カテゴリー「医療 痛みのコントロール」の10件の記事

2009年1月 9日 (金)

レーザー施術で使用する麻酔薬

レーザー施術は時に痛みを伴うものです。

レーザーの効果をより引き出すためには、熱に最も弱い表皮を破壊しない限り、パワーを上げなければならないのですが、そうなると施術中に痛みが強くなる場合がある。

その痛みを最小限まで減らすために、クリニックFでは何種類かの「塗る麻酔薬」を使用しています。それぞれクリームやジェル、美容液のようなテクスチャーで、注射針で皮膚に刺し注入するような麻酔薬と違って、塗るとき全く痛みは感じません。化粧品を塗るようなかんじをイメージしていただければわかりやすいかと思います。

「こんなに色んな種類の麻酔薬を用意しているクリニックは、あまりないんじゃないですか?」

と、先日同業者から聞かれました。

確かに言われてみれば、そうかもしれません。普通のクリニックでは、貼るタイプと塗るタイプをひとつずつ、この二種類があればとりあえず事足ります。

けれど、レーザーにこだわるのと同じように、僕は麻酔薬にもこだわりがあります。元々痛みの専門家であるペインクリニックの認定医であることもありますが、患者さんのタイプ・使う機器の種類によって有効な麻酔薬は厳密に言うと異なると思っているのです。

クリニックFの患者さんには、施術の度にどの麻酔薬を使うか僕自身が選択しています。

ここからはちょっと専門的な話になります。

100_2 局所麻酔薬は、神経線維に作用して、細胞内部へのナトリウムイオンの流入を抑制して、細胞活性の初動である活動電位を抑制することによって、神経伝達を遮断するものです。

化学的にはベンゼン環と4級アミンの間を中間鎖がつないでいるという基本構造をしていますが、大きく分けると、その中間鎖の結合の違いによって、アミド型とエステル型に分けられています。

エステル型の麻酔薬はコカイン、プロカイン、テトラカインなどがあります。血中のコリンエステラーゼによって速やかに分解されますが、加水分解による分解産物であるパラアミノ安息香酸によって、アナフィラキシーショックが起こる場合があります。

一方、アミド型の麻酔薬はリドカイン、メピバカイン、ジブカイン、ブピバカインなど。アミド型の代謝は肝臓でゆっくりと行われるため、持続時間の長いものが多いのです。

ほとんどのクリニックで局所麻酔薬を使用する場合、アミド型の局所麻酔薬であるリドカインをベースにした麻酔薬を使用する場合が多いのですが、クリニックFではアミド型とエステル型の局所麻酔薬を配合して使用しています。

すぐに効果があり、持続時間も長い双方の優れた麻酔効果を生かすためです。

また、麻酔の効果時間には、組織のpHが極めて大切です。組織のpHに近いと、解離恒数の影響で麻酔薬が非イオン化した状態で多く存在するので、早く効果が発現します。pH7.4ぐらいの、ちょっとアルカリ性に傾けた方が効果的なのです。

歯を抜くときなどに、炎症状態が続いている皮膚は、麻酔が効きにくいと聞いたことがありませんか? 炎症状態が続くと、組織が酸性に傾くので、麻酔薬作用部位に麻酔薬が届きにくくなるのです。

逆に、妊娠中はプロゲステロン分泌が増加しているため、麻酔薬の必要量が少なく、効果発現も速くなるといわれています。

クリニックFで工夫しているもう一つの点は、麻酔薬を混ぜる基質です。

「ペンレス」という名前の、セロファンテープに麻酔薬が配合されているタイプのほかに、クリニックFでは、「ローションベース」、「ジェルベース」、「クリームベース」の麻酔薬基質を用意して、使い分けています。

基質の水分の配合率によって、それぞれ局所麻酔薬が肌に吸収される速度が変わって来るのです。

語り始めると、止まらなくなってしまう麻酔の話。奥が深いのです。また機会があったら、よりマニアックな話を書いてみることにしたいと思いますが、もし

「痛そうで怖い」

「だからレーザークリニックには行きたくない」

そう思われている方がいるとしたら、そんな方こそクリニックFにお越し頂きたいと思います。

日本に数あるレーザークリニックの中で、最も痛みの少ない施術を行っていることに関して、僕は自信がありますから(笑)。

世界の最新レーザー情報 はこちらから 

クリニックF http://clinic-f.com/

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2008年12月29日 (月)

