラインの機器を販売し、それらの企業との価格競争に走ったらどういうことになるでしょう?

今まで築いてきたブランドも、市場も壊れてしまうのではないでしょうか?

僕の心配が杞憂に終わる事を祈るばかりですが・・。

ちなみに僕は、この「ブランド」というものを、小さなクリニックの中でしかありませんが、意識しながらこの5年余り仕事を続けています。

「藤本幸弘」という僕個人や「クリニックF」というちっぽけな意味でのブランドではありません。「レーザー・アンチエイジング」という広義な意味でのブランドです。

レーザーと、それに関わるエンジニアにリスペクトを払っている医師である以上、その価値が軽んじられるようなことを僕がしてはいけない、と思っているのです。

クリニックFに来る患者さんの中には、いわゆる日本的な意味での「セレブリティ」と呼ばれる方がいます。そうした方々から「タレント割引や女優割引はないのか?」「モデルなので安くしてほしい」「マスコミ関係でも施術料をとるのか?」と聞かれたり、驚かれたりすることがあります。

しかし、僕はクリニックFで特定の人の職業を理由にセールをやるつもりはありませんので、

「他の患者さんと同じ価格になりますが、それでいいでしょうか?」 

と、治療に入る前に先に必ずお伺いするようにしています。

他のクリニックでは、ある特定の職業に就いている事で本当に安価で施術を受けられている方も大勢いらして、この言葉を言うのに勇気が必要な場合も多々あるのですが(苦笑)、でも一度でも院長である僕が揺らいでしまうと、雪崩が起きるだけですからね。

過去にはほろ苦い経験をしたこともありますので、このクリニックを作ってからはいつも強い気持ちを奮い立たせています。

その患者さんがどんな職業、どんなステータスにあっても、僕にとってはやはり皆同じ、平等に大切な患者さんであり、同じ診療、治療と効果を提供している自負があります。

実際、先にお伝えしてしまえばお互いにすっきりし、僕のポリシーを理解してくださった上でお付き合いくださる方も大勢いらして、それにはとてもとても感謝しています。

施術をされた方がその金額に相応する価値を感じていただいて、またこのクリニックに来たいなと思っていただければ、それほど嬉しいことはありませんし、そのためにも一層努力しより良い治療を提供していかなければいけないと思うのです。

それこそが、レーザー医療を大切にし、技術者に最大限の敬意を払い、その技術と英知をこの日本でも広め根付かせていくことにつながると思うからです。

さて、深夜便のシンガポール行き(節約のためエコノミーです(笑))に乗るために、そろそろ羽田に出発しますね。

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2010年11月20日 (土)

医師のためのリーダーシップ論

僕が所属している米国皮膚科学会(AAD:American Academy of Dermatology)から

「69回目にあたる来年度の年次会で、リーダーシップ論のセミナーを開催する」

というお知らせのメールが来ました。

こんなかんじです。

Photo

Leaders in Dermatology. Leaders in Life.

Learn to be a leader and inspire others to do the same. It's the Leadership Institute's official launch! The Leadership Institute was established to help dermatologists like you become extraordinary leaders.

このような標語の下、多くのリーダーシップに関するセッションが開催されるということでした。

医師がリーダーシップについて学ばなければいけない時代になった、ということです。

医師として良い治療ができればいい

医師として医学について深い知識があればいい

技術者、知識者、時に研究者であることが医師としての絶対条件であることは今も変わりないと思いますが、それだけでは最早やっていけないことも、皆うすうす感じていることは否めないと思います。

こうしたときに、欧米でトピックとして取り上げられるものは、非常に興味深いですよね。

米国の医学会に参加すると、学術分野の中でも社会科学系(経営学や国際研究、コミュニケーション、法学など)の学問とコラボレーションをした発表が含まれることが多く、大変勉強になります。

アメリカにおけるメディカルスクールの入学資格は、他学部の大学を卒業した者が原則なので、医師の中には他の分野の専門家が必ずいる、ということもあるのでしょう。

これは様々な意味で“メリット”ですよね。

日本では、18歳=ティーンエイジャーから、浪人したとしても20代前半で大学の医学部に入り、そのまま6年間どっぷり医学の世界に漬かって、大学を卒業。そしてストレートに大学の医局または系列の病院で研修医生活に突入し、昼も夜もなく働く。

