カテゴリー「レーザーの歴史」の28件の記事

2014年5月 3日 (土)

2025年までに起こりうる、レーザー治療の大きな進化について

おはようございます。

今日は5月3日(土)。いよいよゴールデンウイーク後半となりましたね。

都内は快晴。高速は混んでいるようです。

連休中は、本日のみ、クリニックFの開院日です。

本年7月に開催される日本美容皮膚科科学会での講演について、詳細が決まりました。

Photo

日本医科大学皮膚科の船坂陽子准教授と招待講演をお引き受けすることになりました。

少しずつ準備を整えていきたいと思います。

さて、今日のブログは、2014年4月にアリゾナ州フェニックスで開催されたASLMS米国レーザー医学会の話題を。

*****

学会でハーバード大学のロックス・アンダソン教授がお話しされた

「2025年までに起こりうる、レーザー治療の大きな進化について」

という演題は大変魅力的でした。

Img_2247

これからの10年間を想像すると、工学の世界でも医学の世界でも時代が大きく変わりますね。

ロックス・アンダソンが挙げた8つの進化は

1)経験の少ない施術者に対する、よりオートマティカルなレーザー機器が登場する。

2)ソフトウェアでプログラミング可能な「ロボットレーザー治療機器」が登場する。

3)ホームケアユースのレーザー、IPL、RF、超音波機器の処方が始まる。

4)ニキビは本質的な治療が可能になる。-皮脂腺をターゲットとした機器が出来る。

5)レーザーによる入れ墨除去が、瘢痕化することなく確実に即日できるようになる。

6)有用なライブ顕微鏡が登場する。

7)病理医師がいない状態でも迅速診断できるマイクロ生検が可能になる。

8)スマートフォンによる皮膚診断アプリが現在の200から20万になる。

でした。

医療機器から家電製品に至るまで、すべての機器はユーザビリティが上がりますので

1)の進化は当然のことだと思いますが

2)は、レーザーを治療ばかりではなく、センサーとしても用い、治療が必要な部位だけを同定し、その部位に適切なレーザー光を照射するという点に違いがあります。

3)のホームケアユースの機器ですが、これは数年前からトレンドの一つではありました。

安全性の問題で、レーザーの家庭用機器はハードルがあったのですが、光、RF、超音波などの他のエネルギーソースが使えるようになりましたので、汎用性が上がりましたね。

4)ニキビについては、1700nm前後の波長が皮脂腺に反応することがわかっていますので簡単に機器を作れるのではないかと思われていたのですが、1700nmの波長の透過率を考えると、生体に直接照射してしまうと、皮脂腺までレーザー光が届かないのです。

5)に関しては、ピコ秒もしくはそれよりも短い波長のレーザーが完成すれば、可能になります。

6)は超音波診断機器のように、リアルタイムで肌の中が診断できるシステム。

7)は、正常細胞と異常細胞に対する特定の光の透過率の違いによって診断をする機器なのでしょう。

8)のスマートフォンアプリは、今後もより医療の世界にも入ってくるのでしょうね。

こうして観てみますと、工学レーザーの医療応用に対しては、まだまだ研究の余地がありますね。

今後も引き続き、注目してゆきたいと思います。

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2011年12月26日 (月)

レーザー・光治療の歴史更新

毎年すこしずつ書きため、機会がある毎に修正や更新を加えているレーザー/光治療の歴史

レーザー会社の新入社員や転職キャリアの方々など結構このページがお役に立てているようで、時々声をかけてもらっています。

少々専門的な部分もありますが、良かったら一度読んでみてください。

■レーザーの歴史:http://clinic-f.com/Laser.html

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2011年11月 8日 (火)

■EADV 2011in Lisbon,Portugal番外編 手術の傷跡を目立たなくするレーザー機器EKKYO

今回のポルトガルのEADVで実物を見ようと探していた機器があります。

それは、フランスの機器メーカーが作り上げたEKKYOという機器。

Ekkyo

815nmのダイオードレーザーをアシストに使って、手術によってできる傷口を綺麗にするという機器なのです。

現在までに、10編程度の論文が出ています。

This study aimed to evaluate a 815-nm diode-laser system to assist wound closure to accelerate and improve healing process