音楽と痛みの関係

NYから帰ってきてからは、すっかり日本の師走モードで、今年の診療もラストスパートを迎えています。

いくらハードなスケジュールでも、NYに行くと元気になって帰ってこられるのは、やはり夜の観劇のおかげでしょうか。質の高い芸術と音楽のおかげで癒され、活性化するような感覚があります。

音楽、そして芸術の力、ですよね。

このブログを読んでくださっている方はご存知のことと思いますが、僕は音楽が大好きです。特にクラシック。もし才能と環境が叶うなら指揮者になりたかった、と思うくらいです。

そのせいなのでしょうか、クリニックFにはピアノの先生や声楽家、楽器演奏家などのほか、いわゆる芸能人と呼ばれる有名な歌手の方など、音楽の仕事をされている方がけっこういるのです。

これは開業前には想像もしていなかった、思いがけないプレゼントですね。

音楽関係の方から

「このピアノ、素晴らしいですね。誰の演奏ですか?」

とクリニックFのBGMについて聞かれると、これが実に嬉しいんですよ。

クリニックFのBGMは有線ではなく、すべて僕が自宅から持ってきている音源を、クリニックのコンピュータで「i-tunes」に入れて流しているのです。同じ曲でも指揮者や演奏者が違えば、まったく別の曲になってしまいます。そういう意味で、クリニックFに流れている曲の数々は、

「ベートーベンの交響曲4番なら、この指揮者」

「チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番なら、この演奏」

「ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番なら、このカップリング」

「ショパンのバラード1番なら、この人」

「椿姫を歌わせるなら、この歌手じゃないと」

・・・などなど、僕が四半世紀以上に渡ってコツコツと集めてきたコレクションの中から、珠玉のものを抜粋してかけているのです。

レーザーと同じく、こだわってしまうんですよね。

ところで、音楽の力のひとつに痛みとの関係があることをご存知ですか?

音楽は、「聴覚性痛覚消失」と呼ばれる現象を起こすことで知られています。身体的な苦痛を和らげる効果があるのです。手術や出産、歯科の治療などに際して音楽を流しておくと、鎮痛剤や麻酔の使用が少なくて済む、という研究報告などが海外では出されています。

これは音楽が作用して、体内にある天然の鎮痛及びリラックスホルモンである“エンドルフィン”の分泌が促されることが、理由とされています。

エンドルフィンは内因性麻薬と呼ばれている、モルヒネ様ペプチドです。マラソンのときに、ランナーズハイと呼ばれる現象が起こることがありますが、この原因であるといわれています。

モルヒネが退廃的に働くのに対し、脳内麻薬であるエンドルフィンは、人間の脳を活性化するのに役立つ物質なのです。

怪我や病気がなぜ怖いかといえば、その理由のひとつに「痛いこと」が挙げられることは誰もが納得することでしょう。その大きな苦痛のひとつに、ホスピスみたいな特別な場所だけではなく、日本の医療現場はもっと注目し、緩和できる工夫を随所で行っていく時代になっていくことと思います。

薬剤を使って痛みを緩和するのではなく、音楽や香り、指や手による刺激などを随所に取り入れた複合的な医療施設が、当たり前の時代に早くなると良いですね。

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2006年11月17日 (金)

痛みの講義パートⅡその1~腰痛について

Fi1313_0e 昨晩は、セラピストやスタッフの件でいつもお世話になっている自然療法の学校IMSIで、痛みの講義(後半)を行いました。

前回10月に行ったときは、痛みについて初めて学ぶセラピストの方も多かったので、痛みの総論について話しましたが、今回は各論です。

最初に日本人の6割が罹患していると言われている「腰痛」についての話をしました。立っているときと座っているときの、どちらが腰に負担がかかっているか、分かりますか? 実は座っているときの方が腰に負担がかかっているのです。