そのままあっという間に30代も半ばを過ぎ、40代や50代になった頃、

「未成年から成年となり、社会人としての自分を振り返ると、医学部と病院の中にしかなかった」

ということが普通の世界です。

忙しい毎日に流されて、他の学問や病院以外の世界を学ぶ機会を逃してしまうことも十分ありえます。

現在の日本の制度が良いのか悪いのか、それは僕が論じたり判断すべきことではないと思いますが、ひとつ言えるのは、こうした制度を今後も貫くのであれば、各関係省庁はそこを踏まえた上で日本の医療問題、医師問題をどうすべきかを考えていく必要があるのではないでしょうか。

僕が医師であるにもかかわらず、ビジネススクールに通いMBAを取得して良かったと思った点は二点あります。

一つは企業価値評価法についての知識を得たことです。

企業価値評価法については、いつかブログでもふれたいと思いますが、簡単に述べると

財務予測をもとに将来のフリーキャッシュフローを予測し、資本コストにより現在価値に割り引き、事業外資産の処分価値を加算し、有利子負債を控除する。

という、DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法の考え方を身につけたこと。

DCF法を自分が経営するクリニックの財務状況に適応し、常にクリニックの現在価値を上げる努力を行い、そのベクトルに合った投資のみを重点的に行うことができるのです。

クリニックFでは、税引き後の収益のほぼすべてを必要なレーザー機器に投資するという経営スタイルを一貫してしかも確信を持って行うことができ、短期間で世界的に見ても数多くのレーザー機器を所有するレーザー専門クリニックになりました。

レーザー機器が増えるということは、患者さんに対する治療の選択肢が増え、これは診療のクオリティが上がることに直結しますよね。

そして、もうひとつは今日のブログの掲題でもある「リーダーシップ理論」を学んだことでした。

現在主流のリーダーシップ論は、ハーバードビジネススクールのジョン・P・コッターが提案した理論です。

ちなみにコッターは、MITとハーバード大を卒業し、1981年にわずか34歳、史上最年少でハーバード大学の正教授に就任した秀才です。

コッターは著書の中で、組織を動かす人間には「リーダーシップ」と「マネジメント」が要求されると明示し、さらにそれらの違いを明確にします。

リーダーシップは組織をよりよくするために変革を成し遂げる役割を持ちます。企業進路の明確化、人心の統合、動機付けと啓発が課題達成のプロセスとなります。

マネジメントは複雑な経営環境に対処して既存のシステムの運営を遂行すること。計画立案と予算策定、組織化と人材配置、コントロールと問題解決が課題達成のプロセスです。

変化のスピードが加速する現代では、特にリーダーシップの重要性が増しているのですが、組織内での認識は未だ低く、意思決定を合理的に導き出す「プロセス」と「ツール」を著作で提案しています。

一方で、「俺についてこい(笑)」的なリーダーシップを発揮することだけがリーダーシップではありません。

幾つかあるリーダーシップ理論のうちで、僕が面白いと思ったのは、ロバート・K・グリーンリーフによって提案された「サーバント・リーダーシップ論」です。

グリーンリーフは、

「真のリーダーはフォロワーに信頼されており、まず人々に奉仕することが先決である」

と提言しました。

サーバント・リーダーは、まず相手が最も必要としているものを提供し、相手に奉仕したのちに、その後リーダーとして相手を導く役割を受け入れるというもの。

この考え方には学ぶことが多かったです。

クリニックという小さな箱を統率するリーダーシップも大切ですが、ここ数年で、国内でも多くのレーザー販売会社の社長が入れ替わりました。

この変革の時代に、新社長がどのようなリーダーシップを発揮しているかが、企業業績の変化の1つのキーになっている気がしますね。

そして、医師に求められるリーダーシップとはどういった性質のものか、僕も改めて考えてみたいと思います。

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2010年1月24日 (日)