などなど。

傷口に悩みを持つ人も多いですし、結構需要があるのではないかと思っていたのですが、フランスの会社なのにかかわらず、今回の学会で探せど探せどこの機器は出てこない。

ふと話題になった時に、こんな機器を知らないか?と聞いてみたのですが。。。

なんと。

この会社。昨年経営難で、潰れてしまったのだそうです。

新しい技術を持った機器メーカーが独立するためには相当な苦労があるのでしょうね。

良い機器だと思っていたので、ぜひ使ってみたかったんですけれどね。

とても残念です。

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2011年10月20日 (木)

2011年レーザー治療機器総括その6 痩身と脂肪溶解

おはようございます。2011年10月20日(木)。今日はこれから午前の便で、ポルトガル・リスボンに発ちます。

EADVヨーロッパ皮膚科学会に参加するためと、いくつか打ち合わせもあり、3泊5日のスケジュールでの出張。これから約1月間の11月20日までに、海外出張が立て続けにあります。

イギリス、ポルトガル、韓国、タイ、台湾、中国、再びイギリス、イタリアと言った感じ。

すべてこなせるのかちょっと今から気が遠くなりそうですが(笑)、頑張ってレーザーの最新情報を身につけ、日々の診療と大学院での研究に生かしたいと思っています。

不在中、患者さんを始め関係者の方にはご不便をおかけし申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

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まだ終わっていなかった2011年のレーザー/光治療総括を、ここでお話しておきたいと思います。

2011年のレーザー治療器の進化を語る上で、

■脂肪溶解を目的とした、レーザー/冷凍凝固/RF施術方法の進化

に向けての研究が引き続き行われている、という点を見逃すわけにはいきません。

012

ここ数年でも、痩身についての論文は数多く出ています。

痩身治療は技術的には レーザー RF 氷結 超音波 EMS(電流) 薬 に分類されます。

「医療現場で行う痩身治療」が近い将来この日本でも確立されることを、僕はこのブログで何度も書いていますが、この点については確信しています。

今までも、保険診療クリニックを中心としては

医療痩身外来

メタボリック外来

肥満外来

のような特別外来が開かれてきました。

しかしながら、どれも実際の治療法としては、「栄養療法」と「運動療法」をベースとしたものに限られていました。

また、「サノレックス」「ゼニカル」「リダクティル」といった、いわゆるやせ薬も、「ちょっと太り気味」程度な人には使用しにくいですし、長期利用には疑問が残ります。

せっかく医療施設に来ていただいて、

「食事を減らしてください」

「適度な運動をするようにしましょう」

というのも物足りない気もします。

また、最近特に注目されているのは、マラソンなどの有酸素運動時に体内で出現する有害な「活性酸素」です。

博多で開催された日本美容外科学会でも議題に上がりましたが、ミクロで考えると、老化とは細胞が

「酸化する」ことと、

「糖化する」こと

に二分されると言う事実は常識となりつつあります。

一方で、体内で活性酸素を除去する能力(SOD活性)は、35歳を過ぎると低下します。

これは野球選手やサッカー選手がこの年でスポーツ引退しているのをみると明らかです。

痩身のためにマラソンなどの有酸素運動をしても、その際に吸収された酸素のうち必ず一定量は活性酸素になりますので、それを除去できなくなるのです。

最新の論文を見ると、中には遺伝的にミトコンドリアや抗酸化酵素をとても多く持ち、マラソン向きの体質を持つ人もいる様なのですが、

ほとんどの人の場合は、

「35歳以上の人が有酸素運動で痩せようとすると、かえって錆びて老いてしまう。」

と考えたほうがよく、運動で痩せるという選択肢は考えないほうがいいと言えます。

ではどうすればよいのか?

