カテゴリー「医療 痛みのコントロール」の17件の記事

2012年1月11日 (水)

「痛みの高圧酸素療法」ペインクリニック学会誌に論文が載りました

東京・四谷で診療を再開しています。

慌しい中先ほどお昼にお弁当を食べましたが、やはり和食(日本食)は染みますね・・・おいしい(笑)。

さて、昨年に仕上げた医師専門誌の「ペインクリニック」の依頼原稿。

今日クリニックに出勤したら届いていました。

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久しぶりに痛みについての医師向けの原稿を書きましたが、僕の医師としての最初のキャリアは、「痛み」の治療。

痛みの治療は奥が深く、医師としてどの分野においても役立つものが多いです。

今回依頼された原稿は、高圧酸素療法と痛みについてのもの。

海外の論文を検索してみましたが、二つのキーワードを直接繋ぐものは、ほとんどないのです。

結局、高圧酸素療法について書かれた多くの論文から、痛み治療に効果があるであろう3つの機序に疾患を分類し、まとめさせていただきました。

さらに、高圧酸素療法と活性酸素についての関わりも、章立てしてふれました。

こうして原稿を読み返してみると、付け加えたいことも沢山出てきますが、また次の機会に加えてゆきたいと思います。

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2011年7月26日 (火)

チャリティイベントに参加します

ここでひとつお知らせです。

学会活動では基本的に医師や医療関係者、工学関係者向けの学会、セミナー、ワークショップで話をすることが多い僕ですが、この秋一般の方向けの震災チャリティワークショップで話をすることになりました。

場所は、東京外国語大学府中キャンパス。日程は、11月27日です。

今回初来日となる統合医療関係の方々と一緒に、パネルディスカッションに参加します。

参加申し込みが始まったそうですので、ご興味のある方はぜひいらしてください。

Touch for World International Week 2011

第一回世界自然療法シンポジウム

詳細:

http://t4wintlweek.com/2011symposium.html

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2011年5月16日 (月)

右顔と左顔 どちらが痛みを感じやすいか?

新国際学会周遊記では、GW中に滞在したボルチモアの話が続いていますが、僕は東京にいます。

昨日の日曜日は、品川の御殿山ガーデン ホテルラフォーレ東京に行ってきました。イタリアはフィレンツェにあるレーザー会社DEKA社のスキンセラピーワークショップに出席してきましたよ。

ミーティングでの発表内容は非常に勉強になりましたので、また他のブログで触れようと思っているのですが、講演者の一人 実川久美子先生が、

「ほとんどの患者さんは左顔の方が痛みを強く感じやすいので、麻酔をかけた後には、麻酔が強く効いているうちに、左顔から施術をするようにしている。」

というようなことをおっしゃておられたのが印象に残りました。

患者さんの痛みに対する反応を見て、ご対応を変えていらっしゃるとは、素晴らしいなと思ったのです。

「医者ならあたりまえじゃないか」

と思われる方もいるかもしれません。

けれど、実際の現場ではこれが出来る医師と出来ない医師とがいるのです。

よく言われる医師の傲慢さや怠慢さから起きるのでは決してなく、どちらかというと人と接するときの感覚的な問題、感性の問題のように思います。

治療を行うときに、患者さんの反応を見ながらその場で臨機応変に対応する・・・医師として最も必要な感性のひとつですよね。簡単なことではありませんが・・・。

さて、実川先生がおっしゃっていた痛みを感じる左右差について、今日はすこしお話したいと思います。

実は以前、僕もレーザー照射時に全く同じ感想を持って、どうしてそういったことが起こるのか色々と考えたことがあります。

ペインクリニック専門医として言える答の1つに、体のいたるところから来る感覚神経の求心路は、8割以上が首の位置で左右が入れ替わり交差するということがその根拠の1つとして考えられます。

日本人の中で先天的な左利きは、10%前後と言われています。

つまり、ほとんどの患者さんがほぼ右利きということになります。

右利きの人は当然ながら左手よりも右手をよく使うことになりますので、首から下について言えば右側の運動神経と感覚神経が左側よりも発達しているといえます。

ちなみに、自分の「利き手」「利き足」はどちらか意識することはありますか? 