人間が直立歩行するようになってから、人間の背骨には非常に多くの負担がかかっています。これは、人の背骨の断面を見ると良く分かるのですが、首のところと、腰のところが、非常に無理な反対に反ったカーブになっているのです。この二点が人間の体の構造上、最も弱いところだといえるのです。

ですから、重い荷物を持つときには、膝を折って持つとか、きちんと背筋を伸ばして立ち、重心が足にあるのを確認するとか、そういった習慣がとても大切と言えるのです。靴下を脱いで立ってみてください。重心は、足の親指の付け根と、小指の付け根。そしてかかとに三分割されていますか?ほとんどの人は、重心が後ろに行っていて、かかとのみに重心がかかるようになっています。これだと腰に”より”、負担がかかるのです。気をつけたほうがいいですよ。

講義では、腰痛を起こす病気の実例を、症例が多い順に10症例あげて、その病気の特徴を説明しました。腰痛持ちの人はとても多いのですが、お医者にかかったほうが良いのか? という分岐点は、足にビリッとしたような痛みが走る場合や、麻痺が起こってきた場合ですね。こういったときは早めに受診をしなければなりませんね。

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2006年10月15日 (日)

「痛いの痛いの飛んでいけー」の秘密

Fi1315_0e そうそう、「痛いの痛いの飛んでいけー」に科学的根拠があるのをご存知ですか?

実は、先日ブログに書いたように、痛みの感覚は、末梢神経を通って脊髄の後角というところに行きます。そこで神経ファイバーを入れ替えるとき、同じ皮膚領域からもっと太い神経の刺激が入ったとき、その痛みの刺激がマスクされる現象があるのです。この理論を1955年に発表されたゲートコントロールセオリーといいます。その後この理論はいくつかの修正が行われていますが大方はこの通りなのです。

痛みの神経はとても細いですから、それと同等の太さの温痛覚や、より太い圧覚、触覚などの刺激がでさすってやるとよいのです。

マッサージなんて、痛みにはとても効果的なんですよね。

ただし、実際に組織が損傷している部位をさするのはいけません。あくまで、そのまわりですよ。

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2006年10月13日 (金)

痛みの講義

Fi1313_0e_2 昨晩は、セラピストやスタッフの件でいつもお世話になっている自然療法の学校であるIMSIで、自分のもう一つの専門である、痛みの講義を行いました。


熱心な学生さんの前で、久し振りに講義をして、数年前に、都立の看護学校の講義を三年間、頼まれていた時のことを思い出しました。


痛みの感じ方、って、人によって違うと思いませんか?
実は、痛みの感じ方が人によって違う理由があるのです。


痛みは、痛みの受容体で痛みを感受すると、末梢神経を通って脊髄神経の後根というところを通過します。そこで神経線維を乗り換え、大脳の視床という部位に投射されます。この過程まではどんな人でも同じです。


ところが、実際にはその視床から大脳皮質に転写される経路は、その人の経験によって出来上がった神経回路によるのです。


つまり、過去に強い痛みによって、心臓がバクバクし、気持ち悪くなったた経験がある人は、神経経路が出来てしまっていますから、同種の痛みに対して同じような経験を追体験をするというわけです。


根性があるから痛みに強いとか、そういった問題ではないのですね。また、同じ痛みも女性の方が痛みに強いといわれています。僕も注射が嫌いですが、それは思いますね。”鼻からスイカを出す”ぐらいの痛みという、出産なんてしてしまったら、僕はきっと、死んじゃいますね。



講義中に、痛みがある状態は、冷やした方がいいのか、暖めた方がいいのか質問がありました。非常に良い質問です。


捻挫した時にすぐに冷やすのは炎症物質の産生を押さえ、組織破壊の広がりを最小に抑えること。さらに、寒冷の刺激で痛み感覚を麻痺させることが目的なのですが、実は、組織修復のための反応が円滑に進められるためには熱が必要です。熱が無いと組織を作り治すたんぱく質の動きも弱くなり修復過程出来なくなるのです。