マーケット的には 体表から「皮下脂肪」にアクセスする治療法として

手術室で観血的に施術がされる

■皮下脂肪を手術で減らす脂肪吸引

■レーザースタイリング(スマートリポMPX)などのレーザー脂肪溶解

非観血的に施術がなされる

■ボリュームの減った皮膚のたるみをとる サーマクールforボディなどのRF機器

■皮下脂肪を氷結させる「ゼルティック」

■PromoSlimtやUltraShapeなどの超音波機器

肌に針を刺すことで薬液や気体を挿入する

■痩身メソセラピー(フォスファジディチルコリン・αリポ酸など)

■カーボメッド (CO2注入)

などがありますよね。

さらに、体内から「内臓脂肪」にアクセスする治療法として

■大腰筋を鍛えて、基礎代謝を上げることで内臓脂肪を減らすAC-BODY

■内服抗肥満薬 (ゼニカル・サノレックスなどの体重減少薬)

などがあります。

AC-BODYは、今年の美容外科学会でもいくつか演題が出ていましたし、内臓脂肪の除去のための機器としては市民権を得た気もします。

Acbody

この機器は、僕も技術開発や基礎医学研究、特許出願に関わりましたので思い入れもありますが、現在新たに干渉波を組み合わせた、自宅でも使用できる個人用機器をある企業と開発中です。

乞うご期待。

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2011年10月11日 (火)

2011年レーザー治療機器総括その5 まぶたの周囲の施術

おはようございます。連休明けの10月11日。

今日もクリニックFの診療日です。

連休中に、ある企業からの依頼で急遽、来週ポルトガルのリスボンで開催されるヨーロッパ皮膚科学会(EADV)へ出席する予定が決定しました。

今回は日程的にもぎりぎりですが、20日に出発。24日の午前中の便で帰国。そのままクリニックで診療という日程で行くことになりました。

ポルトガルはまだ行ったことのない国ですが、やはりジェロニモス修道院はこの目で見ておきたい。

そして、オペラファンとしては、18世紀に建設されたサン・カルルシュ国立劇場 (Teatro Nacional de São Carlos)にももちろん是非とも行ってみたいですね。

学会会場の近くなのです。

さて、2011年レーザー治療器総括のブログをあと2つ。仕上げてしまいますね。

******************************

2011年、施術の点での二つ目の進化は、眼瞼(まぶた)まわり、特に上まぶたのレーザーによる施術方法です。

005

特に昨年末ぐらいから、ヨーロッパ皮膚科学会誌(JEADV)や、米国皮膚科学会誌(JAAD)などで、まぶたの上のレーザー照射により、まぶたのたるみを改善する施術の論文が数多く出てきました。

通常の脱毛レーザーや、色素を取るレーザー機器は、メラニンに吸収される1200nm以下の波長を使うことが多いため、いわゆる黒目や、網膜のある目の上にレーザーを照射するのは非常に難しいことでした。

しかしながら、フラクショナルレーザーをはじめとした1400nm以上の波長のレーザー光や、RF(ラジオ波)は、メラニンに吸収される率が低いため、まぶたの上のレーザー照射が可能となってきたのです。

サーマクールアイや、フラクセルアイなど、特殊なコンタクトレンズを使用した、まぶたの上の施術が紹介されたのが、2006年ぐらいだったでしょうか…。

特にまぶたの上は肌がデリケートで、表皮も薄いため、レーザーの精度が高くなければ施術はしにくいのです。

僕の記憶では、初期にレーザーによる施術が発表された時には、いくらコンタクトゴーグルをするとは言え、レーザーの深達度が安定していないのに、ずいぶん野蛮なことをするものだという印象を受けたのを覚えています。

しかしながら、5年もすれば新しい施術も市民権を得て、多くの工夫もされてきます。

特にCO2フラクショナルレーザーを、上まぶたに使用した、イタリアDEKA社のスマートサイドドットを使用した「マドンナリフト」は、米国でも欧州でも注目の施術ですね。