手の場合は箸を持ったり字を書いたりするのですぐわかりますが、運動選手でもない限りどちらが「利き足」かというのは普段意識しないかもしれませんね。

右手が利き手の人は右足が利き足の場合が多いようです。ただし、後天的に利き足が左足となり、利き手は右だけど利き足は左、という人、もしくはその逆という人は珍しくありません。

これが、さらに顔ということになると、「利き顔」が左右どちらかということを何で判断するのか難しいところ。女性は俗に左側の顔のほうが右よりも美しいとされることも多いですから、「自分の利き顔は左」と思われている方もいるかもしれません。

医学的に言えば、さきほども書きましたように首の位置で多くの神経が交差しますので、右手右足が「効き手」「利き足」の場合、その感覚を司っているのは“左”脳ということになります。

つまり右利きの人の利き顔?は、左顔ということになるのです。

顔は通常は左右対称に動くように出来ていますので、分かりにくいかもしれませんが厳密に計測することが出来れば、左脳優位な右利きの人は、左の顔の方が複雑な表情が出せるのかもしれません。

同じように感覚神経も敏感になりますので、一般的には、「右利きの人は、左顔が痛みを感じやすい。」のです。

反対に、「左利きの人は、右顔が痛みを感じやすい」ということもあると思います。

クリニックFの患者さんの中には、僕に施術中に「もしかしたら左利きですか?」って言われた経験のある人がいらっしゃると思いますが、そういう理由があるのです。

ちなみに、クリニックFでレーザー照射時に使用する塗る麻酔薬は定期的に自家調合しています。

そして、施術の長さや痛みの強さによって麻酔の薬の配合を都度変えています。

局所麻酔薬の場合、炎症などが続いて組織が酸性に傾いていたりすると麻酔が効きにくいため、麻酔薬の量が多めに必要なことはありますが、いったん効果発現まで組織内麻酔薬濃度が上がると麻酔効果は一定となり、持続時間だけが変化します。

僕は上記の「左顔の方が痛みを強く感じやすい」人が多いという理由から、麻酔の効果時間を考えて、逆にほとんどの方を右から施術をするようにしています。

痛みを感じやすい左側の施術が終了するまで効果の続く麻酔を使用することで、施術時間の1つのメルクマールにしているのです。

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2011年4月 7日 (木)

痛みとトラウマのメカニズムの類似性、癒すタイミングの違い

本日木曜日はクリニックFの休診日です。

通常の木曜日は、僕は工学部大学院でレーザーの研究をする日にしているのですが、震災後は、普段診療を行う「レーザー治療」のほかに、日本ペインクリニック学会認定医としての僕のもう1つの専門分野である「痛みの治療」で御相談を受けたり、診療に借り出されることが増えています。

日々余震と原発の存在を感じながら先が見えないことによる様々なプレッシャー、不安、恐怖、強烈なストレスなどなど。

そうしたものと戦っていると、心や身体にいくつもの不具合を感じるようになりますよね。

ぐっすりと眠れない毎日が続き、リラックスできるはずの家の中でさえ、緊張感を感じながら避難道具を脇目にTVやインターネットをついつい見てしまう人もいることでしょう。

心理的ストレスを長期間受け続けると、ストレスに対抗するため、副腎皮質よりコルチゾールが分泌されます。さらにストレス状態は持続的な交感神経優位状態になりますので、心身のバランスが崩れないわけがありません。

闘争モードの交感神経が優位になっていると、細動脈も収縮し、末端組織に血流が行きにくくなりますので、頭痛を始め、関節の痛みや腰、首などの痛み、腹痛などが引き起こされることもあります。

こんな際には、クリニックFでも行っていますが、「痛みの悪循環」を断ち切るペインブロック注射が非常に有効な場合があります。

しかるべき関連医療機関に紹介状を書く場合もあります。

また、最近似たような御質問を何人かから受けました。

「先生は、痛みのメカニズムに関して本を書いていますが、トラウマのメカニズムと痛みのメカニズムは一緒なんですか?」

この御質問についてお答えしますね。

まず、トラウマとPTSDの違いが分からないと言われる方がいますが、「PTSD」とは Post Traumatic Stress Disorder(ポスト・トラウマティック・ストレス・ディスオーダー=心的外傷後ストレス障害)の略です。

「PTSD」の方が直後に引き起こされる生体ストレス反応までを包括した表現なのですが、現在使われている「心的外傷・トラウマ」の意味においては、基本的には同じものと考えてよいです。

確か、以前のブログにも書いたことがあるのですが、まずそもそも「痛み」とは何か、ということをクリアにしていきましょう。

世界疼痛学会(IASP)で決定された、「痛みの定義」という ものがあります。

それによると

「「痛み」とは、実質的、または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはそのような経験から表現される不快な感覚、または情動経験をいう。」 と定義されています。