捻挫したり受傷した直後には冷やさなければなりませんが、何日も冷やし続けるのはいけないという事になります。


一般に常識と思われているものも、近年の研究でより新しい理論が構築されています。その分野の専門医に聞くという事が大切なのですね。痛みの講義基礎編の後半は、11月16日にまた行います。

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2006年9月20日 (水)

痛みについての講義のブレスト

Tomino2007 韓国の招待講演の時にまとめたブログにもありますが[関連した日記LOG]、自然療法のIMSIで10月12日に行う、痛みの講義のブレストをIMSIの人気講師である冨野さんと今日行いました。

彼女はアロマセラピーにリフレクソロジー、レイキ、エサレン、リンパドレナージュなど手技も習得していますが、何より英語が堪能なため、自然療法についての質問事項を上げると、海外の文献をつけて答をくれる、とても優秀な人材です。自然療法に関しては、僕の知恵袋とでもいえましょうか?


一般的に、国が先進国化すると、疾病構造が感染症から、心やストレスが原因の病気に変化すると言われていますが、現在アメリカでは、西洋医学に対する国民医療費よりも、自然療法を含む統合医療(補完代替医療とも言われます)に対する医療費の総額の方が多くなっており、多くの人が、これらの診療を望んでいる証拠なのです。


今日は講義の内容について、ブレストしました。痛みと自然療法という、全く新しい分野の融合の講義の前半部分なので、まず、痛みの概念について触れ、発生する機序や解剖を述べ、さらに西洋医学的なアプローチを述べた後に、使用される薬の分類と説明を行い、最後にアロマで使用される精油の薬理的効果でまとめようという事になりました。


これから半月ありますが、色々と準備を重ねてゆきたいと思います。乞ご期待。

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2006年9月 9日 (土)

痛み治療の講座

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明日の学会講演のため、韓国入りしました。会場はソウルのロッテワールドホテルですので、そこに滞在しているのですが、横からロッテワールドの歓声が聞こえてくるような立地です。


ちょっとまとまった時間が取れたので、今度僕が担当する“痛みの治療に関する講義”について書きたいと思います。


自然療法に関する最新の情報をシェアしたり、セラピストさんを派遣してもらって、お世話になっているIMSIで、痛みの治療に関する講義をすることになりました。IMSIブログ


お題は「医学博士が解説する、4時間で解る痛みの構造とその緩和法」です。


講座内容:
● 痛みの発生のしくみ
● 痛みをもつクライアントが来た場合の対処法
(動かして良いのか、マッサージして良いのか、温めた方が良い場合、冷やした方が良い場合など)
● ペインクリニックの役割とは
● ペインクリニックにおける痛みのアセスメント法
● 西洋医学的痛みのコントロール法
(鎮痛薬、モルヒネ麻薬性鎮痛剤、NSAID、抗うつ剤など)
● 痛みの種類(頭痛、神経痛、腰痛、関節痛、帯状疱疹痛、がん性疼痛、慢性疼痛など)
● ペインマネジメントにおける自然療法の役割



僕は医師としての初期研修に麻酔科を選択しましたが、その理由は、麻酔科が痛みのスペシャリストであるとともに、救急医療の技術が体得できることにありました。さらに、痛みと密接な関係にある、自律神経の研究が出来ることも大きな理由のひとつでした。


病気で最も苦しく、いやなことは、「痛い」ことだと思います。死が怖い理由のひとつも、死の直前かつて体験したことのない痛みが自分を待っているのではないかと思うことでしょう。結局麻酔専門医とペインクリニック認定医の資格を取り、東大病院でペインクリニックの外来を持ったり、都立の看護学校の講師をしたりしましたが、「痛み」がもたらす恐怖・不安・ストレスについて現場で何度も考えさせられました。


現在は米国レーザー医学会(ASLMS)や、日本形成外科学会、日本美容皮膚科学会、日本抗加齢医学会などの学会に所属し、美容皮膚科のクリニックを経営してはいますが、いまだに痛みの緩和に対する医学的興味を失ったわけではありません。レーザー治療を行う上でも痛みを最低限に抑えるためにはどうしたらいいかを常に考えています。