Smartxide2

目の周りだけはレーザー治療が苦手とした治療部位。

クリニックFでもマドンナリフトの施術を始めましたが、まぶたの弛みに加えて、目の下の細かいしわには、非常に強力なツールになりつつあります。

今後も適応が増えてゆくと思います。楽しみですね。

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2011年10月 7日 (金)

2011年レーザー治療器総括その4 ニキビ跡の治療法の進化

おはようございます。

今日10月7日はクリニックFの診療日です。

香港ブログ、博多ブログと続いてしまいましたが、書き始めていた2011年レーザー治療器総括のブログの続きを上げてゆこうと思います。

ちょっと時間が空いてしまいましたのでおさらいしますと、

2011年のレーザー光治療機器の分野では、3つの進化があったと思います。

●フラクショナルCO2レーザー機器の世代交代

●フラクショナルなRF機器や付随した新技術

●赤み(ヘモグロビン)に効果のある機器の世代交代

そして、施術の点では

●ニキビ跡の治療方法がほぼ完成/確立

●眼瞼(まぶた)まわり、特に上まぶたのレーザーによる施術方法の進化

●脂肪溶解のための、レーザー/冷凍凝固/RF施術方法の進化

・・・という点に論点がまとまりますので、その説明をさせていただきますね。

*********************************************、

特にここ数年

「ニキビ跡の治療法は、もはや完成した」

と発言する医師が増えてきました。

CO2フラクショナルレーザー機器や、よりダウンタイムが短く、より進化したフラクショナル機器の「フラクセル3DUAL」や「e-マトリックス」などの機器開発が、この発言の根拠となる機器として挙げられます。

CO2フラクショナルレーザー機器は、2007年以降、今までも数限りなく機種が発売されてきました。

以前のブログでも書いたのですが、萎縮性のニキビ跡の場合、治療をする以前にどのタイプのニキビ跡なのかを診察することが大切です。

ニキビ跡は、形態的に4種類(ヨーロッパでは3種類)に分類するのが一般的です。

それらは

①Rolling ローリング型

②Ice-pick アイスピック型

③Shallow box-car 浅いボックスカー型

④Deep box-car Type 深いボックスカー型

と、呼ばれています。

①ローリング型とは、丘のようにうねって平らな部位が少ないニキビ跡(Rolling scars are gently undulating, appearing like hills and valleys without sharp borders.)のことを指し

②アイスピック型とは、表面が広く深くなるに従って細くなる円錐状のニキビ跡(Ice-pick scars, also known as pitted scars, appear as round, deep depressions culminating in a pinpoint base; in cross-section, they are shaped like a “v”.)

③浅いボックスカー(箱形の車)型(Box-car scars have a flat, “u-shaped” base. Broader than ice-pick scars, they are round, polygonal, or linear at the skin surface)と、

④深いボックスカー型(Shallow box-car scars terminate in the shallow-to mid-dermis, and deep box-car scars penetrate to the reticular dermis.)

ヨーロピアン・アクネ・グループ(The European acne group (ECCA) )では、

◎ローリング型を「W-shaped」

◎アイスピック型を「V-Shaped 」 

◎ボックスカー型を「U-shaped」

と分類しています。

クリニックFでも、これらの機器を実際に使用して、ニキビ跡の治療を続けてきました。

Fractional

2011年現在では、アジア人を対象とした場合、上記のどのタイプのニキビ跡治療でも、

「フラクセル3」

Fraxel3

がファーストチョイスになりますね。

強いCO2フラクショナルレーザー機器を最初から使用してしまうと、ダメージが多すぎて、その後の治療に結びつきにくい場合があります。

フラクセル3で数回治療したうえで、残存した深いニキビ跡には、フラクショナルRF機器であるe-matrixやイントラセル、フラクショナルCO2レーザー機器を照射するのがよいと思います。