IMCAS2010 メディカルスパ経営のセッション

さて、本業の学会話に戻ります。

Img_6076今回IMCASのセッションの一つに、エステティックセンター&メディカルスパ経営についてのセッションがありました。

興味深かったので参加してみました。

カルフォルニアの保養地ラ・ホイヤで有名なメディカルスパ

La Jolla Spa MD

を経営しているDiane York Goldmanが、

「How to succesfully market a medical Spa」

という演題を引き受けていました。

彼女は 美容モデル 兼 美容ライター 兼 メディカルスパ経営者の肩書で、このスパを経営しています。

011 彼女のメディカルスパは、8人の医師をはじめとして、多くのエステティシャン、セラピストなどを抱えたとても大きな施設です。

僕も2006年にサンディエゴで行われたハーバード・コントロバーシーズ&カンバセーションズという学会に参加した時、たまたまご縁あってこのSPAを見学させて頂いたのです。

Img_6075このセッションでは、どういった手法で顧客を誘導するかそんな話をしていたのですが、

こういった割引券をギフトカードとしてチラシに入れて配布したり(割引券に期限をつけるのが大事なのだそうです)、

SPAでポイントカードシステムを導入したりと、いろいろと工夫したところを話していました。

アメリカ的な発想ですね。

話の内容云々ということよりも、海外のこうした美容学会で、マーケティングのことに触れたセッションが今まであまりなかっただけにインパクトがありましたし、僕も

「こうしたマーケティング手法などについて、こういう学会で話してもいいなんて今まで知らなかった!」

と思い、次回どこかの学会に演題を出すときには、日本における医療マーケティングの話をしてみようかな、と思いました。アジア各国のドクターには参考になるかもしれませんしね。

セッション後にはディスカッションも参加させていただきましたが、なかなか盛り上がりましたよ。

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2009年3月 4日 (水)

京都出張

  001

出張で京都に行ってきました。いくつか仕事があったためなのですが、その内のひとつをお話したいと思います。

053京都で長く検診センターをされている医療法人がひとつあり、階下に場所が空いたので、美肌のレーザークリニックを開くことを考えている、経営が成り立つかどうか視察してほしいとの依頼があったのです。

場所は「烏丸御池」の交差点からすぐのビル。まさに京都の一等地です。

060 この検診センターは、創業20年。CTやX線造影など、ほぼすべての検査機器がそろっています。

056 広々とした検診センターの待合からは、山々が見渡せるこんな借景が。

写真を撮るときに、室内の葉がどうしても反射してしまったのですが、ごらんのとおり、素晴らしい景色です。

054この場所にどんなクリニックができるのか、夢が広がりますね。

今まで僕は5つのクリニックの設立と経営をしてきたのですが、成功するレーザークリニックを作る為には、いくつかの条件を満たす必要があると思っています。

近隣の競合となりうるクリニックにどんなレーザーが入っているかを調査するのは当然ですが、やはり院長のキャラクターに合わせた、わかりやすい差別化されたクリニックを作ることが最も大切だと思うのです。

「なんでもできるクリニック」ではなくて、何かの分野に特化して、非常に優れた技術もしくは知識を持つということが、これから生き残ってゆくクリニックに必要なのではないかと思います。

良くも悪くもエッジの利いた、キャラクターと特色が見えやすいものがいいと思うんですよね。ニッチな部分があることも大切。

レーザークリニックという点にこだわっていらっしゃったのですが、それには内科のお医者さんではなく、レーザーに興味のある皮膚科もしくは形成外科領域の先生が必要です。

この施設の理事長、そして事務長とディスカッションをさせて頂き、

レーザーの技術を学べる医師が確保できるのであれば、アンチエイジングをテーマとしたレーザークリニック

内科の医師に、メタボリック外来を含めた、痩身のメニューを作るのであれば、メタボ・痩身専門クリニック

のための準備をしてゆく方針になりました。

僕の方はどこまでお役に立てるのかわかりませんが、こうした現場に来させて頂くと自分自身の今まで来た道を振返ったり、今後についても改めて考える良いきっかけになりますので、良い刺激を頂きました。ありがたいです。

医者としての自分の将来や、今後どこで自分が役に立てるのかを考えるとき、日本全体の医療現場が抱える憂いや不安、未来の予測を機軸に考えてみることがあります。

小泉首相の医療改革によって、日本の保険診療の医療経営者は、とてつもないダメージを受けました。これは時に、日本の医療の質までも維持できなくなるようなダメージです。

国からは、出来るだけ医療分野にお金を出さない。日本の医療費は、先進国の中でも最も低く、2006年の統計でも、OECD諸国30か国の中でも医療費対GDP比率は日本は21番目。