「情動経験」・・・日常生活でなかなか聞きなれない言葉ですが、“情動”とは短時間で強く作用する脳とホルモンや免疫系、生体物質における興奮状態としての「生理反応」であり、わかりやすく定義すると「感情の動き」ということになります。

つまり、痛みとは「感覚」であると同時に、それに伴う「感情の動き」でもある、ということなのです。

また痛みの知覚が、脳の中では「視床」と呼ばれる部位で感知されることが多いのはご存知の方もいるとおもいます。

しかしながら、

この「痛みによって引き起こされる情動反応」

さらには

「痛み刺激の予知と回避についての学習」

といった、感知された痛みに対するより高次元な脳反応には、大脳辺縁系の一部の「前部帯状回」という部位が関わっています。

心的ストレスは、「心が痛い」といった表現をしますよね。

その言葉通り、心的ストレスを受けた場合、fMRI (functional Magnetic Resonance Imaging=機能的磁気共鳴画像)を利用して、脳のどの部位が活動しているのかを機能分析すると、この「前部帯状回」が痛み刺激を受けた場合と同じように反応することが分かっています。

「トラウマ」と「痛み」によって引き起こされる情動、つまり脳における反応メカニズムはほぼ一緒なのです。

これはむしろ、人間の進化の過程で、生体にとって最も脅威となる「痛み」を感じるために発達した「痛みの脳回路」が、同じように社会生活の中で最も脅威になる「心的ストレスのための脳反応回路」に、「転用」されたと考えた方が良いのでしょうね。

人類が社会生活を初めて早4000年の歴史があります。進化の過程による対応策の1つだったのでしょう。こう考えると不思議ですね。

ただし、今回の震災を考えた場合、それによって受けた心の痛みとからだの痛みとでは、その癒すべきタイミングは、多少異なるかもしれない、というのが僕の見解です。

心も体も、痛みをメカニズム的に癒し、傷を再生させるためには、自律神経を整えることがどうしても必要です。

闘争と逃走の神経=交感神経は、いついかなるときに震災が起きても逃げられるよう日々準備を整えておかなければならない昨今のために、現在日本に住むどんな人の体の中でも日夜フル稼働していることでしょう。

しかしながら、Relax & Digestの副交感神経を十分に作動させ優位にしない限り、傷はなかなか癒えてはくれません。

身体的な傷や痛みは、自律神経の状態に関わらず、西洋医学的な治療薬でもって早期解決する事が日常生活を送る上でも、からだの機能的にも求められる場合があります。

けれど、災害によって心に出来てしまったトラウマのケアをしていくときには、こうした社会状況も考えながらのケアが求められると僕自身は思うのです。類似した状況が続き、交感神経が優位であることを刻々と求められる状況では、痛みを根本的に癒すことは難しい。

つまり、ある程度余震や原発状況が落ち着き、日々の生活への不安や恐怖が遠のいてから・・・せめて枕元に避難道具を置かないと落ち着かない夜が去ってからの方が、有効的な治療ができると考えています。

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2010年11月17日 (水)

神経ブロック注射と腰痛に効くレーザー

おはようございます。

朝の冷え込みに今日は早起きしてしまいました。

朝から気持ちいい青空。良いお天気になりそうですね。今日も一日診療で日中は外に出られないので、今のうちに良い空気を吸っておこうと思います(笑)。

季節柄もあって、最近クリニックFにレーザーを打ちにいらっしゃる患者さんからのご希望により、神経ブロック注射を打つ機会が増えてきました。

著書でも触れましたが、僕の専門は元々麻酔科なので、クリニックFの患者さんには痛みの治療についてもご相談に乗っています。ただ、今はまだキャパシティに限りのあるクリニックなので、既存の患者さん限定ですが・・。

四十肩やゴルフ肩、腰痛や首の痛み・・などは、注射でずいぶん楽になるのです。

ちなみにレーザーには腰痛、特に椎間板ヘルニア(腰椎や、頸椎椎間板へのレーザー照射)に効果を出せるものもあり、こちらも導入してほしいと患者さんからも関係企業からも言われているのですが、今はキャパの問題でちょっと難しいのです。