そしてもう一つの論点は、治療時におけるパワー設定です。

一見すると、パワーが高い方がレーザーの治療効果があるように思われる方が多いと思いますが、フラクショナルレーザー機器の場合は、パワーよりも照射密度のほうが大きな影響を与えるパラメータになります。

一般的なフラクショナル機器の場合、パワーを上げると深い部位までエネルギーが入ることになりますが、その分、レーザー光の周りに熱だまりができますので、火傷を防ぐため、機器によっては密度が自動調整されて照射している場合もあるのです。

Power

たとえば上図の場合、右と比較して左の図は、10倍のパワーで照射された時のモデル図です。

しかしながら、上部の大きさのシミ(時によってニキビ跡)への実際の治療効率は、パワーが低いほうが照射密度が高くなり、治療効果が高かったりするのです。

機械の工学的特性を知った上で、さらにパラメータの設定には診断の経験が必要であり、この診断のフラクショナルレーザーの治療の難しさでもあり、楽しさでもあるのです。

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2011年9月21日 (水)

2011年レーザー治療器総括その3

おはようございます。現在羽田空港にいて、香港行きの飛行機を待っています。

香港での招待講演は明日ですが、大型台風が気になりますね。

大きく迂回しながら進路を取るんでしょうか?

クリニックFでの僕の診療は今日、明日はお休みさせて頂きますが、スタッフは出勤しておりますので、ご予約やご質問がありましたらクリニックF(03−3221−6461)にお電話くださいね。

帰国は金曜日になりますので、土曜日からは通常診療させて頂きます。

さて、先ほど書き上げた2011年のレーザー治療器総括のブログを続けてアップしますね。

****************************

三つ目のトピックは、赤み(ヘモグロビン)に対するレーザー機器の進化です。

レーザー治療をするうえで最も大切なものが、ロックス・アンダソン博士の選択的光融解理論だとすると、赤(ヘモグロビン)を治療する際に競合するのが茶色(メラニン)です。

理論上はヘモグロビンに対しては、

532 nmのKTP から、585 もしくは 595 nm のパルスダイレーザー(PDL)の間の波長

が有効です。

しかしながら、このレーザー波長をヘモグロビンが破壊できるぐらい短いパルス幅で照射してしまうと、必ず施術後に2週間程度の紫斑(あざ)が生じるのです。

回数が必要な赤みに対する治療では、このダウンタイムが非常に厄介で、治療の選択の幅を減らしてしまうものでした。

Photocynergy 米国サイノシュア社は、赤みの治療のゴールドスタンダードであったパルスダイレーザー(PDL)と、微小血管の治療にも使われていたNd:YAGを数ミリ秒単位で組み合わて照射するマルチプレックスシステムを組み込んだシナジーMPXを2008年に発売し、一旦は赤みの治療に決着をつけたものと思われました。

Excelv

ところが2011年に米国キュテラ社が、532nmのKTP波長を使用したエクセルVという血管に対する機器を発表。浅い血管を532nm、深い血管を1064nmのロングパルスで治療しようというものです。

現在試用期間ではありつつも、国内に導入が始まっていますがアジア人にはパラメーターの設定が難しいと考えられますので、結果を見るまで経過観察が必要ですね。

米国パロマ社はレーザーではなくて、光(IPL)を利用したスターラックスMaxGを発表。

Starlux_3

こちらはIPLのプローブの中に、赤に関係のない波長の部分にダブルフィルターを入れ込んで作り上げたシステムですが、施術後に紫斑が現れにくいのが大きな特徴です。

Maxg

フィルターを一枚入れるだけでも相当熱を発生し、安定度と耐久性が落ちますので、二枚入れるのは非常に高い技術が必要です。

医療レーザー分野で多くのパテントを保持するパロマ社ですので、技術的な縛りもありません。最も得意な分野なのでしょう。

このMaxGは、2011年に多くの論文が発表され、現在赤(ヘモグロビン)に対する効力が最も高いと評価されている機器です。

クリニックFでも今年の春に導入していますが、ニキビ跡の赤みや、赤あざ、手術後瘢痕などには非常に良い結果を出していますよ。

今後が楽しみな機器です。

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2011年9月20日 (火)