僕がペインクリニックに興味を失い、別のジャンルに移行していったのは、西洋医学のアプローチとして痛み治療に使用できる施術が、いわゆる薬と、局所麻酔薬の神経注入・・・すなわち=神経ブロックの二つしか手段がなかったことにあります。


しかしながら、もし西洋医学にアロマセラピーやリフレクソロジーなどの自然療法的アプローチを加えることができれば、痛みに対して多方面からの、それこそメンタルケアも含めた、もっと包括的な対応ができると思うのです。特に最近では、レントゲンをとっても血液を採取してもなんの異常も認められない、“病気未満”の疾患と痛みで悩む患者さんが増えています。こうした方は行く場所がなく、整体や鍼灸、アロマセラピーやリフレクソロジーなどのサロンを頼るしかないわけです。けれど現状としてこのジャンル・・・特にセラピーの専門家は、痛みの基本的メカニズムや病院で処方される薬について学校で教えてもらうチャンスに恵まれないことも多く、コンサルテーションに時間をかけてもクライアントの状態を正確に把握することができないまま、施術に入るケースが多いというのです。


西洋医学一辺倒であった戦後の医療から、東洋医学や自然療法を含む補完療法/統合医療の見直しがなされている現在ですが、新たなアプローチで慢性痛という概念に挑戦するのは、非常に楽しみなことです。医者として持っている知識がこうした現場で役に立てば、これほど嬉しいこともありませんしね。


今後ますます注目されるであろう「ターミナル・ケア」を考えても、医療と自然療法が真剣にタッグを組んで“痛み”に取り組む時代がもう目の前に迫っている気がします。それこそ本当の意味での「メディカル・スパ」がこれから誕生していくことでしょう。僕自身チャンスがあればぜひ立ち上げてみたいです。


聞けば来月行われる講座には、医療現場の方からも受講の申し込みがすでに来ているとか。講義をきっかけに活発な意見交換を皆さんとできれば、と思っています。

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2006年6月14日 (水)

片頭痛の治し方

Fi879_0e 先日知り合いから、片頭痛が止まらなくなってしまい、何とかならないか相談を受けました。僕は2003年まで本郷の東大病院のの痛み(ペインクリニック)外来というところで外来を担当していましたし、痛みの専門医であるペインクリニック認定医という資格も持っています。



頭痛の原因は脳神経外科、外科、産婦人科、皮膚科、整形外科、神経内科、内科、心療内科など、多くの科をまたいでいるため、医師として診察がやりにくい分野です。つらい病気の一つですよね。


 頭痛は一般に症候性頭痛と機能性頭痛の2種類に大別されます。症候性頭痛は、主にくも膜下出血や脳出血などの脳外科領域の原疾患の症状の一つとして頭痛が現れるものです。これまで経験したことのない様な激しい頭痛や、交通事故などの外傷により始まった頭痛、麻痺などを伴う頭痛には画像診断が必要となります。一方機能性頭痛は、画像診断などで異常所見が現れない頭痛で、問診が重要となります。機能性頭痛が頭痛患者の9割以上を占めますが、大きく片頭痛、群発頭痛、緊張型頭痛に分類されます。また顔面の痛みを三叉神経痛といいます。[関連した日記LOG]


片頭痛
・ 多くは思春期以降に発症します。 家族の中に同じ様な頭痛を経験することがあります。
・ 頭痛が起こる前に前兆を伴うタイプ(典型的)と伴わないタイプ(普通型)があります。
・ ズキズキとした痛みが、一側性あるいは両側性に起こり吐き気を伴います。
・ 頭痛は数時間続き、女性では性周期が関係していることもあります。
・ ストレス、疲労や、チョコレート、チーズ、柑橘類の摂取が引き金になることがあります。


群発頭痛
・ 20~40歳の男性に多く発症します。 結膜の充血、流涙、鼻汁を伴います。
・ 痛みは一側性で、目の奥がえぐられるような激しい痛みです。
・ アルコールで痛みが強くなり、夜間痛みで目が覚めることもあります。
・ 一時間ほどの痛み発作が一日数回起こり数ヶ月間続きます。
・ 数年に一度の割合でこのような発作を繰り返します。