痛みに対するレーザー治療は、将来的には非常に魅力のあるレーザーの使用法の1つですし、自分の診療の興味対象にも近いので、導入に関心はあるのですけれどね。

今は院長室や廊下まで、アンチエイジングや美肌に関するレーザー/光治療器に占拠されているような状況ですから(苦笑)。

もうしばらくしたら、すこし広い場所に引っ越さなきゃいけなくなるかもしれませんね。

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2010年10月 5日 (火)

痛みが見える最新診断機器

このブログで何度か書いていますが、僕は痛みの治療に興味があって、研修の初期に痛みの専門家である麻酔科を選択しました。

6年間で専門医を取得したのちに、レーザー皮膚科に転科して、10年間がたちました。

現在も日本ペインクリニック学会認定医の資格を持っていますが、初期に麻酔科を選択して良かったと思うのは、痛みに関する知識の深さだとおもいます。

痛みという概念と知識を、研究題目として個別に深く掘り下げることは、麻酔科以外の選択ではできなかったと思いますので、この知識は僕の財産の1つですね。

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僕が所属している日本ペインクリニック学会からは定期的に学会誌が送られてきます。この雑誌は1995年に僕が最初に書いた医学論文が(1996年掲載)掲載された医学雑誌でもあります。

当時、病名の再編成が行われた「CRPS(複合性局所性疼痛症候群)」という病気の日本での第1報の報告をしたのです。

僕の指導教官の着眼点がとてもよかったのですよね。

今回送られてきた号の総説に「痛みの機能的画像診断」の最新知見の話が載っていて、とても興味深く読みました。

不快な感覚・情動を伴う主観的体験である痛みは人によってとらえ方が違うので、客観的に評価することは非常に難しく、これが痛みの治療を複雑・困難にしてきた原因の一つでもあります。

しかしながら近年、

ポジトロン放出断層撮影(PET)

機能的核磁気共鳴画像(fMRI)

核磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)

などの画像医学の進歩によって、痛みを感じる際に脳内のどの部位が活性化されるのか、さまざまな知見が明らかになって、痛みを客観的に評価できるようになってきたのです。

さらに、上記の機能的画像診断法に加えて、脳内の形態を立体的に診断する3D-MRIを応用した

voxel-based morphometry (VBM)

などによって、脳内組織の容積を直接測定し、慢性痛などの患者の場合、どのような脳内変化があるのかを調べられるようになりました。

これら脳の機能的、形態的画像診断法は、痛みに対する画期的な客観的判断材料になります。現在は高額医療検査だと思いますが、徐々にコストが落ちてくれば、治療の選択肢も広がるのではないかと、とても期待しています。

ところで、脳の動きが客観的に診断できるようになったことで、興味深い事がわかってきました。

それは、「心の痛み」や、「他者の痛み」を感じると、実際に肉体的な痛みを感じた場合と同じような変化が大脳辺縁系(旧脳)で起こるのです。

サイエンス誌(2003年)にも掲載されていますが、仲間はずれやいじめなどの「社会的な疎外(Social exclusion)」を受けている時には、身体的な痛みと同様な脳領域が活性化されるのです。

これは痛みが「感覚」ではなく、恐怖、嫌悪、怒りなどと同じようなネガティブな「感情」でもあるのだということを表しています。

「心の痛み」が実際の痛みに近い感覚があるのは経験的にわかっていたつもりですが、これが脳機能画像診断機器で証明されるなんて、興味深くありませんか?

今回執筆している本では、こんな話題についても触れています。

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2010年9月27日 (月)

はじめての書籍出版

Photo

週末は、原稿の校正作業に追われていました。

医師や医療関係者向けではない書籍の仕事をさせていただくのは、僕にとって初めての経験。

「マクロファージ」や「三叉神経」など、自分自身は日常的に診療で使っている言葉が、一般の方向けには難しいと編集者の方から指摘を受けたりして、そこをわかりやすく誰が読んでも大丈夫なものにするために、なかなか苦労しております(苦笑)。

年内に出版のスケジュールで頑張っていますが、もっと形が見えてきたらまた御報告しますね。

今までなかった書籍になると思います。楽しみにしてて下さい。

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2009年1月 9日 (金)

レーザー施術で使用する麻酔薬

レーザー施術は時に痛みを伴うものです。

レーザーの効果をより引き出すためには、熱に最も弱い表皮を破壊しない限り、パワーを上げなければならないのですが、そうなると施術中に痛みが強くなる場合がある。

その痛みを最小限まで減らすために、クリニックFでは何種類かの「塗る麻酔薬」を使用しています。それぞれクリームやジェル、美容液のようなテクスチャーで、注射針で皮膚に刺し注入するような麻酔薬と違って、塗るとき全く痛みは感じません。化粧品を塗るようなかんじをイメージしていただければわかりやすいかと思います。