2011年レーザー治療器総括その2

おはようございます。

9月20日(火)今日もクリニックFの診療日です。今週は明日から香港の招待講演の出張を控えておりますので、本日と24日(土曜日)のみが診療日となります。僕が不在中につきましては、お電話で診療の御予約を承れるようにしていますので、よろしくお願いします。

では、引き続き、2011年レーザー治療器総括のブログを書いてしまいますね。

***********************************************

2011年に起きたレーザー/光治療に関するニュース・話題を振り返ると、二つ目のトピックは、

◎フラクショナルRF機器の台頭と、フラクショナルに付随する技術開発

ということになるでしょうか。

フラクショナル機器が美容レーザー領域に対して使用され始めたのは2004年のダラスの米国レーザー医学会ASLMSでの発表以来のことなのですが、

フラクショナルのビームを必ずしもレーザーにする必要はないのでは?

との考えが起こるのは当然のことでした。

レーザー/光を治療機器に使用しすると、電磁波であるレーザー光は

■皮膚への入射前には 反射 放射 

■皮下では 散乱 吸収 

・・・されてしまうことによって、エネルギーが低下します。

特にアジア人の場合、皮下にメラニン色素が多いため、メラニンに集光してしまう波長の光の場合、深くまでエネルギーを伝達できないという点と

多くのエネルギーが皮下のメラニンに吸収され、ショックウェーブが火傷を引き起こすので、強いパワーで照射することができないといったデメリットがありました。

こうしたエネルギーの伝達効率を考えると、媒体にレーザー/光を使用するよりも、RF(ラジオ波)を利用したほうが特に有色人種には遥かにメリットがあるのです。

モノポーラーRFのサーマクールや、バイポーラ―RFのオーロラやポラリス、リファーム、トリニティなどのRFをベースとした医療機器が日本人に好まれるのは当然の結果なのですよね。

そうした中、RFフラクショナル機器であるシネロン社のeマトリックスと、

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韓国ジェイシス社のイントラセルが発売されたのは、以前このブログでもお伝えした通りです。

006_2

このフラクショナルRF機器の市場に、シネロン社からもう一台の「eプライム」が発売されました。

Eprime4

eプライムはイントラセル同様に針を刺してRFを皮下に直接流し込む技術。

Eprime

人間の肌では表皮が最も熱に弱いので、針を刺して皮下深くで直接熱刺激を加え、表皮に熱を加えないという意味では非常に有効な手段です。

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「eマトリックス」や「イントラセル」は、表面のリサーフェシングを目的とした「フラクセル」 の対抗器

「eプライム」は、リフティングを目的とした、「サーマクール」や「ウルセラ」 の対抗器

という位置づけと考えられていました。

特に「eプライム」を受けた被験者に聞くと、ほほがボリューマイズ(膨らんだように見える)されたという印象があるようですね。

eプライムは、局所浸潤麻酔が必要であったり、ダウンタイムが長いのが気になりますが、今後は改善がされると思います。

また、フラクショナルレーザー機器の機能を付加するために、いくつかの技術が開発されてきました。

一つはパロマ社のコンプレッションフラクショナル技術です。

002

以前もご紹介したのですが、この右のようなクリスタルを使用して、組織を圧迫してフラクショナルレーザーを照射するという方法。

Compression

皮膚を引き伸ばしてレーザーを照射するとメリットがありますが、その性質を列挙すると

1.レーザー光を吸収してしまう水分やヘモグロビン成分を圧排できる。

2.物理的に組織を厚さを薄くして、標的組織への距離を近づけることができる。

3.クーリングデバイスを当てることで、やけどをおこしやすいとされる表皮真皮接合部(D/Ejunction)と真皮乳頭層への熱刺激を減らすことができるので安全性が向上。