かつて先進国7か国で医療費が最低だったイギリスは、サッチャー政権(1979年から1990年)の低医療費・医師養成削減政策によって医療制度が崩壊しました。医療へのアクセスがあまりに低下し、手術待ち入院待機患者6か月以上が40%、12か月以上が20%という、癌患者であれば手遅れになってしまうような状況が続きました。

97年のブレア政権になり、諸悪の根源であった低医療費政策は見直され、12ヵ月以上の待機待ち患者はさすがに減少しましたが、現在でもイギリスでは、インフルエンザで受診予約をしても、では4日後に来てください。と言われるようです。4日も経過したら、インフルエンザは治っていますよね(笑)。結局現在に至るまで崩壊したイギリスの医療は回復していないのです。

日本は80年度後半から医療費削減政策がとられるようになりましたが、イギリスの事例があるにもかかわらず、小泉首相がさらに医療費削減政策を全面に押し出し、最後の追い討ちをかけたというわけですが、自民党と一緒に、国民医療もぶっつぶしてしまったわけです。

僕の医師免許には、当時の厚生大臣だった小泉首相の名前が書いてあります。

なんだか、複雑な気持ちです。

僕のMBA取得論文は、

「日本の保険診療下における医療機関の法人形態の転換―医療機関の株式会社化を含む病院経営の強化策について―」

なのですが、レーザー機器などのアンチエイジングツールで医療経営の底上げを行い、利益を医療の質を上げることに利用することを提案したものでした。

仕事はやはり、自分だけの利益を個人レベルで考えてもあまり面白くないですし、夢も広がらない。後世に名前を残したい、というほどの野望があるわけではありませんが、自分のこれまで苦労してきたこと、歩んできた道が何か人の役に立ったり、社会への還元に繋がれば、そこで初めて今までお世話になってきた方への恩返しが出来たり、自分の存在意味も出てくるのではないかな、と最近は特に強く思うようになりました。

日本におけるアンチエイジング領域でのレーザー医療普及、というのが僕のひとつのテーマでありますが、それ以外でもせっかく取得したMBAの知識も生かし、既存の病院などの経営の底上げに利用できれば、とてもうれしく思います。

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2008年6月19日 (木)

経済同友会で講演

Photo 今日は大変緊張する場所で講演をしてきました。

東京駅からすぐ近くにある日本工業倶楽部で行われた、「経済同友会」での講演を頼まれたのです。

経済同友会といえば、日本経団連、日本商工会議所と並ぶ経済三団体のひとつです。

001 経済界の大先輩方を目の前に、若輩者が講義を行うのは気が引けましたが、

「欧米のアンチエイジング治療の最前線」と

「株式会社の医療分野参入のメリットとデメリット」

という題目を頂きましたので、その話をさせていただきました。

背伸びしても仕方がないので、現場の話を中心に

「アンチエイジングクリニックでは、どんな治療が行われているのか」

「医学部の教育ではどんなことを問題に感じ、また医師としてどんなことを不安に思っているのか」

「株式会社が医療分野に参入することで、その不安がどのように解消され、逆に課題としてはどんなことがあるのか」

などを、僕なりの視点でお話させていただきました。

文化も視点も異なる経済界と医学界を繋ぐような役割をいつか果たすことができればいいなと考えています。

今回このような貴重なチャンスを与えてくださった皆様に、心から感謝いたします。

ありがとうございました。

002_2_2

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2008年5月14日 (水)

アンチエイジングをビジネスにする

医療ビジネスに関する講演のお話を頂きました。

今回頂いた講演の御依頼は、医師ではなくアンチエイジングビジネスに御興味をもたれている企業経営者の方々を対象としたものだそうです。

来月ということで、また少しずつ今から準備を始めています。

毎月のように講演があると、

「もう講演には慣れているのだから、準備は特にいらないのでは?」

と言われることも多いのですが、毎回違った方々の前でお話をさせていただくと、

「次回はこんな話を新しくしてみよう」

と、準備はやはりひとつひとつ必要です。直近の経験談も盛り込んで、等身大の話ができればと思っています。

講演もトライアル&エラー。自分の「スタイル」を確立するまでには、時間も経験も必要ですね。

03医療の現場では保険診療を捨て、予防医療を主体とした自由診療へとシフトチェンジする欧米型の医師が、確実に増えつつあります。

この「シフトチェンジ」には、今までの日本にはなかった新たなマーケットの開拓と確立が最重要課題であり、ここにビジネスチャンスを見出す企業家も多いということでしょう。