「こんなに色んな種類の麻酔薬を用意しているクリニックは、あまりないんじゃないですか?」

と、先日同業者から聞かれました。

確かに言われてみれば、そうかもしれません。普通のクリニックでは、貼るタイプと塗るタイプをひとつずつ、この二種類があればとりあえず事足ります。

けれど、レーザーにこだわるのと同じように、僕は麻酔薬にもこだわりがあります。元々痛みの専門家であるペインクリニックの認定医であることもありますが、患者さんのタイプ・使う機器の種類によって有効な麻酔薬は厳密に言うと異なると思っているのです。

クリニックFの患者さんには、施術の度にどの麻酔薬を使うか僕自身が選択しています。

ここからはちょっと専門的な話になります。

100_2 局所麻酔薬は、神経線維に作用して、細胞内部へのナトリウムイオンの流入を抑制して、細胞活性の初動である活動電位を抑制することによって、神経伝達を遮断するものです。

化学的にはベンゼン環と4級アミンの間を中間鎖がつないでいるという基本構造をしていますが、大きく分けると、その中間鎖の結合の違いによって、アミド型とエステル型に分けられています。

エステル型の麻酔薬はコカイン、プロカイン、テトラカインなどがあります。血中のコリンエステラーゼによって速やかに分解されますが、加水分解による分解産物であるパラアミノ安息香酸によって、アナフィラキシーショックが起こる場合があります。

一方、アミド型の麻酔薬はリドカイン、メピバカイン、ジブカイン、ブピバカインなど。アミド型の代謝は肝臓でゆっくりと行われるため、持続時間の長いものが多いのです。

ほとんどのクリニックで局所麻酔薬を使用する場合、アミド型の局所麻酔薬であるリドカインをベースにした麻酔薬を使用する場合が多いのですが、クリニックFではアミド型とエステル型の局所麻酔薬を配合して使用しています。

すぐに効果があり、持続時間も長い双方の優れた麻酔効果を生かすためです。

また、麻酔の効果時間には、組織のpHが極めて大切です。組織のpHに近いと、解離恒数の影響で麻酔薬が非イオン化した状態で多く存在するので、早く効果が発現します。pH7.4ぐらいの、ちょっとアルカリ性に傾けた方が効果的なのです。

歯を抜くときなどに、炎症状態が続いている皮膚は、麻酔が効きにくいと聞いたことがありませんか? 炎症状態が続くと、組織が酸性に傾くので、麻酔薬作用部位に麻酔薬が届きにくくなるのです。

逆に、妊娠中はプロゲステロン分泌が増加しているため、麻酔薬の必要量が少なく、効果発現も速くなるといわれています。

クリニックFで工夫しているもう一つの点は、麻酔薬を混ぜる基質です。

「ペンレス」という名前の、セロファンテープに麻酔薬が配合されているタイプのほかに、クリニックFでは、「ローションベース」、「ジェルベース」、「クリームベース」の麻酔薬基質を用意して、使い分けています。

基質の水分の配合率によって、それぞれ局所麻酔薬が肌に吸収される速度が変わって来るのです。

語り始めると、止まらなくなってしまう麻酔の話。奥が深いのです。また機会があったら、よりマニアックな話を書いてみることにしたいと思いますが、もし

「痛そうで怖い」

「だからレーザークリニックには行きたくない」

そう思われている方がいるとしたら、そんな方こそクリニックFにお越し頂きたいと思います。

日本に数あるレーザークリニックの中で、最も痛みの少ない施術を行っていることに関して、僕は自信がありますから(笑)。

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2008年12月29日 (月)

音楽と痛みの関係

NYから帰ってきてからは、すっかり日本の師走モードで、今年の診療もラストスパートを迎えています。

いくらハードなスケジュールでも、NYに行くと元気になって帰ってこられるのは、やはり夜の観劇のおかげでしょうか。質の高い芸術と音楽のおかげで癒され、活性化するような感覚があります。

音楽、そして芸術の力、ですよね。

このブログを読んでくださっている方はご存知のことと思いますが、僕は音楽が大好きです。特にクラシック。もし才能と環境が叶うなら指揮者になりたかった、と思うくらいです。