4.圧縮することで皮下の深い部分のコラーゲン構造を平坦化し、熱効率を上げる。

ということになります。

こういった付随する技術が開発されてゆくのは重要ですよね。

2011年レーザー治療器総括その3に続きます。

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2011年9月17日 (土)

2011年レーザー治療器総括その1

おはようございます。今日9月17日(土)もクリニックFの診療日です。

9月も後半になりましたが、来週はいよいよ香港の招待講演。月末は福岡のグランドハイアットで開催される日本美容外科学会の招待講演・・・と出張の予定が続きます。

9月の診療日は、本日含めてあと6日となります。月内に診療ご希望の方はクリニックにご連絡くださいね。

************************

2011年9月に開催されたカンヌの5大陸レーザー会議が終わり、怒涛のように続いた本年度のレーザーアンチエイジング学会の国際学会も、そろそろ終わりとなります。

カンヌはお声がけくださる方もいて、直前まで行こうかどうしようか悩んでいましたが、いくつかの理由で今年は出席をやめました。終わってみれば今年は200人くらいしかドクターが集まらなかったようです。

さて、例年の様に、各国の国際医学会に足を運び、ディスカッションして得た知識をまとめて、

「2011年のレーザー機器の総括」

をそろそろ始めたいと思います。

ブログで徐々に上げてゆきますね。

2011年のレーザー光治療機器の分野では、3つの進化があったと思います。

●フラクショナルCO2レーザー機器の世代交代

●フラクショナルなRF機器や付随した新技術

●赤み(ヘモグロビン)に効果のある機器の世代交代

そして、施術の点では

●ニキビ跡の治療方法がほぼ完成/確立

●眼瞼(まぶた)まわり、特に上まぶたのレーザーによる施術方法の進化

●脂肪溶解のための、レーザー/冷凍凝固/RF施術方法の進化

・・・という点に論点がまとまりますので、その説明をさせていただきますね。

まずはフラクショナルCO2レーザー機器の世代交代から。

2007年にソルタメディカル社から発売された、フラクショナルCO2レーザー機器「フラクセルリペア(国内未導入)」。

クリニックFでも、ルートロニック社の「エコツー(eCO2)プレミアム」を販売当初から使用してきました。

既にこの技術は公開後5年が経過し、安価な追従器もひと揃いしました。アブレイティブなレーザーリサーフェシング機器として、ニキビ跡や毛穴の治療などに使用されることが浸透し、実際結果を出しその効果が学術的にも臨床的にも認められ、「レーザーによるアジア人の肌のリサーフェシング(肌の入れ替え)」という市場が、いよいよ本格的に確立したと言えます。

CO2レーザーは技術的にもハードルが低いため、多くの会社が参入することとなりましたが、各社が作り上げるCO2レーザーのビーム特性や、スキャニング(連続照射)の技術に違いが現われています。

このため、各社CO2フラクショナル機器の性能や効果の違いに対する論文や発表が少しづつですが出てくるようになりました。

Fractional

Photo2

下図は僕の2011年の米国レーザー医学会(ASLMS)の発表演題です。

各社CO2フラクショナルレーザー機器のスキャナやビームモードの開発も進み、そろそろ世代交代の機器が揃い始めたところです。

その中でも注目すべきは、イタリアDEKA社から本年1月にデビューしたバイポーラ―RFとCO2フラクショナルレーザー機器を複合した「スマートサイドスクエア(SMARTXIDE2)」

2(スクエア)は二乗という意味です。

Deka

RFとCO2フラクショナル機器の複合機は初めてですので、タイトニング(引き締め)能力は当然高いと考えられます。

僕は目の下のたるみ(アイバッグ)の施術などに使用できるのではないかと期待しているのですが、今後の使用方法の研究に期待ですね。

もう一つ優れたスキャナ装置を持ったCO2フラクショナルレーザー機器として注目を浴びている機器に、シネロン/キャンデラ社のCO2REがあります。

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このCO2フラクショナルレーザーは、二つの深さのCO2ビームを利用した、優れたスキャナ装置を持つ機器。