緊張型頭痛
・ 頭や首の筋肉が持続的に収縮し、血流が悪くなるために頭痛が起こります。
・ 痛みのために、さらに筋肉や血管が収縮し頭痛が激しくなります。(痛みの悪循環)
・ 頭が締め付けられるような持続性の痛みのことが多く、ズキズキ痛むこともあります。
・ 最も多い頭痛で、長時間コンピューターで作業をしている人に起こりやすい頭痛です。
・ 筋肉の血流を改善するために、首や肩を動かし、暖めることが予防、治療の基本です。
 顔面部の痛みは三叉神経痛と非定型顔面痛に分けることができます。治療も診断にしたがって行います。


三叉神経痛
・ 高齢者50歳以上の人に多い疾患です。
・ 顔のどちらか一側に起きる顔面痛です。
・ 短時間(数秒)の鋭い痛み(電気が走る)を繰り返します。
・ 過敏な部位がありそこに触れると痛みが起こります。
・ 会話、食事、洗顔などで痛みが起こります。


 そのときはまず大まかに上記の基準から病気の原因を大別します。そして片頭痛の診断がついた後、大学での外来の診療方針はこんなでした。


 まず、基本的な非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAID=エヌセイド)を使用します。

痛みには、細胞内で作られるシクロオキシゲナーゼ(COX)と呼ばれる酵素が関係しており、NSAIDはこの酵素の働きを妨げて痛みや炎症を抑える薬なのですが、 COXには、胃腸の粘膜を守るCOX1と、炎症を促すCOX2の2種類があるのです。NSAIDの多くは、両方の働きを抑えるので、胃腸が荒れやすくなる副作用があります。そこで、痛みに関係するCOX2だけを狙う「COX2阻害薬」が開発されました。確か1999年ごろだったと思います。「COX2阻害薬」は胃かいようの発生率が従来の薬に比べ半分ほどに減り、すばらしい薬と絶賛されたのですが、2000年には心筋梗塞や脳梗塞の危険性を高める可能性があるという発表がなされて、使用に注意が促されています。医師にご相談してご使用ください。


NSAIDに抵抗性の頭痛の場合、

ジヒデルゴットという薬を成人1回1mgを1日3回経口服用しながら、頭痛の発作が起こりそうなときにカフェルゴットという薬を飲むことをすすめました。

片頭痛は脳の血管が拡がることによって起こるわけですから、血管を収縮させる作用のあるエルゴタミン製剤が使用されます。エルゴタミン製剤は、血管の拡張を防ぐことによって結果的に痛みを抑えるくすりです。そのため、痛みが生じてから服用してもあまり効果は得られません。


これでも治らない場合は、イミググランという注射(後に錠剤が出ました)を使用するということをしていました。トリプタン系のくすりは、神経伝達物質・セロトニンと同じようなはたらきをし、脳の血管を収縮させて頭痛を抑える作用があるのです。この薬は痛みの極値でも使用でき、さらに処方時には痛みが全く消えるというすばらしい効能があるのですが、翌日には痛みが復活してしまうという弱点があり、飲み続けなければなりません。


 片頭痛が起こってしまったときには、光や音の刺激を避けて、暗い静かな場所で横になって休むことが大切です。ワインやチョコレートや寝不足が原因になることが多いので、そういった刺激を減らすことが大切です。

痛みがひどい場合は、痛む部分に冷却シートや氷まくら、冷たいタオルを当てて冷やすようにすると、いくぶん痛みがやわらぎます。人間の感覚受容体では、温痛覚、つまり痛みと温度感覚は非常に近い性質を持つのです。注射を刺すときに冷たい氷にふれてから刺すと、痛みを感じにくいのと同じです。

コーヒーや緑茶などのカフェインを含む飲み物をとると、頭痛が楽になるケースもみられます。これらは脳の血管を閉めますから。しかし、飲み過ぎると逆に頭痛を起こすこともあります。何でもやりすぎはいけないってことですよね。

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2006年5月12日 (金)

痛みの薬と冷え症の関係

Fi746_0e 最近、片頭痛や生理痛、肩こりなどで悩んでいて、ボルタレンやロキソニンなどの消炎鎮痛剤を医師に処方してもらい、飲んでいる女性が多いようです。でも実は冷え症の人にはこれらの薬が向いていないことを知っていましたか?