そのせいなのでしょうか、クリニックFにはピアノの先生や声楽家、楽器演奏家などのほか、いわゆる芸能人と呼ばれる有名な歌手の方など、音楽の仕事をされている方がけっこういるのです。

これは開業前には想像もしていなかった、思いがけないプレゼントですね。

音楽関係の方から

「このピアノ、素晴らしいですね。誰の演奏ですか?」

とクリニックFのBGMについて聞かれると、これが実に嬉しいんですよ。

クリニックFのBGMは有線ではなく、すべて僕が自宅から持ってきている音源を、クリニックのコンピュータで「i-tunes」に入れて流しているのです。同じ曲でも指揮者や演奏者が違えば、まったく別の曲になってしまいます。そういう意味で、クリニックFに流れている曲の数々は、

「ベートーベンの交響曲4番なら、この指揮者」

「チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番なら、この演奏」

「ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番なら、このカップリング」

「ショパンのバラード1番なら、この人」

「椿姫を歌わせるなら、この歌手じゃないと」

・・・などなど、僕が四半世紀以上に渡ってコツコツと集めてきたコレクションの中から、珠玉のものを抜粋してかけているのです。

レーザーと同じく、こだわってしまうんですよね。

ところで、音楽の力のひとつに痛みとの関係があることをご存知ですか?

音楽は、「聴覚性痛覚消失」と呼ばれる現象を起こすことで知られています。身体的な苦痛を和らげる効果があるのです。手術や出産、歯科の治療などに際して音楽を流しておくと、鎮痛剤や麻酔の使用が少なくて済む、という研究報告などが海外では出されています。

これは音楽が作用して、体内にある天然の鎮痛及びリラックスホルモンである“エンドルフィン”の分泌が促されることが、理由とされています。

エンドルフィンは内因性麻薬と呼ばれている、モルヒネ様ペプチドです。マラソンのときに、ランナーズハイと呼ばれる現象が起こることがありますが、この原因であるといわれています。

モルヒネが退廃的に働くのに対し、脳内麻薬であるエンドルフィンは、人間の脳を活性化するのに役立つ物質なのです。

怪我や病気がなぜ怖いかといえば、その理由のひとつに「痛いこと」が挙げられることは誰もが納得することでしょう。その大きな苦痛のひとつに、ホスピスみたいな特別な場所だけではなく、日本の医療現場はもっと注目し、緩和できる工夫を随所で行っていく時代になっていくことと思います。

薬剤を使って痛みを緩和するのではなく、音楽や香り、指や手による刺激などを随所に取り入れた複合的な医療施設が、当たり前の時代に早くなると良いですね。

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2006年11月17日 (金)

痛みの講義パートⅡその1~腰痛について

Fi1313_0e 昨晩は、セラピストやスタッフの件でいつもお世話になっている自然療法の学校IMSIで、痛みの講義(後半)を行いました。

前回10月に行ったときは、痛みについて初めて学ぶセラピストの方も多かったので、痛みの総論について話しましたが、今回は各論です。

最初に日本人の6割が罹患していると言われている「腰痛」についての話をしました。立っているときと座っているときの、どちらが腰に負担がかかっているか、分かりますか? 実は座っているときの方が腰に負担がかかっているのです。

人間が直立歩行するようになってから、人間の背骨には非常に多くの負担がかかっています。これは、人の背骨の断面を見ると良く分かるのですが、首のところと、腰のところが、非常に無理な反対に反ったカーブになっているのです。この二点が人間の体の構造上、最も弱いところだといえるのです。

ですから、重い荷物を持つときには、膝を折って持つとか、きちんと背筋を伸ばして立ち、重心が足にあるのを確認するとか、そういった習慣がとても大切と言えるのです。靴下を脱いで立ってみてください。重心は、足の親指の付け根と、小指の付け根。そしてかかとに三分割されていますか?ほとんどの人は、重心が後ろに行っていて、かかとのみに重心がかかるようになっています。これだと腰に”より”、負担がかかるのです。気をつけたほうがいいですよ。

講義では、腰痛を起こす病気の実例を、症例が多い順に10症例あげて、その病気の特徴を説明しました。腰痛持ちの人はとても多いのですが、お医者にかかったほうが良いのか? という分岐点は、足にビリッとしたような痛みが走る場合や、麻痺が起こってきた場合ですね。こういったときは早めに受診をしなければなりませんね。

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