2691

現状はリサーフェシングよりも、傷跡修正などの用途に使われることが多いようです。

新興シネロン社は、古くはオーロラ、ポラリス。最近はトリニティ、eマトリックス・・・など魅力的な機器を世に送り出して来たイスラエルの会社です。

老舗レーザー企業キャンデラを2009年に買収したことで、キャンデラ社についていた多くのレーザー専門医達の研究開発のバックボーンを手に入れました。

今後更なる飛躍が期待できる会社です。

2011年レーザー医療機器総括のブログはまだまだ続きます。

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2011年2月28日 (月)

YAGレーザー のYAGとは?

最近クリニックFの備品・資料用に購入した本の中で、ちょっとお気に入りの図鑑があります。

Photo_2

「The Elements (元素)」という本。

この本は「世界で一番美しい元素図鑑」です。

The_elements

この通り、英語版と日本語版があります。

Elements

化学の時間で習った元素について、わかりやすい写真でまとめたものなのですが、綺麗でお勧めですよ。

なぜこの本を購入したかというと、レーザーに使用する鉱石について、患者さんから質問があるからなのです。

たとえば、研究用、医療用に最も使用されるYAGレーザー。

「YAG」は固体レーザーの発振用媒質として使用する結晶ですが、YAGのアルファベットはそれぞれ

■原子番号39のイットリウム

007

そして、

■原子番号13のアルミニウムの

005

複合酸化物を

■ガーネット(ザクロ石)構造の結晶にしたもの

で、自然界に存在しない人工物質です。

つまり、YAGとは、■イットリウム、■アルミニウム、■ガーネットの頭文字をとっているわけです。

また、YAG結晶を生じさせる過程で、イットリウムを他の希土類元素で置換した数々のYAGレーザーが存在します。

イットリウムに原子番号60のネオジウムを少量ドープ(添加)したものがNd:YAG(ネオジウムヤグ)レーザー。

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1064nmの波長が出せる、工学の世界で最も利用されているYAGレーザーです。

医学の世界でも、刺青治療や肝斑治療などに使いますよね。

イットリウムに原子番号67のホルミウムを少量ドープ(添加)したものがHo:YAG(ホルミウムヤグ)レーザー。

010

ホルミウムヤグレーザーは、外科手術のメスに使われます。

イットリウムに原子番号68のエルビウムを少量ドープ(添加)したものがEr:YAG(エルビウムヤグ)レーザー。

002

特にエルビウムは、光ファイバーケーブルの中で光パルスを増幅できる効果があるので、このレーザー領域には欠かせない元素。

医療用では、米国サイトン社やパロマ社が得意な波長。

フラクショナルレーザーにして、ニキビ跡治療などに使われます。

イットリウムに原子番号69のツリウムを少量ドープ(添加)したものがTm:YAG(ツリウムヤグ)レーザー。

003

ツリウムは、今までは最も使い道のない元素と言われてきました(笑)。

ですが、1927nmの波長を使用できるツリウムは、ニキビ跡治療のソルタメディカル社、フラクセル3DUALでは欠かせない波長となっています。

汚名挽回ですね(笑)。

そうそう、キュテラのレーザー機器、Pearl(パール)で使用するYSGGは、イットリウム、スカンジウム、ガリウムをガーネット構造にしたもの。

このYSGGにエルビウムをドープしたもの。

ネオジウムとクロムをドープしたもの。

エルビウムとクロムをドープしたもの。

の3タイプがあるのです。

ちなみにパールは、エルビウムのみをドープしたEr:YSGGです。2790nmの波長が使えます。

こちらはチタニウムのページ。

006

チタニウムは、硬くてまったく錆びず、アレルギー反応もなく、人工関節などの医療目的でつかわれる物質ですが、眺めていると綺麗ですよね。

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