この薬の仲間は「非ステロイド抗炎症薬(NSAID)」と呼ばれ、いろいろな痛みに広く用いられています。炎症や発熱を引き起こすプロスタグランジン(PG)という物質の生合成を抑制します。プロスタグランジン(PG)の合成酵素「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害することによるのです。


痛みがいったん起こると、”痛みの悪循環”という負のサイクルに入ってしまいます。痛みのために交感神経が緊張して、カテコー ルアミンが副腎より分泌されます。カテコールアミンは血管を収縮させます。一方、大脳で痛みを認知すると神経の伝達インパルスは脊髄を下行し、反射性に運動神経を興奮させ、筋肉の緊張を増大させます。これもまた、血管を収縮させます。つまり、痛みの発生部(原因組織)では血管収縮が 起こりやすくなるのです。局所の乏血が起こると、血流不全となり、細胞組織の酸素欠乏となります。 酸素で代謝ができなくなると、嫌気性代謝がおこりキニン、ブラジキニン、プロスタグランジンなどの発痛物質が生成され、さらに痛みを増強させるわけです。


難しい言葉を使ってしまいましたが、これらの薬は使用を続けると、同時に末梢血管の血流を減らしてしまい、結果的に体を冷やす方向に働いてしまうのです。

大学病院で漢方診療をしていたときに、こういった患者さんには、僕は体の温まる漢方薬をいくつか同時処方するようにしていました。漢方薬は症状と薬が合致すると、あたかも鍵と鍵穴のように、ほとんどの不定愁訴がうそのように解決してしまうんですよね。その効果に感動して、かなり真剣に勉強した時期がありました。こうすると、冷え症を悪化させるというトラブル無く、痛みを回避できるのです。


痛みは病気になって、もっともつらい症状の1つです。痛みの研究をしたくて、僕は大学を卒業した後の研修で麻酔科を選択したのです。痛みで悩んでいる方は一度御相談ください。いくつかの解決策が提案できると思います。

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2006年4月17日 (月)

若い医者のバカ話

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「このレーザーはどれくらい痛いんですか?」と患者さんに聞かれて困ることがあります。痛みには正確な「単位」がないのです。そして、痛みの単位=痛みの感じ方は患者さんによって全く違います。


痛みについて説明しようと思うと、”輪ゴムでパチっとはじいたぐらいの痛みです”とか、”確かに痛みはありますが、施術中に痛くてやめちゃった人はいません。”とか言うしかないのです。私は痛みに弱いんですとか言われて、おそるおそる施術をしてみると、全く平然としていたり。


 もう10年以上前になりますが、研修医だったときに、痛みに単位がないのはおかしい 作るべきだよなと話したら、「痛みに単位を作るとしたら、鼻毛を抜くときの痛みを基準にして、たとえば“1ハナゲ”という単位を作ってみては?」と言い出した同僚がいて、周りの皆で大笑いした経験があります。確かにそれだと身近で皆わかりやすいのかもしれません。ちなみにそのときに彼が決めた単位は、出産の痛みは30ハナゲ、骨折の痛みは10ハナゲ、お腹の手術後の痛みは5ハナゲぐらいだったような気がします(笑)。医者も若いうちは、しょうもない話をするものですね。


今日外来でフラクセルの説明をする際、患者さんからまた「どれくらい痛いですか?」と聞かれて、その話を何年かぶりに思い出しました。ふと思いついて生まれて初めて僕も鼻毛を抜いてみたのですが・・・これが、痛い! ほんとうに痛い!! なんでこんな痛い思いをして皆抜くんだろうか?


これを基準に考えるとしたら、レーザーの痛みは1ショット、0.1ハナゲぐらいだろう(笑)。


注)なんの画像をつければいいか迷ったのですが、何を出したらよいか分からず。とりあえず目盛を出しておきました。

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