メディアでも取り上げられている医院の株式会社化は、その成功の鍵を握るひとつの重要なファクターですので、そのメリットとデメリット、課題、実現性などについて、今回はお話をさせて頂こうと思っています。

以前にも書きましたが、医師とビジネスマン、経営者とは、そのメンタリティや仕事への向き合い方に置いて、お互いの目線が異なることがままあります。これを理解せず、マーケットの設定もお互いに異なったまま、表層だけ

「理解しあってるつもり」

になってビジネスを始めてしまうと、確実に失敗してしまいます。

言ってみれば今までは日本の政策・法律の下、ほとんど交わらずに済んできた「超理系」と「超文系」が、これから初めてタッグを組むことを考えているわけです。

医学部以外の理系学部を出た人材は、文系学部を出た人材が長を勤めるメーカーや企業に就職する「文化」がありますが、医学部を出た後企業に勤める文化は、この日本では今までほとんどなかった。

医学部を出た後はそのまま「病院」という企業とは異なる「団体」で一生を全うすることが当たり前だった。

これは、スポーツ選手にすこし似ていると言って良いでしょう。幼少の頃からずっと野球やサッカーをやってきて、そのまま運動部に所属し、プロになる。企業ではなく「チーム」に所属する。ロイヤリティは企業ではなくチームに対して持っている。

医師とスポーツ選手との違いは、スポーツ選手はそれを職業にし、人に勝り試合に勝てなければ「食べていけない」と小さい頃から教えられ、また肉体と年齢の限界が来ればそのスポーツはできなくなると、学生の頃から知っている。そのスポーツが出来なくなったときのことを考える日を、うっすらと予想しながら日々過ごしている。

しかし、医者の場合、この日本では医師免許を取得できれば「食べていける」ことがかつての常識だったのです。スポーツ選手より“現役”としての寿命は圧倒的に長く、まさかこんな時代が来たときの準備を教えてくれる人はいなかった

こうした背景を踏まえて、僕もアンチエイジング医療界ではちょっと珍しい?MBAホルダーとして、医療界と経済界をうまく繋ぐことができるような話ができればよいなと思います。

お題は

「欧米のアンチエイジング医療の現状と、アンチエイジングビジネスに対する株式会社参入のメリットとデメリット」

です。

また終わったらご報告させていただきます。

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2008年3月 2日 (日)

医療従事者のための経営管理学入門

080302_003_2エジプトのブログが先に上がってしまったので順番が変わってしまいましたが、2月27日には日本を代表するレーザー輸入会社である「JMEC」主催の医療経営学セミナーの講師に呼んで頂き、お話をさせて頂きました。

080302_001ようやく「医療崩壊」という言葉がマスコミをにぎわすようになりましたが、今の開業医の経営状態は非常に厳しいものです。

建物の減価償却などを考えると、8割近くが赤字経営かもしれません。

ましてや新規のクリニックを設立し、経営にのせてゆくというのは大変ハードルが高い時代となりつつあります。

保険診療をベースに病院経営を行う時代はもう長くないのかもしれません。

080302_004僕がMBAを取得するときに提出した論文で、選んだ題目は、

「日本の保険診療下における医療機関の法人形態の転換―医療機関の株式会社化を含む病院経営の強化策について―」

でした。

このままの状態で通常の医療機関が経営を続けると、財政難により、本来の目的である「医療の質」までもが落ちてしまう可能性がある。そのために、レーザーなどの自費診療の機器を導入することで経営効率の改善を図る必要がある。

こういった機器を保険診療をベースとしたクリニックに導入することは、ただ金儲けするのではなく、「利益を得ることでより質の高い医療を患者さんに還元する」ことにつながるのです。

JMECの講演では、いかに短期間で売上の安定させ、より良い医療に専念できる環境を作っていくのか、そのコツを経験談を入れながらお話しさせていただきました。

僕のような若輩者にこうしたチャンスを与えて頂き大変光栄に思うと共に、これから開業を目指す方、もっと言えばこれから医師を目指す学生たちに、日本で医師として生き残っていくためのノウハウのひとつのヒントに僕の話がすこしでもなれば、大変嬉しく思います。

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